階下から響く断末魔の叫び。ネパールの山奥で教えてもらった英語の本当の「意味」
Hi, how are you doing?
英語コーチのKumiです。
今日は、私の記憶の中に深く刻まれている、アジアの旅のひとコマをお話ししたいと思います。
ネットもない時代、その場所には便利な道具は何ひとつなかったけれど、確かに「人とつながっている」と感じられた、ネパールの小さな村での出来事です。
ネパールの首都カトマンズからバスに数時間、空腹でたどり着いた場所
山の奥の、さらにその奥。そこには、お母さんと5人ほどの子供たちが笑顔で営む、小さな小さなレストランがありました。
「Hello, may I help you? Are you hungry, Miss? 」
(いらっしゃいませ。お姉さん、お腹空いてる?)
二階にあるお店のドアを開けると、そこはまるで誰かの家の居間のよう。
ゴザの上には大きな木のテーブルがあり、小さな子供たちが私を物珍しそうに取り囲みます。好奇心がキラキラするその黒目に、私が映っているのを感じました。
私は、使い込まれてシワだらけになったメニューの一番上にあった料理を注文しました。
"One chicken fried rice, please."
(チキンの焼き飯を一つ、お願いします)
お腹がペコペコだった私は、深く考えずに、子供たちに向かってそう告げました。
階下から聞こえてきた「命の叫び」
アジアの時間はゆっくり流れるもの。そう分かってはいても、料理はなかなか出てきません。注文してから50分が過ぎた頃でしょうか。
突然、階下から聞いたこともないような奇声が聞こえてきました。
「キョキャ〜!キャ〜キャキャ〜!!」
それは明らかに、人間の声ではありませんでした。
驚いて窓から下を覗き込むと、そこには舞い散る羽と、ナタを振るうお母さんの姿が……。
その瞬間、悟りました。
「あぁ、私が注文したからなんだ」と。
キッチンを覗くと・・・
そこには私のためだけに焼かれた目玉焼き、私のためだけに刻まれた野菜、そして、さっきまで生きていた私のためだけの「チキン」。
「まだかな~?遅いな~。」なんて思っていた自分を、私は反射的に恥じました。
そこにあったのは、効率やスピードとは無縁の、圧倒的な「命のやり取り」でした。
英語は、目の前の人と「ハグ」するための道具
結局、一皿の「鶏焼きめし」が私の前に運ばれてくるまでに、120分という時間がかかりました。
お母さんは、出来たてで湯気を立てている一皿をテーブルに置きながら、最高の笑顔でこう言ってくれました。
"Enjoy!"
お腹は空きすぎていたけれど、胸がいっぱいで、すぐにはスプーンを動かせませんでした。
もうそれは私にとっては、「鶏やきめし」ではありませんでした。
確かに私が「注文」したものだったけれど・・・。
私たちが普段、何気なく使っている「One chicken fried rice, please. 」という言葉。
その言葉が持つ本当の意味は、単なる注文ではなく、「あなたの命を、私の血肉にさせてください」という、重く、尊い願いの言葉にすら思えました。
ネットもスマホもない環境では、言葉の一つひとつが、目の前の相手と直接つながるための大切な架け橋になります。教科書で習う「Enjoy」という単語も、お母さんの温かい手から差し出された一皿と共に受け取るとき、それは単なる「楽しんで」という訳を超えて、私の心に深く深く染み渡りました。
英語ができるということは、単に情報を取り込めるようになることではありません。
こうして世界中の誰かと、その土地の空気や命の尊さを分かち合い、心で「ハグ」できるようになること。大げさかもしれないけれど、それこそが、英語を学ぶ本当の楽しさ・・・今だからこそ、そう思います。
命をいただく、ということ
あの日、ヒマラヤの絶景を背に食べたチキンライスの味を、私は一生忘れません。あまりにも尊く、熱く、そして美味でした。
今でも「命に感謝」という言葉を聞くたびに、あの時の鶏の叫び声が耳の奥で蘇ります。まさに「なんで野菜の焼き飯にせんかったんや〜!」という断末魔の叫び 汗。
いろんなことを教えてくれた鶏さんと、お母さん、そして子供たちに今も心から感謝です。
毎晩眠りにつくたびに
私は死ぬ。
そして翌朝目をさますとき生まれ変わる。
Every time I get to sleep every night, I die.
And when waking up in the next morning, it’s reborn.
byマハトマ・ガンディー
今日という一日の「命の時間」に感謝して。
皆さんも、素敵な一日をお過ごしくださいね。
(続く)
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