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メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(961)-(965)

皆様、こんにちは。

鹿冶梟介(かやほうすけ)です☺️

先週のXで、最も反響のあったポストです(インプレッション5200)

Xで「話を聞かない精神科医」という言葉がトレンド入りしていたので、関連する投稿をいくつか読んでみました。

どうやら発端は、ある精神科医による「診療では、患者の話を“いかに聞かないか”が重要」という趣旨の発言のようです。

もちろん、その真意は理解できます。

限られた診療時間の中で、患者の話から重要なキーワードを拾い上げ、診断や治療につなげる――これは臨床技術のひとつです。

実際、薄利多売になりがちな外来診療では、多くの患者を診なければ経営が成り立たない現実もあります。

しかし、それでも精神科診療において、「話を聞く」という営みを軽視してよいとは、小生には思えませんでした。

精神科は、他科以上に「言葉」を扱う診療科。

患者が語る内容そのものだけでなく、語り方、沈黙、繰り返される表現、感情の揺らぎ――そうしたもの全体が、診断や治療に深く関わっています。

確かに、診断学的には「愚痴」や「雑談」が無駄のように見えるかも知れません。

だけど、その言葉の背景には、その人自身の人生や苦悩、対人関係、価値観といった「物語」が存在いたします。

精神科医は、その物語を、まるで一冊の本を読むように丁寧に読み解いていく必要があるのではないでしょうか。

精神医療には「ナラティブ精神療法」という治療法があります。

患者が語る“主観的な物語”に耳を傾けることで、患者自身が新たな意味づけや価値観を獲得し、自信を取り戻していく――そうした治療です。

近年は「エビデンス重視」が主流となり、若い医師ほど効率的な診療を求められております。

そのため、ナラティブを重視した診療は、「そんな時間はない」と切り捨てられがちなのです。

しかし、チェックリスト型の診察と薬物療法だけでは、いずれ治療は行き詰まります。

患者との信頼関係が築けなければ、コンプライアンスは低下し、外来から足が遠のき、そして再発を繰り返し、結果として、より治療が難しくなっていく... ...。

そもそも、「話を聞かない精神科医」の話を、患者は本気で聞こうと思うでしょうか?

精神科治療は短距離走ではありません。

年単位、時には一生にわたって続くこともあります。

だからこそ、患者と精神科医の関係性もまた、長い時間を共にするものになります。

若い精神科医の先生方には、ぜひ「話を聞く姿勢」を大切にしてほしい。

患者が語る物語は、ときに診断基準よりも雄弁に、その人自身を語っているのです!


メタル君の「今日の精神医学豆知識!」は、X(旧: twitter)で毎朝8時にアップしております。

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【今日の精神医学豆知識集!(その193)】

961.メスメリズムって知っている?18世紀後半にドイツ出身の医師メスメルが開発した「宇宙に遍在する流体(動物磁気)」を患者に流す治療法だよ。ヒステリーをはじめ様々な疾患に用いられたけど、科学的に根拠がないとされメスメルは医学界から追放されたよ。

2026年2月11日

【メタルのおまけ】
動物磁気は空間に磁性を帯びた不認知の流体のことなんだけど、当時は「エーテル仮説」のように空間は目に見えないもので満たされている...という考えが一般的にあったんだよ。メスメルはこの見えない物質を操ることで、病気を治そうとしたんだけど、フランス王立委員会による検証が行われ、結果、磁気流体の存在が証明できなくてインチキとみなされたんだよ。しかし、メスメリズムは後に「催眠術」として生き残ることになるんだよ。

↓磁気といえばエレキバン!


962.現在の精神療法とは異なる"民間精神療法"って知ってる?薬などによる”物質"療法の対義語としての”精神"療法で、大正から昭和初期に流行ったオカルト的民間療法のことだよ。心霊術、気功、祈祷、心身修養など科学的根拠の乏しい治療法が多かったそうだよ。

2026年2月12日

【メタルのおまけ】
実は「精神療法」という言葉は海外から「psychotherapy」という言葉が輸入される前からあったんだよ。薬などの物質療法の対義語としての精神療法という意味なんだよね。だから当時の霊術、呪い、祈祷は「物質療法」ではないから「精神療法」とみなされたんだよ。ちなみに当時から現在まで生き残っている精神療法は森田療法ぐらいかもね。

↓森田療法に関する本です!


963.オルゴンボックスとは心理学者であるヴィルヘルム・ライヒが開発した宇宙に遍在するエネルギーである「オルゴン」を収集する箱であり、火傷、ガン、神経症などの治療に効果があると言われていたんだよ。FDAから訴えられたライヒは法廷侮辱罪で投獄され1957年に獄中死するよ。

2026年2月13日

【メタルのおまけ】
実はライヒはかの有名なフロイトの愛弟子で、若干23歳の学生でありながらウィーン精神分析協会のメンバーだったんだよ!しかし、後に精神分析とマルクス主義を結び付けて社会構造を変えようとしたり、フロイトの理論を歪曲してセックスによるオルガスムスで神経症を治療しようとするなど、めちゃくちゃになったんだ。ライヒは投獄中に精神鑑定を受け、妄想性障害(パラノイア)の診断を受けたよ。

↓ライヒの本らしいですが、なんだか怖いです。


964.トレパネーション(穿頭)とは頭蓋骨に意図的に穴をあける古代から存在する人類最古の外科手術だよ。古代・中世では精神疾患、悪魔憑き、てんかん、頭痛などの治療に用いられていたそうだよ。ちなみに古代インカの穿頭術師の成功率は70%以上だったらしいね(なかなかの名医)。

2026年2月14日

【メタルのおまけ】
オランダの医師フーゲスは実際に自分の頭蓋骨に穴をあけ、その効果を検証したらしいよ。フーゲスのもとには著名人も訪れ、中でもジョンレノンとオノヨーコがトレパネーションを希望したの興味深いね。ちなみに、二人はトレパネーションを受けなかったんだけど、その理由はフーゲスが「あなたたちはすでに覚醒している」と言ったからなんだって!

↓ジョンレノンとオノヨーコのウォールアートです。


965.O-リングテストは代替医療の診断法で、被験者が親指と他の指で作った輪(O-リング)を検査者が引っ張り、その輪が開きやすいか開きにくいかで体の状態を判断するよ。精神科医の神田橋〇治も頻用していたけど、これには賛否あるね。

2026年2月15日

【メタルのおまけ】
稀代の臨床家、神田橋を私淑す精神科医は多く、直接会えばその人柄から熱烈なファンになる人もいるね。「精神科診断面接のコツ」など多くの初学者にも是非読んでほしい本はたくさんあるけど、「Oリングテスト」「邪気」などの言葉が出てきたら、その章はすとっばして読んだほうがいいよ。

↓精神医学初学者におすすめです!


【メタル君の考察】

今回は「精神科におけるオカルト療法」に関係する精神医学ネタをポストしたよ!

そもそも精神疾患の多くは、病気とはみなされず、神罰や悪魔の仕業などオカルトという観点から説明されてきたから、こういったオカルト療法との親和性は高いのかもしれないね。

それにしても、こういったオカルト療法に騙される人って、現代でも一定数いるんだよね...。

しかし、近年のオカルト療法は巧妙になってきて、事実と嘘を上手に織り交ぜているから、ピュアの人たちは鵜呑みにしちゃうんじゃないかな?

それから、ジョンレノンとオノヨーコがトレパネーションで自分の頭蓋骨に穴をあけようとしていたのは驚きだね!

もしフーゲスがトレパネーションを快諾していたら、二人の音楽・アートはどのように変わったのだろうね。

もう少しで僕のシリーズ、「メタル君の今日の精神医学豆知識!」も終わりそうだけど、

これからもマニアックな精神医学ネタを最後まで走り抜けて紹介するぞ😆

↓このタッパー欲しい!


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