精神科医・鹿冶梟介の日曜雑感〜ワールドカップ優勝国の予想&ワールドカップと医学について〜
皆様、こんにちは!
精神科医の鹿冶梟介(かやほうすけ)です。
小生の「日曜雑感」、今回で2回目となります!
はじめたばかりなので、方向性も形もまだ決まっておりませんが、そんなことは気にせず思いつくままに書き綴りたいと思いますよ!
さて明日はW杯の決勝戦ですね。
アルゼンチン vs スペインという、好カードなのですが果たしてどちらが勝つのでしょうかね?
ーー実は、小生、どちらが勝つか、もうわかっちゃいましたよ!
ふふふ、小生ある法則に気づいてしまったのですよ、法則に...。
明日の決勝戦の勝敗だけでなく、スコアすら当てましょう。
ズバリ、2026年W杯の優勝国はーー
スペインです!
スコアは、アルゼンチン 1-2 スペインになると思います。
何故、ここまで予想できるか知りたいですか?
その理由は、以下の通りです... ...
日本 vs ブラジル 1-2
ブラジル vs ノルウェー 1-2
ノルウェー vs イングランド 1-2
イングランド vs アルゼンチン 1-2
アルゼンチン vs スペイン 1-2 ←明日の結果!
Q.E.D.
... ...つまり、日本 vs ブラジル戦から始まった1-2の法則が、決勝戦でも再現される...というのが小生の予想なのです。
小生の予想が当たるか否かーー、
それは明日早朝に分かります!
もし小生の予想が当たったら、褒めてくださいな。
最期に、小生がXでつぶやいた「ワールドカップの医学ネタ」を紹介して今回の日曜雑感を終えようと思います。
(サッカーにちなんで11のネタとなっております)
4年後に再度「ワールドカップの医学ネタ」をやるかは分かりませんが、今後もサッカーと精神医学の関係を調べていきたいです。
【ワールドカップの医学ネタ(1)】
2006年ドイツW杯期間中の研究。
ドイツ代表戦の当日には、心筋梗塞、不安定狭心症、不整脈、心停止などの心血管イベントが通常時の約2.7倍(男性では3倍超)に増加したそうです。
特に延長戦やPK戦にもつれ込む試合でリスク上昇が顕著でした。
「PK戦は心臓に悪い…😱」
サッカーファンの実感は、どうやら医学的にも裏付けられているようです⚽️💔
【参考文献】Wilbert-Lampen U, et al. N Engl J Med. 2008;358:475-483.
【ワールドカップの医学ネタ(2)】
スポーツにおいて有利な「色」はあるのだろうか?
2005年Nature誌に
「赤色は競技成績を向上させる」という
有名な論文が掲載された。
しかし、W杯優勝経験国8カ国のうち、
ホームユニフォームが赤色なのはスペインのみ。
むしろ青系の方が多く、
伊国、仏国、アルゼンチン、ウルグアイが該当。
……ということは、
ジャパンブルーもW杯優勝との親和性が高い。
頑張れ日本⚽️🇯🇵
<参考文献>
Red Enhances Human Performance in Contests. Hill RA and Barton RA, Nature, 2005
【ワールドカップの医学ネタ(3)】
コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれている。
2014年ブラジルW杯では、ブラジル代表の試合中に
サポーターの唾液コルチゾールを測定する実験が行われた。
結果は言うまでもない。
ドイツに1-7で歴史的大敗を喫した際、
ブラジル国民のストレスホルモンは大きく上昇したそうだ。
サッカー大国ブラジルにとって国辱の日。
ミネイロンの惨劇ならぬ、
コルチゾールの惨劇...🤔⚽️
<参考文献>
Newson M, Shiramizu V, Buhrmester M, et al.Devoted fans release more cortisol when watching live soccer matches.Stress Health. 2020;36:220-227.
【ワールドカップの医学ネタ(4)】
「ワールドカップで勝つと幸福度は上昇するのか?」
そんな当たり前のようで興味深い研究が、2015年に発表された。
2014年W杯期間中、ドイツ語圏の参加者にスマホで1日3回、
幸福度を回答してもらったところ、ドイツ代表が勝利すると幸福度は上昇した。
しかも、大勝するほどその効果は大きかったという。
ただし、その幸福感は約2時間しか持続せず、
翌朝にはほぼ消失していたとのこと。
勝利という「抗うつ薬」は、
どうやら超短時間作用型らしい。
<参考文献>
Soccer results affect subjective well-being, but only briefly: a smartphone study during the 2014 FIFA World Cup. Stieger S et al., Front Psychol. 2015
【ワールドカップの医学ネタ(5)】
W杯観戦の最大の敵は対戦相手ではなく
「睡眠負債」。
2003年の研究では、6時間睡眠を14日間続けると、
認知機能は「24時間徹夜」とほぼ同レベルまで低下した。
さらに厄介なのは、能力は低下しているのに、
本人の眠気の自覚はそれほど増えなかったこと。
つまり、「意外と元気」は、
「意外と危険」かもしれない。
早朝の激闘も大切だが、
睡眠負債の蓄積にはご注意を⚽️
<参考文献>
Van Dongen HPA, et al.The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology.Sleep. 2003.
【ワールドカップの医学ネタ(6)】
ではW杯期間に実際に睡眠時間は減少するのか?
2022年カタールW杯の観戦者を対象とした調査では、 81%が睡眠の質不良に該当した。
一方で、睡眠に影響があったと自覚していた人はわずか9%。
つまりW杯期間中の睡眠不足は、
自覚しにくい可能性が示唆された。
言い換えるならば、
「意外と元気は、意外と危険」
早朝の激闘も大切だが、 睡眠の質にもご注意を⚽️(繰り返しになりますが)
<参考文献> Aljamaan F, et al. Watching the FIFA World Cup and Adult Sleep Quality. medRxiv. 2026.
【ワールドカップの医学ネタ(7)】
W杯観戦中、 なぜかピザやポテトが食べたくなる。
2018年W杯の中継を調べた研究では、 アルコールやジャンクフード関連の広告が 13試合で1806回も映し出されていた。
しかも広告が映っていた時間は 試合時間の22.5%。
ハーフタイムに宅配ピザやウーバーに電話をかけるのは
お腹が空いたのではなく、
広告に誘導されているからかもしれない⚽️🍕🍺
(今回は医学ネタというより社会学ネタ?)
<参考文献> Alfayad K, et al. Population exposure to alcohol and junk food advertising during the 2018 FIFA World Cup. BMC Public Health. 2022.
【ワールドカップの医学ネタ(8)】
W杯で熱くなるのは、選手だけではない。
1998年フランスW杯期間中、 スコットランドで救急外来を調べた研究では、
5週間で151人がW杯関連での受診。
その多くは若い男性で、飲酒に関連した外傷だった。
ちなみに救急部への負荷が明らかに増えたのは、
開幕戦のブラジル vs スコットランド戦後だった。
熱くなるのは無理もないが、 飲酒はほどほどに⚽️🍺
<参考文献> Mattick AP. The Football World Cup 1998: An Analysis of Related Attendances to an Accident and Emergency Department. Scott Med J. 1999.
【ワールドカップの医学ネタ(9)】
それではW杯で精神科救患は増えるのか?
スコットランドの研究では
意外にも、W杯大会期間中
精神科救急受診は減少していたそうだ。
しかし、 病気そのものが減ったわけではない。
筆者らは受診が減った理由として
「人々の注目がサッカーに向き、受診行動に影響を与えた」
と説明している。
W杯という社会的イベントが
人の行動パターンを変えたーー
ということが示唆された研究結果とも言える。
<参考文献> Masterton G, Mander AJ. Psychiatric Emergencies, Scotland and the World Cup Finals. Br J Psychiatry.2018
【ワールドカップの医学ネタ(10)】
W杯などの大規模スポーツイベントの約9か月後に
出生数が増加することをご存知だろうか?
2024年のシステマティックレビューによると
W杯、UEFA欧州選手権、スーパーボウルなどの大会後、
一部の国や地域で出生数が約2〜16%増加したとの報告がある。
一方で、地元チームが予想外の敗北を喫した地域では、
出生数の減少が報告された研究もある。
果たして2027年3月の日本の出生統計は、
どのようになっているだろうか。
<参考文献>
Masukume G et al., Sporting tournaments and changed birth rates 9 months later: a systematic review, Peer J, 2024
【ワールドカップの医学ネタ(11)】
「ワールドカップ後うつ病(Post-World Cup Depression)」
という言葉をご存知だろうか。
医学用語ではないがW杯終了後に生じる
空虚感や喪失感を指す俗語である。
要するに「祭りの後」なのだが
この言葉を聞くと精神科医・木村敏が論じた
うつ病患者の時間意識を表す
「ポスト・フェストゥム(祭りの後)」
という概念を思い出す。
4年に1度の祭典が終わった後、
少しだけ世界が静かになる時間が訪れる。
そんな感覚を覚えるのは、
あなただけではないのかもしれない。
<了>
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