「あなたは日本人だから」――留学先で突きつけられる現実
留学に来る前、私は「海外での生活=英語を学ぶこと、友達を作ること」くらいの軽いイメージしか持っていませんでした。
でも実際にニュージーランドに来てみると、自分はただの留学生ではなく、日本を背負った存在として見られていることに気づかされます。それは授業や休み時間、日常生活のあらゆる場面で感じられました。
私が特に印象に残っているのは、歴史や文化について突然質問される瞬間です。
中国人の友達と遊んでいたとき、急に「あなたは南京事件のこと知っている?」と聞かれました。彼らは「私たちは日本人と話すときに言わないけど、みんな思っている」とも言いました。
中国では、南京戦争で30万人もの人が日本の攻撃により亡くなったことが教科書や歴史の中で語られており、日本の教科書に載っている写真や説明で、日本に被害があったと書かれているものは、「全部嘘だ」と主張されることもあるそうです。
私は歴史で南北戦争についてそんなに深く習ったわけではないので、正直少し戸惑いましたが、同時に「政府が隠したいのかもしれない」と考えさせられる瞬間でもありました。
韓国の友達からは、過去の体験談を交えて「おばあちゃんが、日本のお寿司は美味しいと言っていた。でも実際、私たちは日本に隔離されていた」と聞かされることもありました。その話を聞いたとき、私は日本人として生まれたからには、戦争や歴史の責任を無意識のうちに背負わされるような感覚を覚えました。
もちろん、私自身が戦争に関わったわけでもないし、決断を下したわけでもありません。
しかし、日本人としての立場を意識せざるを得ない現実が、そこにはありました。
一方で、留学生活の中で嬉しい体験もありました。
ESOLのクラスでは、私はクラスに1人しかいない日本人だったので、先生もクラスメイトも私の名前をすぐに覚えてくれました。それは単に「親しみやすいから」ではなく、日本人という存在自体が特別視されていたからだと思います。
ニュージーランドではアニメや浴衣、ジブリなど、日本の文化自体が人気で、日本人であるだけで注目されることが多いのです。そのことを肌で感じたとき、自分が日本人であることの特別さと、同時に責任感も強く意識するようになりました。
授業や日常の会話では、時に日本に対する誤解や偏見も目の当たりにします。
中国の友達に「日本の教科書は南京事件について嘘が書いてある」と言われたり、韓国の友達から「日本は過去に悪いことをした国だから、好きにはなれない」と言われることもあります。
その瞬間は正直、戸惑いと重圧を感じました。自分は戦争に関わったわけでもないのに、日本人というだけで説明を求められる。そう感じることは、最初は息苦しささえ覚えました。
でも時間が経つにつれて、考え方が変わってきました。過去を変えることはできないし、すべての人の考えを変えることもできません。
それでも、自分なりに日本や日本人について説明したり、文化を伝えたりすることはできる。
自分の言葉で日本を表現することができるのだ、と気づきました。そう考えると、プレッシャーは次第に責任感や誇りに変わっていきました。
もちろん、誰もが日本代表になれるわけではありません。留学している日本人全員がこういう経験をするわけではないし、英語だけ学んで友達と楽しく過ごす人もいます。
でも、現地で「日本人」として見られる瞬間は必ずあります。歴史や文化、マナー、日常の振る舞い。すべてが、自分が代表として見られる材料になります。
私はこの現実を受け入れることで、留学を単なる自己満足の経験にせず、日本人としての責任を意識しながら生きる学びに変えることができました。
海外で生活していると、自分のちょっとした言動が日本全体を象徴してしまうことがあります。
最初は戸惑いや重圧を感じましたが、今ではそれを自分を成長させるチャンスとして受け止めています。自分の意見を持ち、説明し、文化を伝えること。それこそが、ただの留学生ではなく、日本代表としての留学生活のリアルなのです。
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