見出し画像

フィジカルAI時代を牽引する日本企業はどれか?23社を調べて見えた「3つの勝ち筋」

本記事は、2026年7月時点で公開されている情報を基に、企業がフィジカルAI事業として展開するための能力を整理したものです。
株式その他の金融商品の購入を推奨するものではありません。現在の起業能力、将来の成長性、株価の動きは、それぞれ分けて考える必要があります。

AI企業を調べていたはずでした

フィジカルAI時代に伸びる企業を調べようとした時、最初に思い浮かんだのは、AIモデルやヒューマノイドを開発する企業でした。

高度な認識モデルを持つ会社。生成AIをロボットへ組み込む会社。自動運転や自律制御を開発するスタートアップ。

そうした、いかにも「AI企業」らしい会社が、次の産業を牽引すると考えるのは自然でしょう。

ところが、日本企業23社を調べていくと、有力に見えたのは、いわゆるAI企業だけではありませんでした。

機械を作り、顧客の現場へ入れ、周辺設備と接続する。止まったときには原因を切り分け、部品を供給し、停止していた業務を元へ戻す。

そして、そこで得た経験を、次の製品や別の現場へ引き継いでいく。

こうしたことを長く続けてきたコマツ、ファナック、ダイフクなどが、フィジカルAIを現場へ入れるうえで強い基盤を持つように見えたのです。

一方で、TIER IV、Telexistence、Mujin、ラピュタロボティクスのように、新しい技術や運用方法を作ろうとしている企業にも、異なる成長経路があります。

さらに、キーエンス、ナブテスコ、ハーモニック・ドライブ・システムズのように、自ら完成品の勝者にならなくても、市場全体へ重要な機器や部品を供給できる企業もあります。

なぜ、AIモデルを前面に掲げてきた企業だけではなく、機械、保守、部品、顧客現場を持つ企業が浮かび上がってきたのでしょうか。

23社の調査から見えてきた、三つの異なる勝ち筋をたどります。




23社を単一順位へ並べず、「現在の現場能力」「新しい運用と学習」「市場全体への横断供給」という三つの勝ち筋へ整理してみました。[JKMF編集部作成]

フィジカルAIは、動いた後の方が長い

フィジカルAIという言葉から、人間のように歩くヒューマノイドや、荷物を自動で運ぶロボットを思い浮かべる人は多いでしょう。

ニュースや展示会で注目されるのは、ロボットが初めて何かをできた瞬間です。
しかし、企業がロボットを業務で使う期間を考えると、デモに成功した瞬間よりも、その後の方がはるかに長くなります。

現場へ搬入し、作業範囲を設定し、既存設備や業務システムと接続する。人や車両が行き交う空間で安全に動かし、状態を監視する。
異常が起きれば、安全に止める必要があります。

その原因が機体、センサー、通信、ソフトウェア、周辺設備のどこにあるのかを切り分け、必要に応じて部品を交換し、更新を行い、止まった業務を通常の状態へ戻していきます。
さらに、そこで起きた問題と対応を記録し、次の設計や教育へ反映することも求められるでしょう。

国際ロボット連盟によると、2024年に世界で新たに設置された産業用ロボットは約54万2,000台でした。年間設置台数が50万台を超えたのは4年連続です。市場が広がるほど、導入後の設定、監視、保守、更新、部品供給も重要になっていくと考えられます。

フィジカルAI企業の能力は、次の五つに束ねると見えやすくなります。

  1. 現場へ導入する

  2. 安全に動かす

  3. 状態を把握する

  4. 止めて、業務を戻す

  5. 経験を次へ残す

AIモデルは重要です。
ただし、現実の業務へ入ると、モデルの外側にある長い責任も引き受けることになるのでしょう。

フィジカルAIの責任は、機体やAIモデルの開発だけでは終わらない。導入、監視、停止、復旧、学習までが一つの循環になる。

ロボットを作る技術だけでなく、システムインテグレーション、運用、保守、更新など、「使い続ける」ための技術開発の重要性について、ロボット開発者の安藤健さんが産業界の視点から論じています。


23社をどう見たのか

今回調べた23社には、建設機械、産業用ロボット、物流設備、農業機械を持つ大企業があります。

自動運転、小売ロボット、物流ロボットを開発するスタートアップもあります。センサーや精密減速機を供給する企業も含めました。
規模も事業の成熟度も異なるため、売上や出荷台数だけを並べても、企業の違いは見えにくいでしょう。

調査では、主に次の五つを確認しました。

現場で使われているか

実証、導入予定、出荷済み、継続稼働を分けて見ました。

止まった後を支えられるか

遠隔監視、修理、交換部品、更新、教育、業務復旧の仕組みを確認しました。

別の現場へ再利用できるか

個別案件で終わらず、製品、設定、手順、教育へ変えられているかを見ました。

技術を事業へ変えられるか

資金調達だけでなく、量産、販売、保守、顧客継続、資本配分を確認しました。

安全と責任を説明できるか

機械安全、遠隔操作、人間介入、ソフトウェア更新、事故時の責任分界、ガバナンスを見ました。

23社は、優劣をつけるためではなく、異なる成長経路を区別するために、次の三つへ分けています。

  • すでに現場を持つ企業

  • 新しい運用を作る企業

  • 市場全体を支える企業

23社すべてを、同じ強さの候補として選んだわけではありません。
現在の能力が高い企業と、今後の成長余地が大きい企業も、一致するとは限らないでしょう。


第一の勝ち筋

すでに現場を持っているか

最初に浮かび上がったのは、機械と顧客現場をすでに持つ企業でした。
こうした企業は、最新のAIモデルという点では、AI専業企業ほど目立たないかもしれません。
けれども、ロボットや自律機械を本番へ入れるための基盤を、すでに多く持っています。


コマツ

機械、現場、データをつなぐ

コマツは、建設機械や鉱山機械を販売するだけでなく、施工現場の工程、測量、機械、設計データなどをつなぐSmart Constructionを展開しています。
Smart Constructionは、2025年3月末までに、世界の約4万現場で累計適用されたと報告されています。

一方でコマツ自身も、日本ではICT施工がなお市場の一部にとどまり、導入の難しさを感じる顧客もいると説明しています。
ここで効いているのは、AIだけではないでしょう。
機械の構造を知り、現場の使われ方を理解し、販売・サービス網と交換部品を持っている。その基盤へ施工データ、遠隔支援、自動化を重ねようとしています。

長年の機械事業が、フィジカルAIを導入する土台へ変わり始めている事例といえそうです。


ファナック

過去に販売した機械も支える

ファナックは、CNC、サーボ、産業用ロボット、加工機などについて「生涯保守」を掲げています。
同社の2026年版資料では、100か国を超える地域に280以上のサービス拠点を持つと説明しています。
国内の修理体制では、1万6,000種類を超える修理に対応し、累計210万点を超える修理実績を持つとしています。
生産終了品を含む1万7,000種類を超える修理部品を保有し、修理データを世界の修理部門や製品開発へ戻していることも示されています。

新しいロボットを作ることと、10年前、20年前に販売した機械を、顧客が使うあいだ支え続けることは、異なる能力です。
技術資料を残し、部品を保管し、修理設備を維持し、世代の違う機械を理解する人を育てる。
その経験を次の製品へフィードバックする仕組みは、短期間では作りにくいでしょう。


ダイフク

ロボットではなく、物流業務へのフィードバック

ダイフクは、倉庫、工場、空港などの搬送・保管システムを提供しています。
同社は、予防保全、定期点検、24時間365日のシステムサポートなどを通じて、設備の安定稼働と、停止時の早期復旧を支えると説明しています。
公式資料でも、マテリアルハンドリングを止めず、止まった場合には、いかに迅速に復旧するかが課題として示されています。

顧客にとって重要なのは、ロボットが再起動したかどうかだけではないでしょう。
出荷が再開したか。生産ラインが流れ始めたか。滞留していた荷物を処理できたか。
機体の復旧と、顧客業務の復旧は分けて考える必要があります。

ダイフクのように、機械、制御、ソフトウェア、現地工事、保守を組み合わせる企業は、業務全体の復旧へ関われる可能性があります。


安川電機

AIの判断を、実際の動きへ変える

安川電機は2026年7月、MOTOMAN NEXTとGoogle DeepMindのGemini Roboticsを組み合わせたシステムの開発を発表しました。
生成AIの判断と現場での動作の間を、画像認識、経路計画、力覚制御などがつなぐ構成です。

生成AIが「何をするか」を判断しても、それを安全で正確な機械動作へ変えるには、物理制御の蓄積が必要になります。
ただし、これは開発発表の段階です。
具体的な用途や提供時期、複数の顧客現場で継続利用されるかは、今後確認していく必要があります。


クボタ

条件の変わる現場へ入れる

農業現場では、地面、天候、作物、圃場の形、通信環境が変化します。

クボタは2024年、人の監視下で無人自動運転できるコンバインを市場へ投入しました。これにより、自動運転に対応するトラクター、田植機、コンバインのラインアップをそろえたと説明しています。
営農支援システムKSASでは、圃場、作業記録、作業進捗、収量、食味、機械の稼働情報やメンテナンス記録などを管理できます。

機械、販売店、整備網、営農データをつなぐことで、工場とは異なる、条件が変化する現場へフィジカルAIを展開できるかもしれません。


古い事業基盤は、本当に古いのでしょうか

これらの企業が持つ機械、顧客、販売網、保守拠点、交換部品は、製造業が長い時間をかけて築いてきた資産です。

フィジカルAIを現場へ導入する際には、新しい企業が短期間では作りにくい基盤にもなりそうです。
ただし、既存資産を持っているだけで、将来の成長が約束されるわけではありません。
そこへソフトウェア、データ、学習、継続的な事業モデルをどう重ねるかが問われるでしょう。

ロボット停止後の監視、原因の切り分け、更新、復旧については、こちらの記事で詳しく整理しています。


第二の勝ち筋

人間の介入から学ぶことができるか

現在の運用基盤が厚い企業だけが、将来の成長候補とは限りません。
新しいデータや運用方法を作ろうとしている企業には、別の可能性があります。
ここでは、人が介入しているかどうかよりも、その介入を記録し、復旧と学習へ戻せるかを見ました。


TIER IV

オープンな技術から、運行責任へ進めるか

TIER IVは、オープンソースの自動運転ソフトウェアAutowareを基盤に、車両、センサー、開発環境、導入、運行支援を展開しています。

2026年には、限定された走行条件のなかで運転操作をシステムが担う「レベル4」自動運転に向けた、データ中心のAIによるソフトウェアスタックを公表しました。
日本、米国、欧州で行う試験は、各走行約60分で、安全運転者が乗車する構成です。
商用運行の完成ではなく、異なる交通環境で機能を検証する段階と見るのが適切でしょう。

Autowareが広く使われることと、TIER IV自身が継続的な収益を得られることは、分けて考える必要があります。
オープンな技術基盤を、安全性の評価、車両への搭載、運行支援という事業へどう変えるかが焦点になるでしょう。


Telexistence

遠隔支援を運用へ組み込む

ファミリーマートは2022年、Telexistenceの飲料補充ロボットTX SCARAと店舗作業分析システムを順次導入し、300店舗へ拡大すると発表しました。

ここで確認できるのは、300店舗への導入計画です。
300店舗すべてで長期稼働していることや、現在の稼働台数までを、この発表だけから確定することはできません。

Telexistenceは、自動制御と遠隔操作を組み合わせたロボット運用を展開しています。画像認識だけでは代替しにくい作業を、遠隔操作で補う構成も説明されています。

店舗では、商品が傾いている、包装が変形している、棚の位置がずれているなど、事前に想定しきれない例外が起こります。
そのたびに現地へ技術者を派遣するよりも、遠隔から人が介入できれば、停止時間を短くできるかもしれません。
同社はPhysical Intelligenceとの提携で、小売店舗から得られる遠隔操作データを、汎用ロボット基盤モデルの学習へ利用する取り組みも公表しています。

見るべきなのは、人が介入しているかだけではないでしょう。
介入の頻度、時間、原因を測り、同じ問題を次のモデルで減らせるかが重要になります。


Mujin

難しい案件を、会社の製品へ変えられるか

Mujinは、ロボットアーム、3Dビジョン、ハンド、動作計画などを統合するMujinOSを展開しています。
形状や配置が一定ではない物体を扱う物流・製造工程など、従来は自動化が難しかった領域を対象としています。
2025年12月には、株式と融資を合わせて2億3,300万ドルを調達し、MujinOSの世界展開、リアルタイムデジタルツイン、動作計画、統合制御の開発へ使うと発表しました。

大きな資金調達は、成長へ投資できる余力を示します。
一方で、それだけで事業の収益性や再現性まで判断することはできません。

難しい案件を自社の技術者が完成させることと、外部パートナーが同じ品質で再現できることは、別の段階として見る必要がありそうです。
技術を製品、設定、教育、認定、保守手順へ変えられるかが、今後の成長を左右するでしょう。


ラピュタロボティクス

倉庫業務とロボットを一緒に改善する

ラピュタロボティクスは、作業者と協働するPA-AMRや、立体的な保管・搬送を行うASRSなどを展開しています。
同社は2025年5月、アルプス物流の倉庫でラピュタASRSが本格稼働に至ったと発表しました。

アルプス物流側の担当者コメントも掲載されていますが、記事全体はラピュタロボティクスが作成した企業発表であることには留意が必要です。

物流現場では、ロボット単体が動いても業務は成立しません。
在庫情報、注文データ、作業者の動線、棚、コンベヤー、倉庫管理システムと接続する必要があります。
製品を増やしながら、現場ごとの接続と保守をどこまで共通化できるかが課題になるでしょう。


ロボットが工場や倉庫で仕事をするには、MES、WMS、PLCなど、既存の業務・設備システムとの接続が欠かせません。
それぞれの役割と、ロボットが業務指示を受けて結果を返す流れは、下記の記事で詳しく整理されています。


人間介入は、自律化の失敗を意味するとは限りません。介入を記録し、復旧と学習へ戻せるかが重要になるでしょう。[JKMF編集部作成]

人間介入は、なくせばよいのでしょうか

完全自律という言葉は魅力的に見えます。
けれども、本番現場では例外が起こります。

人間介入をゼロと宣言することよりも、介入を記録し、業務を復旧し、原因を学習へ戻せるかの方が重要でしょう。

完全自律は、人を最初から排除した状態ではなく、人との役割分担を改善した先に近づくものとも考えられます。

株式会社キビテクの公式noteでは、対象物や現場条件の変化へ、AI認識と人による遠隔操作を組み合わせて対応する考え方が、サービス提供者の立場から紹介されています。

個人の経験を、会社として繰り返せる能力へ変える条件については、こちらの記事で考えました。


第三の勝ち筋

完成品の勝者を選ばない

ここまでは、ロボットや運行サービスを提供する企業を見てきました。
けれども、完成品を作らなくても、フィジカルAI市場全体へ関われる企業があります。
どのヒューマノイド企業が勝つかを予測できなくても、周囲を見るためのセンサーや、関節を動かす部品は、多くの完成品に必要になります。


キーエンス

「見る・測る」を横断供給する

キーエンスは、センサー、画像処理、測定器、識別機器、安全機器などを提供しています。
公式サイトでは、製造・研究開発分野の顧客へ、コードリーダー、画像処理、測定、センサーなどを提供し、技術営業が顧客へ直接提案する体制を説明しています。

同社は、製造業で蓄積した知見を物流、研究、流通などへ広げ、新しい市場を作る方針も示しています。

一つのセンサーが絶対に代替できないことよりも、顧客課題を集め、標準製品へ変え、多数の業界へ供給する企業システムが強みと考えられます。


ナブテスコ

現在の中大型ロボット関節を支える

ナブテスコの精密減速機RVは、産業用ロボット、工作機械、半導体製造装置などで使われています。
2025年12月には、RVシリーズの累計生産が1,400万台を超えたと発表しました。
同時に、協働ロボットやヒューマノイドなどの低トルク用途を想定した、小型・軽量製品の追加も発表しています。

減速機を変更する場合には、寸法だけでなく、剛性、精度、寿命、制御特性などの再確認が必要になると考えられます。
その負担は、採用済み部品を切り替えにくくする要因の一つでしょう。
一方で、より小型で軽い協働ロボットやヒューマノイドへ、現在の地位を移せるかは今後の注目点でしょう。


ハーモニック・ドライブ・システムズ

小型・軽量関節への可能性

ハーモニック・ドライブ・システムズの波動歯車装置は、単段で高い減速比を得られ、バックラッシが極めて小さく、小型・軽量化しやすいことを特徴としています。

同社の2025年統合報告では、AIロボット市場と中国ロボット市場が、成長戦略上の特集テーマとして扱われています。

多くの関節を限られた空間へ収めるヒューマノイドでは、小型・軽量で精密に動く減速機の需要が生まれるかもしれません。
ただし、技術的に適していることと、将来の受注や収益が保証されることは、分けて見る必要があります。


フィジカルAIを支える基盤は、画像センサーや減速機だけではありません。
下記の記事では、柔らかい布を扱うロボットや、物体の硬さ、質感、滑りなどを捉える触覚センサーを開発するスタートアップが、取材写真とともに紹介されています。

今回の23社は、日本のフィジカルAI関連企業を網羅したものではありません。
触覚、ロボットハンド、シミュレーション、半導体、安全認証など、ほかにも重要な領域があります。

完成品メーカーの勝敗を予測しなくても、複数企業へセンサーや関節部品を供給する企業には、異なる成長経路があるでしょう。[JKMF編集部作成]

今強い会社と、これから伸びる会社

三つの勝ち筋は、それぞれ異なる能力を示しています。

コマツとTelexistence、キーエンスとMujinでは、持っている能力も、伸び方も異なります。
現在の運用能力だけを見れば、顧客、保守拠点、部品、資本を持つ大企業が有利に見えるでしょう。
一方で、新しい企業には、実環境のデータ、人間介入を前提とした運用、新しい料金体系、既存企業とは異なる開発速度があります。
ただし、個別案件への依存、保守網、顧客集中、資金調達依存、創業者や一部技術者への依存が残っている場合もあります。

一つの順位へ並べるよりも、

  • 現在の運用能力

  • 新しいデータと事業を作る能力

  • 市場全体へ供給する能力

を分けて見る方が、企業の違いを理解しやすいでしょう。

現在の企業能力と、将来の成長余地は一致するとは限らないでしょう。異なる能力を一つの順位へまとめずに見る必要があるのではないでしょうか。

技術を持つだけでなく、どこへ資本を配分し、何を自社能力として残すかについては、こちらの記事へ続きます。


フィジカルAI企業を見る「5つの問い」

今後、フィジカルAI関連企業を見る際には、次の五つを確認すると、発表の規模だけでは見えない現在地を捉えやすくなります。

1.何台が動き続けているか

出荷、実証、導入、継続稼働は分けて見る必要があります。
確認内容:稼働台数、契約継続、更新、解約

2.人間介入を測れているか

介入そのものよりも、頻度、時間、原因を測り、改善へ戻せるかが重要でしょう。
確認内容:介入率、復旧時間、遠隔操作、例外原因

3.別の顧客へ再利用できたか

顧客ごとに最初から作り直すのか、設定、接続、教育、保守を再利用できるのかを確認します。
確認内容:標準製品、導入期間、パートナー、認定制度

4.運用を含めて利益が残るか

ロボットは、販売後にも監視、通信、クラウド、修理、部品、人員などの費用がかかります。
確認内容:粗利、保守原価、一拠点当たり採算、継続収益

5.中核人物がいなくても続くか

知識が個人に集中したままでは、導入件数を増やしにくくなるかもしれません。
確認内容:文書化、教育、権限移譲、組織継承

出荷台数や資金調達額だけでは、フィジカルAI企業の力は見えにくい。稼働、介入、再現性、採算、組織継承を分けて確認するのが良いでしょう。[JKMF編集部作成]

日本企業の強みは、AIの外側にもある

フィジカルAI時代の企業を調べ始めたとき、注目すべきなのはAIモデルやヒューマノイドを開発する会社だと考えていました。
けれども、23社を調べると、機械、顧客現場、保守、部品、教育を長く積み上げてきた企業にも、フィジカルAI時代の基盤があるように見えてきました。
その一方で、新しい運用を作る企業や、複数の完成品へ重要部品を供給する企業にも、異なる成長経路があります。
日本企業が既存の資産を持っているだけで、成長できるとは限りません。

現場の経験をデータへ変える。
個人の技能を、別の人でも再現できる仕組みへ変える。
人間介入を記録し、学習へ戻す。
運用と保守を含めても利益が残る事業にする。

こうした変換を進められる企業が、次の成長へ進むのかもしれません。

フィジカルAI時代に問われるのは、ロボットを作れるかだけではないのでしょう。
現場へ入れ、動かし続け、止まったときに戻し、その経験を会社の能力として残せるか。
フィジカルAI時代を牽引する可能性の高い日本企業23社を調べて見えたのは、AIの外側にも存在する競争力でした。


連載一覧


関連マガジン


情報源・参考URL

一次資料・公式資料

論文・専門資料

note内の関連・参考記事


いいなと思ったら応援しよう!

一般財団法人 木村潤 記念財団 よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは本財団としての活動費に使わせていただきます!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー