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精神科医・鹿冶梟介の日曜雑感〜熊本地震について〜

先日、熊本で大きな地震が発生しました。

最大震度7を記録し、多くの方が不安な時間を過ごされています。

被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。


地震のような災害時においては、外傷・エコノミークラス症候群・感染症などと同時にメンタルヘルスへの悪影響が懸念されます。

地震の恐ろしさは、いつ起きるかわからないことです。

私たちは普段、「明日も今日と同じように過ごせる」という前提の上に生活しています。

その当たり前が、一瞬で崩れてしまう。

すると人の心は強いストレス反応を示します。


眠れない。

食欲がない。

少しの物音にも驚く。

テレビやスマートフォンで地震速報を何度も確認してしまう。

理由もなく涙が出る。


ーーこうした反応は、異常な出来事に対する「正常な反応」です。

外来でも、「自分が弱いからでしょうか」と尋ねられることがあります。

しかし、そうではありません。

人間の脳は危険を察知すると、生き延びるために警戒モードへ切り替わります。

そのため、普段とは違う心身の状態になるのは、ごく自然なことなのです。


とはいえ、このような状態が長期間続くと、心身に異常をきたすことがあります。

ーーPTSDと呼ばれる疾患です。

被災者の方々の多くは、実際地震による家屋の倒壊などにより30人以上の方が犠牲となりました。

助かった方々も、重症を負ったり、実際に危うく死ぬような状況に直面したと思います。

このようなつらい体験がきっかけとなり、長年にわたり地震被害というトラウマに悩まされることもあります。


被災された方々の多くは、医療を含めた社会インフラの回復が十分でないため、現在精神科受診やカウンセリングを受けることは難しいかもしれません。

しかし、被災後も心身の不調が1か月以上続く場合は、迷わず専門家に相談してください。


一方で、被災地から離れた場所にいる人も無関係ではありません。

連日の報道やSNSの映像を見続けることで、気持ちが沈んだり、不安が強くなったりすることがあります。

これを「共感疲労」と呼ぶことがあります。

以前、小生もこの「共感疲労」についてnote記事を書いております。

「何かしなければ」と思う気持ちは大切ですが、情報を浴び続けることが支援になるわけではありません。

ときにはニュースから少し距離を置き、普段通り食事をし、眠り、仕事や家事をこなすことも、自分の心を守るためには必要です。

災害に際し、「平常を保つことも社会貢献なのだ」と感じます。

会社員は日々の仕事に励み、

医療従事者は診療を続け、

教師は子どもたちと向き合い、

商店はいつもどおり店を開ける。

それぞれが自分の役割を果たすことで、社会は少しずつ日常を取り戻していきます。

心の回復も同じです。

劇的に元気になる日が来るというより、昨日より少し眠れた、今日は笑えた、そんな小さな積み重ねが回復につながります。

今も余震が続く地域では、不安な夜を過ごしている方が少なくありません。

どうか「強くあらねば」と自分を追い込まないでください。

不安になることも、疲れることも、人として自然な反応です。

地震をはじめとする震災は、人々のつながりを分断いたします。

しかし、そのあとに人と人との支え合いが生まれることも、私たちはこれまで何度も見てきました。

一日も早く穏やかな日常が戻ることを、心から願っています。

<了>

↓防災グッズ、揃えておきたいですね。


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