クリスマスに向けて作った曲のコード/パートの構成/使用音源を解説してみる【サウンドクリエイターの小話】
こんにちは!サウンドクリエイターのKawです!
いつも私の記事に「スキ」を下さっている方々、ありがとうございます!
私は作曲家、サウンドクリエイターを生業とする傍ら、オンラインによるDTMレッスン教室【かわべの音楽工房】を運営し、DTM講師としても活動しております。
私のプロフィールも含め、【かわべの音楽工房】オンラインDTMレッスン
につきましては、下記の記事をご覧いただけますと幸いです。
さて、そんな私ですが、自身の楽曲制作活動の一環として音楽販売サービスに自作の曲を登録し、販売していたりもします。
そんな中で、季節ものの楽曲を登録する事も意外と(?)重要だったりもします。
今の時期だと、世の中はすっかりクリスマスムードに溢れていますよね。
そこで今回の記事では、上記のような音楽販売サービスにて実際に販売されている今年のクリスマスに向けて制作した曲を解説してみようと思います!
レッスンをご受講していただいている生徒の皆さん以外にはなかなかお見せする事のないようなところまでしっかりとご紹介してみようと思いますので、ぜひぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです!
今年のクリスマス曲はこんな曲!
それでは、早速本題に行ってみましょう!
今回の記事でご紹介させていただく曲は下記の動画から
どうでしょうか?
短めの曲ですが、それなりにはクリスマスっぽいですよね。
冒頭でチラっと書かせていただいたように、私は音楽販売サービスで自作の曲を販売していますので、この手のクリスマスっぽい曲は毎年のように制作していますが、今年は特にアップテンポな曲調としてみました。
近年は厳かで(?)ドリーミーな落ち着いたクリスマス曲ばかり制作していたので、今年はそれらとの対比をコンセプトとしました。
因みに、実際に販売されているサービスのページでは下記のように掲載されています。
それでは今回はこの曲を基に、色々と解説をして行ってみましょうか!
解説1.コード進行
先ずはコード進行についての解説から。
今回の曲のスケール(キー/調)はFメジャーです。
ファの音を主音とし、
ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ
の音階となるスケールですね。
ダイアトニックコードで見ると、
F・Gm・Am・B♭・C・Dm・Em♭5
のコードを基本とする形となります。
とはいえ、私が普段から制作する楽曲の多くは、この基本となるダイアトニックコードだけでは完結させず、ちょこちょことコードに細工を加えていたりもしますので、後でその辺も軽く紹介してみましょうか。
因みに、この曲のイントロ部分の4小節は、チューブラーベル以外ではパーカッション類くらいしかいないのでコードとしては厳密には満たしていないのですが、解釈としてはF → F6 → F → F6となるでしょうね。
先ず一度、イントロを除いた全体のコード進行を見てみましょう。
F → F9 → B♭M7 → E♭add9,♯11,13
B♭M7 → B♭7 → Fadd9/A
Gm7 → C → B♭ → FM9/A → C
F → Am7 → Dm → G9
B♭M7 → B♭7 → Fadd9/A
Gm9 → C7 → Fadd9 → F7/A
B♭ → Fadd9 → Gm9 → C7 → Fadd9
この曲のコード進行はこのようになります。
これを見て「あれ?」って思われた方はダイアトニックコードに理解がある方でしょうね笑
では、今度は、前半・後半・アウトロの3つに分解してみましょうか。
先ずは楽器隊がしっかりと入ってくる前半、5~12小節の部分から。
F → F9 → B♭M7 → E♭add9,♯11,13
B♭M7 → B♭7 → Fadd9/A
Gm7 → C → B♭ → FM9/A → C
前半のコードは上記のように進行していきます。
一段目の進行はアウフタクトを考慮しなければ、基本的に1小節にひとつのコードとなりますが、なんせテンポ(BPM)は200と、なかなか速めの曲となりますので、前半だけでも9秒ほどで過ぎ去って行ってしまいます。
先ず最初のF。これはいいでしょう。
このスケールのトニックですからね。
ではその次のコードはF9。
このコードの構成音は…
ファ・ラ・ド・ミ♭・ソ
早速スケールにいない音が含まれているコードになりました笑
Fのコードに対して、本来このスケールに含まれないはずのミ♭、つまり7thの音が入っているんですね。
しかしFのコードに7thが入るという事は…
すなわちB♭系のコードに繋がりやすくなる、と言えますよね。
あまり詳しく書くと文字数が大変な事になりそうなので、よくわからない方は「まぁそうなんだろう」程度に読んでもらえればと笑
さらにコードはB♭M7 → E♭add9,♯11,13と続きます。
初めのB♭M7はサブドミナントなので特に変わったことはありませんが、その後の E♭add9,♯11,13。
ついにルート音(根音)すらもスケールにいないコードになっていますね笑
これも何故そんなコードが使えるのかについてをここで詳しく書くと大変なので割愛しますが…この手の進行、大好きなんですよ笑
ちゃんと理屈も通ってますしね。
因みに、このE♭add9,♯11,13というコード、解釈によっては「F9/E♭なんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的には「ここはE♭だ」と言いたいですね。
そうであればドミナントモーションだと解釈できますからね。
話を戻して、前半部分はその後も似た様な感じですね。
B♭にスケール外の7thの音を入れていたり、オンコードを利用していたりと、ちょこちょこと小細工は仕掛けていますが、別段特殊な事はしていないコード進行です。
次は後半、13~20小節までの部分です。
F → Am7 → Dm → G9
B♭M7 → B♭7 → Fadd9/A
Gm9 → C7 → Fadd9 → F7/A
曲の構成としては「もうひと回し目に入った」と感じてもらえる箇所ですが、注目したいのは一段目の進行が前半とは違うというところでしょう。
F → Am7 → Dmと来て、G9です。
Gm9の書き間違いではないですよ?
Gメジャーのナインスです。
構成音で言うと…
ソ・シ♮・レ・ファ・ラ
となりますね。
良いですよねぇ、本来はマイナーとなるⅡのサブドミナントをメジャーにするの。
こういう時に使いたくなります。
DTMerの皆さんも結構よく使われているのではないでしょうか?
その後はまたしれっとシを♭に戻して、前半と同様に進行していきますが、最後だけまた小細工を仕掛けてますね。
Fadd9で解決させた後にF7/Aです。
メジャーのトニックを聴かせておいてから、スケール外の7thを加えて「この後もなんかあるよ」と思わせる手法ですよね。
これもまた多用されがちな手法ですので、使っている方も多いですよね。
さあ、そして最後はアウトロの21~24小節の部分です。
B♭ → Fadd9 → Gm9 → C7 → Fadd9
この辺りはいたって平凡ですね笑
この部分で個人的に面白さを感じたのは、今までさんざんメジャー7thなりを付けていたにも関わらず、いきなりそれらを取っ払ってB♭のコードをそのまま使い"落とし感"を出している点でしょうか。
曲全体として慌ただしさを表現して突っ走ってきた印象ですが、最後に少し優しい部分を入れてあげて、短い曲でもストーリー性を感じてもらえるようにアレンジしていますね。
このように、比較的シンプルな曲ではありますが、コード進行ひとつとっても実は細々と工夫をしていたりする、という点を知っていただけたら嬉しいですよね。
解説2.大まかなパート別の動画
さて、次は各パートの構成を見てみましょうか。
今回は各パートを大まかに分けた個別の動画をご用意してみました。
先ず最初は【ドラム&パーカッション&ベース】のリズム隊の動画から。
ノート(音符)のカラーでは、グレーがドラムやパーカッション類。
濃いめの青がベースとなります。
(※サスペンドシンバルやウインドチャイムなどはオーディオサンプルの為ノートには表示されていません)
クリスマスっぽくスレイベルを「シャンシャン」と四分音符で刻んでいますが、ドラムはいたってシンプルですよね。
ビートがシャッフルしているくらいで、必要最低限といったところでしょうか。
ドラムにおいて、個人的に少し"ミソ"となる点は、クラッシュなどのシンバル類のバランスを下げているところですね。
今回の曲では、サスペンドシンバルなどのドラムとは別のシンバルの方が重要であると考えますので、クラッシュ類は控えめな音量としています。
また、ドラムの右手は基本的にライドシンバルを叩いていますので、ハイハットはペダル奏法のみとなっていますね。
もう一つはベースですが、こちらはこの手のビートにありがちなウォーキングベースの動きを基本としています(シンコペーションしている箇所も多いですが)
所々コード外の音もアクセントとして入っていますが、それ以外は特に変わった事はしていませんよね。
では、次は【ピアノ&ハープ&チューブラーベル】のセクションの動画を観てみましょう。
ノートのカラーでは、水色がピアノ。
緑色がハープ。
明るい黄色がチューブラーベルとなります。
こちらのセクションでは、ハープやチューブラーベルはアクセント程度に入っているだけなのがわかるかと思います。
一方ピアノは、私の曲にしては(?)控えめな動きとなっていますね。
基本的にはコードの主要な音を押さえているだけで、多少のリズム作りはあれどいたってシンプルなパートとなっています。
また、ピアノに関してはサスティンペダルを使用していますので、ノートが切れていても実際は音が伸びている、という箇所がある点はあしからず。
次は【トランペット&トロンボーン】のブラスセクションの動画を観てみましょう。
ノートのカラーでは、黄色がトランペット。
オレンジ色がトロンボーンとなります。
こちらのセクションでは、トランペットパートはグリッサンド(グリスダウン/フォール)奏法によって、元気な印象のアクセントをつける役割と、各フレーズの最後の辺りでは、コードを補うような役割を持たせています。
ブラスが強調されるタイプのアップテンポな楽曲では、よくあるアレンジですね。
一方、トロンボーンパートはピアノと同じく多少のリズム作りはあれど、基本的にコードの構成音の一部を演奏しつつ、トロンボーンらしいサウンドとモーションとなるよう、音を積み上げています。
また、このブラスセクションのパートでは、ある程度は和声学的なアプローチを無視しているという点も面白いところでしょうか。
オーケストラのようなジャンルの楽曲を制作する際には、基本的には和声学を意識した音の積み方を重視しますが、今回の曲のようなジャンルではむしろ大胆に無視してみるという事もアリかと思います。
その方が「それっぽくなる」という事は、この記事をご覧いただいているDTMerの皆さんにとってもあるあるなのではないでしょうか?
最後の動画は【メロディパート】です。
こちらのパートでは、ノートのカラーは全て赤色となっています。
また、動画では一見してメロディパートはオクターブで演奏させているように見えますが、実は3つの音色をミックスして演奏しています。
先ず、メインとなる音色はトイピアノで、ノートでは上側の色が明るくなっているパートですね。
さらに、上記のトイピアノのノートと重なっていますが、同じオクターブにシンセベルをレイヤーしています。
そして、オクターブ下の暗くなっている色のパートがオルゴールの音色です。
これらの音色を混ぜてひとつのメロディパートとして出来上がっているんですね。
また、これら3つは全て音のリリースが伸びやかな音色となっていますので、短いノートで打ち込んでも違和感なく演奏してくれます(音源側でリリースの調整はしていますが)
さて、今回の曲の各パートは、このようにして構成されているという事がお分かりいただけたかと思います。
個人的には、こうして自分の制作した曲を分解し、解説してみるのもなかなかに面白いと思いましたし、この記事を読まれている方も、きっと「なんだ、結構単純なんだな~」と思っていただけたのではないでしょうか?
単純な組み合わせだけど、それらが合わさりあった時にしっかりとした音楽として成り立つ、というのは作曲をしていて面白いところですよね。
解説3.使用した音源
さてさて、ここまで今回の曲について解説をしてきましたが、ではこの曲で使用した各楽器の音源が気になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
気になる方がいらっしゃらなくても書きましょう笑
使用音源のリストはこちらです!
~ドラム~
- キック(バスドラム) / HALion Sonic7
- スネア / Cherry Snare(※フリー音源)
- ハイハット / Groove Agent SE5
- タム / Groove Agent SE5
- シンバル類 / Groove Agent SE5
~パーカッション類~
- スレイベル1 / Versilian Chamber Orchestra 2(※フリー音源)
- スレイベル2 / HALion Sonic7
- チューブラーベル1 / Sonatina Chimes(※フリー音源)
- チューブラーベル2 / HALion Sonic7(Iconica Sketch)
~メロディパート~
- トイピアノ / MONSTER Toys(※フリー音源)
- ベル / HALion Sonic7
- オルゴール / Music Box Suite Free(※フリー音源)
~ベース / ピアノ / ハープ~
- ベース(ウッドベース) / HALion Sonic7
- ピアノ / HALion Sonic7
- ハープ / BBC Symphony Orchestra Discover(※フリー音源)
~ブラス~
- トランペット / Session Horns Pro
- トロンボーン / Session Horns Pro
皆さんもご存じの音源はありますか?
おそらく、見覚えのある音源を見つけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特にCubaseをお使いのDTMerの方ならなおさらよくわかるかと思いますが、実はブラスパートを除けば、今回の曲のほぼ全てがDAW付属の音源とフリー音源でできているわけです。
Cubase以外のDAWを使われている方に向けて補足すると、
- HALion Sonic7
- Groove Agent SE5
この2つの音源がCubase(Pro)に付属する音源・音色です。
また、一部の音は私の所有するハードシンセ等からサンプリングしたものや、自作のサンプルなどもあるので、上記のリストが100%全てというわけではありませんが、それでも主要な楽器の音色は上記の通りです。
何もハイクオリティで高価な音源を導入せずとも、このようにDAW付属の音源やフリー音源でも全然使えちゃうんですよね。
今回の曲では、リスト内のブラス音源のSession Horns Proのみはどうしても有料音源となってしまいましたが、私の制作している他の曲では全ての音源がDAW付属のものやフリー音源で完結している、といった事もあります。
「ハイクオリティな有料音源を買わないとDTMは上達しないんだ」といった事は決してないという事を、今回の曲を通して皆さんにお伝えできればうれしく思いますね。
フリー音源にご興味のある方は、ぜひ下記の記事も参考にしていただければと思います。
最後に
さて、今回は私の制作したクリスマス風の曲を基に解説をさせていただきました。
今回の記事で皆さんのDTMライフのお役に立てれれば幸いです。
そして、いつも私の各記事に「スキ」を押して下さる皆様には、本当に感謝しております。
ありがとうございます!
また、当記事冒頭にもご紹介しておりますが、私が運営し、講師を務めるオンラインDTMレッスン教室【かわべの音楽工房】では、今回の記事のような内容もひとりひとりに丁寧に、より詳しくお話させていただいております。
もちろんDTMによる作曲のスキルアップ、またDTMに興味をお持ちの方や、初心者の方であっても大歓迎です!
ぜひぜひお気軽に下記の公式LINE、あるいはお問合せフォームからご連絡下さいませ♪

それでは!皆さん良いDTMライフを!
そしてメリークリスマス!
