現役編集者が集めるnote|秀逸タイトル編 ①
はじめに|note記事を読んでもらうために
こんにちは、いつきです。
note公式によると、2025 年 2 月末時点で会員登録者数は、約 938 万人とされており、2024 年から2025 年の 1 年間で、投稿数は約 1100 万本にもなるそうです。したがって、1 日当たり 3 万本の記事が投稿されているということになります。
この現象、既視感あるなぁと思ったのですが、書店に並ぶ本、ひいては出版業界の現状と似てるんですよね。
本は物理的に紙である以上はアナログ媒体なので、昨今の電子化の波に押されて本の発行数は減少傾向にあります。それでも出版業界では年間約 7 万点、1 日当たり約 200 点が発行されています。
noteの投稿 1 つと本の発行 1 冊では、かかる費用や条件などが大きく違うので数字における比較はできません。伝えたい共通点はそこではなくて、
コンテンツが次から次へとあふれ出す一方で、
一つ一つのコンテンツが人の目にとどまる暇もなく流れていく
note投稿も本も、このような状況において、より多くの人に読んでもらうためには、差別化という工夫が必要です。
さらに言えば、一瞬でも目にとまる工夫が必要になってきます。
だから、本でいえば書名、noteでいえばタイトルが重要になってきます。
note内検索やトップページ、ジャンルからたくさんの記事が出てきますが、「この記事読んでみよう」と思うきっかけは、アイキャッチになる画像と、その下のタイトルがトリガーになることがほとんどだと思います。
タイトルって大事!
というわけで、noteの投稿を眺めながら、秀逸、独創的、インパクトがあると思ったタイトルをマガジンで集めています。
ここではマガジンで挙げた記事の紹介と感想を書かせていただきました。惹かれるタイトルの記事は、中身も興味深いものや面白いものが多いんですよね。
紹介したい記事はたくさんあるのですが、一つ一つ感想をつけていくため時間がかかっています。シリーズの第一弾ということで、今回はまず五つを紹介させてください。
▼ 記事紹介
スケジュール通りに動けないあなたは、才能があります
柴田晴香(旧こここん) さん|コーチング×漫画×イベント
タイトルの感想
普通なら『スケジュール通りに動けないあなたは、〇〇すればうまくいきます』になりがちなところを、「才能があります」で否定から肯定につなげて「え、どうして?」から読み手の興味を引きつける工夫を感じました。
「計画を立ててもうまく進められない人」は、世の中にたくさんいそうですが、そんな自分がイヤと思いながらも改善できず悩む人に刺さるタイトルだと思います。
記事の感想
「スケジュール通りにできない」ことを裏返せば、それは「ある才能」を持っているというお話で、うまくいかないときも考え方次第でポジティブに捉えられるんだよと優しく教えてくれています。そこは直したほうがいい、というアドバイスではなく、それでも大丈夫、と寄り添う語りに好感がもてる文章でした。
綿密に立てた旅行プランで行きたかった観光スポットが悪天候で閉鎖されていたとき、浮いた時間で別のところに行ってみたら美味しい食事にありつけたことを思い出しました。思いどおりにいかないときこそ、良い経験のチャンスなのかもしれないですね。
鍵を閉める音が、わたしの孤独を映した
つきの@会社辞めたい さん
タイトルの感想
小説の一節を思わせるエモいタイトル。読む前に思い出したことがあって、閑静な地域で一人暮らしを始めたときに、鍵を閉める音だけが響きわたって無音になると「あれ、自分以外の人いる??」と錯覚しかけたことがありました。
記事の感想
『静寂』を感じられる書き出しで、現実から離れた世界にいるように錯覚しそうなのですが、YoutubeやNetflixという用語でしっかりリアルで起きているということが認識できます。
人と話すことは思いのほかエネルギーを使うというところに共感できました。私も、メンタル弱モードのときに「あーぁ、一日中誰とも話さないで終えられないかな…」って考えていたことがありました。
つきのさんにとって、鍵を閉める音が外部との隔離を意味しているのですが、表現が端的ながらしっかり伝わってくるのは、心理描写が上手だからだと思いました。
また、キーワードになる「孤独」「音」「静けさ」と文中の改行と余白の使い方がしっかりかみ合っていて、読み手を引き込む形ができています。
「孤独が好き」とか「孤独キャラ」って、ちょっとカッコいいって思いません? 創作作品だとそれが味になることが多いのですが、現実の生身の人間ってそういう風にできていないんですよね。
この記事では、そういった側面もしっかり描かれています。感情の揺らぎが小さく静かでありながら「ほんとはそうじゃない」が伝わってきました。
完璧主義をゆるめる方法
カメ🐢さん|“流れが変わる”ヒントを届けるnote
タイトルの感想
個人的に「ゆるめる」って言葉が好きです。
校正作業のときによくやるんですが、文字間がが詰まっているものを空けたいときなどに「ユルメル」って指示することがあります。この脱力感ある指示表現、なんかよくないですか?
完璧主義の人は、字面からして「ゆるめる」ことに対する壁がとても高そうに思います。彼らの志向を「ゆるめる」方法、気になりました。
記事の感想
書き手のカメさん自身も完璧主義の傾向が強かったけど、それを変えたメソッドを教えてくれています。
『完璧主義』を否定はせず、その路線でも大丈夫だけど、自分を追い込まないためにコツを知っておくといいよと言ってくれているようです。具体的に例を挙げてわかりやすく説明してくれています。
私自身はそうではないのですが、編集の人間はこだわりが強い人が多い気がします。行動一つとっても「そんなところまでやる!?」、校正一つとっても「クソ細かっ!」と思うことが往々にしてあります。
完璧主義の一種なのかもしれませんが、ちょっと肩の力を抜いてもよいのでは…と思うことも少なくないです。彼らにも読んでみてほしい内容です。
こだわりを「武器にできる人」と「壁にしてしまう人」の違い
菅智晃 さん|実体験から仕事のヒントを得るnote
タイトルの感想
記事のタイトルそのまま、仕事をしていると普段から思うことがあったので、見た瞬間に「そうそう」となりました。個人的には「武器にできる人」と「壁にしてしまう人」は、自覚の有無で差がついて二極化していそうで、いい意味での個性になりえるし、孤立の原因にもなる要素かなと思います。
記事の感想
「こだわりが強くて」は言い訳になったり、自信によるものだったり、案外使い方が難しい言葉です。書き手の菅さんは、ビジネスの観点から、こだわりを強みにできる人と、そうでない人の違いをわかりやすく解説してくれています。
「武器にできる人」と「壁にしてしまう人」、両者の説明はなるほどと思うものばかりで、とりわけ『固執』になっている人で成果を出せてる人や信頼されてる人って少ないんじゃないかなぁと思いました。
また、なぜそういう考えになるんだろう? という疑問に、心理学の観点が織り込まれた説明があるので説得力があります。
方向性があまりよくない『こだわり』でも、良い方向にもっていく方法が書かれています。思うところがある人に刺さる記事だと思います。
「肉じゃがで俺が騙されると思うなよ」
sora予報 さん
タイトルの感想
衝撃的なタイトルと書き手のストレートな心情を示すアイキャッチが目を引きました。タイトルの「 」の使用で『誰かの発言』ということが読み取れるのも良かったです。
なぜかわれわれ(私だけ?)の頭に刷り込まれた「肉じゃがは愛情の証」みたいな謎理論から、「騙す」というパワーワードが合わさって破壊力があるタイトルに仕上がっています。
記事の感想
面白いと思ったのは、同棲している彼のために肉じゃがをつくったんじゃなくて、自分が食べたかったというところ。両者には、おそらく亜熱帯と南極くらいの温度差があったんじゃないかと推察します。
書き手が過去を回想しているお話で、最近たまたま肉じゃがをつくったら「あんなことあったな…」と思い出したのかなぁと推測しました。
知り合いの同棲中エピソードを聞いていると「ニート彼氏を養い続けて不満を口にするけどどこか幸せそうな人」、「浮気の証拠が挙がってるのに頑なに認めない彼氏」といった聞いている私はどこの昼ドラの話だろうと思うのですが、マジらしいので、つねに誰かを下に見ていないと自分を保てない人は、いるんでしょう。
今回は秀逸タイトル第一弾として、 五つの記事を紹介させていただきました。どれも興味深く、楽しみながら読ませていただきました。ありがとうございました。
ほかの記事にも目を通していただけたら嬉しいです!
