メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(941)-(945)
皆様、こんにちは。
鹿冶梟介(かやほうすけ)です☺️
先週のXで、最も反響のあったポストです(3.3万インプレッション)
↓
【キラキラネームとER受診時間の関係】
— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) April 11, 2026
2015年「小児科臨床」に掲載された論文。
深夜のER受診(21時〜翌9時)の割合を比較したところ。
キラキラネーム児:37.5%
非キラキラネーム児:12.5%
論文発表後、キラキラネーム児は医療機関で警戒する要素になった。… https://t.co/trIeH0aeVX
病院や学校では「あるある」ですが、「子どもの名前がキラキラすぎて読めない」問題。
今回紹介するのは、2015年『小児科臨床』に掲載された「キラキラネームとER受診時間の関係」という論文。(タイトルはそのまんまです😅)
内容をざっくり言うとーー
・2013年12月の1週間を調査
・ER受診した15歳以下104例を対象
・「キラキラネーム」か否かを独自に分類
・深夜受診(21時〜翌9時)の割合を比較
その結果ーー
・キラキラネーム:16人中6人(37.5%)
・非キラキラネーム:88人中11人(12.5%)
が深夜受診だった、という報告です。
ただし、この論文で最も議論になったのは「キラキラネーム」の定義。
明確な客観基準はなく、複数のスタッフが名前を見て「読みにくいかどうか」で判断するという、かなり主観的な方法がとられています。
そのため科学的にはツッコミどころも多く、一般化には慎重であるべき研究です。
それでも当時、この論文は大きな話題になり、医療系メディアだけでなく新聞や週刊誌にも取り上げられました。
ではなぜ、医療従事者の間で一定の共感を呼んだのか。
一つはシンプルで、名前が正確に共有できないこと自体が医療安全上のリスクになるから。
そしてもう一つは、夜間救急の現場で日々感じている「軽症でも深夜に受診が集中する」という実感と、どこか重なって見えたからかもしれません(要するに夜間診療に子供連れてくる親は...が多い😅)。
もちろん、名前と受診行動を単純に結びつけることはできません。
ただ、この論文が示したのは“名前”というより、その背後にある生活背景や行動様式をどう捉えるか、という問いだったのかもしれません。
当時は賛否両論あり、著者も批判を受けたようですが、現場のモヤモヤを言語化した、という意味では印象に残る一報だったのは確かです。
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【今日の精神医学豆知識集!(その189)】
941.イフェクサー(ベンラファキシン)は2015年に発売されたSNRIに分類される抗うつ剤だよ。名称の由来はefficacy(効果) と接尾語or(実行者)の組み合わせだって。ちなみに海外での商品名もEffexor(イフェクサー)なんだよ。
【メタルのおまけ】
イフェクサーは1日1回内服する抗うつ剤だよ(朝でも夕でもよい)。副作用で多いのは悪心や腹部症状、眠気が多いね。逆に賦活させる薬だから不眠を訴える患者さんもいるよ。合うか合わないかは飲んでみないとわからないけど、SNRIの中では最も効果がある薬だと思うよ。ちなみに以前は運転禁止だったけど、2016年から厚労省からの通知があって、十分注意した上での自動車の運転はokになったよ!
↓眠気のある向精神薬を運転禁止にするのではなく、ドライブシュミレーター等で個々人の運転能力を評価できればよいと感じます(手間はかかりますが)。
942.シクレスト(アセナピン)は2016年に発売された多元受容体作用抗精神病薬に分類される抗精神病薬だよ。名称の由来はラテン語でSY(symbiosis: 共生) + REST (restituo: 元に戻す)で、 社会への復帰を願いが込められた名前だよ。ちなみに米国での商品名はSaphrisだよ。
【メタルのおまけ】
シクレストは抗精神病薬の中では珍しく舌下錠だよ。ゴックンと飲み込むとかえって効果を発揮しにくいから、ちゃんと舌の下に溶けるまで置いておく必要があるよ。使用後10分はお水等は飲んじゃだめだよ。ちなみにバッカル(歯茎と頬の間)に置いても効果があるそうだよ。
↓これは舌下ではなく、雪月花!
943.インチュニブ(グアンファシン)は2017年に発売された選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬でADHD治療薬だよ。名称はIntunive(直観力)が由来だよ。ちなみにグアンファシンは元々高血圧の治療薬として使用されていたけど、インチュニブは徐放剤化してその効果を長引かせたんだよ。
【メタルのおまけ】
インチュニブの副作用としてはやはり「眠気」が多いね。子供の場合は6割弱、大人でも4割強の人が内服中に眠気を感じるんだ。そのせいで、インチュニブを内服している人は「運転禁止」なんだよ。まぁ、子供は関係ないんだろうけど、大人でも使っている人はいるからね。
↓小生の眠気覚ましはこれです。
944.レキサルティ(ブレクスピプラゾール)は2018年に発売された、ドパミン・セロトニン部分アゴニストに分類される抗精神病薬だよ。名称は「REX(ラテン語で王)」をもとに医療従事者・患者が期待する結果を意味する「レクサルト」という造語が由来だって。
【メタルのおまけ】
おそらく王(REX)と結果(Result)の合成語がレクサルトで、これが転じて「レキサルティ」となったんだろうね。それにしても薬の名前に「王」の意味を含めるとは、かなり強気だね。しかし、実際のところレキサルティの売り上げはトップクラスで、まさに「王者」の名前にふさわしいよ。でも、この薬の特許は2029年頃には切れるらしいから、大塚製薬さんは新たなブロックバスター薬の開発が必要になって来るね。「王」の次は「神」かな?
↓、神と王でしらべたら、こんな小説が。面白そうですね!
945.トリンテリックス(ボルチオキセチン)は2019年に発売されたSSRIに分類される抗うつ剤だよ。精神症状、身体症状、認知機能の3つの側面に効果があるから「3(tri)」の接頭辞が付けられ、優れたを意味する「brilliant」「excellent」から「rint」 と「x」を付けたって。
【メタルのおまけ】
ここは修正が必要だけど、トリンテリックスはSSRIとしての作用に加えて、セロトニン受容体調節薬としての機能を持つことから、S-RIM(Serotonin reuptake inhibitor and serotonin modulator)に分類するようになったね。ちなみにFDAへの初期の報告書ではSSRIとして記述されていたそうだよ。
↓トリンテリックスとレキサルティを処方することをトリレキと言いますが、小生はヤキトリのほうが好きです。
【メタル君の考察】
今回は「2010年代に発売された向精神薬」に関係する精神医学ネタをポストしたよ!
最近は精神科薬の開発が少なくて、なんだか「創薬限界」に達した感があるね。
しかし、これは精神疾患の病態メカニズムの解明が十分進んでいないせいもあるけど、なによりも製薬会社にとって精神科薬は「儲からない」からじゃないかな?
今、創薬でホットなのは代謝(肥満)、がん...のニ分野と思うね。
ちなみに僕が精神科領域で注目しているのは、統合失調症ではTAAR1作動薬(ウロタロント)、抗うつ剤ではNMDA系(エスケタミン)かな?
これらの薬が、今後の精神科治療における「ゲームチェンジャー」になるのではと思っているよ。
もう少しで僕のシリーズ、「メタル君の今日の精神医学豆知識!」も終わりそうだけど、
これからもマニアックな精神医学ネタを最後まで走り抜けて紹介するぞ😆
↓メタルスライムの砂時計、欲しい!
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— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) March 22, 2022
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