ぐるぐる製作所|人生で一番真顔が集まる場所
人生で一番真顔が集まる場所。
それは裁判所でもない。
面接会場でもない。
たぶん、
証明写真機である。
しかも有料。
運転免許。
履歴書。
パスポート。
マイナンバー。
人生の大事な場面で、
なぜか定期的に呼ばれる。
そして人類は、
あの箱へ吸い込まれていく。
誰も楽しそうじゃない
不思議なことがある。
あの箱に入ると、
みんな少し不機嫌になる。
「前髪大丈夫かな」
「顔むくんでないかな」
「クマやばいな」
急に自分との戦いが始まる。
そして数分後。
「なんか違うな」
という顔で出てくる。
人類と証明写真機の関係は、
だいたいこれである。
あの箱、結構すごい
でも製造業の人間は違う。
証明写真を見る前に、
別のことを考える。
「あの箱、誰が作ってるんだろう」
病気である。
実はかなり製造業
証明写真機というと、
カメラのイメージが強い。
でも実際は、
カメラだけでは成立しない。
ディスプレイ。
照明。
プリンタ。
決済機能。
タッチパネル。
電源ユニット。
ハーネス。
制御基板。
色んな部品が入っている。
さらに、
それらを支える筐体も必要になる。
つまり、
ただの箱に見えるけど、
中身は意外と製造業の塊である。
人類の顔色を記録するために、
かなりの技術が投入されている。
実は板金屋もいる
以前、証明写真機に関わるメーカーの話を聞いたことがある。
証明写真機というと、
最先端カメラ!
画像補正!
AI!
みたいなイメージがある。
でも実際には、
板金屋もいる。
液晶を支える。
照明を固定する。
内部部品を取り付ける。
外装を作る。
地味である。
でも大事である。
たぶん人生で一度も、
「この証明写真、
板金いいな」
と思った人はいない。
ハーネス屋もいる
カメラ。
照明。
ディスプレイ。
プリンタ。
当然、
全部つながっている。
そしてその配線も、
誰かが作っている。
人類は証明写真を撮る。
ハーネス屋は配線を作る。
目的は違う。
でも最終的には履歴書に貼られる。
何社いるんだろう
証明写真機を見るたびに思う。
この箱の中、
何社いるんだろう。
板金屋がいる。
ハーネス屋がいる。
ディスプレイ屋がいる。
電源屋がいる。
樹脂屋がいる。
制御盤屋がいる。
たぶん他にもたくさんいる。
人生で一番真顔が集まる場所の裏で、
今日もたくさんの人が働いている。
そして誰一人として笑顔ではない。
そして誰も気にしていない
板金屋がいて、
ハーネス屋がいて、
ディスプレイ屋がいて、
電源屋がいる。
たぶん他にもたくさんいる。
何社もの技術の結晶。
その結果、
人類は、
「なんか今日、顔むくんでるな」
となる。
そして撮り直す。
板金屋。
ハーネス屋。
ディスプレイ屋。
みんな泣いているかもしれない。
次に証明写真機を見たら、
少しだけ思い出してほしい。
人生で一番真顔が集まる場所の裏で、
今日もたくさんの人が働いていることを。
そして、
撮れた写真が気に入らなくても、
板金屋のせいではない。
今日もどこかで、案件がぐるぐるしている。
— ぐるぐる製作所
