見出し画像

【S1|形のルール】口が消えた #3

前の回を読む

第3話|私たちは、機能を見ていない


自動車のグリルは、空気を取り込むための装置だった。

そう説明されれば、
誰もが納得する。

けれど、私たちは本当にそれを“装置”として見ていただろうか。

街ですれ違う車を見て、
吸気効率を想像したことがあるだろうか。

たぶん、ない。

私たちは、
怒っている、と感じていた。

強そうだ、と感じていた。
やさしそうだ、と感じていた。

機能を理解していたのではない。

安心していたのだ。

見慣れた前面に。
見慣れたバランスに。
見慣れた“顔”に。

長い時間をかけて、それは冷却装置ではなく、
判断の拠り所になっていた。

だから、それが消えたとき、視線が落ち着かない。

失われたのは機能ではない。

拠り所だ。

私たちは、性能ではなく、前提に寄りかかっていた。

では、前提が消えたとき、
何を拠り所にすればいいのだろう。

つづく。

次の回を読む


連載一覧(マガジン)はこちら

D4G Worksについて
私が運営する「D4G Works」では、
デザインを通じて社会や生命の営みをより良くする実践を進めています。
詳しくはこちら → D4G Works公式サイト

※「何かがおかしい」と感じながらも言葉にできないとき、その多くは
前提の変化にあります。そうしたズレを整理することもできます。
言葉になる前のものを、構造として捉え直す


▼ 好評です!(タイトルの怪しさか?)

▼ 連作:余白の設計①

▼ 連作:余白の設計②


いいなと思ったら応援しよう!