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情報生活デザイン #8: もしスマホが「わたし」の幸せを優先してくれたら? その5

これまで「もしスマホが『わたし』の幸せを優先してくれたら?」というテーマで、いくつか思考実験してきました。

  • 文化の享受――広告や流行ではなく、本当に「わたし」に合った作品を味わうために

  • 社会との連携――世代や立場を越えて、「わたし」にとっての自然な関係をつなぐために

  • 思考の深化――誰かからの答えを得るのではなく、「わたし」自身で考えを積み上げていくために

  • SNSとの距離――「わたし」の注意と時間を、「わたし」の幸せのために使うために

今回は

  • 商取引の最適化――複雑な契約や料金体系の中から、「わたし」にとって最良の選択ができるように

について考えてみます。


(1) 個人向けサービスの複雑怪奇な料金体系

最近の個人向けの情報プラットフォームの料金プランは、年々複雑になっています。

例えば、通信キャリア。
通信容量の上限に応じたプランがあるのは、まあ良いでしょう。

そこに「家族割」「カード割」「光回線割」「〇ヶ月限定キャンペーン」などが重なります。
自分が最終的にいくら払うことになるのか、
自力では計算できません。

厄介なのは、「ポイント還元で実質〇〇円」という表現です。
多くの場合、キャンペーン限定になっています。
なのに、そのキャンペーンがいつ終わるかも明示されていない。
キャンペーン終了後、料金がどう変わるのか、損をせずに解約できるのかも不明です。

さらに、クレジットカードのポイント制度とも連動します。
動画配信サービスもセットでくっついてきます。
様々なサブスクリプションとの組み合わせ・・・
どこまででも複雑にできる構造になっています。

いったいなぜ、サービスの料金体系は
このように複雑になっているでしょうか?

(2) 複雑化の狙い

この複雑化は、偶然ではありません。

サービス提供者は、意図的に
価格体系を複雑化することで、
消費者が合理的に判断できない状況を
作り出している
のです。

ポイント制度を考えてみてください。

「ポイントが1%つく」、と言われれば、
消費者は「値引き 1%」と同等だと考え
損得計算
をします。

しかし実際には、
ポイント付与の上限があったり、
利用の期限があったり、
適用の条件があったりします。

結果として、
実質の還元率は
1% より大幅に低くなります

キャンペーン期間も同様です。
「キャンペーン期間は未定」とあると、
消費者は、キャンペーン適用を前提に損得勘定し、
もしキャンペーンが終了したら解約すればいい
などと考えます。

でも、
実際にキャンペーン終了したときには、
気づかなかったり、
面倒だったり、
解約の条件が判断できなかったりで、
結局、解約しない割合が一定数います

要するに、
サービス提供者は、
条件を複雑にすればするほど
消費者に対し、
実態と乖離した「得する期待」を持たせる
ことが
簡単になるのです。

(3) もし顧客が法人だったら?

もしこのサービス提供者が、
法人相手に同様の提案をしたらどうなるでしょうか?

法人の調達担当者は即座にこう言うでしょう。

「提案を整理し直してください。
ポイントではなく現金で割引してください。
契約期間と条件を明確にしてください。
キャンペーン終了時に解約する場合の、
手続きも明記してください。」

そもそも、サービス提供者は、
法人相手には「複雑化戦略」を採りません。

なぜなら、
法人には調達部門があり
「相見積もり」を取って
「合理的に比較検討」する
機能があります。
そして、見せ掛けの割引で
顧客を騙すような企業は
顧客の信用を失うからです。

(4) もし「わたし」専属の調達担当者がいてくれたら

例えば、「わたし」のことをよく理解している、
腕利きの調達担当者がいてくれるとします。

その調達担当者は、
複雑な料金体系を整理し、
他社と比較検討して、
「わたし」にとって最適な選択肢
教えてくれるでしょう。

キャンペーン終了も見張っていて、
必要があれば解約手続きも代行してくれる。

そんな世界があったら、
「わたし」は企業の複雑化戦略に振り回されることなく、
本当に自分にとって良いサービスを選べるはずです。


現在、私たち個人は
一人ひとり孤立して
企業の複雑化戦略と向き合わされています

でもスマホが「わたし」の味方になってくれるなら、
複雑な商取引でも適切な判断ができる。

そしてそれは、
現在のネットとAIをもってすれば、
十分実現可能
だと考えています。



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