④話 女は秘密を着飾って美しくなるbyベルモット 【これは、風俗を通して自分を赦す物語】 #お仕事小説部門#創作大賞2025
これまでのあらすじ
★“なんとなく”で応募した風俗に合格してしまい、流されるようにプロフィールを記入するゆゆ。その中でなりたい自分と現実の自分の乖離を感じる。
#これは風俗を通して自分を赦す物語
①話 向いてない仕事と、優しさで首を絞める人達
②話 待ち合わせは11時、ショッピングモールの前で
③話 魔法少女に変身したかったみたい

「一緒にガンガンお客さんとっていきましょうね」
おじさんはノリノリでそう言った。
励ましてくれてるし、優しくはあるんだよね。
それなのに上手に笑えない私は、昔居酒屋の席で言われたように、確かに“変”なのかもしれなかった。さっきの労働契約書がしまわれ、代わりに机の上には新しい書類が置かれた。
これは……サイトに載せるプロフィール?
☆プロフィール☆
名前
年齢
スリーサイズ
チャームポイント
前職
なんかさっきよりもマシな質問じゃない?
やっぱりあの質問はおじさんの趣味だったんじゃ……?
「ここ、書けばいいですか?」
「はい。嘘はついても良いんですけど突き通せる範囲でお願いします。ちなみに業界は初ですか?」
「はい」
「あ、やっぱり。初めてが好きなお客さん多いので人気でそうですね」
「あ、本当ですか?良かったです」
「ちなみに、なんで始めようと思ったんですか?」
「…………えっ?」
パッとおじさんを見る。
悪びれてない。ニコニコの笑顔が逆に怖かった。
夜職ってそんなことも聞くの?なんか暗黙の了解で、普通は聞かないものじゃない?
私は借りてきた猫みたいに萎縮して答えられなかった。店長は何も気がついてないかのように続けた。
「いつまでにいくら貯めたいとかありますか?」
「い、いえ、無いです。理由も特にないですし」
「そうですか。まぁご家族にバレないようにやりましょうね」
「………」
ーーご家族にバレないようにやりましょうね?
そんなの皆そうだよね。特にお母さんには、絶対に話せないな。
お節介なのか、デリカシーが無いのか。
どちらかは分からないけど、人が気にしてる事をズケズケ言って、罪悪感を煽る感じ。
……なんかヤダな。この人のこと苦手かも。
おじさんをちらりと盗み見ると、BGMに合わせて、下手くそな鼻歌を口ずさんでいた。
なんなんだ、この悪気の無さそうな顔……。
多分、いい人だけど、空気は読めないタイプなのかもなぁ。
私はすぐに落ち込んでしまうので、こういう人とは相性が悪い。
私は気晴らしのようにペンを走らせた。
けど、名前を書いたところで筆が止まる。
……うーん、なんて書けばいいのかな。
ゆゆちゃんはどうしたら売れるんだろう。悲しいことに、愛される自分がうまくイメージできない。
あれ、最後に彼氏がいたのは、いつだったっけ。
少し考えたあと、アニメのキャラクターのように“ゆゆちゃん”を思い浮かべてみた。
「ゆゆちゃんはピチピチ22歳。胸はちょっと大きなDカップ。チャームポイントはクリっとまぁるいおメメだよ♡前職は優しい保育士さんで、イジワルなことが好きな小悪魔さんなんだっ!みんな、ぜひゆゆちゃんに癒されに来て欲しいなっ♡」

なんて可愛い小悪魔ちゃんなの!
机上のゆゆちゃんが私に向かってウインクした。
妄想するのは結構楽しい。
私オタクだし、二次創作もするタイプだしね。
できたてホヤホヤの原稿を渡して、私はちょっと得意げになった。
どう?
可愛いでしょ?
ウチの“ゆゆちゃん”は。
だけどおじさんはみるみる呆れたような表情になって、口を開く前に何を言われるか分かってしまった。
「保育園の先生ですかぁ。まぁポイですけどね。ちなみに子供をお世話したことってあります?この設定って深堀されても大丈夫そうですか?」
「……」
「嘘ってバレるとその瞬間に、お客さんに安っぽく見られますよ」
「……大丈夫です」
「うーんそうですか。まぁでも年齢は僕も若く書いた方がいいと思ってたので同意見です。ははは」
なんだとコイツ。要らないことを言われたんだが。
「……」
書き直そうかなぁ、とペンを回しながら考えるけど、やっぱり自分に自信が持てなかった。
「これでお願いします」
私が言うと、おじさんはちょっと微妙な顔をした。だけどそれ以上は何も言わなかった。
次はホームページに載せる写真を撮るらしい。おじさんの支度を待つ間、BGMがアップテンポの曲に切り替わる。
……あ、この曲も知ってる。
普段あまり音楽は聴かないのに、やけに耳なじみのあるメロディばかり流れてくる。たぶん、私が小学生の頃に流行っていたアニメの主題歌とかなんだろうな。
そんなことを考えていたら、ふと昔好きだったアニメのワンシーンが頭に浮かんだ。
“オンナは、秘密を着飾って美しくなる”――そう言っていたのは、名探偵コナンに出てくる金髪の女優だった。
黒の組織の彼女は、秘密をアクセサリーみたいにつけていく。
私はどうだろう。
いくつも重ねた嘘のキラキラで、本当に“綺麗”になれてるのかな。
……私も綺麗に、なりたいなぁ。
「ゆゆさん、こっちに来てください」
「は、はい」
おじさんに促され、私は事務所の窓際に移動した。カーテン越しに斜光が射し、まだ昼間なことに気がつく。
BGMで気が付かなかったけど、奥の部屋で話し声が聞こえた。
____あれ、もう女の子たち、出勤してるんだ。
少しどんな子か気になったけど、おじさんに急かされて顔を見ることはできなかった。
仲良くなれたらいいなぁ。と、人見知りの私にしてはらしくないことを考えたのが不思議だった。
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読んでくださりありがとうございます(* .ˬ.)
よかったら、感じたことや思ったこと、どんな小さなことでもコメントで聞かせてくれたら嬉しいです(*ˊ˘ˋ*)
読みやすいように、過去の回も挿絵を新しく入れてみたり、あらすじを入れてみたりと考えながらやっているのですが、どういうのが読みやすいかのアドバイスも頂けたら嬉しいです(⌯'ᵕ'⌯)´-
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【お詫びと次回の更新】
🍀前回の予告で【お店の女の子が登場する予定】と書いたのですがあまり登場させられず、すみません🙇🏻♀️
🍀次回はちゃんと女の子が出てきます!
5話目でもっとガッツリ出て、6話目で初めてのお客さんになりますのでぜひ覗いて頂けると嬉しいです!
🍀次回の4話は日曜日の17時頃投稿予定となりますのでよろしくお願いします
次のお話はこちらになります👇
前回の投稿はこちらになります!👇
ご興味ありましたらぜひ!
