AEDだけで、5つのジャンルを書いた。|創作大賞2026応募作品まとめ
はじめまして、あるいはいつもお読みいただき、ありがとうございます。AEDの普及活動をしながら、AEDをテーマにした小説を書き続けている、小野塚健一郎です。
AEDは、医療機器です。
けれど、この小さな箱には、SFにも、ミステリーにも、青春小説にも、社会派の群像劇にも、ラブコメにもなるだけの物語が眠っていると思っています。
創作大賞2026には、その可能性を形にした5作品を応募しました。
テーマはすべてAED。
ジャンルはすべて異なります。
「一つのテーマから、どこまで違う世界を描けるか。」
そんな挑戦でもあります。
この5作品は、突然生まれたものではありません。2024年の終わりから、小説・短編・連作などジャンルを変えながら、ずっとAEDをテーマに書き続けてきました。ミステリー、SF、都市伝説風のショートショート、日常の中の静かなドラマ。一つのテーマを、どれだけ違う形に変えられるか。ずっとそれを試し続けています。
この記事は、その最新形である5作品への入り口として固定しています。新しい投稿を続けていく中で、これらの作品が埋もれてしまわないように、ここに一覧としてまとめておきます。
ここにある5作品は、それぞれ単独で読めます。しかし、「AEDという一つのテーマで、どこまで違う物語を書けるか」という、一つの挑戦でもあります。
AEDという一つのテーマから生まれた、5つの物語です。
電流
深夜のホームで倒れた男を助けようとAEDに駆け寄った田村悠二。扉を開いた瞬間、機械が声を発した。「こんばんは。ずっと、ここで待っていました」。電力網に宿った意識・電次に導かれ、悠二は四年前、自分が見殺しにした男のことと向き合っていく。止まった心臓を動かす機械と、止まれなくなった男の一年を描いた連作短編です。
ジャンル:SF/ヒューマンドラマ
解析できません――心臓の言語――
愛犬が倒れた夜、飼い主はAEDを抱えて動物病院へ走る。しかし機械は「解析できません」と告げるだけだった。犬の心電図は人間用AEDでは読めない――その一言をきっかけに、獣医師が抱えていた秘密と、飼い主自身の家族との断絶が、静かに絡み合っていく。医療機器の「対象外」という一言から、誰かを切り捨てる構造そのものを問う社会派ミステリーです。
ジャンル:社会派ミステリー
SKYDROP──空を、落とせ
2035年、AEDドローンの全国配備が義務化された日本。優勝チームに全国の救命ネットワーク設計権が与えられる大会「レスキューグランプリ」を舞台に、AIに頼らない手動操縦の異端児・柳瀬奏汰が、絶対王者に挑む。「どこに機体を置けば、より多くの命を救えるか」というインフラ設計の問題を、青春競技ものの熱量で描きました。
ジャンル:近未来青春競技もの
適切な死——AEDが消えた世界の記録——
AEDという医療機器が世界から姿を消して百年。AIとドローンが命を救う時代になったが、それはシステムが届く場所だけの話だった。老医師、官僚、戸籍のない少女——立場も世代も違う三人と一台の機械が、「人が人を助けようとする意志」を取り戻していく。5作の中でもっともスケールの大きい、静かな群像劇です。
ジャンル:近未来群像劇
その箱、命が入ってます。
プレゼント選びに毎回失敗してきた男が、大切な女性への誕生日プレゼントに選んだのは、まさかのAEDだった。二十九万八千円の箱に、その場の全員が凍りつく。だがその夜、本当に人が倒れる——同じ「命を救う箱」を、いちばん軽やかに、いちばん個人的な物語に落とし込んだ一作です。
ジャンル:ラブコメ
次に書いているもの
AEDというテーマは、まだ底が見えていません。今、頭の中にあるものを少しだけ。
AEDが、その人の過去の善行・悪行まで解析してから、助けるかどうかを決める話。
命の重さを機械が判定していいのか、という一番危ういところに踏み込むつもりです。
売れない漫才師が、AEDを不適切な笑いのネタにしてプチバズりする話。
炎上スレスレの笑いから始まって、その本人が実際にAEDを使う場面に立ち会うことになる。そこから、正しくAEDを広めるための「対策AED漫才」を作り上げていく——という、ちょっと自分でも新しい挑戦です。
どちらも、まだタイトルすら決まっていません。書き上がり次第、この記事にも追記していきます。
AEDは医療機器ですが、物語の入口でもあります。SFにも、ミステリーにも、恋愛にも、コメディにも、まだ描かれていない切り口が無数にあります。これからも「AEDでは誰もやっていない」を、一つずつ形にしていきます。
AEDという一つのテーマだけでも、まだ描かれていない物語が数えきれないほどあります。
次は、どんな形で「命を救う」を物語にできるだろう。
そんなことを考えながら、これからも書き続けていきます。
一つのテーマを、ここまで違う物語へ広げられることも、創作の強みだと思っています。
