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デジタル環境問題 #1: この問題に名前をつけてみた

今まで「広告経済の次」というシリーズで現在の個人の情報環境 (スマホやSNS) にまつわる問題を議論してきましたが、問題の本質は「広告」ではないように思えてきたのでした。 (ご参考: 『問題は「広告」なのか?』)

では、この問題を何と呼ぶべきか?


考えたことをご紹介します。


前回検討した名前

前回の記事では、以下の三つの名前を検討しました。

  • 監視資本主義: 「監視」が国家による弾圧を想起させ、誤解を招く

  • アテンション・エコノミー:  メカニズムの説明に留まり、支配構造や倫理的問題に踏み込んでない

  • テクノ封建制: 否定的な意味の強い比喩のため、建設的な対話を妨げる

いずれも、「地球温暖化」のように広く受け入れられる名前としては、何か物足りない、と感じました。


そのあと検討した名前

そのあと、いくつか候補を考えてみました。

  • デジタル環境の非対称性: 個人と事業者の技術力・資本力の格差が拡大し続けている状況を正確に表現しているが、「非対称性」という言葉が抽象的で一般に伝わりにくい

  • デジタル主権喪失: 個人の自己決定権が奪われているという問題の本質を捉えているが、「喪失」が完了形に聞こえ、現在も進行中であるというニュアンスが弱い

  • プラットファーム (農場) 化: プラットフォームが個人を家畜のように扱いデータ搾取・行動誘導する「ファーム (農場)」と化している構造を端的に表現しているが、皮肉が強く、造語でもあるため、この問題自体を伝えるにはノイズになる可能性がある

これらも、それぞれ難があります。


「デジタル環境問題」

そこで私が提案したいのが「デジタル環境問題」という名前です。

環境問題」というアナロジーには、三つの利点があります。

第一に、包括的であること。
「環境問題」という言葉は、地球温暖化、海洋汚染、森林破壊など、様々な個別の問題を包含します。同じように、「デジタル環境問題」も、これまで議論してきた多様な問題——アテンションの搾取、スマホ依存、個人の主権喪失、フェイクニュース、フィッシング詐欺、ランサムウェア、社会的抑制の喪失、ネットいじめ/炎上、社会の分断など——これらすべてを一つの大きな問題として捉えることができます。

第二に、原因ではなく問題を指していること。
「環境問題」という言葉は、今起きている好ましくない状況を指し、特定の原因を断定していません。特定の誰かを犯人として追及しません。CO2を排出する企業も、電気を使う個人も、みな問題に関わっているが、誰が悪いという単純な話ではない。同じように「デジタル環境問題」も、プラットフォーマーを一方的に悪者扱いせず、構造的な問題として捉えることができます。

第三に、進行形であること。
「環境問題」が今も進行中であり、放置すれば取り返しがつかなくなるように、デジタル環境の問題も現在進行形です。経済活動の必然として構造的に進行しており、AIへの依存が深まれば、もう誰も止められなくなる。でも今なら、まだ対策できる——そういう問題の重要性と緊急性を、「環境問題」というアナロジーが表現してくれます。



というわけで、これからはこの問題を「デジタル環境問題」と呼んでみたいと思います。
もちろん、この名前も完璧ではないかもしれません。
コメント・提案、ウェルカムです!


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