見出し画像

働く女性の仕事と育児の両立を可能にするもの〜アメリカの現状から見据える日本の未来とコワーキングの果たす役割:今日のノート#667(2025-09-15)

#今日のBGM

#今日のコトバ

"私の名前はマルコ。看護師です。今日…廊下で静かに泣きました。誰も気づきませんでした。誰も大丈夫かと尋ねませんでした。
今朝、二人の患者が最期の息を引き取る間、私はそばにいました。息子を失った悲しみに暮れる父親を腕に抱きました。その後、疲れ切った目で私を見つめ、かすかな笑みを浮かべて「せめてこの世を清らかな状態で去れる」と囁いた老紳士の髪を洗いました。彼の手が私の手を握りしめました。別れを告げに来た家族は誰もいませんでした。
毎日、私は最善を尽くしています。ケアを。寄り添いを。温もりを。でもそのすべての中で、私はしばしば自分自身にほんの少しの優しさを与えることを忘れてしまいます。拍手や称賛を求めているわけではありません。ただ、何か簡単なこと。例えば「おい、マルコ」と声をかけてくれる誰か。
そうすれば、今日という日が、少しだけ孤独を感じずに済んだかもしれません。"
(Marco / nurse)

My name is Marco. I am a nurse. Today… I cried quietly in the hallway. Nobody noticed. Nobody asked if I was...

Posted by Weird and Amazing Things on Saturday, September 13, 2025

#「間借りコワーキング」しませんか?

カフーツでは、コワーキングの運営をやってみたい人にスペースをお貸ししています。
「間借りコワーキング」とは、誰か、仮にAさんがカフーツの当番をするのではなくて、Aさんのやりたいコワーキングを日頃はカフーツと呼んでいるスペースを使ってAさんが運営する、ということ。
つまり、その日はカフーツではなくて「Aさんコワーキング」になる。ピンと来たと思いますが、そうです、シェアキッチンのコワーキング版です。
詳しくはこちらを。

その「間借りコワーキング」をやりたい方を募集しています。フリーランサーや複業をお持ちの方、シニアや子育て世代の方、さらに現役高校生、大学生も大歓迎。一応、面接して何をおやりになりたいのかはお聞きしますが、どなたでも応募いただけます。
まずは、下記までメール、またはメッセンジャーでお問い合わせください。
メール → ito@cahootz.jp
メッセンジャー → https://www.facebook.com/kanzan10to9

#ペンクラブにご参加ください

コワーキングプレスでは、全国各地のコワーキングスペースとその周辺の人たちや出来ごとをリポートしていただく「コワーキングプレス・ペンクラブ」のメンバーを募集しています。

あなたの町のコワーキングのこと、旅先のコワーキングのこと、そこで出会った人たちのこと、気づいたこと、考えたこと、自由に書いてください。
詳しくはこちらを。

#トーキング・コワーキングVOL .37

次回のトーキング・コワーキングは、9月19日(金)の19時から。
ゲストは、東京都世田谷区の「コワーキングスペース100work」を運営されている吉澤 卓さんです。

参加費無料。
時間になりましたら、以下のYouTubeにアクセスください。

ぜひ視聴ください!

#働く女性の仕事と育児の両立を可能にするもの〜アメリカの現状から見据える日本の未来とコワーキングの果たす役割

昨日、コワーキングと育児について書いたところだが、今日もその話題です。

数日前、アメリカのニューメキシコ州が全住民を対象とした無料のユニバーサルチャイルドケアの提供を開始するという画期的なニュースが飛び込んできた。

所得に関係なくすべての家庭が保育費用を全額負担してもらうか、または費用の払い戻しを受けられるというもので、一家庭あたり年間平均12,000ドルの育児費用が節約できる見込みだという。それは有り難い。

ついでにこの計画には、州内の保育施設を新設、改修、拡張するための1,300万ドルの基金も含まれている。ますます、いい。

これはアメリカでの話だが、こと「育児」に関しては実は日本も同じような施策が必要な状況ではないか、あるいはその方向に進みつつあるのではないか、つまり決して他人事ではないと懸念している。

まず、そのアメリカの現状をいくつかの記事から拾ってまとめる。出てくる数字は非常にキビシイ。情報源の記事は末尾に貼っておく。

アメリカの働く女性が直面する厳しい現実

アメリカの職場では、残念ながら「母親であること」がキャリア上のペナルティとなるケースが非常に多いのが実情だ。多くの働く母親が、職場の偏見のために昇進の機会を逃し、キャリアが停滞する、あるいは出産を遅らせたり子供の数を制限したりするよう圧力を受けている。

Zetyの調査では、母親の87%が「子供を持つことがキャリアに悪影響を与えた」と回答し、半数が職場の課題のために子供を一人で諦めているという悲しい結果が出ている。

女性が親になる前から、「母性ペナルティ」と呼ばれるキャリアコストが既に意識されている。

76%の女性が、キャリアを確立するまで出産を遅らせるよう明確に言われ、その半数以上が実際にそうした

さらに、82%が「子供を持つとキャリアに悪影響が出る」と警告され、91%が「子供のいない女性の方が仕事に対してより献身的で有能だと見なされている」と考えている

こうした懸念は、いまだに母親であることを「負債」と見なすシステムが存在することの表れだ。

出産後も状況は好転しない。働く母親の87%が子供を持った後に昇進や機会を逃し、90%がキャリアパスを変更せざるを得なかった

ZetyのキャリアエキスパートJasmine Escalera氏は、「87%の母親が昇進を逃しているなら、変化が必要だという明確なシグナルだ」と指摘し、企業は公平で透明性のある昇進プロセスを監査すべきだと提言する。出産という行為がキャリアの全面的な再調整を引き起こす状況は、システムが働く母親に有利に機能していないことを明確に示している。

妊娠中も、職場での扱いは決して良いものではない。多くの企業が「働く親を支援する」と公言する一方で、実態は大きく異なる。

母親の84%が、自身の妊娠が職場で「不都合」と見なされたと感じており77%が上司に妊娠を伝えることを恐れていた。この認識は、出産後も続く。81%が、雇用主の都合に合わせるために産休の調整や短縮を求められたと報告している。

このような状況は、仕事が家族計画を積極的に左右していることを示している。

働く母親の57%が仕事の要求によって出産を遅らせたと報告し、87%が一人目の子供を持った経験が、二人目以降を持つかどうか、いつ持つかに影響したと答えている。

職場での困難のために、調査対象の母親の半数が意図的に子供を一人で止めることを選択したという事実は、雇用主が女性が家族を増やすかどうか、いつ増やすか、どのように増やすかに影響を与えているという由々しき実態を露呈している。

さらに、育児は女性に不均衡な「時間的貧困」をもたらしている。Gender Equity Policy Instituteの報告によると、共働き世帯において、アメリカの働く女性は男性の2倍の時間を育児と家事に費やし女性がパートタイムで働く場合は男性の3.8倍の時間を使っている

育児の責任、不十分な保育インフラ、企業の柔軟性のない休暇制度、そして無給のケア労働に対する暗黙のスティグマ(※)に直面した時、女性は「時間的貧困」を経験する。

(※)スティグマ=精神疾患、病気、性的指向など個人の属性に対して、周囲や本人によって負の烙印(不名誉、恥、偏見)が押され、差別や不当な扱いを受けること。

Mother Honestly Groupの創設者Blessing Adesiyan氏は、これが女性の経済的機会と力を阻害し、キャリアの中断やビジネス拡大の断念につながると指摘する。この時間的制約は、女性の精神的・肉体的健康にも悪影響を及ぼしている。

このような状況が、女性の労働力からの離脱を加速させている。2025年1月以降、20歳以上の女性212,000人がアメリカの労働力から離脱した一方で、男性は44,000人労働力に加わった。特に、5歳未満の子供を持つ25歳から44歳の女性の労働参加率は、2025年1月から6月の間に69.7%から66.9%に低下した

実際、Walrの調査では、最高経営幹部の3分の2近くが、オフィス回帰政策の直接的な結果として女性の不均衡な離職を目の当たりにし、その結果、採用の困難や生産性の低下を認めている。

こうした状況は、都市部の通勤スタイルにも影響を与えている。JLLの報告によると、マンハッタンのオフィスワーカーは、2025年には2019年と比べて平均13分早く退社しており、中には1時間も早くオフィスを出る人もいる

これは、主に午後6時までに子供を迎えに行く必要がある保育施設の送迎時間や、郊外への移住による長い通勤時間が優先されるためだ。

パンデミック以降、マンハッタンのオフィスワーカーには郊外からの居住者が45,000人追加され、特に共働き世帯の女性が柔軟な働き方を求めて郊外に暮らすケースが多いという。

厳しいオフィス回帰政策は、一部の家庭に、仕事の役割を見直したり、夫婦両方が働き続けること自体を再考させたりする事態に発展している。

働く女性が抱える問題が社会全体にもたらす損失

働く女性が直面するこれらの問題は、個人レベルに留まらず、社会全体に計り知れない損失をもたらしている。

個人のキャリア停滞や健康問題に加え、アメリカでは育児責任による生産性低下により、年間171億ドルから336億ドルの経済的損失が発生している。これは、女性の経済的機会と力を制限し、経済成長を阻害する。

企業にとっても、経済的成長や生産性向上を期待するのであれば、現在のシステムは機能しているとは言えず、社会全体で大きな代償を払っているのが現状だ。

問題解決に向けた提案と先進的な取り組み

この現状を変えるためには、やっぱり抜本的な改革が必要だ。まず、子育てを個人的な不都合として扱うのをやめ、公共の優先事項として認識し始めなければならない。そして、育児を後退ではなく「長所」と見なす考え方の転換が求められる。

具体的には、現金給付以上の構造、家庭における育児責任に関する文化を変え、「時間的貧困」に正面から向き合い、柔軟性を企業の方針に明文化すれば、経済成長を刺激できると主張している。

例えば、ナイジェリアのProvidus Bankでは、Mother Honestly Groupと協力し、リモートワークからハイブリッドワークへの移行期間を設ける「オンランプ・スケジュール」や、新米母親のための「短縮勤務日」を導入している。これにより、新米母親は貴重な時間を確保し、仕事と育児を両立することも有効だとされる。

さらに、雇用主は職場における支援制度や育児の選択肢に関する議論を始めるだけでなく、これらの議論が人事部門に限定されず、十分な可視性を持つようにする必要がある。これにより、育児に関する課題の解決が、すべての従業員の集中力と生産性を高める上で極めて重要であるというメッセージが伝わる。

あるアメリカの大手企業では、パンデミックが世界の女性労働者に与えた影響(She-cession)を認識し、新米親、特に母親が、育児と両立しながらも役割を成長させるために必要なリソースを持って仕事に復帰できるよう支援する社内プログラムを開発した。その結果、従業員が育児に関する話や課題を、報復を恐れることなく安心して共有できる、よりオープンなケア文化が育まれているという。

(冒頭の)ニューメキシコ州の無料ユニバーサルチャイルドケアプログラムは、これらの提言が具体的な政策として実現した一例だ。年間12,000ドルもの育児費用負担の軽減と、保育施設の拡大に向けた1,300万ドルの基金は、まさに「子育ては公共の優先事項」という考え方を体現するものだ。

と、まあ、これがアメリカの現状で、なかなか女性にキビシイ状況にある。

もちろん、これがそのまま日本でも当てはまるかどうかは判らない。そもそも雇用制度自体、随分違う。向こうは平気で首を切るからね。にしても、同じ轍を踏まないとも言い切れない。

で、考えてみた。

ローカルコワーキングが果たす役割

「出生率を上げ、経済参加を促進し、より公平な職場を築きたいのであれば、子育てを個人的な不都合として扱うのをやめ、公共の優先事項として認識し始めなければならない。
そのためには、公平な育児休暇、柔軟な労働政策、手頃な価格の育児、育児を後退ではなく長所とみなす考え方の転換といった構造的な変化など、現金の配給以上のものが必要である」。

ぼくはこの意見に全面的に賛成だ。そして、この「公共の優先事項」として子育てを解決する際に、ローカルコワーキングというコミュニティがハブとして、インフラとして、社会の公器として優位に機能すると考えている。

コワーキングスペースは、未だにIT系ワーカーがパソコンを持ち込んでキーボードを叩く場所、あるいは単なる作業場所だと誤解している人が多い。しかし、その認識はもはや時代遅れだ。

コワーキングはもっと多様な目的に活用できる活動拠点となる。そして地域に根ざしたローカルコワーキングは、育児をする女性、そして家庭全体にとって、柔軟な働き方を実現し、社会全体で子育てを支えるための強力な味方にもなり得る。

だから、(母親に限らず父親もだが)「コワーキング曼荼羅」が掲げるテーマには「育児」がある。

具体的に、ローカルコワーキングが果たしうる役割は大きい。 まず、自宅から近い場所で働ける環境を提供することで、通勤時間を大幅に削減できる。すると、保育園の送迎や子供の急な病気への対応が格段に容易になる。自宅で仕事をする際の誘惑や中断を避け、集中して業務に取り組む物理的な空間を提供できるのは大きな利点だ。

加えて、コワーキングスペースは単なる作業場所ではなく、多様な人々が集まるコミュニティのハブだ。ここでは、同じように育児と仕事を両立しようとする親たちが交流し、情報交換や助け合いができる。これが孤立しがちな育児中の女性にとって、精神的なサポートとなり、新たな視点や機会を生み出す可能性もある。

さらに、将来的には、コワーキングスペースが育児支援サービスと連携する、あるいは敷地内に託児スペースを設けることも考えられる。ニューメキシコ州が保育施設拡張のために基金を設けているように、地域コミュニティにおける育児インフラの一部としてコワーキングが機能すれば、女性は安心して仕事に取り組める。

先日紹介したこのイギリスの事例はその先端を行っている。

コワーキングをIT系ワーカーに限らず、多様な職種の人々が利用できる活動拠点として認識させることは非常に重要だ。例えば、地域で事業を営む女性起業家、クリエイター、フリーランス、あるいは在宅勤務の会社員など、様々なバックグラウンドを持つ人々がコワーキングを利用することで、新たな協業が生まれ、地域経済の活性化にもつながるだろう。

どこのまちにも「育児」というテーマを避けないコワーキングスペースが存在することは、女性が働きやすい環境を提供し、社会全体で子育てを支えるという観点から、強く望ましい。これは、昨日書いた記事とも通じるテーマであり、社会変革の一つの鍵を握る可能性を秘めている。

これは対岸の火事ではない

アメリカで働く女性が直面しているキャリアの壁、時間的貧困、そして労働力からの離脱といった課題は、日本でも今後直面する、あるいは既に直面しつつあることではなかろうか。

ニューメキシコ州の無料ユニバーサルチャイルドケアのような先進的な取り組みは、子育てを「公共の優先事項」として捉え直すことの重要性を示しているが、同じことを日本がいつ、どこまでできるのか。いや、そもそも考えているのかいないのか。

率直に言って、仕事が家族計画を左右している、というのはやっぱりおかしい。仕事は生きていくために大事なのはもちろん判る。しかし、仕事に人生を振り回されるのはまったく本末転倒ではないか。そう思わない、感じないこと自体が、我々の労働観、いや、人生観を狂わせてしまっている証拠だと思う。

ここはぜひ「時間貧困」にならないよう、我々の「自分時間」を取り戻すためのひとつの処方として、ローカルコワーキングの活用をオススメしたい。

ローカルコワーキングは、単なる作業場所を超え、地域における育児支援の新たなインフラとして、女性の働き方を支え、社会全体で子育てを分かち合うための重要な役割を担う。

以前からその萌芽はあったけれども(だから「コワーキング曼荼羅」に「育児」を入れた。ちなみにこれを初めて描いたのは2016年だ)、コロナ禍以降、その傾向は強まっていると思われる。(だから、こういうテーマの記事が毎日たくさん流れてくる)

コワーキングが提供する柔軟性とコミュニティの力は、働く女性がキャリアと育児を両立できる社会、そしてより豊かな未来を築くための鍵となる。

そのことを十分に意識しておきたい。

このテーマは、引き続き追いかけていきたい。

ということで、今日はこのへんで。

※参考・引用サイト

(トップ画像:Vitaly Gariev

ここから先は

0字

メンバーシップ ¥ 500 /月

「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」では、2010年に日本初のコワーキングス…

BASICプラン

¥500 / 月

最後までお読みいただき有難うございます! この記事がお役に立ちましたらウレシイです。 いただいたサポートは今後の活動に活用させていただきます。