【組織のAI活用#177】社内のAI推進チームの「人選」は何を見て検討するべき?
こんにちは!寺田です。
現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
ここ最近、いろんな企業で、AI活用が進められています。 ただ、最初から専任がいる状態でチームを作れる会社は、少ないという印象です。各所からメンバーが集まり、兼務で集まることが、多いです。
とはいえ、通常業務に追われて、AI推進が止まってしまうケースも、よく見かけます。 限られた時間の中で、結果を出すチームを作るには、メンバー選びが、重要と考えます。 ということで、今回は、社内のAI推進チームを作る上で、絶対に見極めたい「3つの要素」について書いていこうと思います。
1. AIへの強い興味
AI推進のメンバーに求める、第一の条件は、AIへの興味の強さです。
AIは日々変化し、進化しています。次々と新しい情報が出てくる中で、ただそれを見るだけではなく、実際に手を動かしていかなければならないため、かなりの時間を要します。
これは、強い興味や「好き」という気持ちがないと、非常に大きな負荷になります。平日・休日を問わず、AIに対して常にアンテナを張って調べ続けるくらいの姿勢でないと、通常業務がある中で追いついていくのは非常に困難です。
また、この興味有り無しの確認をする際に、気をつけたいのが、挙手制のみで集めるケースです。 「AIをやりたいです」と、口で言うのは簡単です。 本当に見るべきなのは、その人の、現在の活用状況です。
例えば、社内で Google Workspace の環境で Gemini を従業員が使っていれば、AI の実行数を追うこともできます。
もちろん、別のツールの活用をしている可能性もあるので、それだけでは判断できないですが、できる限り定量的なデータをベースにしながら、アンケートや各メンバーへのヒアリングなども行い、適正を見つけていくのがいいのではないかと思います。
「今は使ってないけどやる気あります!」というのは、最初はいいですが、その方への負荷がかなり高くなり停滞する印象です。
2. 業務を細かく分解する高いPM力
熱量の高いメンバーが見つかったら、次は、高いプロジェクトマネジメント力を持つ人材が、必要です。 AIは、何でもやってくれる、魔法の杖ではありません。 今の業務を、そのままAIに丸投げしても、上手く機能しないです。
AIを組み込むためには、既存の仕事の流れを、細かく分解する作業が不可欠です。 イメージとしては、料理のレシピを、作るようなものです。 「カレーを作る」という作業も、野菜を切る、炒める、煮込むという工程に分かれます。
営業資料の作成も、同じです。 情報収集、構成案作り、文章の執筆、デザイン調整など・・・と、複数のプロセスが、あります。 PM力が高い人は、この流れを整理して、どこをAIに任せるかを、論理的に設計できます。
ただ、ここで、大きな問題があります。 最新AIを、常に追いかけているオタク気質と、業務を俯瞰できるPM力を、兼ね備えた人は、社内にはほとんどいないです。 だからこそ、兼務チームは、お互いを補完し合う前提で、作るべきと考えます。
最新ツールを見つけて、突破口を開くメンバーと、それを業務に組み込む、設計図を描くメンバー。 そのうえで、この両輪が揃って初めて、AIは強力な業務ツールに、なるのではないでしょうか。
3. 強い決裁権と影響力
チームを形骸化させないための、最後のピースが、強い決裁権を持ったメンバーの参画です。 AIの導入は、本質的に、これまでの仕事のやり方を、壊す行為です。 素晴らしい活用フローを作っても、現場に導入する時は、必ず摩擦が起きます。
「今のやり方を変えたくない」「AIに仕事を奪われるかも」といった現場の抵抗は、想像以上に強いものです。 仮に、チームが若手だけで構成されていると、どうなるか、考えてみます。 現場のベテランの圧力に負けて、誰も痛みを伴わない、無難な施策に落ち着いてしまいます。
結果的に、せっかくのAI推進も、意味がなくなってしまいます。 だからこそ、チームには、役員クラスや、強い発言力を持つスポンサーを、必ず入れる必要があります。 彼らの役割は、現場の不満を受け止め、会社としてAI化を進めるという、強い意志を示すことです。
※「ユニコーン人材」を待つより今のメンバーで動くAI推進戦略については、こちらの記事もご覧ください。
AIによる業務改革には、時には、これまでの常識を覆すような、思い切った決断が必要です。 長年の業務フローを、強制的に変える場面で、「責任は取るから思い切りやれ」と言える人が、不可欠です。 この権力者の存在が、実務担当者にとって、一番心強い武器になるのではないかなと、思っています。
3つの要素をチームで補完し合い推進できるチームを作る
社内のAI推進チームを、兼務で始める場合、これらの要素を満たす人材構成が、成功の鍵です。 一言でいうと、熱量、PM力、決裁権の、3つです。 もちろん、一人の人間が、これらすべてを持っているのが、理想です。
ただ、現実問題として、そんな完璧な人材は、社内にいないことのほうが、多いです。 だからこそ、チーム全体で、この3つの要素を網羅することが、最も現実的な解だと、考えます。 熱量が火を起こし、PM力がそのエネルギーを、正しい方向に導き、決裁権が道を作ります。
※AI導入の「温度差」を解消してプロジェクトを動かすための体制づくりについては、こちらの記事もご覧ください。
これらの要素は、どれか一つが欠けても、上手くいかないです。 このエコシステムを、チームで意図的に作り出すことが、AIを活用できる、組織作りの第一歩です。 まずは明日、自社の中で「息をするようにAIを使っている人」をリストアップし、現在の活用状況をヒアリングする場を、セッティングしてみてください。
読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです。
ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。
<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。
現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任
