④母親の認知症(警察へ通報。在宅介護で直面した現実)
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▶︎前回のお話:③母親の認知症(認知症の宣告。酷くなる症状)
毎晩のように繰り返される母の怒鳴り声と、何かを探し回る音。
けれど、その日はいつも以上に、酷かった。
「ものがない」という怒りに任せ、力まかせにドアを叩きつけ、何度も何度も開け閉めを繰り返す。家中に響き渡る衝撃音と、収まる気配のない怒鳴り散らす声。
「私は知らない、盗っていない」
何度訴えても言葉は届かない。
「もう、私一人の手には負えない…」
私は警察へ通報した。
深夜12時過ぎ。
怒号と衝撃音が響く家の中にいられず、私はパトカーが到着するのを外で待っていた。
1台、また1台とサイレンを消したパトカーが到着。
警察官に、今の母の状況、そしてこれまでの経緯を話しました。
「危害を加える可能性はありますか?」という問いに、私は「このままヒートアップしたら、何をするかわからない。」と答えました。
「危ないと感じたら、すぐに家を出るように」
「誰か頼れる人は?」
そう聞かれ、隣に姉の家があることは伝え、けれど、そこへは行けない事情があり、愛犬を置いて他所へ行くことはできないと答えた。
警察官は、私の話を最後まで静かに聞いてくれました。
「署内で共有します。困ったことがあれば、またいつでも呼んでください」
身内には、自分で対応するように言われているのに…
これまでの経験から警察に対しては少し苦手意識があったけれど、その時はとても感謝した。
休日の昼下がり。
また始まった、母の「ものがない」という騒ぎ。
「お前のやってることは泥棒だぞ!」
「泥棒!泥棒!」
家中に響き渡る絶叫。
さらに母は、吐き捨てるように言った。
「警察に言うぞ!警察呼んだっていいんだからね!泥棒!」
「……じゃあ、警察を呼ぼう」
母の望み通り、私は警察に連絡をした。
警察が来るのを待つ間も、母の「泥棒」という叫びは止まらない。
その言葉を浴び続けることに耐えられなくなり、庭へ出た私を追って母が玄関まで出てきた。開け放たれた玄関に立ち、庭にいる私に向かって、叫び続ける。
「この泥棒!泥棒!」
ふと見上げると、近所の人達が窓を開け、心配そうにこちらを伺っていた。
隠しようのない、我が家の無惨な光景。
私を追いかけてきてまで、人前で「泥棒」と罵る母の姿。
やがて、パトカーが到着。
警察官が母のもとへ行き、ゆっくりと話を聞き始める。
すると、母は信じられないことを口にした。
「警察を呼ぶなんて、どういう子なんだろう!誰が警察なんて呼んだの?」
さっきまで、自分から「警察を呼べ」と叫んでいたことなど、もう母の記憶になく、警察官に向かって私への非難を始めた。
「あいつが盗ったんだ。」
警察官の
「どうしてそんなことをする?」
「嫌がらせだ。私を困らせるために、あいつがやってるんだ」
警察官が私のところへ来て、念のためにと確認する。
「……あなたが取りましたか?」
「そんな、めんどくさいことしません」
「ですよね」
その後、警察官が一生懸命に母をなだめ、私を庇ってくれている声が庭まで聞こえてきた。
「(娘さんは)昔からそういうことをしてたの?」
「しない。」
「そんなことしないでしょ」
母を否定せず、優しく諭すように話してくれる警察官の声。
親には泥棒扱い。
他人である警察官が庇ってくれている。
私は呆然と立ち尽くしていた。
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⑤母親の認知症(引き受けざるを得なかった身代わりの訳)
