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【連載小説】LOVERS #14 即興を引き立てる最高の演出



前回のお話(13話):

智篤ともあつとセナに自らの考え――完璧を捨て、人間の手で、今しか表現できない、その場限りの演奏をする――を話したことで勢いづいたリオンは、プロデューサーのショータにも積極的にプレゼンする。しかしショータはリオンの、AI生成物を全否定するような発言に難色を示す。それどころか、AIを使ってリオンの即興演奏を演出する考えがあるとも語る。自分の演奏に自信があるリオンは、さくらと共に街に出、道行く人々に即興演奏を披露して振り向かせようと試みるが、失敗に終わる。

若さゆえ、皮肉にも、自らが否定した「押しつけるような演奏」をしたリオン。さくらは、そんな彼をアトリエに招く。それは彼女がリオンを心から信頼した証でもあった。さくらは、リオンがどんな場所でも安定して世界観を表現するための案として、あらかじめ心の情景を絵に起こしておくのはどうかと提案する。

それを聞いたリオンは、電子鍵盤キーボードをアトリエに持ち込み、そこでさくらと即興で作品を生み出す。リラックスした状態のリオンが奏でるピアノを聴きながら、さくらはキャンバスにその情景を描き出していく。

リオンの方も、無心になってピアノが弾けることに喜びを感じると同時に、最大の理解者であるさくらの笑顔を見るために、これからもピアノを弾こうと胸に誓うのだった。


本編:

35.<智篤>

 リオンとセナの会話を、二階のベランダで静かに聞いていた。

(押しつける音楽ではなく、想像の余地を残した音楽、か……。)

 ここ数年の僕は、腐りきったこの世界を良くしたいとの思いで音楽活動をしてきた。正しいのは自分で、周りはみんな間違っている、だから僕らの音楽で世直しがしたいんだ、と。

 セナと付き合ううちに、その思いはいくらか和らぎ、平和的な側面を打ち出した音楽を作りたいとの思いに変わってはいる。だが、根底にあるのはやはり、僕らの音楽を聴かせたい、聴いてくれと言う強い願望。しかしそのこだわりが、セナと分かり合えない根本要因にもなっている。

 所詮、僕の美学は誰にも理解できない……。だけど、それでも貫き通すのが男ってもんだろう? ……そう、思っていた。

 しかし、今二人の会話を耳にして、それでは何の進歩もない、ただの頑固な老人で終わってしまうのではないかという思いが、突如として湧き上がってきた。

 ――そうさ、こだわりってのは、ある種の信念とも言えるが、言い方を変えれば成長したくない、変わりたくないと宣言しているも同義。そっちの方が格好悪いと、僕は思うけどね。

(またお前か……。)
 頭の中に聞こえてきた声にうんざりしつつも、今日はその声と対話してみようと思った。

(未完成、不完全……。それのどこが美しいってんだ? 分かるなら教えてくれよ。)

 ――そう問うている君自身が既に一つの「美」なんだよ。この意味が分かるか? 不完全の美を知らない君自体が「不完全」。だが、それを認めたとき、本当の美しさが何かを知ることが出来る。リオンが言いたかったのは、そういうことさ。

(無知である僕に「美」を見いだす、ということか……?)

 ――その通り。人は、足りないからこそ想像・創造できる。それだけの能力を持っている。本来はね。しかし、現代人はその空白、余白、不足に耐えられず、なんでもいいから埋めようと必死になっている。それを叶えてくれるのがAI生成物。だから人々は夢中になっているのさ。リオンも言っていたが、そんな現代人に君の理想を押しつけようとしたって無駄だと分かるだろう?

(じゃあ、どうすればいい……?)

 ――これもまた、リオンが言っていたじゃないか。即興演奏だ、と。もちろん、それをしたからって、人々がすぐに振り向く保証はどこにもない。若いリオンの発想がどこまで通用するか、それは僕にも分からない。でも、彼の新しい視点と挑戦は応援する価値があると思わないか?

(…………。)

 ――リオンはこうも言っていた。今の習熟レベルでしか表現できないもの、それ自体が芸術作品として価値がある、と。セナは、今持てる技術の全てを注ぎ、キーボーディストとしてバンドの役に立とうとしている。それは一見、君のためにしているようでいて、実は彼女自身のためでもある。君と違って彼女は心から、双方の成長を望んでいるのさ。もしここで君が成長を拒めば、人間ひととして終わってると言わざるを得ない。僕だけでなく、誰でもそう言うだろう。

(僕だけの美学に固執することは停滞だ……。そう言いたいのか?)

 ――これだけ説明してもまだ理解できないってのか? ……だったら、最も身近で、最も頼れる相棒にも尋ねてみたらいい。僕の言葉は信じられなくても、彼の言葉なら信じられるだろう?

 頭の中の声が言い終わると同時に、後ろから肩を叩かれた。振り向くとそこには拓海が立っていた。

『俺は、セナが不憫で仕方がないよ。あんなにもお前を想っているのに……』

 拓海は下を指さしたあとで手話を使った。庭にはまだ、セナとリオンがいる。万が一、会話が聞かれては困るので、僕も、つたない手話を使って返す。

『拓海まで、セナと僕とは肉体関係を持つべきだというのか? それは音楽より美しいのか? 教えてくれよ』

『……確かに、音楽は崇高なものだ。でもそれは、人と心を交わしたときに、より高尚なものになる。恋人と、心と体、そして音楽を共鳴させたときに何が起こるか、分かるか?……』

『何が起こる……? 早く教えろ……!』

『簡単に言えば、奇跡が起こる。詳細に語るなら、個という枠を超え、より高い次元に向かうことが可能になる。そこは、一人では決してたどり着くことの出来ない場所なんだよ。……なぁ、お前はもう、ひとりで出来ることは充分やっただろう? これ以上、何を追い求める? せっかく若い子がお前を慕ってくれてんだ。これからは、ふたりでしか辿り着けない場所を目指したっていいんじゃねえの?』

『ふたりでしか辿り着けない場所……』

『リオンがなぜ、あんなふうに急成長できてると思う? 分かってると思うが、それは、さくらがいるからだ。二人は、互いに刺激し合うことでどんどん成長してってる。もしお前が、あの二人のような関係を羨んでいるなら、身体が云々うんぬんとか、精神性がどうのとか、そんなのはとりあえず置いといて、まずはセナの涙ぐましい努力を買ってやれ。先々のことはそのあと考えたって充分、間に合うだろう? 喉を患って死にかけてた時の俺と違って、健康なお前にはまだ熟考する時間が残されているんだから』

『…………』
 拓海に説教され、唐突に思い出したのはユージンに言われた言葉――愛する人ひとり、笑顔に出来ない男が、世界平和を目指せるはずない――だった。

「幸せは二人で築いていくもの、か……」
 思わず、ぽつりと呟く。これもユージンに言われた言葉だ。

 手話を使うのに疲れ、声に出して言う。

「……そういえば、ここでの三人暮らしに慣れきってしまったこと、そして君がすっかり元氣になったことで綺麗さっぱり忘れていたけど、数年前に誓ったんだったな。僕らは、ひとりでも二人でもなく、三人で世界征服するんだ、って」

『そうさ。その台詞を言ったのは、ほかでもない、お前だぜ? 俺のいない世界で世界征服を果たしても意味がない、ってな。だから必死になって俺を救おうとしてくれたんじゃなかった? 歌まで歌ってくれてさ。その想いに感銘を受けたからこそ、俺だって死の淵から舞い戻ったわけだし』

「そうだったかもしれない」

「そうだよ。一人きりじゃ、バンドだって組めやしない。世界征服も成し得ない。だから俺たちは三人で力を合わせようと誓ったんだ。それは、今お前が悩んでいる問題と全く同じだよ。一人より、二人。二人より三人、だよ』

「……そうか。やっと、腑に落ちた」

 音村きょうだいも、拓海も、そして内なる僕も、多分ずっと同じことを説いていた。だけど、「若者の言葉」だけ受け容れられなかったのは、年寄りである僕の、つまらない意地。それだけだったように思われた。

「なぁ、拓海。こんなどうしようもない僕でも成し得るだろうか。まだ、理想の世界に変える力は残されているだろうか……」

『馬鹿野郎。順番が違えんだよ。未熟だろうが不完全だろうが、真っ先にお前が成すべきは、セナを笑顔にすること。それが出来たら、勝手に理想の世界に変わる』

「あっはは……。そうか。そういう、順番か」
 見える世界が急にひっくり返ったような氣がした。
「ありがとう、相棒。やっと、自分のやるべきことが分かった。次にセナと会ったら、早速実践してみるよ」

『おう。お前の前途を祝福して、この歌詞を贈るぜ。……今日の夜空にさよなら。主役は君、全力で笑おう。夢を描こう、最高のストーリー。君の世界を作るのは君。世界は心で変わってくから』

 それは、サザンクロスを再結成してすぐ、拓海が作詞作曲した「マイライフ」の歌詞だった。


◇◇◇


 数日後。ゆうび奏社で僕とセナはいつも通り、仕事仲間として顔を合わせた。

「おはよう、セナ。話があるんだ。ちょっとだけ、時間をくれないか?」
 氣持ちが変わってしまう前に……。そう思ってすぐに声を掛けた。

「わかった」
 どんな顔をされるかと心配もしたが、セナは躊躇うことなく応じてくれた。



 メンバーが打ち合わせの支度をしている間、僕らは上の階にある音楽スタジオに向かった。そこでなら、二人きりで話せる。

「話って、なに?」
 セナは凜とした態度で僕と向き合った。そんな彼女に敬意を払うように、僕も正対する。

「……今日から僕も、君と一緒に練習をする。不完全の美とやらを、僕も目指してみようと思う」




36.<セナ>

 話があると言われたときには正直、ドキッとした。もしかしたら、今度こそ別れ話かもしれない、という思いが一瞬、よぎったからだ。しかし、その不安はすぐに捨てた。なぜならアタシには、兄さまの「カチカチの頭を柔らかくする」という命題があるからだ。

 どんな話でもしっかり受け止めようと心に決め、誘いに応じた。だが予想に反し、兄さまは、自身も不完全の美を追究したいと言った。

(ひょっとして、この前のリオンの言葉と演奏が影響したのかな……?)

 アタシも随分励まされたが、兄さまにも変化が現れたのだとしたらこんなに嬉しいことはない。しかし、感じたままを顔や言葉に出すことはしない。ここは冷静に、兄さまの心情を探る。

「なぜ、急にそんなことを……? 兄さまもリオンと同じく完璧主義じゃなかった?」

「……やっと、分かったんだ。僕が作り上げたいのは、単に人々が苦しみから解放された世界ではなく、一人ひとりが、ありのままの姿で笑いながら生きていける世界だって。そして、それを成し遂げるためには、セナ。まず、君を笑顔にしなきゃいけないんだって」

「兄さま……」

「僕はね……。今みたいに、多くの人が苦しんだり悲しんだり、死にたくなったりするような世界はすぐにでも変えなきゃいけないと、ずっと思っていたんだ。いや、今でもそう思ってる。でもね……。それを変えることにばかり目が行って、本当に大切なことを忘れてはいけないと、君たちきょうだいに教わったんだよ」

「アタシたちに……?」

「……苦しみや悲しみといった感情、けがみにくいものがなくなれば、『美』だけが残る。僕は、そういう世界を目指そうとしていた。でも、間違っていた。僕ら人間は、それらを含んでいるから美しい……。それらを知っているから真に笑える……。君たちの言葉を聞いて、そういう理解に至った」

 兄さまはそこまで言うと、アタシの手を握った。

「セナ。僕は今、原石の君が力強く輝く様を見て感動している。僕が磨くまでもなく、君はそのままでも充分美しい。だけど、もし君がもっと輝きたいと願うなら、僕は君をより美しくするために尽力する。僕自身の成長のためにも」

 握っていた手が離れ、背中に回った。力強く抱きしめられたアタシは、嬉しいはずなのになぜか大粒の涙を流していた。

「泣きたくなんかないのに……。兄さまの前ではいつも笑っていたいのに……」

「きっと、それが今のセナの感情の表し方なんだ。だから、泣きたいだけ泣けばいい。セナの泣き顔も、僕にとっては笑顔と同じくらい愛おしいのだから」

「……そんなこと言うなんて、兄さまじゃないみたい」

「……こんな台詞を言う僕は嫌いかな?」

「ううん。まるでラブソングを聴いているみたいですごく、嬉しい……」
 兄さまの胸に深く顔を埋める。

 その瞬間に、氣付く。アタシが求めていたのは、兄さまの身体ではなく、温かい言葉だったんだと……。ずっと愛し合いたいと願っていたはずなのに、その氣づきのあとでは自分でも驚くほどに身体の火照りとうずきが収まっていた。

「アタシも、兄さまと一緒に笑顔あふれる世界を作りたい。そのために、一緒にいたい。ううん、いさせてほしい」

 そんな世界を目指しているアタシたちだって、決して美しくないし、格好良くもない。だけど、そうやって藻掻き苦しみながら理想を追い求める、その過程が、その姿こそがきっと、最も人間的で、最も美しい。AIがどれほど分析を重ねても、この感覚は理解できないに違いない。

「もちろんさ。セナが一緒なら僕も嬉しい。……なぜだろう、あんなに見たくないと思っていた君のくしゃくしゃ、、、、、、な顔も、今日は愛おしく感じるよ」

 兄さまは、はにかみながらアタシの髪をなでた。その顔と言い回しに少しの違和感を覚え、慌てて顔を背ける。

「もしかして、マスカラ、落ちてる……?」

「あー、目の下は黒いかも……」

「やだぁ、恥ずかしぃっ……」

「はは……。そうやって恥じらう君もまた可愛らしい」

「…………!」
 急に何でも褒めてくれる兄さまに慣れず、ただただ赤面する。彼から離れるようにエレベーターの前まで行くと、いつからいたのか、プロデューサーのショータさんがニヤニヤしながら立っていた。

「どうやらこちらのお二人も、関係が改善したようですね。ならば話は早い」

「…………!」

「ショータ……。立ち聞きとは悪趣味だな」
 悲惨な顔のアタシをかばうように兄さまが進み出た。

「そんな趣味はありませんよ。ただ、用向きが出来たので上がってきただけです」

「用向き?」

「ええ……」
 ショータさんはサングラス越しにギラリとこちらを睨んだ。

「……まもなく下にいる皆さんが来ます。詳しい話はここでしましょう」



 音楽スタジオに一同が会した。崩れたメイクが氣になったけれど、もうどうでもいいやと開き直り、そのままの顔で話し合いに臨む。

 顔を見られているのが分かった。でも、誰もそこには触れずに話し合いが始まる。

「さあ、ショータさん。あなたの奇策を聞かせてちょうだい。一体、どんな面白いことを考えているというの?」

 レイさまが音頭を取ると、ショータさんは、リオンとさくらさんを手招きする。

「プロデューサーである自分に聴かせたい演奏、見せたい絵があると言ったね? 今からそれを披露してもらう。それぞれ、準備を」

 どうやらショータさんの言う「用向き」の発端はリオンとさくらさんにあるようだ。自分たちから演奏、描画を申し出ると言うことは、よほどの自信があるのだろう。

 さくらさんは、白いキャンバスを自身の目の前に、そしてピアノを弾くリオンの脇に、完成された大きな絵を一枚置いた。その絵は、これまで見てきたさくらさんのどの絵とも違っていた。それでいて、どこか懐かしい感じもする……。

(あの絵を置いた意味は、一体……?)

 考える間もなく、リオンのピアノ演奏が始まる。

 静かなイントロを聴いた瞬間に、リオンの心とシンクロしたのが分かった。

(あぁ、これは紛れもなくリオンの音……。)

 優しくて繊細で、だけど絶対に折れない芯を持っていて、鳥のように自由なリオンの性格を表すような旋律。それを、さくらさんの筆が見事に描き出していく。

(……そうか! ピアノの脇に置かれた絵は、リオンの心の情景そのもの。それが、リオンのピアノと合わさって荘厳さを増しているんだ!)

 音楽でも絵でもない、二人の魂が合わさって生み出された作品を見聞きしているような感覚。言葉には表すことの出来ない凄みが場を支配していくのが分かった。

 ただただ圧倒された。そのうちに演奏は終わり、さくらさんの絵を描く手も止まった。

「どうよ? おれたちの即興は」
 リオンが自信たっぷりな口調でショータさんに言った。

「リオンの才能が開花したと感じたよ。さくらさんがいい仕事をしてくれたのが分かった。こっちの絵は、リオンが即興演奏しやすいように心象を描き表したものという解釈で間違いないかな?」

「おっしゃるとおりです。ピアノ演奏に深みが出るように、私の想いや経験も筆に込めました」

「なるほど。どうりで落ち着いた雰囲氣が出てると思いましたよ。うん、確かに、良かった」

 そう言いながらもどこか納得していない様子だった。さくらさんもそれが氣になったらしい。

「あの……。何か問題が……?」

「確かに、リオンの技巧の高さを感じる素晴らしい演奏だった。でも、言ってしまえば、それだけ。現代人の心を掴むには弱すぎる」

「なんだよ、それだけって……!」
 噛みつくリオンをショータさんが鼻で笑う。

「まぁ、落ち着けよ。もう一度、弾いてもらえるか? 次は自分が、二人の即興に最高の演出をしてやるから」

「最高の演出……?」

「あぁ……」
 ショータさんがピアノを指し示した。さっさと弾けと言わんばかりに。リオンは渋々従い、再びピアノと向き合う。

 ショータさんは部屋の照明を落とすと、スタジオ内に用意してあった機材の前に座って何やら操作をしたあとで、リオンに弾くよう合図を出した。

「なんだかよくわかんないけど、まぁいい。よし、さくら。今度こそショータさんをあっと言わせてやろうぜ」

 意気込むリオンは、ピアノの前で数回深呼吸をした。精神統一ののち、鍵盤の上に指を置き、音を奏で始める。

 先ほどとは違う旋律が心地よく耳を癒やし始めたとき、それは突如として始まった。室内に薄紫色に輝く光の筋が現れ、部屋中を縦横無尽に動き始めたのだ。見ていたアタシたちは何が起きたか分からずに、ただただその光を見つめることしかできない。しかし少し経つと、それがリオンのピアノ演奏に合わせて変化しているのが分かった。そのうちに、パーカッションの演奏まで聞こえ始める。

(もしかして、これがショータさんの言っていた最高の演出、、、、、……?)

 暗い室内の奥に目を遣ると、表情のないショータさんがモニターのライトで浮かび上がっているのが見えた。彼は画面を見つめ、熱心に指先を動かしている。そのたびに室内を満たす光の色や形が変わり、幻想的な世界が――まるで、リオンの心象をリアルタイムで映し出したかのような世界が――創造された。

 先日、リオンはこう言っていた。絵画のような情景が浮かぶ音楽を聴かせ、魅せようと考えている、と。アタシはミュージシャンだから、その演奏からあの子の想いや世界観を感じることが出来る。だが、聴く側に想像力がなかった場合はどうだろう? きっと、それがどんなに素晴らしい演奏だったとしても、想いまでは受け取ってもらえないに違いない。

 それを補うのがこの、光と音の演出――。これならば、どんなに想像力がなくても奏者の世界観を直接目で見ることが出来る。うまくいけば、聴き手の想像力を刺激することだって可能かもしれない。

(これってもしかして、リオンが嫌悪感を示していたAIで作り出してる……? そうだとしたら……。こういう形でなら共演も全然ありじゃない……?)

 少なくともアタシは、ショータさんの演出にすっかり魅せられている。多分、みんなも。

(さすがは、敏腕音楽プロデューサー……。まさか、こんなことまでできるなんて。)
 心の声が聞こえたはずはないが、ショータさんがにやりと笑った氣がした。


続きはこちら(#15)から読めます

※1:見出し画像は、生成AIで作成したものを加工して使用しています。
※2:作中の曲は、SUNO AIで生成しています。


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