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メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(981)-(985)

皆様、こんにちは。

鹿冶梟介(かやほうすけ)です☺️

先週のXで、最も反響のあったポストです(312万インプレッション)

これは、摂食障害(神経性やせ症)の患者さんが、14歳で精神科に入院した際に受けた身体拘束について、違法であるとして訴えた裁判です。

ご存知の方もいると思いますが、摂食障害(拒食症)は重症化すると、周囲がどれだけ勧めても食事や水分を全く摂らなくなり、栄養失調によって生命に危険が及ぶことがあります。中には食事だけでなく、点滴さえ拒否する患者さんもいます。

このような場合、生命を守るために身体拘束を行い、点滴や経鼻栄養によって栄養補給を行わざるを得ないことがあります。

本件では、その際の身体拘束が人権侵害に当たるとして提訴されたのです。

当時の治療によって患者さんの生命が救われた可能性が高いことから、ネット上では「なぜ訴えるのか」と病院側に同情的な意見も少なくありませんでした。

しかし、この報道について小生は以前から疑問を感じていました。

ネット記事などでは、第一審で原告側(患者側)が勝訴したことが大きく報じられました。

一方で、翌年の控訴審では病院側が逆転勝訴していたのですが、こちらはほとんど報じられませんでした。

実際、控訴審の結果は裁判記録や訴訟事例を扱った論文などで確認できるものの、一般の報道ではあまり取り上げられていません。

こうした報道の偏りには、以前から違和感を覚えていました。(実際に検索してみてください。)

小生の以前のポストにもさまざまなコメントをいただきましたが、「病院側が勝訴してよかった」という意見が比較的多かったように思います。

医療訴訟では、一審と控訴審で判断が大きく分かれることもあります。とりわけ医療の根幹に関わる重要な訴訟については、メディアにも判決の経過や最終的な結論まで丁寧に報じてほしいものです。

メタル君の「今日の精神医学豆知識!」は、X(旧: twitter)で毎朝8時にアップしておりました(3月いっぱいで終了)。

X(旧: twitter)民の皆様も、X(旧: twitter)では語りきれなかった【メタルのおまけ】がございますので、ご興味があれば本記事を是非お読みください!

それから、もしよろしければインスタの方も応援宜しくお願い致します(フォローよろしくお願いします🙏)!

【今日の精神医学豆知識集!(その197)】

981.精神科治療のゲームチェンジャーとなった抗精神病薬クロルプロマジン(コントミン®)は抗マラリア薬の開発過程で生じた物質(RP3277)をもとに作成されたよ。同剤にはマラリア症を治す効果はなかったけど鎮静効果があったんだ。RP3277は現代でも使用されているヒベルナ®だよ。

2026年3月6日

【メタルのおまけ】
医学の世界三大発明の一つといわれているクロルプロマジンは、実はマラリアをやっつけるための薬として開発されたんだね。「瓢箪から駒」ならぬ「マラリアからコントミン」...なんて感じかな。ちなみに我が国ではクロルプロマジンは1955年に吉富製薬からコントミンとして、同年塩野義製薬からウィンタミンという商品名で販売が開始されたんだよ!

↓小学校の同級生が、瓢箪の水筒を持ってきていました。ちょっと羨ましいと思いましたね。


982.世界初の三環系抗うつ薬であるイミプラミンは、もともと抗精神病薬クロルプロマジンを真似て統合失調症薬として開発されたよ。しかし抗精神病作用よりも"精神賦活作用"があることがわかり、抗うつ剤として販売されたんだ。詳しくは鹿冶さんのnote記事を読んでみてね!

2026年3月7日

【メタルのおまけ】
SSRIの登場でいまではすっかり処方が減ってきた三環系抗うつ剤だけど、いまでもSSRIが効かない重度のうつ病には試す価値のある良薬だよ。 ちなみに、我が国においてはイミプラミンが発売されたのは1959年でトフラニールという商品名で藤沢薬品から上市されたんだ。藤沢薬品は後に山之内製薬と合併し、アステラス製薬となったよ。

↓藤沢薬品創立100周年のノベルティグッズ、悠久の薬壺だそうです!


983.ADHD治療薬アトモキセチン(ストラテラ®)は当初は抗うつ薬として開発されたんだよ。実際構造もSSRIのフルオキセチン(プロザック®)とそっくりなんだよ。でも抗うつ効果は乏しくて、代わりにADHDに有効であることが判明したんだって!

2026年3月8日

【メタルのおまけ】
最近供給不足で問題となっているアトモキセチンだけど、最初は抗うつ剤として開発されたんだね!構造的にはSSRIであるプロザックのパクリなんだけど、薬理作用的にはセロトニンは増やさず、むしろドパミンやノルアドレナリンを増やすから、不思議だよね。むしろアトモキセチンはSNRIのほうに近いのかもしれないね。

↓「プロザックに耳を傾けよう」は、美容精神薬理という言葉を作った精神科医クレーマーによる著書です。当時はベストセラーになったらしいですね。


984.躁うつ病の治療薬であるリチウムは18世紀においては痛風の治療薬として使用されていたよ。リチウムが尿酸結晶を溶解するため痛風に効くと思われたんだ。ちなみにリチウムが躁うつ病に使用され始めたのは躁うつ病の原因が体内の過剰な尿酸という間違った説によるよ。

2026年3月9日

【メタルのおまけ】
ちなみにリチウムは痛風だけでなく、リウマチにも使用されたんだって。一時期ブームになっていたリチウム療法もリチウム中毒が頻発したことから、1940年代の米国ではFDAが処方禁止にしたんだって。ところでなぜ躁うつ病の治療薬としてリチウムが使われるようになったかと言うと、オーストラリアの精神科医ケイドが躁病患者の尿をモルモットに投与したところ強い毒性を示したんだ。ケイドは「これは尿酸が原因に違いない」と思い込み、水溶性の高い尿酸リチウムを投与したことに始まるよ。要するにケイドの思い込みが、リチウムの抗躁作用の発見に繋がったんだよ。

↓海外ではオロチン酸リチウムが、サプリメントとして販売されているそうですが、日本では未承認です。


985.ADHDの治療薬であるメチルフェニデートはスイスの化学者パニゾンによって合成されたよ。同剤の商品名は「リタリン」なんだけど、これは彼の妻「マルグリット・"リタ"・パニゾン」の名称に因んだ名前だよ。夫人の低血圧治療薬として同剤は使用されていたんだよ。

2026年3月10日

【メタルのおまけ】
最愛の妻の低血圧を治そうと思って薬を開発した化学者...、これはなんともロマンチックな話だよね。実際、リタリンは婦人の活気を取り戻し、趣味のテニスもできるようになったそうだよ。ところで、このロマンチックなお薬リタリンは、2007年をもって"難治性・遷延性うつ病"への適応が除外されたんだ。理由は新宿区にあった某クリニックが不適正処方をやりまくったせいなんだよ。依存性はある薬だけど、それでもこの薬のおかげで仕事ができていた人は一部いたわけで、当時の精神科医たちは複雑な思いをしたんじゃないかな?(追記: リタはマルグリットの愛称です)

↓話は変わりますが、ロマンティック街道、行ってみたいなぁ🙄


【メタル君の考察】

今回は「最初別の用途で開発された向精神薬」に関係する精神医学ネタをポストしたよ!

クロルプロマジンのところでも言ったけど、新薬は「瓢箪から駒」という形で世に現れることがあるよ。

開発者が意図した作用がなくてガッカリ...と思いきや、別の作用があった!というのは、何だかドラマチックな展開だよね。

これは、開発者たちの執念の賜物だと思うけど、ひょっとして今まで没になって上市されなかった薬の中にも、全く異なる作用があったのかもしれないね。

そう思うと、過去の薬剤開発の歴史をもう一度見直すことは、とても重要なことかもね。

今回のポストでちょっと考えさせられたのは、リタリンについてだね。

最愛の妻のために開発したのが、メチルフェニデート、すなわち覚醒剤類似薬とは... ...。

その後、妻のリタがどうなったか気になるところだけど、依存症になったのかなぁ。

妻のために開発した薬が、妻の死期を早めたのなら、開発者のパニゾンはかなり後悔していたと思うね。

ところで、美談として語られるリタリン開発秘話だけど、「新薬をいきなり家族に使うのか?」という疑問が湧くよね。

しかし、1940-1950年代まで、研究者が自分自身やその家族を被験者にすることはよくあったそうだよ。

(Forssmannの心カテ、Marshallのピロリ菌実験)

もう少しで僕のシリーズ、「メタル君の今日の精神医学豆知識!」も終わりそうだけど、

これからもマニアックな精神医学ネタを最後まで走り抜けて紹介するぞ😆

↓新しいドラクエグッズ。ちょっとこれ欲しい!


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