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103.錬金術

画像は以下のサイトから転載。


ロジャー・ベーコン

イブン・ガビーロール(一〇二一年ごろ~)の宇宙論は、アルベルトゥス・マグヌス(一二〇〇年ごろ~)、ロジャー・ベーコン(一二一四年~)、ラモン・リュイ(一二三二年ごろ~)のような十三世紀の神学者や錬金術師に影響を与えました。

イブン・ガビーロールおよびカバラの歴史については以下をつづきものとしてお読みください。

アルベルトゥス・マグヌスの著作は、当人の論理学、神学、植物学、地理学、天文学、占星術、鉱物学、錬金術、動物学、生理学、骨相学、正義、法律、友情、愛といったトピックに関する百科全書的な知識を示していました。

アルベルトゥス・マグヌス。ハンドサインでアピール。

この人は錬金術師として金や銀を生成しようとしたのですが、『鉱物書』によると、金や銀に似たものができるにすぎない、とのことです。

錬金術師たちは、「賢者の石」、「大いなる霊薬」、「大いなる魔力」、「赤いチンキ」を使えば、普通の金属を金に変えられると信じていました。

銀もまたつくり出せると信じていたのですが、銀の場合は赤チンキの代わりに白チンキを使いました。

ようするに安い金属を溶かしてさまざまな薬で染め、それを金や銀と呼んでいたのです。

ただしここで「錬金術師は全員詐欺師」と断ずるのは早計です。


イギリス人錬金術師の第一人者は、かの有名なロジャー・ベーコンです。

https://alchetron.com/Roger-Baconより転載。やはりハンドサインでアピール。

ベーコンはフランシスコ会修道士の哲学者、科学者で、オックスフォード大学の寄付者でもありました。

このベーコンは、自然現象を操った、悪魔を召喚した、未来を映す鏡を偽造した、話せる真鍮の頭部を彫刻した、などといった罪で告発されました。

金や銀の生成と同じく、これらもまたバカバカしい話です。天候の操作などできるはずがありません。

https://johndenugent.com/1-where-birds-gone-video-scary-worldwide-phenomenon-2-avoiding-your-next-life-dystopia/より転載。自然現象を操る高周波活性オーロラ調査プログラム。
https://johndenugent.com/1-where-birds-gone-video-scary-worldwide-phenomenon-2-avoiding-your-next-life-dystopia/より転載。
https://johndenugent.com/1-where-birds-gone-video-scary-worldwide-phenomenon-2-avoiding-your-next-life-dystopia/より転載。
https://www.aap.com.au/factcheck/aircraft-chemtrails-conspiracy-is-long-overdue-for-departure/より転載。日本でもおなじみの雲たち。
https://www.goodfreephotos.com/public-domain-images/hollywood-on-a-hill-above-los-angeles-california.jpg.phpより転載。未来を映す鏡。
https://mspoweruser.com/best-ai-voice-generator/より転載。話せる真鍮の頭部。

当時の多くの神秘主義者と同様、ベーコンは教会当局と対立し、結果一二七七年以降のある時期にフランシスコ会総長ジェローム・ダスコリ(のちの教皇ニコラウス四世)によって投獄され、その後十四年間にわたって自宅軟禁状態に置かれました。

そして進歩的な仲間たちが騒ぎ出す、というお決まりのパターンです。「なぜいけないんだ」と問われたら、「涜神行為だから」で終わりです。

教会の権威が大きければ大きいほど、頑固親父の「ダメなものはダメなんだ」が効力を発揮します。なので一緒にゲームを遊んでくれるような優しい教会にしなければなりません。

頑固親父が表向きだけでも役割を保ちつづけてくれていたら、アパルトヘイト、二度の大戦、ホロコーストなどは起きなかったでしょう。

ベーコンは、純正同胞会の百科全書的、神秘主義的な論考に大きな影響を受けていました。

またベーコンは、エジプト人だけでなく、タレス、ピュタゴラス、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどのギリシャ哲学者たちも、すべてユダヤ人から知恵を授かったと考えていました。

モーセの時代に生きたとされるヘルメスは、ユダヤの知恵を孫のヘルメス・トリスメギストスに伝えました。ヘルメス・トリスメギストスは、ユダヤとエジプトの知恵を融合させました。

という主張を証明するため、ベーコンは偽アリストテレス一派の『Secreta Secretorum(秘密の秘密)』を頻繁に引用しました。

偽(ぎ)なんとかという名前はよく出てきますが、なんとかという人の著作や業績がじつは別人だった、という場合に用いられます。ベーコンは『Secreta Secretorum』を真正な書物と信じていました。

『Secreta Secretorum』は、『Sirr al-Asrar(秘密の秘伝書)』としても知られています。十世紀以降に多くの異本が登場しました。

これは新プラトン主義、アラビアやヘブライの占星術、魔術、錬金術の伝承について、アリストテレスが弟子のアレクサンドロス大王に宛てた手紙とされています。

ですが十二世紀の『Sirr al-Asrar』の一つの版は、『セフェル・イェツィラー(形成の書)』を参考にしていました。後出しジャンケンです。

ベーコン自身は、『セフェル・イェツィラー』の数秘術とメルカバの技法に精通していました。

ドゥンス・スコトゥス

『Secreta Secretorum』の信憑性は、ベーコンと同様にカバラ主義や新プラトン主義のユダヤ哲学者を支持していたヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(一二六六年~)によっても信じられていました。

https://www.wikiart.org/en/justus-van-gent/john-duns-scotus-1476より転載。なぜそのような手を…。

スコトゥスは一般に、トマス・アクィナスウィリアム・オブ・オッカムとともに、中世盛期の西ヨーロッパにおける三大哲学者、神学者の一人と考えられています。

もちろんここでいう神学はキリスト教神学ですが、学ぶならやはりユダヤ人です。

スコトゥスはヘブライ語とアラビア語の学問を求めて北方の故郷をあとにし、パリでユダヤ人指導者に師事しました。

ユダヤの数学的、神秘的な学問に深く傾倒したスコトゥスは、『De Rerum Principio(万物の原理について)』において、トマス・アクィナスとは正反対の立場としてアヴィケブロン(イブン・ガビーロール)の見解に立ち返りたいと宣言し、その著書は逆にユダヤ哲学思想に影響を与えました。

その哲学において展開した「living stones(生ける石)」の理論は、ユダヤ人の師匠たちの建築的神秘主義に依拠していました。

一二九七年、スコトゥスはラモン・リュイと出会いました。

ラモン・リュイ

リュイは「無原罪の御宿り」という表現をはじめて用いた人です。

https://www.laaventuradelahistoria.es/ramon-llull-obsesion-por-la-cruzadaより転載。その手はなんの意味が…。

この表現はフランシスコ会の神学者たちの一部から好意的な支持を得たあと、スコトゥス自身の教義に影響を与えました。

無原罪の御宿りは、ウィキペディアによると、「聖母マリアが神の恵みの特別なはからいによって原罪の汚れと穢れを存在のはじめから一切受けていなかったとするカトリック教会における教義」です。

このリュイは「Doctor Illuminatus(イルミナトゥス博士、見神博士)」と呼ばれていました。またウィキペディアによると、ほかにも夢想家、ユートピアン(理想主義者)、狂気の人(狂気に満ちた人)、カタルーニャ文学の祖、魔術師などの二つ名を与えられていました。

イルミナトゥスは、いうまでもなくイルミナティに通じます。一一五四年ごろに生まれたイスラムの哲学者スフラワルディーの哲学も「東方照明学」と呼ばれ、これに奉じる人は「照明学派(Illuminationist)」という一派を形成しました。

この「照明」は、神と不可分です。哲学者といえば超理性的というイメージがありますが、真の哲学というのはほかの権威の著作や自身の研究によってのみ導き出されるものではなく、神の観想や幻視や夢などによる要素も含まれていなければなりません。

明晰な頭脳と知識、神的で超自然的な啓示、この両輪が伴ってはじめて偉大な学者と呼ばれるのです。

もちろん異端の領域において、です。

リュイはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の文化が混在するマヨルカ島で生まれました。そのためかスーフィズムや純正同胞会の教えと手法に精通していました。

当人はそれらについて明確に否定していましたが、中世とルネサンス期には錬金術師として幅広い評判を得ていました。

リュイの両親は、かつてムワッヒド朝が支配していたマヨルカ島を植民地化するためにやってきました。

リュイ自身も家族を持ちましたが、のちに自ら「放蕩な吟遊詩人の生活」と呼ぶ生活を送りはじめました。

一二六三年、リュイは一連の幻視を体験し、自伝『Vita coaetane(日常生活)』でこのように報告しました。

ラモン(自分のこと)はまだ若い男であり、マヨルカ王国の執事長を務めていた。むなしい歌や詩を制作し、不道徳にふけっていた。ある夜、かれはベッドの横にすわり、愚かな愛を与えた女に対して低俗な歌を書いていた。かれが歌を書きはじめたとき、十字架にかけられたわれらの主イエス・キリストが右手に見え、まるで空中に浮遊しているかのようだった。

https://en.wikipedia.org/wiki/Ramon_Llull

この幻は合計五回訪れました。そしてリュイは以前の生活を捨て、神に仕える人生を歩むことになります。

短い巡礼のあとマヨルカ島に戻り、そこでアラビア語を学ぶためにイスラム教徒の奴隷を買い取りました。

そして一二七一年から一二七四年にかけて、リュイは最初の著作を執筆しました。イスラムの思想家アル=ガザーリーの理論の概要、および黙想を通じて真実を見つけるための手引書『神の観想についての書』です。

アル=ガザーリーについては以前お伝えしています。

リュイはイスラム教徒やキリスト教異端者を改宗させるため、自分の著作とともにアラビア語やほかの言語の学習を推奨しました。

また将来の宣教師を養成するため、ヨーロッパ各地を巡って教皇や貴族たちと会談し、学院の設立を試みました。

一二七六年、マヨルカ島のバルデモーサのミラマールに、フランシスコ会の宣教師のための語学学校が設立されました。これはのちのマヨルカ王ジャウメ二世の資金提供によるものでした。

北アフリカへの宣教旅行のあと、一三一一年のヴィエンヌ公会議では、リュイの提唱によって、アラビア語、ヘブライ語、カルデア語(アラム語)の三言語を、パリ大学、ローマ大学、ボローニャ大学、サラマンカ大学、オックスフォード大学の五大学で教えることが認められました。

のちの宣教師たちの所業については、みなさんご承知のとおりです。

アブラハム・アブラフィア

ルーマニア生まれのイスラエル人歴史家でユダヤ神秘主義哲学者のモーシェ・イデルによると、リュイは「預言的カバラ」派の創始者アブラハム・アブラフィア(一二四〇年~)によって教えられ、『セフェル・イェツィラー』に関する現代のヘブライ語の論考に記述されているような、恍惚的なカバラ技術を利用することができた、と論じています。

アブラフィアの最初の旅は一二六〇年で、目的はイスラエルの地で伝説の川サンバティオン川と失われた十氏族を探すことでした。

サンバティオン川、サバト川(安息日川)については、以下の記事でお伝えしています。

一二八〇年、アブラフィアはロシュ・ハシャナ(ユダヤ暦の新年祭)の前日にローマに向かいました。教皇ニコラウス三世をユダヤ教に改宗させるためです。

これを聞いた教皇は、アブラフィアがスリアーノに到着次第「狂信者を焼き殺せ」と命じました。気持ちはわかります。怖すぎます。

アブラフィアは脅迫を受けながらもスリアーノに向かいました。そして到着したアブラフィアは、前夜に教皇が脳卒中で死んだと知りました。

ローマに戻るとフランシスコ会によって投獄されましたが、四週間後に釈放されました。

その後アブラフィアは、シチリアで預言者兼メシアとしてあらわれた、と伝えられています。

このアブラフィアは、自分の思想体系を「Kabbalah of names(名のカバラ)」と表現しました。

ここでいう「名」は、神聖な固有名詞、つまり魔術的な「力の名前」を指します。

アブラフィアは、瞑想の訓練のために文字の置換、組み合わせを用いました。

文字の置換と組み合わせは、特定の呼吸法、姿勢で行われ、やがて瞑想者は忘我の状態に入ります。

目的は文字を根源的な意味、神的な状態に戻すことで、一切の感覚的な事象から離れた、純粋な思考の調和的な運動となります。

置換の作業は修行によって、無意識的、直観的に行われるようになります。また二十二のアルファベットを、それぞれ肉体の各部位に配置して念じることも行われました。

文字置換と肉体の部位といえば、ゴーレムです。

アブラフィアのカバラ的置換法は、アルファベットの文字、とくにテトラグラマトンやアドナイ、エロヒムといった神の名を用いることを含んでいました。

別の技法にはゲマトリアがあり、これはヘブライ語の文字の数値的価値から言葉の意味を解釈する手法に基づいています。

ゲルショム・ショーレムが指摘したとおり、アブラハム・アブラフィアのカバラにおける呼吸法、神の名の反復、色彩瞑想などの魂の上昇を助けるための技法は、十三世紀にはすでに、インドのヨガやイスラム教スーフィズムの技法に顕著な類似性があることが知られていました。

https://www.betemunah.org/kabbalah-gershom-scholem.pdf

ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ

ラモン・リュイは、イスラム教のスーフィーやユダヤ教のカバリストと対話する一方、いわゆる「暗黒時代」最大のキリスト教哲学者ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ(八一五年ごろ~)の著作も研究していました。

https://gohighbrow.com/philosophy-of-johannes-scotus-eriugena/より転載

ちなみにこのスコトゥスは、有名なドゥンス・スコトゥスとは別人です。どちらもスコットランドの人なのでスコトゥスと呼ばれていました。

エリウゲナは、アレオパギテスのディオニュシオスによるとされる天使の階層に関する論文をギリシャ語からラテン語に翻訳したのですが、このディオニュシオスとされる人は、初期ユダヤ教グノーシス主義と新プラトン主義の概念を借用していました。

ほかにも告白者聖マクシモス、ニュッサの聖グレゴリオスらの著作を翻訳し、西洋の思想家たちに親しみやすいものとしました。

エリウゲナの主要な著作『自然区分論』では、新プラトン主義の流出説とキリスト教の創造の教義を調和させようとしていました。

流出説とは、万物は一者から流出したもの、とする説です。思い出されるのはやはりカバラです。

エリウゲナは、西洋の神秘主義者や十三世紀のスコラ学者たちに大きな影響を与えましたが、『自然区分論』は汎神論的だったので教会から非難を浴びました。

リュイは、エリウゲナの天使の階層をカバラのセフィーロートと融合させました。

https://archive.org/stream/freemasonry-mithras-golden-dawn-zoroastrian-hermeticism-secret-societies/Restoring the Temple of Vision_ Cabalistic Freemasonry and Stuart Culture ( PDFDrive.com )_djvu.txt

エリウゲナは、さまざまな階層のイルミネート化(啓発化、啓蒙化、光明化)を経て、修練者が天使化あるいは神格化され得ることを提唱しました。

この過程は、「ソロモンの神殿のポーチ(ポルティコ)への入場によって象徴される」とされました。

https://alchetron.com/Solomon's-Porchより転載。ヘロデ神殿(エルサレム第二神殿)とソロモンのポーチ。
https://alchetron.com/Solomon's-Porchより転載
https://alchetron.com/Solomon's-Porchより転載

当時のパリサイ派は神殿カルトでした。エルサレム神殿はイドマヤ人のヘロデ大王によって壮麗に生まれ変わり(第二神殿)、ユダヤの神秘宗教の象徴となりました。

神殿カルトとはなにか、神殿のなにが悪いのかが気になった方は、以下の記事に寄り道してみてください。かつて入学式や入社式に違和感を覚えた方には刺さるはずです。

数学と幾何学に魅了されたエリウゲナは、「ソロモン神殿の建設に関する神秘的な感覚」を発展させていきました。その中には「(終末における)万物が測られる尺度」が含まれていました。

エリウゲナの神智学は、ジェローナのアズリエルやユダヤ人神学者たちに影響を与えました。この影響を受けた人たちは、エリウゲナの神殿神秘主義と『セフェル・イェツラー』の類似性を認識していました。

グレート・ワークのルーツ

錬金術師の望みは、鉛を金に変える「転化」を成し遂げることでした。

このプロセスで不可欠なものの一つが、先に出てきた賢者の石と呼ばれる神秘的な薬剤でした。

いきなり程度が落ちる話になりますが、賢者の石の材料の一つはうんこです。

うんこは錬金術によく使われる「成分」で、意味があるのかといえばありません。

うんこを用いた「不老不死の薬」を王が飲んで死んだ、というエピソードが今日に伝わっています。錬金術ならびに錬金術師の心情を知るうえで意外と重要なのは、こういうエピソードを愉快だと感じるマインドを理解することです。

ようするに子供心、童心です。うんこうんこと連呼するだけで笑えたあのピュアなマインドは、錬金術師たる者の資格の一つとさえいえます。

うんこは極端ですが、偉大な研究者、科学者というものは、大なり小なり空想に遊ぶものです。まじめ一辺倒では逆にダメです。

錬金術師たちは古代の写本を熟読し、実験を通じて自らが望む公式を探求しました。

この仕事は一般に「グレート・ワーク」として知られていました。

グレート・ワークを追求する方法については多くの理論があり、錬金術師たちは自分の理論や実験方法や実験で使用される器具などをおのおの厳重に秘匿していました。

リュイは著書で読者にこう誓っています。「わたしは魂にかけて誓う。このことを暴露すれば、あなたがたは呪われるであろう」

ドイツの錬金術師バジル・ヴァレンタイン(一三九四年~)は、著書で「このことを少しでも語ろうとする者は、自ら進んで地獄へ沈む覚悟をせよ」と警告しています。

イギリスのトマス・ノートンは十五世紀にこう記しています。「この術は永遠に秘密でなければならない。もし一人の邪悪な者がこれを意のままに操れば、キリスト教徒の平和は容易に失われ、その傲慢によって正当な王や名高い君主たちさえも引きずり下ろすだろう」

そしてグレート・ワークといえば、フリーメーソンです。

一三三〇年ごろに生まれたニコラ・フラメルの物語は、中世、とくにフランスで最もよく知られた伝説の一つです。

ニコラ・フラメルはフランスの出版業者でしたが、賢者の石を製造したといわれています。ハリー・ポッターにも登場したようですが未読なので未確認です。

この人の伝説は、この人自身の著作や都市の記録、逸話が混在しています。

フラメルの死後二百年近くが経ってから書かれた文書によると、フラメルはサンティアゴ・デ・コンポステラに向かう道中、アンダルシアの大学でユダヤ人の師のカンシュに学んで錬金術の秘儀を学びました。

フラメルはある晩、夢を見ました。天使が書物を抱えてあらわれ、こう告げたとのことです。

フラメルよ! この書を見よ。汝にもほかの者にも理解不能な書だ。だがいつの日か、汝だけが記された真実を見いだすだろう。

https://mysteriouswritings.com/the-mirror-of-nicolas-flamel/

一三五七年、フラメルは古い写本を見ていた際、夢で見たのと同じ本に出会いました。

その書物は、『ユダヤ人アブラハム、王子、祭司、レビ人、占星術師、そして哲学者――神の怒りによりフランスに散らされたユダヤの民へ、イスラエルの神の名において健康を祈る』というラノベのようなタイトルでした。

『ユダヤ人アブラハム、王子、祭司、レビ人、占星術師、そして哲学者――神の怒りによりフランスに散らされたユダヤの民へ、イスラエルの神の名において健康を祈る』は、西洋の秘教の伝統の中で最も有名な書の一つでした。

内容は、ワームのアブラハムがエジプトで魔道士アブラメリンを見つけ、魔道士から強力なカバラ魔術を教わった、というものです。

『ユダヤ人アブラハム、王子、祭司、レビ人、占星術師、そして哲学者――神の怒りによりフランスに散らされたユダヤの民へ、イスラエルの神の名において健康を祈る』では、魔術師の「守護天使」があらわれて魔術の秘密を明かす「知識と対話」を授かるまでの長く困難で複雑な儀式が記述されています。

魔術師はまず、地獄の十二の王と公爵(ルシファー、サタン、リヴァイアサン、ベリアルなど)を召喚し、縛りつけます。

それからアブラメリンの『第四の書』に記された魔法語方陣の護符に関連づけられた使い魔たちを送り込みます。

これによって魔術師は、例えば埋蔵された財宝の発見、チャームの呪文、飛行の能力、不可視化などの秘術を得られると約束されています。

もうおなかいっぱいでしょうが、仮にすべてが戯れ言だったとしても、歴史を学ぶとここまで多くの戯れ言をお伝えできるようになります。

この一連のパワーはなんなのでしょうか。単なる戯れ言、全員詐欺師、なら、はやい段階で自然消滅していたことでしょう。

そしてチャームや飛行については、現在実現しています。おどろおどろしいか「理知的」で「科学的」かのちがいはあれど、目指すところは昔から同じでした。

昔の人の滑稽な発明品、などは、子供向けの本で読んだことがあるかもしれません。『ドラえもん』も「空を自由に飛びたいな」などと無垢な調子で伝えてきます。

記事の冒頭で「ドラえもんは錬金術師だ」などと書いていたら、一気呵成にブラウザバックしていたはずです。

不可視化技術も着々と進められています。

https://q-movie.com/06262-metalgear_solid/より転載。AI生成サイト。

ハリウッドだけでなく、SF小説やゲームにも「現実の予告編」が見られます。

錬金術師や魔術師は、本質的に「不可能を可能にする存在」です。当然詐欺師も混じっていますが、手法や見た目や能力や主義や性格はどうあれ、わけのわからない過去があってこそ現在がある、とにかく歴史的に受け継がれているのだ、くらいの認識でも持っておくのは、「オトナの常識」としてとても有用です(吹聴する必要はありません)。

「飛行機のなにが悪いの?」という問いに対してもすでに回答しています。実践的カバラは基本的に白魔術です。

そしていつの時代も、黒魔術師は存在します。

https://www.allaboutlean.com/firstlecture_hom_4/b29-over-japan/より転載。飛行機は悪くない。

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謎の賢人 この記事はリサーチにかなりの時間を費やしています。有料にはしたくないので無料で公開していますが、チップをいただけましたら精神的にも励みになります。