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再エネ電力の供給網(グリッド)って、サステナブルですか?~わこさんのワイン片手の経済視点~

(第四十回)4月のスペイン大停電が日本のエネルギー基本方針に示唆するもの

前回はボルドーのアン・プリムールの少し苦いお話

前回は、ボルドーのアン・プリムール(ボトル詰前のワインの先物取引)の現状についてお話ししました。プレミアムワインの値崩れはないと思っていた大前提が、金融面から要注意の状況になっているかも、というお話をしました。プレミアムワイン投資に夢を持っていた方には少~し苦いお話だったかもしれません。

今回は、スペインの大規模停電のお話

今回は、ワインと離れるみたいですがわこさんの中ではつながっている話です。4月末にWSETのDiploma卒業式に出席して、そのあとスペインのリオハに行きましたというお話をしましたが、その時に実はひやひやしていたことがありました。現地4月28日、わこさんがロンドンに到着した日になりますが、スペインを中心にイベリア半島全体とフランスの一部で約半日間の大停電があり、交通をはじめ経済活動がマヒしました。復旧したから大丈夫だったのですが。

サイバー攻撃陰謀論は否定

原因については特定されていません。ロシアとか中国とかのサイバー攻撃だといった陰謀論的な話は伝えられてますが、公式には否定されています。ただし、これだけ広範囲に影響が広がった要因として、再生可能エネルギーに依存するエネルギー構成のもとで、電力供給網(グリッド)のコントロールがうまくできなかったことは間違いなく指摘できます。

脱炭素目標を企業が掲げる限り再エネ需要は拡大

トランプ大統領のおかげで現在(表面的には)なりを潜めている再生可能エネルギー導入の動きですが、脱炭素という目標を(少なくとも企業が)掲げている限り、再エネへの需要は拡大します。その時に再エネの安定供給をどうするか、考えるヒントをもらえるかな、というお話をしてみます。

温室効果ガス削減目標は一応国際的コンセンサス

地球の気候変動を緩和するために、温室効果ガスの排出量を抑制し減少させることが必要だ、ということは一応国際的なコンセンサスになっています。それに基づき、各国は化石燃料を使った発電を減らして再生可能エネルギーを活用した発電を増やすことになっています。

実際は企業がやるんですけどね

それぞれの国が約束はしていて、政策的な後押しは税制や補助金、規制などで行っていますが、実質的には各国の民間企業が脱炭素のコミットメント(TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)など)に従って進める形になります。この構図が「ビジネスと人権」の構図と類似していることは以前指摘しました。

スペインは再エネ優等生!!

現状、各国のエネルギーミックス(どういったエネルギー源で発電しているか)を比較すると、スペインは再エネに関して優等生です。IEA(国際エネルギー機関)がまとめた数字によると、2024年は総発電量のうち6割が再生可能エネルギーで、風力と太陽光で4割強になっています。国土の多くが大陸性気候にあって高い晴天率が期待できるとともに、大西洋や地中海からの風も期待できるわけですから、カビなどの病害を避けながらブドウ栽培のできるとても良い環境、じゃなかった風力発電と太陽光発電に適した環境にあります。

IEA(国際エネルギー機関)のデータから作りました。日本は再エネ比率どうするんだっけ?

再エネ発電の問題点

風力、太陽光による発電は、風や日当たり次第で発電量が変化します。特に太陽光発電は昼間は発電できますが夜は発電できませんので、昼夜の発電量格差が問題になります。また、風力、太陽光による発電の適地と工業地帯などの電力の需要地が離れていると、その間の送電をどう確保するか、という問題が発生します。例えば日本でも、九州などで太陽光発電量が多くなりすぎると送電網に過重な負担がかかるということで、送電網との接続を切る(作った電気を実質的に捨てる)なんてことも起きています。

課題解決をビジネスチャンスにする動き

こうした問題を埋めるため、大容量の蓄電池を設置しようとか、送電網を拡充しようとか、発電適地と需要地を近接させよう、といった動きが様々あって、それをビジネスチャンスにしようとかする人たちがいらっしゃいます。例えば北海道にAI関連の需要を見越した大規模データセンターを作ろうとか半導体工場を造ろうとかいうのもそうした動きの反映ですし、某海運会社が洋上風力施設と海上データセンターを一緒に作っちまえという計画を発表したりしました(その後どうなってるのか不勉強で知りません…)。

また、最近の日経新聞には昼間に余った電力を使って水をくみ上げ、夜にその水で発電を行う形で昼夜の電力需給を調整する揚水発電所を再稼働や新設する動きが報道されています。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250613&ng=DGKKZO89332060T10C25A6MM8000

スペインでは大規模水素プロジェクト計画

スペインでも、同様の問題は指摘されていて、余剰電力を使って水を電気分解して水素を作ってパイプラインでフランスに送ろう、なんていう大プロジェクトが計画されています。こういうことであれば、いずれ電力の需給はバランスしてスペインは再エネ優等生であり続けられるのかな、とか期待できます。

今回の要因は単純な需給バランスとは言い切れないシステム管理の問題

前段が長くなりました。
ところが、今回スペインで大規模停電となった要因はこうした需給バランスとちょっと違う点がいくつか指摘されています。

①    送電網に過重な負荷がかかった: スペインとポルトガルは再生可能エネルギー発電量を急速に増加させていますが、グリッド(送電網)の容量と管理がついていけておらず、過剰に生産されたエネルギーの分配が困難になっています。

②    リアルタイムのグリッド管理の欠如:グリッドは、太陽光発電と風力発電の発電量の変化に対してリアルタイムで蓄電池に電力を送ったりといった管理をすることができていませんでした。

③    不規則な電圧の制御が連鎖故障 : 原因か増幅要因かはともかく、電圧制御のメカニズムが故障し、それがイベリア半島全体で連鎖的な故障につながりました。

④    国境を越えた調整の制限:国をまたいだ送電事業者間のリアルタイムデータ共有が不十分なため、相互接続されたヨーロッパの送電網に影響が広がりました。

などなどですが、強引にまとめると、送電網の容量、蓄電池、そしてそれらを管理するシステムが上手く機能しなかった、ということになります。

2021年は風が吹かずに電力危機に

先に書いた通り、IEA(国際エネルギー機関)のデータによると、2024年のスペインの電力のうち風力によるものが23%、太陽光由来のものが20%なので、全電力の4割強がお天道さま次第という形です。なので、風が吹かなきゃ電力不足になります。実際、2021年夏には極端な風不足で電力不足となり、電力の卸売価格が4倍になって電力危機が叫ばれたこともありました。
てすから、スペインは蓄電池施設の建設を進めています。

グリッド管理が重要だが、政府系の送電系統運用会社は何してた?

ただ、再エネのグリッドについては、日当たりとか風の強さとかで発電量が瞬間的に変わってグリッド全体の周波数や電圧が不安定になりやすくなることをどう制御するかという問題が別に存在します。4月の大停電の時も、最初に原因不明ですが一部で電力周波数が急低下したことが報告されています。ですから、再エネ普及にはこのグリッド管理が非常に重要だったりするわけです。スペインの送電系統の運用は、政府系のスペイン電力系統運用会社(REE)が独占的に行っており、ここがちゃんとしてなかったということにはなります。

どうすれば良いか、Geminiに聞いてみました

こうした状況を踏まえて、Geminiに聞いてみました。書いたこととも重なる点もあるのですが、これがなかなか良くまとまっているので、長いですがコピペします(テニヲハは直してます)。

プロンプト(本当にこれだけです):再エネ電力を適切に管理するためのグリッドの条件を教えて下さい
Geminiの答:
再生可能エネルギー(再エネ)電力を適切に管理するための電力グリッド(送電網)には、その変動性を吸収し、安定した電力供給を維持するための様々な条件や機能が求められます。主な条件は以下の通りです。

1. 柔軟性と応答性
周波数・電圧の安定化: 太陽光や風力は天候によって発電量が大きく変動するため、電力系統全体の周波数や電圧が不安定になりやすいです。これを抑制するために、高速で周波数や電圧を調整できる能力がグリッドに必要です。
一次調整力: 短時間(数秒~数十秒)で周波数変動を吸収する機能。
二次調整力・三次調整力: 数分から数十分、さらに長時間にわたる周波数変動を吸収する機能。
出力変動への対応
出力変化率制限機能: 風力発電など、急激な出力変動を抑制する機能。
周波数調定率: 周波数変動に応じて自律的に出力を調整する機能。
逆潮流への対応: 再エネ発電が需給が崩れた場合、電力が需要家側から系統へ逆流することがあります。これに適切に対応できる設備や運用が必要です。
2. 高度な情報通信技術と制御システム(スマートグリッド)
リアルタイムの需給予測・監視: 天候予測や電力需要の予測精度を高め、リアルタイムで電力の需給状況を監視するシステムが必要です。
双方向通信: 発電側と需要家側の双方で電力情報(量、価格など)をやり取りできる双方向通信網が不可欠です。これにより、需要側も電力消費を調整(デマンドレスポンス)できるようになります。
自動制御・最適化: リアルタイムのデータに基づいて、発電量、送電量、蓄電量などを自動的に制御し、電力系統全体で最適な需給バランスを保つシステムが必要です。
分散型エネルギーリソース(DER)の統合: 住宅用太陽光発電やEV、家庭用蓄電池など、分散型のエネルギーリソースをグリッドに統合し、全体として協調的に運用できる機能が求められます。
3. 蓄電池や他の調整力
大容量蓄電池の導入: 再エネの余剰電力を貯蔵し、不足時に放電することで、電力の需給バランスを調整します。これは再エネの変動性吸収に最も有効な手段の一つです。
揚水発電: 大規模な蓄電設備として、電力系統の安定化に寄与します。
火力発電等の柔軟運用: 従来の火力発電所も、再エネの変動に合わせて出力を柔軟に調整できるような運用が求められます。起動・停止時間の短縮や、最低出力の引き下げなどが進められています。
VPP(バーチャルパワープラント): 複数の分散型エネルギーリソース(蓄電池、EV、需要家設備など)をIoT技術で束ね、あたかも一つの発電所のように制御するシステムです。これにより、個々のリソースの小さな調整力を集約して、電力系統全体の調整力として活用できます。
4. 強靭性とレジリエンス
送配電網の増強: 再エネ発電所の立地に適した場所(日射量や風況の良い場所)は、必ずしも電力需要地に近いとは限りません。そのため、遠隔地から大容量の再エネ電力を送電するための送配電網の増強が必要です。
系統混雑の解消: 送電容量の制約により、再エネ電力が送電できない「系統混雑」が発生することがあります。これに対処するための送電網の整備や、系統運用ルールの見直しが必要です。
事故時の対応能力: 再エネ発電設備が事故や故障で停止した場合でも、系統全体の安定性を維持できる冗長性や、迅速な復旧能力が求められます。
サイバーセキュリティ: 高度な情報通信技術を用いるため、サイバー攻撃に対する強固なセキュリティ対策が不可欠です。
5. 市場メカニズムと規制の整備
調整力市場の創設:
周波数調整や需給バランス調整に必要な調整力を市場を通じて取引する仕組み(調整力市場)が、効率的な電力システム運用に貢献します。
グリッドコード(系統連系技術要件): 発電設備が系統に接続する際に満たすべき技術的な要件を定めたものです。再エネの大量導入に対応するため、これらの要件は常に更新され、より高度な機能が求められています。

これらの条件は、再エネが主力電源となる未来の電力グリッドにおいて、電力の安定供給と効率的な運用を実現するために不可欠です。

Geminiが作ってくれました

いかがでしょう?具体的にどうする、といった話は置いておくとして、概論としてはなかなかよくできていると思います。で、これがスペインでちゃんとできてたんですか?と言われると、できてなかったわけですね。

誰がコスト負担してグリッド管理するのかな?

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