【S3|身体性の哲学】ココロに響く声 —— 浸透する波長というデザイン #4
第4回|感じ取る力
声が合わないとき、
違和感は、いつも先にやってくる。
理由を考えるよりも前に、身体が反応してしまう。
この人とは、うまくいかないかもしれない。
そう感じるのに、はっきりとした根拠はない。
私たちは、感じ取ってしまう。
考える前に、判断してしまう。
あとから理由を探しているだけで、
順番はいつも逆だ。
第一印象は、
ほんの一瞬で決まると言われている。
0.2秒。
視線、表情、佇まい。
そして、声。
見た目の情報が大きいのは確かだ。
けれど、声が加わった瞬間、判断は一気に立体になる。
その人が、
どんな時間を通ってきたのか。
どこで無理をしてきたのか。
どこで踏みとどまったのか。
そういったものが、声を通して、まとめて届いてしまう。
だから違和感は、説明される前に現れる。
「何か変だ」という感覚は、
考えすぎでも、思い込みでもない。
身体が、これまでの経験を総動員して、
即座に答えを出しているだけだ。
この判断は、常に正しいわけではない。
偏りもあるし、間違えることもある。
それでも、
まったく根拠がないわけでもない。
感じ取る力は、
新しく身につけるものではない。
すでに、誰の中にもある。
失敗し、引き返し、選び直してきた、その長い時間が、
身体の中に沈殿している。
だから私は、この感覚を無視しない。
鵜呑みにもしない。
一度、立ち止まって、「来てしまった違和感」を
ちゃんと確認する。
声が合わないとき、
無理に合わせようとしない。
理由を言葉にできないからといって、
なかったことにもしない。
その感覚は、私の身体が出した、
最初のデザイン判断だからだ。
感じ取る力は、未熟さの証ではない。
むしろ、積み重ねてきた時間が、
自然に表に出た結果だと思っている。
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