ととのえ職人の本棚16|腸脳力 – 頭で考えすぎたとき、ハラに戻る −
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
このnoteでは、心と体と思考のズレをやさしくととのえる話を、日々書いています。
今日は、
「ととのえ職人の本棚」として、
1冊の本をご紹介します。
本を読むことで、ととのう
本を読むことは、
知識を増やすことだけではありません。
本を読みながら、
今の自分の状態に気づくこと。
言葉にならなかった感覚が、
少しずつ言葉になっていくこと。
自分の中にあった違和感が、
本の言葉を通して、少し輪郭を持ちはじめること。
ととのえ職人の本棚では、
ただ本の内容を紹介するのではなく、
その本を通して、心と体と思考の関係をどう見つめ直せるのか。
そして、
今の暮らしの中で、
どう自分に還っていけるのか。
本を読むことで、ととのう。
そんな視点で、ととのう本をご紹介しております。
今回の一冊|腸脳力
今回ご紹介する本は、
長沼敬憲さんの
『腸脳力|心と体を変える“底力”は“腸”にある』
です。
「腸」と「脳」。
一見すると、
離れた場所にあるもののように感じるかもしれません。
考える場所は、頭。
感じる場所は、心。
食べたものを消化する場所は、腸。
私たちは、
そんなふうに分けて考えがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
腸と脳は、離れているのか
頭で考えすぎているとき、
お腹が硬くなることがあります。
不安が強いとき、
胃腸の調子が乱れることがあります。
緊張しているとき、
お腹のあたりが落ち着かなくなることがあります。
逆に、
お腹がゆるみ、呼吸が深くなると、
考えすぎていた頭が、少し静かになることがあります。
心と体と思考は、
別々に存在しているわけではありません。
どこかひとつが揺れると、
他の場所にもその揺れは伝わっていく。
この本を、
単なる「腸活の本」ではありません。
腸をととのえればすべてがよくなる、
という話ではありません。
この本は、
頭に偏りすぎた自分を、もう一度“ハラ”へ戻すための本です。
頭に偏りすぎた自分を、ハラへ戻す
私たちは、
日々、たくさん考えています。
どうしたらいいか。
何が正しいか。
どう見られているか。
失敗しないためにはどうするか。
もっと良くなるにはどうすればいいか。
考えることは大切です。
でも、
考えることばかりが先に立つと、
自分の体の感覚が置いていかれてしまいます。
本当は疲れているのに、
「まだ大丈夫」と頭で判断する。
本当は嫌なのに、
「ここは我慢した方がいい」と自分を納得させる。
本当は休みたいのに、
「今休むわけにはいかない」と動き続ける。
そうしているうちに、
心と体と思考のあいだに、
少しずつズレが生まれていく。
頭ではわかっている。
でも、体がついてこない。
気持ちは前に行きたい。
でも、お腹の奥が重たい。
やるべきことは見えている。
でも、どうしても動けない。
そんなとき、
必要なのは、
さらに頭で考えることではありません。
もっと分析すること。
もっと理由を探すこと。
もっと自分を説得すること。
それよりも先に、
一度、ハラに戻る。
お腹のあたりに、
自分の感覚を戻してみる。
今、呼吸はどこまで入っているか。
お腹は硬くなっていないか。
内側は冷えていないか。
何かを飲み込み続けていないか。
本当は、何を受け入れられずにいるのか。
そんなふうに、
頭ではなく、
体の深いところから自分を観てみる。
この本が思い出させてくれるのは、
そういう感覚です。
「腸」を、ハラとして読む
「腸」という言葉を聞くと、
食事や栄養、腸内環境の話を思い浮かべる人も多いと思います。
もちろん、それは大切です。
何を食べるか。
どう食べるか。
どんな生活リズムで過ごすか。
体の内側に、どんな環境をつくっているか。
それは、
日々の自分の状態に関わります。
けれど、
ととのえ職人としてこの本を読むと、
もう少し広い意味での「腸」が浮かび上がってきます。
それは、
「ハラ」です。
腹が決まる。
腹を括る。
腹が据わる。
腹落ちする。
腹の底から感じる。
日本語には、
お腹まわりを通して、
人の覚悟や感覚、直感を表す言葉がたくさんあります。
それは、
昔の人たちが、
人間を頭だけで観ていなかったからだと思います。
考えるだけでは足りない。
心だけでも足りない。
人は、
ハラで受け取り、
ハラで感じ、
ハラで決めることがある。
そういう身体感覚を、
私たちはいつの間にか忘れてしまっているのかもしれません。
頭は動いている。でも、腹落ちしていない
現代は、
頭が忙しくなりやすい時代です。
情報は常に入ってくる。
選択肢は増え続ける。
比較するものも多い。
正解を探そうとすればするほど、
さらに迷いが増えていく。
頭は、
ずっと動いています。
でも、
頭が動き続けているからといって、
自分が深く納得しているとは限りません。
たくさん考えたのに、
なぜか決められない。
正しそうな答えはあるのに、
なぜか進めない。
説明はできるのに、
どこか腹落ちしていない。
そういうことがあります。
それは、
自分が弱いからではありません。
まだ、
頭とハラがつながっていないからかもしれません。
ととのえるとは、
頭で納得することだけではありません。
心が前向きになることだけでもありません。
体の深いところで、
「ああ、これでいいのかもしれない」
と静かに受け取れること。
その感覚があると、
人は無理に自分を押し出さなくても、
少しずつ動き出せることがあります。
逆に、
ハラが置き去りになっていると、
どれだけ良い言葉を並べても、
どれだけ正しい計画を立てても、
どこかで苦しくなります。
体の深いところが、
まだ受け取っていないからです。
考える前に、感じる場所へ戻る
この本を読めば
「考える前に、感じる場所へ戻る」
という感覚を思い出します。
自分はいま、
何を食べたいのか。
本当にお腹が空いているのか。
それとも、
不安や寂しさを埋めるために、
何かを口にしているのか。
体は温かいのか。
冷えているのか。
呼吸は深いのか。
浅いのか。
お腹まわりに、
力が入り続けていないか。
何かをずっと我慢していないか。
そんな小さな感覚は、
忙しい日々の中では見過ごされます。
でも、
そこに、今の自分の状態があらわれています。
体は、言葉になる前に知らせている
頭は、
理由をつくるのが上手です。
大丈夫。
仕方ない。
これくらい普通。
みんなやっている。
今は頑張るしかない。
そうやって、
いくらでも自分を説得できます。
でも、
体はもう少し正直です。
お腹が重い。
胸が詰まる。
喉が狭い。
呼吸が浅い。
眠りが浅い。
食べても満たされない。
食べることが雑になる。
体は、
言葉になる前に知らせてくれています。
その声を、聴いてあげる。
まずは、
「ああ、体はこう感じているんだな」
と受け取る。
そこから、
ととのえることは始まります。
もちろん、
体調の不調が続くときや、
強い症状があるときには、
医療を受けることが大切です。
この本を読むことで、
腸や体の感覚に目を向けることができます。
早め早めに不調に気がつくことができれば、
大きく崩れることはありません。
日々の暮らしの中で、
自分の体の声を置き去りにしないこと。
頭だけで自分を動かし続けないこと。
その意味で、
腸やハラに意識を戻すことは、
とても大切なセルフケアになります。
食べることも、ととのえること
食べることも、
ととのえることです。
でもそれは、
何を食べるかだけの話ではありません。
どう食べているか。
急いでいないか。
味わっているか。
ながら食べになっていないか。
お腹ではなく、頭の都合で食べていないか。
自分を責めながら食べていないか。
食事は、
自分との関係が出やすい時間です。
ちゃんとしなきゃ。
太ってはいけない。
これを食べたらだめ。
もっと管理しなきゃ。
そんなふうに、
食べることが緊張になっている人もいます。
反対に、
疲れや不安を感じないようにするために、
食べることで自分を埋めている人もいます。
どちらが良い悪いではなく、
そこには、その人なりの理由があります。
だからこそ、
食べることを考えるとき、
正しさだけで裁かないことが大切です。
自分は、
何を食べているのか。
だけではなく、
自分は、
どんな状態で食べているのか。
自分は、
何を感じたくなくて食べているのか。
自分は、
何を受け取りたくて食べているのか。
そこまで観ていくと、
食べることは、
ただの栄養補給ではなくなります。
自分の心と体と思考のズレに気づく、
大切な入口になります。
ハラに戻るための、小さなこと
この本を
「ととのう本」として紹介する理由は、
腸の知識が得られるからだけではありません。
頭で考えすぎた人に、
「もう少し深い場所に戻っていい」
と思わせてくれるからです。
ハラに戻る。
それは、
難しいことではありません。
深く息を吐く。
お腹の動きを感じる。
温かいものを飲む。
よく噛んで食べる。
体を冷やしすぎない。
お腹に手を当てる。
急いで答えを出さない。
腹落ちしていないことを、無理に決めない。
そういう小さなことです。
その小さなことが、
頭に偏った自分を、
少しずつ体へ戻してくれる。
自分の中心が、
少し下りてくる。
上へ上へと浮いていた意識が、
胸を通り、
お腹へ戻っていく。
そのとき、
人は少し落ち着きます。
何かが劇的に解決するわけではありません。
でも、
「自分はここにいる」
という感覚が戻ってくる。
それは、
とても大切なことです。
底力は、気合いではなく、安心から湧いてくる
私たちは、
頭で自分を変えようとしすぎます。
もっと、前向きに考えよう。
もっと、良い習慣をつくろう。
もっと、効率よく動こう。
もっと、正しく選ぼう。
でも、
変わるためには、
頭だけでは足りません。
体が安心していること。
呼吸が戻っていること。
お腹の奥が、少しゆるんでいること。
自分の内側に、ちゃんと居場所があること。
そこがないまま、
いくら行動を変えようとしても、
どこかで苦しくなります。
だから、
頭で考えすぎたときは、
ハラに戻る。
答えを急ぐ前に、
お腹の感覚を感じてみる。
何をするべきかの前に、
今の自分が何を受け取れていて、
何を受け取れずにいるのかを観てみる。
自分の底にある力は、
気合いで引き出すものではありません。
もっと、頑張れ。
もっと、強くなれ。
もっと、耐えろ。
そうやって引っ張り出すものではなく、
安心したとき、
ゆるんだとき、
自分の中心に戻れたとき、
自然と湧いてくるもの。
それが、
本当の意味での「底力」だと思います。
ととのう本
この本は、
腸という言葉を通して、
人間の深いところにある力を思い出させてくれる本です。
頭だけで生きていた自分に、
体へ戻る入口をくれる。
心だけで抱えていたものを、
お腹の感覚から観直すきっかけをくれる。
そして、
自分の中心を、
もう一度ハラに戻していく。
考えすぎて疲れている人へ。
頭ではわかっているのに、動けない人へ。
自分の感覚がわからなくなっている人へ。
食べることや体の声を、もう少し丁寧に観てみたい人へ。
この本は、
静かに問いかけてくれます。
あなたは、
頭だけで生きていませんか。
ハラの声を、
置き去りにしていませんか。
自分の体の深いところに、
もう一度戻ってみてもいいのではないでしょうか。
頭で考えすぎたとき、
ハラに戻る。
そこから、
心と体と思考のズレは、
少しずつととのっていきます。
ととのえ職人
五木田穣
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お腹の重さ。
呼吸の浅さ。
食べ方の乱れ。
休んでも抜けない疲れ。
そうした小さな感覚の中に、
今の自分をととのえる入口があるのだと思います。
頭で考えすぎたときほど、
少しだけ、ハラに戻ってみる。
そこからまた、
自分の感覚とつながり直していけますように。
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