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GPU以外が本番を迎えた半導体決算|ADI売上+30%、MU売上+196%、MRVL売上+42%の裏側を36本の記事で総点検【米国株 日本語解説】

この記事は、SEC EDGAR(米国版の有価証券報告書データベース)に提出された10-K(本決算報告書)および10-Q(四半期報告書)を日本語訳・分析し、半導体セクターの全体像を整理したテーマまとめ記事です。


GPU以外に隠された本質

NVIDIAのFY2026通期(2026年1月期)売上2,159億ドル(+65%)が話題を独占しています。しかし、GPU以外の半導体企業にこそ今回の決算シーズンの本質が隠れています。

ADIはFY2025 Q4で売上+30%・純利益+112%、MUはFY2025 Q1で売上+84%(前年同期比)の驚異的な成長を遂行しています。一方で、ONはFY2024 Q4で営業利益が前年同期比-95%と明暗が分かれています。

36本の半導体関連記事をもとに「勝ち組」「苦戦組」を整理します。今回の決算では、単なる成長率ではなく、事業の構造転換が読み取れます。

※本記事では主要15銘柄を深掘りし、残り21銘柄は末尾の個別記事リンクで詳細を確認できます。各社の会計年度が異なるため、数字には対象期間を併記しています。


3行まとめ

・AI/データセンター直結銘柄(NVDA、MU、MRVL、AVGO、CRDO)は軒並み通期売上+27%超で「需要は本物」

・アナログ・組み込み(ADI、MCHP、TXN)は在庫調整一巡で回復基調、ただし成長率にばらつきあり

・製造装置・検査(AMAT、KLAC、LRCX)は微増にとどまり、次の設備投資サイクル待ちの局面


1. AI半導体「本丸」組:NVDA/MU/AVGO/MRVL/CRDO

GPU・HBM・カスタムシリコンの爆発的成長

この分類の企業は、AI/データセンター向け需要の最前線にいます。需要の本物感が最も強い領域です。


NVIDIA(NVDA)はFY2026通期(2026年1月期)売上2,159億ドル(約3兆4,544億円)、前年比+65%、営業利益1,304億ドル(+81%)の圧倒的パフォーマンスです。Blackwellアーキテクチャの供給が追いつかない状況が続いています。

Micron(MU)はFY2025通期(2025年8月期)売上374億ドル(約5兆9,840億円)、前年比+49%です。直近のFY2026 Q1では売上125億ドル(前年同期比+84%)とさらに加速しています。HBM(高帯域幅メモリ)需要がこれほど巨大であることが確認できます。

Broadcom(AVGO)はFY2025通期売上516億ドル(約8兆2,560億円)、前年比+44%です。カスタムASIC(特定用途向けIC)とネットワークスイッチの需要が両輪で成長しています。データセンター事業者の設備投資が年単位で続く見通しです。

Marvell(MRVL)はFY2025通期売上58億ドル(約9,280億円)、前年比+27%です。赤字から黒字転換を果たし、カスタムASICとストレージプロセッサの需要が両立しています。

Credo(CRDO)はFY2026 Q3(2025年11月〜2026年1月)四半期売上2.5億ドル、前年同期比+155%、純利益+434%です。光インターコネクト技術で急伸しています。時価総額が小さい分、成長の恩恵も大きいですが、流動性リスクとボラティリティの高さには注意が必要です。


2. アナログ・組み込み「回復」組:ADI/MCHP/TXN/NXPI/ON/MPWR

在庫調整一巡の温度差が明確に

この分類は、2023年後半の在庫調整から脱却した企業群です。しかし、回復のペースに温度差があります。


ADI(Analog Devices)はFY2025 Q4(2024年11月〜2025年1月)四半期売上26.4億ドル、前年同期比+22%、EPS(1株あたり利益)+117%です。粗利率は64.7%に上昇しました。アナログ・MEMS(微小電子機械)・組み込みの全セグメントで在庫調整が一巡し、需要が戻っています。

Microchip(MCHP)はFY2025 Q3四半期売上12億ドル(+16%)です。全セグメントで黒字転換しました。アナログ・マイコン・コネクティビティの三本柱が揃いました。

Texas Instruments(TXN)はFY2024通期売上164億ドル(約2兆6,240億円)、営業利益率34%です。マージンの厚さが際立ちます。アナログ・エンベデッド(組み込み)の両事業でバランスの取れた構造です。

ON Semiconductor(ON)はFY2024 Q4の営業利益が前年同期比-95%と急落しています。電源管理・自動車向けSiC(炭化ケイ素)市場で競合のSTMicroelectronicsやInfineonとの競争が激化しています。回復の兆しが弱く、見送り対象です。

Monolithic Power(MPWR)はFY2024通期売上23億ドル(約3,680億円)、前年比+21%です。AIサーバーの電源ユニット向け需要が増加しています。


3. 製造装置・検査「踊り場」組:AMAT/KLAC/LRCX/ONTO/FORM/PLAB

次の投資サイクル待ちの局面

この分類の企業は、半導体メーカーの設備投資に依存します。2025年は調整局面にあります。


Applied Materials(AMAT)はFY2025 Q1(2024年11月〜2025年1月)四半期売上71億ドル、前年同期比+7%です。ウェーハ処理装置の需要回復は緩やかです。PER(株価収益率)38倍、PEG(株価収益成長率)2.2倍と、成長率対比で割高感があります。

KLA(KLAC)はFY2025 Q2四半期売上30億ドル(+18%)、EPS+41%です。検査・計測装置の需要は、微細化が進むほど増加する構造で最もディフェンシブです。

Lam Research(LRCX)はFY2025上半期売上107億ドル(+25%)です。エッチング装置のシェア45%が強みですが、投資ピークはまだ先です。


4. 光・接続「急成長」組:COHR/LITE/FN/VIAV

データセンター配線の勝者たち

この分類の企業は、データセンター内部のネットワーク・光配線を支えます。AIインフラ投資の恩恵を直接受けています。


Coherent(COHR)はFY2025 Q2四半期売上17億ドル(+25%)、EPS+73%です。光トランスポンダー・レーザーの需要が急増しています。

Fabrinet(FN)はFY2025 Q2四半期売上8.4億ドル(+24%)、営業利益+44%です。光モジュールの製造受託で成長率が最も高いグループです。エンジニアリング企業としての付加価値が評価されています。

光インターコネクト技術は、データセンター内部の高速通信を支える必須インフラです。AIサーバーの数が増え続ける限り、需要は続きます。


最大のリスク:米中規制・関税・為替の三重打撃

トランプ政権下での対中制裁の強化が、供給チェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。

特に、NVDA・AMAT・ASMLなど、中国向け販売比率が高い企業は規制の影響を受けやすいです。AMATは中国売上比率が約30%に達します。規制強化が実現すれば、需要シナリオが下方修正される恐れがあります。

加えて、台湾TSMCで製造されたチップへの追加関税が発動した場合、セクター全体のコスト構造が変化します。円建て投資家にとっては、USD/JPYが160円近辺にある現在、円高反転時の為替差損リスクも無視できません。


筆者の見解:銘柄選別の基準

コア候補

NVDA(NVIDIA):買いPER 34倍、PEG 0.37倍。FY2026通期売上+65%の成長率に対してPEGが1.0倍を大きく下回っており、成長率対比で妥当な水準です。GPUの需要は2027年まで堅調に続きます。

ADI(Analog Devices):買い(条件付き)粗利率64.7%で利益率の上昇余地が残っています。次の四半期で売上成長率+20%以上を維持していれば、回復の本物感が確認できます。

見送り対象

ON(ON Semiconductor):見送り 営業利益が前年同期比-95%という深刻な悪化は、SiC市場の競争激化が主因です。売上がプラス成長に転じ、営業利益率が20%台に回復するまで見送りが妥当です。

AMAT(Applied Materials):見送り PEG 2.2倍で成長率対比では割高。次の投資サイクル(2nm GAA向け設備投資)の本格化を待つべきです。

注目ウォッチ

CRDO(Credo):見送り(条件付き)売上成長率+155%は群を抜きますが、Forward PER 43倍、時価総額が小さく流動性リスクが高いです。年間売上10億ドル超が見えた時点で「買い」に転換を検討します。

MCHP(Microchip):見送り(条件付き)全セグメント黒字転換は成長の初期段階を示唆しています。売上成長率が+20%を超えた段階で再評価します。


今後の事業見通し

強気シナリオ(確度:高)

AI/データセンター向け半導体需要(HBM/カスタムASIC)は2027年まで拡大。Microsoft・Amazon・Google・Metaの設備投資合計は2025年に3,000億ドル超(各社ガイダンスベース)。HBMの供給不足が常態化し、カスタムASICの開発投資が加速しています。NVDA・MU・MRVLが最大の受益者です。

基本シナリオ(確度:中)

AI需要は堅調だが、アナログ・組み込みの本格回復は2026年後半にずれ込む。自動車・産業機器の在庫調整は完了するものの、新規受注の立ち上がりが緩やか。ADI・MCHP・TXNは+10〜20%の売上成長にとどまります。

弱気シナリオ(確度:低)

米中規制が大幅強化され、Blackwell世代の対中輸出が禁止。同時に関税リスクが顕在化。NVDAの中国向け売上(推定15〜20%)が消失し、AMAT(中国売上比率約30%)も直撃。セクター全体で-20%以上の調整が発生するリスクがあります。


まとめ:セクター全体としての転換点


今回の決算ラウンドは、半導体セクターが「AI・データセンター中心の成長」へシフトしていることを明確に示しました。

GPU銘柄だけではなく、HBMメーカー・カスタムASIC企業・光インターコネクト企業も、軒並み高い成長率を実現しています。

一方で、在庫調整が完全に終了していない企業(ON)や、設備投資サイクルが停滞している企業(AMAT)もあります。企業ごとの選別が重要です。

コア候補はNVDA(PEG 0.37倍)とADI(粗利率64.7%)。見送りはON(営業利益-95%)とAMAT(PEG 2.2倍)。米中規制・関税・為替の三重リスクを念頭に置きながら、確度の高い銘柄への集中投資が現在の戦略です。


免責事項

※本記事は投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

※円換算は1ドル=160円(2026年3月時点)で計算しています。

※データ出典:各社10-K/10-Q(SEC EDGAR)。株価・PER・PEGは2026年3月時点のYahoo Finance / GuruFocusのデータに基づきます。

※各銘柄の対象決算期は本文中に明記しています。企業ごとに会計年度が異なるため、横比較の際はご注意ください。

※記事掲載時点の情報です。将来の事業成績を保証するものではありません。


ハッシュタグ

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