見出し画像

Jリーグスタジアム問題⑥なぜ秋田市は「志が低い」と受け取られたのか|ブラウブリッツ秋田の問題とJリーグ側の立ち位置について

「地方だから」は免罪符なのか――秋田炎上で誰も触れない集客という現実

「またJリーグが地方に無理を押し付けている」
「税金を使わせたいだけではないのか」
秋田市市長とブラウブリッツ秋田による新スタジアム問題は、今や是非論を超え、感情が先に走る“炎上フェーズ”に入っている。

ただ、この問題を
Jリーグが悪い/秋田市が正しい
という単純な構図にしてしまうと、見えなくなる論点があるので、どちら側の意見を客観的に見たうえで今後どうしていくと良いかを書いていきます。


Jリーグクラブは「文化」である前に「企業」

まず前提として、Jリーグクラブは1つの企業です、公共施設や非営利団体ではありません。

地域密着や夢、スポーツ文化という言葉は大切だが、
それ以前にプロスポーツ事業として成立させる責任がある。

にもかかわらず、今回の議論では
「今、どれだけ人を集められているのか」
という最も重要な視点が、ほとんど語られていない。

  • 現時点で平均1万人も集められていない

  • それでも新スタジアムが必要だと主張する

  • そして税金での協力を求める

企業として見た場合、順序が逆になっている。
一企業が先にやるべきことは黒字経営かつ集客です。
収益が見込めない企業に税金投入も銀行からの融資もできないのは一般的なことです。 


「地方だから」「Jリーグの文化」は説明であって、免罪符ではない

地方には地方の制約がある。
人口減少、少子高齢化、豪雪地帯という条件は無視できない。

ただし
「地方だから集客できない」
「地方だから行政が助けるべき」

これを前提にしてしまった瞬間、
クラブ側の経営努力や戦略の話は消えてしまう。

地方でも、結果を出しているクラブは存在しているため、経営努力ができないというのは都合よすぎなのです。


成功例としての V・ファーレン長崎

今回の議論で、最も分かりやすい反証が今年J1リーグに昇格した
V・ファーレン長崎です。

  • 九州・長崎という地方都市

  • 自前で新スタジアムを建設

  • 駅近・街中立地

  • J1昇格

  • 平均観客動員 約15,000人(2025年シーズン)

これは
「地方だから無理」という主張が成立しないことを示している。
(雪が降らないというアドバンテージはありますが)

長崎は
「スタジアムがあれば人が来る」
という考え方をしていない。

  • 親会社・スポンサーの覚悟

  • 長期視点での経営判断

  • 街づくりと一体化した設計

  • 勝敗以外の“行く理由”の創出

これらを先に積み上げた結果として、スタジアムが成立している。


ブラウブリッツ秋田に本当に必要なもの

秋田の問題は、スタジアムの規模そのものではないと個人的に思っている。

このクラブに情熱を注ぎたいと思えるスポンサーがいるのか
民間としてどこまで覚悟を示せているのか

そこが外から見えにくいことが、最大の課題だ。

税金の話をする前に

  • 民間でどこまで背負うのか

  • どうやって1万人を超える集客を実現するのか

  • 数年後の数字をどう描いているのか

それが示されなければ、行政も県民も納得しない。
企画書と稼働率からの損益分岐点を示す努力はしているのか。
そもそもサッカー専用スタジアムとなると天然芝の保護のため、一般人が利用できないので、どう納得させるのか。

上記で挙げたv・ファーレン長崎しかり親会社のスポンサーが変わったことでJ1常連となり、昨年天皇杯を優勝したFC町田ゼルビアと事例がでた以上、できないという前にやるべきことがあると伝えることができる。


Jリーグ側が一番まずかった点

今回、事態を悪化させたのは
Jリーグ側の「立場を誤認した発言」でした。

Jリーグは本来

  • クラブと自治体の仲介役

  • 税金協力を“お願いする側”

その立場であるにもかかわらず、

「J1なら15,000人が当たり前」
「1万人規模のスタジアムではJ1を目指さないのと同じ」
「志が低い」

そう受け取られかねない言葉が出てしまっているため、当然切り抜きされネットで叩かれている状態です。

ライセンスの関係で、15,000人を基準にしている以上、ここで特例を出してしまうと、過去何とかして基準をクリアしたクラブから当然批判されます。
ウチはダメだったのになんであのクラブだけOKなんだと声が間違いなく挙がってきます。

また今後、特例が出たからウチもいいでしょとごねるクラブも出かねないので、基準を下げるわけにもいかないが、もう少し寄り添う形はできたはず。

秋田という土地で
人口減少・豪雪・高齢化、インフラの不便さと向き合いながら
1万人規模でも前に進もうとすること自体、十分に志は高い

基準の説明のつもりでも、
努力や誇りを否定されたように聞こえた時点で、発信としては失敗だったと個人的に思います。


メディアの切り取りが、対立を増幅させた

さらに問題を複雑にしたのが、ネットメディアの切り取りだ。

秋田市は全文を公開しているが、
ネット記事では強い言葉だけが抜き出され、
「知事 vs Jリーグ」という分かりやすい対立構図が作られた。

PVを稼ぐには有効だが、
議論としては歪む。
従来あるメディア(新聞、TV、ラジオ)がオールドメディアと呼ばれ、ネットに負けつつあるので、以前以上に誇張したタイトルでクリックしてもらいやすいようにしている。

ただ正直あれだけ偏向報道をやらかしているオールドメディアの情報は、鵜呑みにしている人がいたら黄信号、注意が必要です。

今回の問題は
誰かを叩いて終わる話ではないからです。


スタジアムは「原因」ではなく「結果」

結局、この問題の本質はここにある。

スタジアムがあるから人が来るのではない。
人が来る設計と覚悟があるから、スタジアムが成立する。

地方に夢を語るなら、
まず現実・数字・そして敬意を共有する必要がある。

あなたが「志が低い」と言われた時、
それは本当に努力が足りなかったからだろうか。

それとも
条件も覚悟も無視された言葉だっただろうか。

秋田県の新スタジアム問題は、
地方スポーツの未来そのものを映す鏡なのかもしれない。

最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆の励みになりますので、フォロー、スキ、コメントお願いいたします。
ではまた。

【関連シリーズ記事】
シリーズ化しました。ぜひ読んでいただければ幸いです。

【ライター紹介】


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集