慰安婦論24):吉見義明の慰安婦強制連行論
Wiki『慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話』
Wikipedia『慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話』で伝えている言い方をそのままなぞる形で引用すると──「河野談話」では軍の関与を認め「おわびと反省」を表明したが、これにより「日本政府が旧日本軍による慰安婦の強制連行を認めた」という理解が広まった。
安倍首相、2007年3月5日の参議院予算委員会
(1)「河野談話をこれからも継承していく」としつつ、
(2)「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性、狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」とし、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする政府答弁書を閣議決定した 。
慰安婦問題の第一人者である吉見教授、安倍首相の発言に苦言
2007年3月11日 21:01 発信地:東京
写真は8日、研究室で話をする吉見教授。(c)AFP
『【東京 11日 AFP】慰安婦問題に旧日本軍が組織的に関与していたことを示す資料を発見した、中央大学の吉見義明教授は、この問題についての安倍晋三首相の発言、明らかに1993年の河野洋平官房長官による謝罪を修正するような発言に、危機感を募らせている。』
安倍首相の主な発言内容
「河野談話をこれからも継承していく」という表明 安倍首相は、1993年の河野洋平官房長官による「河野談話」を今後も引き継いでいくことを表明した。河野談話は、旧日本軍が慰安所の設置・管理、および慰安婦の移送に直接的または間接的に関与したことを認め、謝罪と反省を表明したものである。
「狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」とする見解の閣議決定 同時に、政府が発見した資料の中には「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性、狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」とし、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする政府答弁書を閣議決定した。これは、慰安婦の募集における強制性について、限定的な解釈を示したものである。
吉見教授の指摘と懸念
これらの安倍首相の発言に対し、慰安婦問題の第一人者である中央大学の吉見義明教授は、危機感を募らせ、苦言を呈した。
安倍首相の発言に対する懸念: 吉見教授は、安倍首相の発言が河野談話を修正するようなものであり、「首相と主要な閣僚はこの問題の根本的な事実を否定しているように思える」と述べ、政治の現状に不安を抱いていると表明した。
吉見教授が発見した資料の重要性: 吉見教授は1991年12月に、旧日本軍が組織的に慰安所の設置を命令したことを示す公式資料を、防衛庁(当時)の図書館で発見した。この資料は、旧日本軍が前線部隊のために慰安所を設置し、兵士による性的暴行を抑える目的があったことを示しており、日本政府による慰安婦問題への直接関与を初めて明らかにした公式書類の一つとされている。この発見が、1993年の河野談話発表へとつながる重要なきっかけとなった。
「強制性」に対する見解の相違: 吉見教授は、発見した資料に基づき、「慰安婦の募集にあたり、女性への強制があったのは明らかであり、慰安所の設置を決定したのは日本政府だった」と主張している。政府が首謀者であり、業者や中間業者は政府の手先として働いただけだ、との見解を示し、安倍首相の「狭義の強制性」に関する発言と対立する立場をとっている。
米下院の決議案への影響と国内の動き: 当時、米下院では日本政府に明確な謝罪を求める決議案が検討されており、吉見教授は、この決議案の採択が日本の保守化傾向への歯止めとなることを期待していた。また、吉見教授は、政府が河野談話を継承するとしながらも、国内では慰安婦問題を教科書から削除する動きなど、過去の過ちを認めることを拒否する流れが広がっていることにも懸念を示した。
このように、2007年の安倍首相の発言は、河野談話の継承を表明しつつも、慰安婦募集における「狭義の強制性」の有無について政府の見解を示したことで、慰安婦問題に関する歴史認識をめぐって大きな議論を巻き起こした。
☞因みに、マイク・ホンダらが中心になって"慰安婦=性奴隷"だと決議した、2007年7月のアメリカ合衆国下院121号決議(米下院慰安婦決議)のわずか2ケ月後の2007年9月に、米政府がClinton、Bush両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦に関わる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったとする調査結果が発表されたことに関しては、下記のnoteで言及した。
国連・自由権規約委員会
日本政府が“旧日本軍による慰安婦の強制連行を認める河野談話”を継承するとしながら、強制連行を否定する日本政府の態度に──
>国連の自由権規約委員会のナイジェル・ロドリー議長は
>「強制連行されたのではないと言いつつ、
>意思に反していたという認識が示されている。
>これは理解し難い」と痛烈に批判した。
ネットでも…
>安倍内閣は、河野談話を継承するといいながら、
>軍による強制連行を認めないのは矛盾しているだろうが!?
否!「河野談話」を曲解しているから、そういう愚問が出るのだ!
なぜ、(1) 河野談話を継承することと(2) 強制連行を否定することに矛盾を感じてしまうかと言えば、そもそも"河野談話は軍による強制連行を認めた"という曲解が特に韓国のプロパガンダによって国内外に定着し、まかり通ってしまっているからである。
幸福の科学──"河野談話"を見直そうとする勢力の共通認識
例えば「幸福の科学」は"河野談話"を次のようなものだと喧伝しているが、"談話"を見直そうとする勢力の共通認識は概ね、こんなものだと思う。
幸福の科学曰く──
「1993年日本政府は河野談話において、軍による従軍慰安婦の強制連行を認めた。しかし軍による強制連行があったという証拠は見つかっていない。」
日本人はすばらしい(帝国軍人・台湾証言)(幸福の科学・動画)
きちんと読めば判るが(別途分析・下記note参照)「河野談話」では"軍の関与"は認めたにしても、"日本軍(官憲)による組織的な慰安婦の強制連行" があったとは決して言っていない(ある意味、官僚の作文ではあるが)。
ゴーマニスト・小林よしのりによる批判
ゴーマニスト・小林よしのりはこう批判している──、
「『狭義の強制』『広義の強制』とは、慰安婦の『強制連行』がなかったことが明らかになってから、左翼が議論をわざと分かりにくくして煙にまくために作りだしたトリック・ワードであり、こんな言葉を使う時点で安倍は左翼の術中に嵌ってしまっていたのである。」
小林よしのりは吉見を名指しして、自身のブログで、こう言っている──
「広義の強制連行」の発明は学者失格(2014/4)
『『従軍慰安婦資料集』巻頭の解説で、吉見はこう書いた。「一般には、強制連行というと人狩りの場合しか想定しない日本人が多いが、これは狭義の強制連行であり、詐欺なども含む広義の強制連行の問題をも深刻に考えてしかるべきであろう」(P35)吉見はここで「狭義の強制連行」「広義の強制連行」という、これまで誰も考えたこともなかった新概念を「発明」したのである。「捏造」と言ってもいいが。』
池田信夫もブログで、こう断じている──主犯は吉見義明氏である(2014/8)『最初、朝日は吉田清治のいうような「慰安婦狩り」が多数行なわれたと報道したのに、それが嘘だとわかると「挺身隊の強制連行」にすり替え、それが嘘だとわかると「強制性」に定義を拡大してきた。こういうごまかしの主犯が吉見義明氏だ。』
小林よしのりの批判の核心
小林よしのりは、著書『ニセモノ政治家の見分け方』の中で、慰安婦問題において用いられる「『狭義の強制』『広義の強制』」という表現を強く批判している。
「強制連行」の否定: 小林氏の認識では、「慰安婦の『強制連行』がなかったことが明らかになった」という前提がある。これは、日本軍が組織的に女性たちを拉致したり、銃剣を突きつけて強制的に連行したりするような意味での「強制連行」は、史実として確認できなかった、という立場に基づいている。
「トリック・ワード」としての「狭義・広義の強制」:
小林は、「強制連行がなかった」という事実が明らかになった後、議論を継続させ、特定の政治的主張を通すために、左翼勢力が「狭義の強制」や「広義の強制」といった言葉を作り出したと見ている。
これらの言葉が「トリック・ワード」であると批判するのは、それが「議論をわざと分かりにくくして煙にまくため」に使われていると考えているからだ。つまり、本来の「強制連行」とは異なる意味合いを後から導入することで、議論を混乱させ、自身の都合の良い結論に誘導しようとする意図があると指摘している。
安倍晋三への批判: 小林は、当時の安倍晋三首相(文中「安倍」と表記)がこれらの「トリック・ワード」を使って議論に応じたこと自体が、「左翼の術中に嵌ってしまっていた」と批判している。これは、相手の用意したフレームワークに乗ってしまうことで、自らの主張が弱まり、結果的に相手の意図する方向に議論が進んでしまう、という認識に基づいている。小林は、政治家はこのような言葉の罠を見抜き、毅然とした態度で臨むべきだと主張している。
背景と文脈
この批判は、慰安婦問題における「強制性」の解釈を巡る日本国内の論争を反映している。
初期の「強制連行」論: 慰安婦問題が表面化した当初、一部の主張では、日本軍が直接、あるいは官憲を通じて女性たちを強制的に連行した、というイメージが強く打ち出されていた。
「強制連行」の定義を巡る議論: しかし、その後の研究や資料公開により、「銃剣による拉致」のような狭義の「強制連行」を直接示す公的証拠は見つかりにくい、という見解も強まった。
「強制性」の拡大解釈: これに対し、慰安婦制度における「強制性」を、物理的な連行の有無だけでなく、当時の社会状況(貧困、身分制度、人身売買の横行)、業者による詐欺・甘言、慰安所での移動の自由の制限、暴行・虐待など、より広い意味で捉えるべきだとする「広義の強制」の概念が提示されるようになった。これは、直接的な物理的強制がなくても、意思に反する労働を強いられる状況があれば「強制」であるという考え方である。
小林の立場: 小林は、この「広義の強制」といった概念の導入を、本来の「強制連行」という言葉が示す意味が揺らいだ後の「後出しジャンケン」のようなものと捉え、議論を曖昧にするためのレトリックであると批判しているのだ。彼は、慰安婦たちが置かれた悲惨な状況は認めつつも、その原因を当時の日本社会や個人の事情に求める傾向があり、日本国家や軍の責任を「強制連行」という形で追及することに強く反対している。
小林のこの批判は、慰安婦問題における言葉の定義、特に「強制」という言葉が持つ意味合いと、それが政治的議論の中でどのように利用されうるか、という点に焦点を当てている。
慰安婦強制連行の論争
慰安婦の強制連行とは
第二次世界大戦中に日本軍が慰安婦を動員した方法に関する問題で、史実かどうかについて見解が分かれ、論争の的となっている。
主な論点と経緯
論争の始まり: 1990年代に国会で疑惑が提起され、議論が本格化した。
日本政府の見解: 日本政府は、慰安婦は国家総動員法の対象外であり、強制連行を裏付ける公文書は見つかっていないと否定している。
研究者の主張: 一部の研究者は、日本政府が関連資料を破棄したり非公開にしていると主張している。
混同されやすい点: 戦時中の女子挺身隊(女学生が工場労働などに動員されたもの)と慰安婦の強制連行説が混同されることがある。
吉田清治の証言: 吉田清治の証言は、慰安婦の強制連行に関わった貴重な証言とされたが、後にその信憑性が疑問視された。
金学順の証言: 1991年に金学順が元慰安婦として名乗り出ると、朝日新聞や北海道新聞が「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され…売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』」と報じた。しかし、金学順本人は挺身隊として動員されたとは語っていない。
朝日新聞の報道と政府の謝罪: 1992年、朝日新聞が吉見義明による資料の発見を報じたが、これは以前から公開されていた文書であり、強制連行を直接示すものではなかった。しかし、この報道をきっかけに、当時の宮澤喜一首相が韓国で謝罪する事態に至った。
この問題は、歴史認識を巡る国際的な論争の重要なテーマとなっている。詳細については、以下のWikipediaページを参照。
吉見義明の慰安婦強制連行論
吉見義明は、1946年生まれの日本の歴史学者で、主に日本近現代史を専門としている。中央大学商学部の名誉教授であり、日本の戦争責任資料センターの共同代表も務めている。
彼の研究の中心にあるのは、日本の戦争責任問題、戦時下の民衆社会、そして戦争体験がどのように受け止められたかという歴史である。吉見は、「かつての侵略戦争を反省し、慰安婦問題を解決していくことが、日本人の新たな自信と誇りにつながる」という持論を持ち、日本の慰安婦や日本軍による毒ガス戦など、「日本軍によって被害にあった声を日韓の若い人に伝え受け止めてもらう」ことを自身の使命と考えている。
人物と主な主張
吉見は、慰安婦問題を「日本による性奴隷制度」であり、「日本の戦争責任と戦争犯罪、そして植民地統治の責任問題である」という立場から積極的に活動している。彼の運動は、第二次世界大戦中のドイツにおける性暴力問題の解明を促進したり、植民地支配の責任を問うアフリカの人々に勇気を与えたりするなど、世界に大きな影響を与えたと主張しており、慰安婦関連記録のユネスコ世界記録遺産への申請を働きかけている。
慰安婦問題に関する主張
吉見が慰安婦問題で広く知られるようになったのは、1992年に防衛庁防衛研究所図書館で閲覧した慰安婦関連資料を朝日新聞に提供したことがきっかけであった。

1. 主張の背景と朝日新聞報道への関与 1992年1月11日、朝日新聞は吉見氏の提供資料に基づき、「慰安所への軍関与示す資料」という一面記事を掲載した。この中で吉見は、軍の慰安所が強姦事件の多発を受けて設けられたこと、軍の関与は明白であること、そして元慰安婦への謝罪と補償が必要であるとコメントした。この記事は当時の宮沢喜一首相の訪韓直前に掲載され、日本政府の「お詫びと反省」談話や宮沢首相の「軍の関与を認め、おわびしたい」との発言に繋がった。
2. 主張への批判と吉見の反論 吉見が提供した「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という資料について、一部からは「悪質な業者の不統制な募集を防ぐための『善意の関与』を示すものであり、朝日新聞が報道するような強制性を示すものではない」という批判が出た。これに対し吉見は、通達の主旨は軍が業者を管理することであり取り締まりの励行ではないこと、また朝鮮や台湾で同様の書類が見つかっていないことを指摘して反論している。
3. 朝日新聞報道以降の活動 1992年の報道以降、吉見は慰安婦関連の研究を継続し、著作や発言を重ねている。現在は、戦争と女性の人権博物館の呼びかけ人や、日本軍慰安婦問題の立法解決を求める署名活動にも関与しており、2019年にはドキュメンタリー映画『主戦場』にも出演した。
4. 研究アプローチ 彼は、日本の慰安婦に関する論争において、大本営発表のような信頼性の低い公文書に基づくアプローチは意味が薄いとし、被害者の「証言」(オーラル・ヒストリー)から証明を行うアプローチも重要視している。(⇒逆に、”慰安婦=性奴隷"説を否定するラムザイヤー教授は、バイアスがかかっているとして"元慰安婦らの証言集”を一切排除する研究姿勢を取っている。)
5. 強制性の定義 吉見は、慰安婦制度における「強制性」について、1910年の「婦女売買に関する国際条約」の「詐欺・暴行・脅迫・権力乱用などにその他一切の強制手段」や、戦前の刑法における「略取及び誘拐の罪」に違反する行為と定義している。また、自由意志で慰安婦となった女性についても、貧困や失業、植民地支配といった広義の強制の結果であると主張している。
6. 軍の関与の具体例 吉見は、軍の関与を示す具体的な例として、上海派遣軍(1932年)、中支那方面軍(1937年)、第十軍(1937年)、北支那方面軍(1938年)、海軍部隊(1939年)などが慰安所の設置や特要員(慰安婦)の徴募を指示した事例を挙げている。ただし、歴史学者の秦郁彦は、軍の関与自体は研究者の間で異論がなかったとし、朝日新聞の報道が「国としての関与を認めてこなかった」と報じた点を批判している。
7. 慰安婦=性奴隷制度主張 吉見は、日本軍が女性を「性奴隷」とする制度を運営していたと主張している。彼は、元慰安婦の訴訟における東京地裁の認定事実に基づき、慰安婦が居住や外出、廃業、拒否の自由がない「性奴隷制」であったと定義している。
8. 被害者数と日本軍の責任 慰安婦の被害者総数を8万〜20万人と推定している。また、「狭義の強制」(奴隷狩りのような連行)の資料はないことを認めつつも、河野談話の「甘言と強圧など全体的に本人の意志に反してなされた」という部分を根拠に、日本軍が業者と一体となって人身売買を助長したとし、国家の法的責任は避けられないと主張している。
9. 日本の賠償責任 日韓基本条約を「請求権問題を整理した条約」と位置づけ、植民地支配の責任を認めていない不完全な内容であると評価している。そのため、同条約によって慰安婦問題が解決されたと考えるのは認識不足であると主張している。
10. 日本軍慰安所の特異性主張と批判 吉見は、日本軍「慰安婦」制度のような国家による組織的な性奴隷制を有していたのは、日本とナチス・ドイツだけであったと主張しているが、2007年にはニューヨーク・タイムズの取材に対し、国家による組織的な売春システムを運営したのは日本のみであると回答している。これに対し、池田信夫などからは、他の国や軍にも類似の施設が存在したことを指摘し、吉見氏の発言を批判する意見も出ている。
論争・批判
アジア女性基金への批判: 政府予算ではなく民間からの募金が使われた方針に批判的で、基金への参加を拒否した。
橋下徹への類似制度の否定: 橋下の「他国も同じようなことをしていた」という発言に対し、「軍の施設として組織的に慰安所を作った国はほかにない。日本の慰安婦制度は特異だった」と反論した。
慰安婦合意否定: 日韓合意の白紙撤回を主張しており、合意を受け入れた被害者への非難につながるという批判も受けている。
捏造批評への訴訟と棄却: 自身の著書『従軍慰安婦』を「捏造」と発言した桜内文城元衆院議員に対し名誉毀損で提訴しましたが、東京地裁、東京高裁、最高裁で請求が棄却され、最終的に敗訴が確定した。
著作
吉見氏の主な著作には、慰安婦問題や毒ガス戦に関する単著や共著、編纂史料などがある。
単著: 『従軍慰安婦』(岩波新書)、『毒ガス戦と日本軍』など。
共著: 『共同研究 日本軍慰安婦』、『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』など。
編纂史料: 『従軍慰安婦資料集』など。
吉見義明氏は、日本の戦争責任、特に慰安婦問題に関する研究と活動を通じて、日本の歴史認識に大きな影響を与えてきた人物と言える。
amazonレビュー
サトぽん ★★★★★
吉見義明が「広義」の強制連行を捏造したと言うデマについて
このレビューは、吉見義明氏に対する「広義の強制連行」を捏造したという批判が、いかに事実に基づかないデマであるかを詳細に反論し、その起源が秦郁彦にあることを明らかにしている。
レビューの要点と背景
レビューは、昨今の朝日新聞による慰安婦報道に関する騒動以降、吉見義明氏の著作に寄せられる「広義の強制連行」捏造論に対する反論として書かれている。
デマの存在と拡散:
吉見が「広義の強制連行」概念を捏造したという批判が、Amazonレビューやブログ(小林よしのり、池田信夫など)で蔓延している現状を指摘している。
筆者は、これらが悪質なデマであり、訂正の必要性を感じていると述べている。
「広義の強制連行」概念の真の発明者:
レビューの核心は、「狭義の強制連行」「広義の強制連行」という区別を最初に提唱したのは吉見ではなく、意外にも秦郁彦であるという事実を提示している点である。
秦の1992年9月号の「諸君!」での発言が引用され、吉見の『従軍慰安婦資料集』(1992年11月)よりも先にこの概念が存在していたことが示されている。
吉見は、秦が提唱した「狭義の強制連行」という概念が存在する以上、「広義」も当然あるという論理で、その定義を用いて論を進めていたに過ぎないと解説している。
秦郁彦の意図:
秦がこの区別を「発明」した理由として、元慰安婦への国家賠償の必要性を「官憲の職権を発動した『慰安婦狩り』ないし『ひとさらい』的連行」の有無、つまり「狭義の強制連行」の有無で線引きしようとしたことを指摘。
秦がこの線引きを、道義的責任を問う議論にも拡大していったと述べ、その「強制連行」定義が当時としては「特殊」であったと論じている。
当時の「強制連行」の一般的な定義:
韓国の挺対協による『証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち』(1993年)では、当時の国際条約「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」第2条を引用し、「詐欺または、暴行、脅迫、権力乱用、その他一切の強制手段」による慰安婦動員を「強制連行」と定義しており、これには狭義も広義もない極めて明快な基準であったことを強調している。
この証言集には、軍人の関与はなくても、日本人巡査による連行や、朝鮮からの輸送段階での軍の関与、官斡旋の事例も含まれていることを具体的に挙げている。
吉見の潔白性:
読売新聞や文藝春秋でさえ、吉田清治証言を巡る朝日誤報騒動の最中に吉見への公然たる攻撃ができなかった事実を挙げ、吉見が批判の余地のない研究者であることを示唆している。
秦が元慰安婦の証言を「娼婦は話を盛る」と批判したことにも言及しつつ、秦自身がかつて慰安婦強制連行説を提唱していた矛盾も指摘している。
秦と西岡力との連携:
西岡力が朝日新聞攻撃において秦と連携していた経緯を、西岡自身の論文を参照する形で示し、このデマの背景にある利害関係についても触れている。
吉見義明の立場:
まず、吉見が"狭義の強制連行"を認めない、というのは、「日本軍や官憲が銃剣などで直接女性を拉致・誘拐した」といった、物理的な力による連行の事実を示す公文書や統一的な証拠は、日本の占領地(特に朝鮮・台湾)では確認されていない、という彼の研究に基づいている。すなわち、強制連行の「書類の証拠はない」と言ったのであって、”狭義の強制連行はなかった”と、言った訳ではない、とした上で、『従軍慰安婦をめぐる30のウソと真実』でこう述べている。
「官憲による奴隷狩りのような連行」が朝鮮・台湾であったことは、確認されていない。また、女子挺身勤労令による慰安婦の動員はなかったと思われる。・・・しかし、「官憲による奴隷狩りのような連行」が占領地である中国や東南アジア・太平洋地域の占領地であったことは、はっきりしている。」
吉見の議論の核心は、国際条約を踏まえて、狭義・広義を超える「強制性」の実態を明らかにすることにある。
「強制性」とは何か?
吉見が主張する「強制性」とは、単なる物理的な連行の有無にとどまらず、女性たちが慰安婦にさせられた過程と慰安所での生活において、本人の自由な意思が著しく制限され、拒否することが困難な状況に置かれていた、という複合的な強制性を指す。具体的には、以下の要素が含まれる。
1) 騙し、詐欺、甘言による募集:
貧困にあえぐ家庭の娘たちが、「工場の女工」「看護婦」「良い働き口」といった虚偽の募集内容に騙されて連れて行かれるケースが多々あった。斡旋業者は、高額な前借金を提示するなどして女性たちを誘い込んだ。
吉見は、こうした騙しによる募集も、結果として女性たちの自由な意思を奪うものであり、強制性を示していると主張する。
2) 経済的・社会的圧力:
当時の植民地社会における極度の貧困は、女性やその家族を追い詰め、やむを得ず売春を斡旋業者に委ねる選択をさせる大きな要因となった。家族の借金返済のため、あるいは幼い弟妹を養うために、自ら慰安婦となることを「選択せざるを得なかった」状況も、強制性を示していると吉見は考える。
3) 業者による暴力・監禁・拘束:
慰安所の経営者(業者)や、女性を連れてきた斡旋業者による暴力、監禁、移動の制限、高額な借金(前借金)による束縛など、人身売買的な要素が強く存在した。女性たちは、一度慰安所に入ると、容易にはそこを離れることができない状態に置かれた。
吉見は、こうした業者の行為が、軍の黙認や制度の下で行われていたことを指摘する。
4) 日本軍の制度的関与:
吉見が最も重視するのは、日本軍が慰安所の設置、管理、運営に深く関与していたという点でである。彼が発掘した公文書(吉見資料など)は、軍が慰安婦の募集を業者に指示し、慰安所の衛生管理や兵士の利用規則を定めていたことを示している。
軍が関与することで、慰安所の存在が公認され、女性たちが「軍の管理下」に置かれることになり、逃亡の困難さや、軍による組織的な性搾取の構造が生まれたと吉見は主張する。これは、たとえ直接の「人狩り」がなかったとしても、軍がこの制度を運用したこと自体が、女性たちへの「強制」であるという見解である。
5) 戦時下の特殊な状況:
戦時下という特殊な状況下で、女性たちは故郷から遠く離れた異国の地へ連れて行かれ、逃亡や自由な行動が極めて困難であった。戦場という環境自体が、女性たちの自由を奪う強力な強制力として作用したと吉見氏は論じている。
吉見の言説が意味するもの
吉見の「強制性」の概念は、慰安婦問題を「単なる売春」と片付けようとする見方に対し、女性たちの意思がどのように侵害され、搾取されたのかという点を深く掘り下げようとするものである。彼は、個々のケースで物理的な連行の有無が異なっても、慰安婦制度全体が女性たちを意に反して拘束し、性的な労働を強いた構造を持っていたことを問題視している。
彼の研究は、単一の「強制連行」という言葉に囚われることなく、制度全体に内在する様々な形態の強制性を明らかにすることで、慰安婦問題が単なる個人の売春行為ではなく、軍が関与した組織的な人権侵害であったという認識を確立しようとするものである。
日本軍慰安婦強制連行説を批判する主な論者
1) 秦郁彦『慰安婦と戦場の性』
著者: 秦郁彦は、現代史、特に日本の戦争責任に関する研究で知られる歴史学者である。
概要・主張:
慰安婦制度の全体像を多角的に検証し、当時の公娼制度との関連性を重視している。
慰安婦の募集には、民間業者が関与し、詐欺や誘拐といった問題はあったものの、日本軍や官憲による組織的かつ広範な「強制連行」はなかったと主張している。
慰安婦の証言の信憑性や、一部の証言における矛盾点などを指摘し、慎重な史料批判の必要性を訴えている。
河野談話の作成過程や、慰安婦問題が国際政治に与えた影響についても論じている。
ポイント: 緻密な文献調査と実地調査に基づき、慰安婦制度の実態を「業態」として捉え、当時の日本社会における公娼制度の延長線上に位置づけることで、「性奴隷」といった表現や、広範な意味での「強制連行」論に批判的な立場を取っている。
貧困や就職詐欺、戦地での軍規違反のケースまで含める吉見の「広義の強制連行」論に秦郁彦は「この論理を適用すると、当今の霊感商法やねずみ講のたぐいまで、国は被害者への補償責任を負うことになってしまう」と批判している(『慰安婦と戦場の性』p.379)。
2) 西岡力『よくわかる慰安婦問題』
著者: 西岡力は、北朝鮮問題や歴史問題に詳しい麗澤大学教授である。
概要・主張:
慰安婦問題の「嘘」や「誤解」を解き明かすことを目的としており、特に韓国側の主張や挺対協(現:正義記憶連帯)の活動を批判的に検証している。
「強制連行」の証拠とされる資料が誤解に基づいている、あるいは存在しないことを主張し、慰安婦は高額な前借金と引き換えに募集された売春婦であったという見解を示している。
元慰安婦の証言について、記憶の曖昧さや政治的意図による改変の可能性を指摘し、客観的な証拠に基づく議論の重要性を強調している。
慰安婦問題が日韓関係や日本の国際的評価に与える影響についても言及している。
ポイント: 特定の政治的立場からの慰安婦問題に関する韓国側の主張を強く批判し、異なる解釈を提示している点が特徴である。
3) 藤岡信勝、自由主義史観研究会『国難の日本史』
著者: 藤岡信勝を中心に、自由主義史観研究会のメンバーが執筆している。
概要・主張:
この書籍は慰安婦問題に特化したものではないが、日本の近現代史全体を「自虐史観」ではない視点から捉え直すことを目指している。
慰安婦問題についても、日本軍による組織的な強制連行はなかったとし、当時の募集方法や軍の関与は、既存の公娼制度の範囲内で行われたと主張している。
歴史教育における慰安婦問題の取り扱いに批判的で、感情的な議論ではなく、史実に基づいた冷静な議論を求めている。
ポイント: 「自由主義史観」という立場から、日本の歴史認識、特に戦後の歴史教育における「負の側面」の強調に対する疑問を呈し、慰安婦問題もその文脈で論じている。
歴史戦・概要『朝日新聞による慰安婦報道が、海外における性奴隷としての認識に影響、クマラスワミ報告や中国、韓国、国外の歴史認識を歪め、日本が強制連行を認めたという国際認識をつくりだした河野談話を批判、性奴隷、強制連行、20万人という認識の拡散の原点であるとして厳しく糾弾するとともに、捏造はどのような構造でどのように行われてきたかを分析、朝日新聞の報道を「反日」であると展開、また、中国は謀略の国、国連は「反日」に利用されているとし、慰安婦の捏造が広まっている現代における「戦い」であると強調、朝日新聞、中国、韓国とどう戦うかについて論説を繰り広げた。』
吉見名誉毀損訴訟裁判
吉見義明教授(中央大学名誉教授、日本近現代史)が起こした名誉毀損訴訟は、2013年から2016年にかけて争われたもので、その経緯は以下の通りである。
裁判の経緯
訴訟の背景と発端(2013年5月):
2013年5月27日、当時の橋下徹大阪市長が日本外国特派員協会で慰安婦問題に関する記者会見を行った際、同席していた桜内文城・元衆議院議員(当時、日本維新の会所属)が、吉見教授の著書について「これはすでに捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかにされています」と発言した。
桜内氏が「捏造」としたのは、吉見教授の日本軍「慰安婦」研究の成果、特に「慰安婦は性奴隷」という記述が含まれる著書(吉見義明『従軍慰安婦』(岩波新書、1995年)の英訳書などが対象と考えられる。
提訴(2013年7月):
吉見教授は、20年以上にわたり日本軍「慰安婦」の実態を研究してきた自身の研究者としての業績を「捏造」と公言されたことは重大な名誉毀損であると認識。
桜内氏に対し、この発言の撤回と謝罪を求めたが、拒否されたため、2013年7月26日に名誉毀損による損害賠償(1200万円)と謝罪広告の掲載などを求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。
裁判の争点:
裁判では、桜内氏の発言が名誉毀損に該当するかどうかが争点となった。特に、「捏造」という言葉の解釈や、日本軍「慰安婦」=「性奴隷」論の是非についても議論が及ぶ可能性が指摘された。
桜内氏側は、発言前に吉見教授の著書を読んでいないことを認めつつも、「性奴隷」とする研究内容が「捏造」だと主張した。また、秦郁彦氏が桜内氏側の証人として出廷し、「慰安婦は性奴隷であったという説は捏造と言って差し支えない」旨を発言している。
東京地裁の判決(2016年1月20日):
東京地方裁判所(原克也裁判長)は、吉見教授の訴えを棄却し、吉見教授が敗訴する判決を言い渡した。
判決は、桜内氏の発言が「原告の社会的評価を低下させる名誉毀損に該当する」と認定したものの、「捏造」という言葉を「誤りである」「不適当だ」といった程度の意味に限定的に解釈し、「意見ないし論評の域」であるとして、発言の違法性はないと結論付けた。
吉見教授側は、この判決を「不当判決」と強く批判し、「自分の本が捏造と言われることは研究者にとって最大の侮辱であり名誉毀損。当然のことを裁判所が判断しなかった。強い憤りを感じる」と述べた。
控訴審(2016年5月~12月):
吉見教授は東京地裁の判決を不服として控訴した。
2016年12月15日、東京高等裁判所(第19民事部)も、吉見教授の控訴を棄却し、一審判決を支持した。高裁は、桜内氏の発言中の「これ」の指し示す意味が曖昧であり、必ずしも吉見教授の著書全体を指すとはいえないとした。
最高裁への上告:
その後、吉見教授は最高裁判所への上告をしたが、これも棄却され、吉見教授の敗訴が確定した。
この裁判は、日本軍「慰安婦」問題における歴史認識や学術研究のあり方、そして表現の自由と名誉毀損の線引きを巡る、社会的に大きな注目を集めた訴訟となった。吉見教授側や支援団体は、裁判所の判断が不当であり、学問の自由や研究者の名誉を守る上で問題があるとして、判決を強く批判している。
しんぶん赤旗
ハンギョレ新聞
週刊金曜日
「性奴隷」説を嫌う政府と合致――吉見教授の訴え棄却
『原裁判長は判決で、桜内前議員の発言は「原告の社会的評価を低下させる名誉毀損に該当する」と断定。その一方で「捏造」の意味を「誤りである」「不適当だ」等の意味に限定した上で、その発言には「違法性はない」と結論付けるという、矛盾した論理構成だ。
公判で桜内前議員は、発言前に吉見教授の著書を読んでいない事実を認めながら、教授の日本軍「慰安婦」を「性奴隷」とする研究内容が「捏造」だと主張。そのため裁判では、日本軍「慰安婦」=「性奴隷」論の是非が争点化した。
判決はこの点に触れていないが、問題は政府が「慰安婦」問題の責任を認めながら、「性奴隷」と見なすのを拒否している点。原裁判長は最高裁人事局付の同地裁判事補や検事も歴任し、「経歴からしても典型的な最高裁=国寄りの裁判官」(元裁判官)だ。「性奴隷」説は政府にとって目障りな存在であるのは間違いなく、教授の名誉救済を退けた今回の判決も、そうした政府の姿勢と無縁ではないだろう。』
朝鮮新報
レコードチャイナ
ianhu.cocolog
吉見裁判における東京高裁の不当判決に対する抗議声明 - DTI
産経新聞
藤岡信勝先生による「慰安婦=性奴隷」説を嗤う~吉見義明裁判勝利報告会
付録・AI:ラムザイヤー教授の視点から見た吉見義明教授らへの批判
ラムザイヤー教授の論旨は、主に「慰安婦は性奴隷ではなかった」という結論に至るために、吉見教授らが提示する「強制性」や「軍の関与」の解釈を批判する。
「広義の強制」は言葉の拡大解釈であり、史実の歪曲であるという批判
「契約」と「自由意思」の再定義: ラムザイヤー教授の立場では、当時の日本社会における売春制度(公娼)を歴史的文脈で捉えることが重要です。吉見教授らが「騙し」「経済的困窮」「身分制度」などを「広義の強制」として主張することに対し、ラムザイヤー教授は、これらは当時の多くの労働契約、特に「前借金」を伴う契約(例えば工場労働者や芸者など)において普遍的に見られた形態であると反論します。
彼は、「自由意思」を現代の絶対的な基準で測るべきではないと考えます。当時の人々にとって、高額な前借金は、家計を救うための「合理的」な選択肢であり、それが契約の基礎となっていたと主張します。吉見教授らがこれを「強制」と呼ぶのは、現代の価値観を過去に遡及適用する「遡及的判断(hindsight bias)」であると批判するでしょう。
したがって、業者による「甘言」や「詐欺」があったとしても、それは契約法上の問題や個別の犯罪行為であって、システム全体を「強制」と見なすべきではない、と主張します。
「軍の関与」は「強制連行」を意味しないという批判
管理・監督は軍の「職務」であったという認識: 吉見教授らが「軍が慰安所の設置を指示し、業者に募集を委託した時点で、募集過程の不法行為に対する軍の責任も生じる」と主張することに対し、ラムザイヤー教授の視点からは、軍の関与は兵士の衛生管理や士気維持、秩序維持といった、軍隊における「当然の職務」の一環であったとされます。
軍が慰安所を設置し管理したことは、兵士の健康(性病予防)と規律(性犯罪防止)を保つための措置であり、これは軍の兵站(ロジスティクス)の一部とみなされます。この関与は、女性を強制的に集める行為とは明確に区別されるべきである、という批判です。
「公的に認めた」ことの意味: 軍が慰安所の存在を「公的に認めた」ことで「業者の不法行為が黙認・助長される土壌が作られた」という吉見教授らの主張に対しても、ラムザイヤー教授は、当時の公娼制度が合法であった以上、軍がその制度の枠内で業者と取引することは、必ずしも不法行為の黙認を意味しないと反論するでしょう。軍の関与は、あくまで合法的な公娼制度の枠内で、兵士の需要に応じたものであったと見なされます。
証言の信憑性に対する批判
吉見教授らが元慰安婦の証言を重視することに対し、ラムザイヤー教授の立場は、長期間が経過した後の証言の記憶の曖昧さ、あるいは政治的・金銭的動機による証言の変容を強く指摘します。
彼は、客観的な文書資料(契約書、帳簿など)の方が、個人の記憶に基づく証言よりも信頼性が高いと考え、吉見教授らが「性奴隷」説の根拠とする証言には、そのような史料批判が不足していると批判するでしょう。
「構造的強制」は実証的ではないという批判
吉見教授らが主張する「構造的強制」という概念は、直接的な証拠に基づかない、抽象的な概念であると批判される可能性があります。ラムザイヤー教授は、契約や金銭の授受があった具体的な事実を重視し、「構造」という曖昧な概念によって個人の責任や契約の有効性を希釈しようとしていると見なすかもしれません。
まとめ
ラムザイヤー教授の立場から吉見義明教授らを批判する場合、核心となるのは、慰安婦が「契約に基づく売春婦」であり、彼女たちが受けた賃金や前借金による拘束は当時の社会における一般的な労働契約の範囲内であったという認識です。そして、軍の関与は管理・監督の範囲に留まり、吉見教授らが主張するような「強制性」や「組織的な人権侵害」は、歴史的事実の拡大解釈や現代の価値観の遡及適用である、と論じるでしょう。
ラムザイヤー教授の視点から吉見教授らの主張を見ると、「契約」と「当時の社会慣習」を重視し、軍の関与を「管理・監督」の範囲内と捉えることで、吉見教授らが主張する「広義の強制」や「構造的強制」といった概念を、拡大解釈であると批判する形になります。
この視点では、慰安婦の募集や慰安所での労働は、当時の日本の公娼制度や労働慣行の枠組みの中で理解されるべきであり、現代の「性奴隷」という概念を単純に当てはめるべきではない、という考え方が根底にあります。
李承晩TV・朱益鐘氏からの吉見教授への徹底批判
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