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⑬ 母親の認知症 (進行する症状)

▶︎最初から読む:姫路への道のり-①母親の認知症
▶︎前回のお話:⑫母親の認知症(離れても続く母の罵り)

姉夫婦が海外へ赴任するにあたって、それに伴いケアマネジャーさんから「お姉さんが海外へ行く前に、一度ごきょうだいで今後のことを話し合ってください」と提案があった。
私たちは地域包括支援センターの一室に集まることになった。

集まったのは私、姉、妹の三人。ケアマネジャーさんと介護福祉士さんも同席してくれた。
話し合いは、まず「いま、母がどういう状況にあるか」という共有から始まった。

最初に話し出したのは、実家のすぐ隣に住む姉だった。
「今、『あいつが盗んだ』って話を毎日聞かされている……」
姉はうんざりした顔で口にした。
姉は人の愚痴を聞くのが苦手な人だ。母から毎日聞かされる私への悪口には、ほとほと嫌気が差しているようだった。

最近の母は、「あいつが盗みに来たのを見た」と言い出しているらしい。
「わざわざ車で2時間かけて盗みに来ない。笑」
私は思わず言った。
母には、私が盗みに来ている姿の幻が見えるらしい。母の症状は確実に進行していたようだ。

さらに母の行動はエスカレートしていた。

自分で業者を呼んで、私に泥棒に入られないように玄関の鍵を交換したらしい。

それだけではない。最近はクレジットカードのことを「魔法のカード」と言い出し、
「これさえあれば何でも買える」
「お金なんか残したってしょうがない」
そう言っては次々と買い物をしていたらしく、見かねた妹がカードを取り上げたそうだ。

「それからは『お金をくれ』って、私の家にもしょっちゅう電話がかかってくる」
妹はそう漏らした。

母の意識が私に向いているのは相変わらずだが、その余波が姉と妹にも広がり始めていた。


▶︎次回のお話はこちら
⑭母親の認知症(アクティブな母のプライド)

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