【Log.6-03】ストーカー幽霊は転生しても諦めない
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~変人先輩と巻き込まれ俺の、受難な日々~
BLラブコメ×オカルト / 3話完結
真堂と侍の激闘の末、明らかになった衝撃の事実。数百年の時を超え、姿を変えて悠斗を追い続ける「輪廻転生ストーカー」への対抗策は、まさかの『部活動への勧誘』だった!?
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第3章:転生しまくるストーカー
翌日。怪奇同好会部室。
俺たち3人は、深刻な顔で机を囲んでいた。部屋の四隅には盛り塩が置かれ、結界もバッチリだ。
「……全く問題ない」
真白先輩は、顔中に絆創膏を貼った状態で言った。
「その顔で言います? ボコボコじゃないですか」
「悠斗を守る名誉の負傷だ。……勲章と言え」
「それより」
詩音が冷めた紅茶を啜りながら切り出した。
「あの幽霊、ただの侍じゃないわね」
「どういうことだ」
「会長、気づかなかった? 昨夜は新撰組だったけど……私、以前も見かけたことがあるのよ。ある時は特攻隊の軍服。ある時は忍者の装束。共通しているのは『20歳前後のイケメン』で『悠斗くんに執着している』こと」
俺はぞっとした。
「コスプレ幽霊ですか?」
「違うわ。……『輪廻転生』って信じる?」
詩音の言葉に、先輩が眉をひそめた。
「輪廻転生? まさか、その男が時代を超えて悠斗を追いかけていると言うのか?」
「おそらくね。見た目は違うけど、魂の波長は同じだった。彼は生まれ変わるたびに悠斗くん(の魂)を探し出し、結ばれようとして……そのたびに死に別れてきた怨念の集合体かもしれない」
「何それ怖い! ロマンチック通り越してホラーだよ!」
「怨念深ッ! 俺ですら引くレベルだぞ」
先輩もドン引きしている。お前が言うなと言いたいが、今回ばかりは同意だ。
数百年にわたるストーカー。逃げ場がないじゃないか。
「どうすんのこれ? 祓えるの?」
「力技じゃ無理ね。昨日の戦いぶりを見ても、執着心が強すぎて成仏させるのは困難よ」
「その前に俺が殺されるか、悠斗が連れ去られるかだな」
先輩は悔しそうに拳を握りしめた。
だが、詩音は不敵に笑った。
「落ち着いて。力で勝てないなら、搦(から)め手で行くしかないわ。……作戦があるの」
***
その夜。
再び俺たちは、神社の離れで幽霊を待ち構えていた。
ただし、今回は少し様子が違う。
深夜。冷気が漂い、奴が現れる。
「我が愛しの者よ。迎えに来たぞ……さあ、共に黄泉の国へ……」
「残念ね。思い通りにはいかないわよ」
詩音が立ち塞がる。
そして真白先輩は、ふふんと鼻で笑い、自分の左腕を掲げてみせた。
そこには、赤と白の組紐でガチガチに繋がれた、俺の右手があった。
「どうだ。この『物理的』かつ『霊的』な手錠結界は崩せまい」
「……なぜ、再びこんな目に……」
俺は涙目だ。これじゃトイレも行けない。
先輩は幽霊に向かって、子供のようにあっかんべーをした。
「お前は、俺と悠斗が一緒に風呂に入ろうが、トイレに行こうが、指を咥えて見ているだけだ! 残念だったな!」
「くっ……! なんたる卑怯な策略……! 貴様、恥を知れ!」
「愛の前では恥などない!」
幽霊が地団駄を踏む。そこへ、詩音が塩を一掴み持って前に出た。
「ちょっとアンタ。一方的に『運命の人』とか言って連れて行くの、コンプラ的にどうなの?」
「は? てんぷら?? ……拙者とこの者は、幾星霜(いくせいそう)を超えて結ばれる運命なのだ! 邪魔だてするなら斬り捨てる!」
幽霊が刀に手をかける。
しかし、詩音は動じない。
「だから、その『運命』が本当かどうか、証明しなさいって言ってるのよ」 「証明だと?」
「そう。いきなり連れて行かれても悠斗くんも迷惑なだけ。あなたが本当に彼を幸せにできる男なのか、まずは彼自身に見極めさせるべきじゃない?」
「む……確かに。合意なき駆け落ちは武士道に反するか……」
意外と話が通じた。武士のプライドがあるらしい。
詩音はここぞとばかりに畳み掛けた。
「そこで提案よ。あなた、この『怪奇同好会』に入りなさい」
「は?」
「怪奇同好会に入部して、私たちと一緒に活動しなさい。そうすれば悠斗くんの近くにいられるし、あなたの『愛』が本物か、悠斗くんも判断できるでしょ」
幽霊はきょとんとしていたが、やがて腕を組み、深く頷いた。
「……なるほど。敵の懐に入り込み、主君(悠斗)の信頼を得る……兵法としては理にかなっている」
「でしょ? 悪い話じゃないわ」
「はっ!しかし怪異など、拙者には興味な……」
躊躇する幽霊を遮って俺は叫んだ。
「俺は……その、真面目に部活動をする人じゃないと、男として見れないんで!」
「む、 勤勉な男が好みであったか。 ならば入部しよう!」
幽霊は一瞬たじろいだがすぐに承諾した。その瞬間、詩音はニヤリと笑い、ビシッと指を突きつけた。
「では、入部ということでOKね! ならば遵守してもらうわよ。 怪奇同好会鉄の掟・その1。部内恋愛禁止!」
「なっ……!?」
「入部した以上、部員同士の不純異性交遊(男同士含む)は禁止です。手出ししたら即除名(除霊)処分だから」
幽霊が愕然として膝をついた。
「なんたる……! 我が浪士組の『局中法度』よりも厳しい掟……!」
そして、隣では真白先輩も「ぐはっ!」と吐血していた。
「か、会長権限でそのルールは撤廃を……!」
「却下よ。例外なし!」
「オワタ……!」
俺は、組紐で繋がれたまま、深いため息をついた。
こうして、ストーカー気質の侍幽霊(新撰組)が、正式に怪奇同好会の新メンバーとして加わることになった。
俺の平穏な日常は、さらに遠のいたのだった。
(完)
▶︎次回、イケメン幽霊との最終決戦(バトル)が、まさかのラップ対決だった件!? Log.7 「イケメン幽霊と本気の決闘(バトル)してみた」全3話完結

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