メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(936)-(940)
皆様、こんにちは。
鹿冶梟介(かやほうすけ)です☺️
先週のXで、最も反響のあったポストです(7.6万インプレッション)
↓
【Fラン医学部出身のIQ(1)】
— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) April 6, 2026
「Fラン医学部」という言葉をご存じだろうか。
Fラン=ボーダーフリー、すなわち「誰でも入学できる大学」を指す。
――「医学部にFラン?」
そう訝しがるのも無理はない。
現代にFラン医学部は存在しない。
――しかし。…
今では信じられないかもしれませんが、小生が大学受験をした1990年代、私立医大の中には偏差値が50未満のところが少なからずありました。
したがって、当時も医学部が最難関学部であったのは間違いありませんが、「大学を選ばなければ誰でも医学部に入れる」時代があったのです。
——とはいえ語弊があるので正確に言うと、「お金さえ積めば誰でも医学部に入れる」時代でもありました。
要するに、成績ではなく財力が合格基準となるような私立大学も存在していたわけですが、その結果として「境界知能(IQ 70–84)」の人でも医学部に入学できたのです。
現在であれば「裏口入学」と批判されかねませんが、当時は「医師不足」が社会問題となっていた時代でもあり、文科省や厚労省も一定程度は黙認していたのではないかと思われます(真相は不明ですが)。
ところで、今回のポストで言及した件の医師は、現在では立派に院長・理事長を務めておられます。
そう考えると、立派な医師になるうえで偏差値はそれほど重要ではないのかもしれない、とすら感じます。
ただし、現在では医学部はどこも難関です。今の若いドクターが境界知能である可能性は、極めて低いと考えてよいでしょう。
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【今日の精神医学豆知識集!(その188)】
936.社会精神医学 (social psychiatry)は、精神障害の発生、治療、予防に関連する社会的要因をあつかう精神医学分野を意味するよ。嚙み砕くと個人の心の問題を、社会との関係の中で理解し、改善することを目指す学問と言えるかもね。
【メタルのおまけ】
社会精神医学の提唱者は諸説あるけど、1903年のドイツの精神医学者Georg Ilbergが最初と言われているよ。彼は精神疾患・メンタルヘルスに影響を及ぼす要因は多数あるが、そのほとんどは「遺伝」とみなしたんだ。一方米国においては、1939年にRobert Farisと Warren Dunhamらの都市部における統合失調症の研究が有名で、彼らは精神疾患の要因として社会的孤立と貧困を挙げたんだよ。
↓社会精神医学会というのがあるのですね(知らんかった)
937.社会病理学 (social pathology)は社会組織を人体にたとえ、その病理性を扱う学問だよ。具体的には犯罪、非行、ギャンブル、スラム、家族解体、自殺、精神疾患、薬物乱用など現象が、なぜ社会の中で生じるかを明らかにする学問だよ。
【メタルのおまけ】
社会病理学に似た言葉に都市病理学(Urban pathology)という言葉があるね。実はこの社会病理や都市病理のように、都市を擬人化するという考えは古代からあったそうだよ。18世紀になるとウィリアム・ハーベイの血液循環説が広まると、かの有名なアダム・スミスが「国富論」の中で、「お金」を「血液」に例えるなど、都市を"擬人化"するような考えが徐々に広まったんだって。
↓社会病理の本。この分野はほとんど読んだことがないですね🤔
938.社会脳 (social brain)とは、社会的状況(同種個体間で相互作用が生じる状況)で必要となる情報処理能力、すなわち社会認知の中心的な役割を果たす脳領域だよ。具体的には、扁桃体、眼窩前頭皮質、上側側頭回などが該当するんだ。
【メタルのおまけ】
社会脳はざっくりいうと”コミュニケーションに関連する脳領域”のことだね。他者の立場になって考える、空気を読む、共感性、自己抑制、道徳、善悪なども含まれるかもしれないね。最近、スマホの使い過ぎが、社会性を損なう可能性があると指摘されているけど、社会脳(扁桃体、眼窩前頭皮質、上側側頭回)への影響って、あるのかも知れないね。誰か研究してほしいね。
↓社会脳、昔からある概念ですね。
939.社会的性格 (social character)はFromm Eが提唱した概念で、特定の集団や文化に属する人々が共通に持っている性格上の中心的特徴だよ。共通の経験や欲求によって形成されるんだよ。男・女らしさ、国民性などが好例だけど、Xにおける社会的性格ってどうなんだろね?
【メタルのおまけ】
後に社会的性格はリースマンDにより、他者志向型、伝統志向型、内部指向型に分類されたよ。他者志向型は、常に他人がどう行動しているかに興味を持ち、他者への感受性と行動面での同調性をもつ性格だよ。伝統志向型は、権威への共重と恥の恐れによって外面的に規制され、それに同調する社会的性格だよ。内部指向型は周囲の意見や流行にとらわれず、幼少期に形成された自分の内面的良心、深淵、目標(心理的ジャイロスコープ)によって従う性格タイプだよ。
↓ルース・ベネディクトの菊と刀も、ある意味日本人の社会的性格を論じた本ですね。
940.社会的入院 (social hospitalization)は入院医療を続ける必要がないにも関わらず、社会福祉制度の不備や社会の受け入れ態勢が整わないために、退院できずに入院が継続されている状態のことだよ。個人的には減らすべきと思うけど触法精神病等"必要悪"と言える側面もあるよね。
【メタルのおまけ】
現代の精神科医療でも問題になる社会的入院だよね。症状が落ち着いていても、「行き場がない」という理由でやむなく入院を継続していることが多いね。本来なら自宅や施設入所をさせ社会に戻したくとも、ルールが守れなかったり、身の回りのことができなったりと、ケアが必要なんだ。訪問看護や訪問診療などでカバーできる部分もあるけど、事態はそんなに簡単じゃないんだよね。放火や暴力で入院していた患者さんが治療後に自宅に戻ろうとしたら、地域住民からクレームがあった...なんてことは稀じゃないんだよね。
↓社会的入院、患者家族や地域住民の理解がないと進まないと感じます。
【メタル君の考察】
今回は「社会」という言葉がつく精神医学用語に関係する精神医学ネタをポストしたよ!
精神医学においては、Bio-Psycho-Social モデルとういうのが以前から重視されていて、患者さんを医学的側面(投薬)、心理学的側面(精神療法)、社会的側面(支援)の3つの側面から治療することが重要なんだよ。
その中でも、社会的側面は医療だけでなく福祉との協働がとても重要なんだよ。
人は社会性のある生き物だから、社会とのつながりも”治療する”ことが大切なんだ。
ーーとはいえ、最後に紹介した社会的入院という言葉からもわかるように、精神科の患者さんを社会から遠ざける政策がずっと行われてきたのは残念なことだよね。
本当の意味でBio-Psycho-Social モデルが日本でも定着するといいね
もう少しで僕のシリーズ、「メタル君の今日の精神医学豆知識!」も終わりそうだけど、
これからもマニアックな精神医学ネタを最後まで走り抜けて紹介するぞ😆
↓4月なのに、もう暑いですね。
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— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) March 22, 2022
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