見出し画像

「まだ大丈夫」と思っているうちに、相談したほうがいい理由

「今は、まだ相談しなくても大丈夫ですよ。」

初回相談で、私が実際によくお伝えする言葉です。

驚かれることがあります。

「相談に来たのに、相談しなくていいんですか?」

そう聞かれることもあります。

でも、本当にそう思っています。

私の目的は契約をいただくことではありません。

経営者が、自分で納得して意思決定できる状態になることです。

例えば、事業承継前の後継者から相談を受けることがあります。

まだ社長ではない。

でも、不安はある。

先代との関係。

社員との距離感。

何を準備しておけばいいのか。

そんな相談です。

そのとき私は、一緒に頭の中を整理します。

承継したら起こりそうなこと。

先代と今のうちに話しておいた方がいいこと。

自分なら何を大切にしたいのか。

それらを整理した上で、
「今は十分です。当事者になって困ったら、また来てください。」

そうお伝えして終わることもあります。

相談を続けても意味がないからです。

その段階では、まだ経験できないことがたくさんあります。

だから無理に伴走するより、実際に経営者として判断する立場になってから考えた方がいいこともあります。

私は、必要のない相談まで勧めたいとは思っていません。あくまでも行動して経験したことをブラッシュアップしていくことが重要だからです。


一方で、私が気になる経営者もいます。

「特に大きな問題はないんです。」

そう話される方です。

売上もある。

社員も辞めていない。

資金繰りも回っている。

外から見れば順調です。

それでも話を聞いていると、最後にこんな言葉が出てきます。

「でも、このままでいいのかなとは思っています。」

私は、この一言をとても大切にしています。

現場で見ていると、大きな問題になる会社には、その前に必ず小さな違和感があります。

幹部が以前より意見を言わなくなった。

会議で毎回同じ話をしている。

設備投資を決めきれない。

社員に方向性を聞かれても、自信を持って答えられない。

何かがおかしい。

でも、何がおかしいのか言葉にできない。

そんな状態です。

違和感そのものは悪いことではありません。

むしろ、会社が次のステージへ進む前に経営者へ送られるサインだと私は考えています。

問題は、その違和感を放置してしまうことです。


年間400件以上の経営相談をしていると、よく聞く言葉があります。

「こんなに頑張っているのに成果が出ないんです。」

私は、そこで一つ質問します。

「ちなみに、その成果ってどうなっらた出たと言えるのですか?」

すると、多くの経営者が少し考え込みます。

売上でしょうか。

利益でしょうか。

社員数でしょうか。

新規顧客でしょうか。

実は、成果そのものがどうなっらた出たと言えるかが決まっていない会社は少なくありません。

だから、頑張っているのに前へ進んでいる実感がありません。

私は、この状態を「努力不足」とは思いません。

「成果の定義」がないだけなのです。


私が最初に整理するのは、数字ではありません。

「社長は、どんな会社にしたいですか。」

という問いです。

五年後、十年後どんな状態になっていたら、自分は納得できるのか。

どんな経営者でありたいのか。

どんな会社を残したいのか。

まず、そこを整理します。

すると、判断基準が見えてきます。

判断基準が決まれば、
何を優先するのかが決まります。

優先順位が決まれば、
KPIが決まります。

KPIが決まれば、
日々のアクションプランが決まります。

そして、そのアクションを積み重ねた結果としてKPIが改善し、経営者が理想としていた姿へ近づいている。

私は、それを成果が出ていると考えています。

成果とは売上だけではありません。

利益だけでもありません。

経営者が、自分の理想へ近づいていること。

そのために会社が着実に前進していること。

それが本当の成果です。

だから私は、「成果が出ない」という相談を受けても、すぐに営業や利益改善の話はしません。

まず、「どこへ向かおうとしている会社なのか」を一緒に整理します。


もう一つ、現場で何度も感じることがあります。

資金繰りです。

資金に余裕がある会社ほど、
「まだ相談するほどではありません。」

と言われます。

確かに、その時点では困っていません。

でも、私は何度も思いました。

「今なら、選択肢がたくさんあるのに。」

設備投資の順番を変えることもできます。

借入のタイミングを調整することもできます。

利益構造を見直す時間もあります。

組織づくりにも取り組めます。

ところが、資金繰りが苦しくなってからでは違います。

相談内容は、
「何をすればいいですか。」

ではなく、
「今何ができますか。」

に変わってしまいます。

選択肢が減っているのです。

私は、何度もそんな場面を見てきました。

だからこそ、資金に余裕があるときほど、一度立ち止まって考えてほしいと思っています。

相談が早い会社は、経営が悪い会社ではありません。

違和感を放置しない会社です。


もちろん、整理ができていて、

やるべきことも決まっている経営者には、

私は、
「まずはやってみましょう。」

とお伝えします。

伴走を続けることが目的ではありません。

実行してみる。

結果を見る。

また整理する。

その繰り返しで、判断基準は磨かれていきます。

私が伴走するのは、その判断基準が経営者自身のものになるまでです。

私が答えを出し続けることではありません。

経営者自身が、自分で考え、自分で判断し、自分で前へ進める状態をつくること。

それが私の役割です。


今日の整理

もし今、

・こんなに頑張っているのに成果が出ないと感じている

・でも、「成果とは何か」を言葉にできない

・会社は順調なのに、不安だけが消えない

・資金はあるから、まだ相談するほどではないと思っている

・休日も会社のことが頭から離れない

そんな状態なら、足りないのは努力でも知識でもないのかもしれません。

必要なのは、

「自分はどんな経営者でありたいのか。」

「そのために、会社はどんな状態を目指すのか。」

その判断基準を整理する時間です。

違和感は、失敗の前兆ではありません。

経営者が次のステージへ進むためのサインです。

だから私は、違和感が小さいうちに、一度立ち止まることをお勧めしています。

その時間が、会社の未来の選択肢を増やし、経営者自身が納得して前へ進むための土台になると、私は現場で何度も見てきました。

※本記事の事例は、守秘義務に配慮し、一部内容を変更・再構成しています。

もし今、一人で考え続けていることがあるなら、一度整理してみませんか。

私は、事業承継後の後継者、第二創業、新規事業責任者を中心に、経営者が自分で意思決定できる状態をつくる伴走支援を行っています。

▼初回相談・お問い合わせはこちら

熊谷 篤
実戦経営アドバイザー/中小企業診断士

次の記事

前の記事

いいなと思ったら応援しよう!

実戦経営アドバイザー熊谷篤 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動に使わせていただきます!