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鉄鋼王カーネギーが貧困から億万長者になるまで|カーネギー自伝レビュー

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「財を成したら、それを分配するのが仕事だ」と本気で言い切れる人が、いったい何人いるだろうか。アンドリュー・カーネギーは、スコットランドの貧しい家庭から渡米し、配達員から電信技士、製鉄王へと駆け上がった人物だ。その半生を綴った自伝は、成功譚というよりも、一人の人間がいかに誠実さと堅実さを貫き続けたかの記録として読める。

輪読会でこの本を取り上げると、「ベンジャミン・フランクリンに似ている」「渋沢栄一と重なる」という声が相次いだ。時代も国も違うのに、偉大な人物には共通する何かがある。この記事では、輪読会で特に白熱した議論をもとに、カーネギーという人物の本質に迫っていきたい。

この本を読むべき人

  • スタートアップや事業を立ち上げたいと考えている人

  • 誠実さや堅実さを軸に仕事をしていきたい人

  • お金と社会貢献の関係について自分なりの哲学を持ちたい人

  • アメリカの近代史や資本主義の原点に興味がある人

  • フランクリン自伝や論語と算盤が好きな人

著者プロフィール: アンドリュー・カーネギー
一八三五年、スコットランドの貧しい織物職人の子として生まれる。一八四八年、一家とともに渡米。木綿工場の糸巻き手、電信技手、ペンシルヴァニア鉄道監督などを経て、製鉄業に進出、鉄鋼王にまでのしあがった典型的なアメリカン・ヒーロー。しかしすぐ実業界から退き、「富は神より委託されたもの」との信念に基づいて、教育施設や平和機関の設立など福祉事業にもてる資産を投じ、慈善事業家として第二の人生を送った。一九一九年没。

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輪読会で議論したこと

「タイダを恥とする」という教え

カーネギーを語るとき、まず外せないのが彼の倫理観の土台だ。幼少期から「怠惰は恥である」という教えを叩き込まれたカーネギーは、生涯を通じてその姿勢を崩さなかった。輪読会では、この一言がもっとも刺さったという声が多く出た。

若い人たちに私がいいたいことは、終生の仕事ときめた事業に時と注意を全部つぎ込むだけでなく、自分の資本の最後のドルまでつぎ込みなさい、ということである。

半端ない覚悟だ、という反応が輪読会では相次いだ。現代のリスク分散の発想とはまったく逆のスタンスで、これが単なる精神論ではなくカーネギーが実際にやり遂げたことだというのが凄みを増している。業界を変えるほどの仕事をする人は、若くて熱量があり、かつ知識に貪欲で誠実な人だという印象を改めて持たされた。

堅実さと一点集中が彼の武器だった

輪読会で印象的だったのは、カーネギーの「多角化しない」という姿勢だ。投機的な株式売買を徹底して避け、自分の事業だけに集中し続けた。

陶器というのは規制中でそれ自体に何の価値もないものである。

株式市場の目まぐるしさに惑わされず、長期的な視点を持ち続けたカーネギー。輪読会では「ビジョナリーカンパニーのBHAGとどう折り合いをつけるのか」という疑問も出た。大胆な目標を掲げながら、日々の仕事は愚直に一点集中する。その両立がカーネギーの真骨頂だったのかもしれない。

また、「自分に最も適した仕事を知り、その道を進む」という考え方も印象的だった。技術者として優秀でも役員になりたがって失敗する人の例を出しながら、こう書いている。「自分たちが何が最も適し、また何ができるかを知らず、一芸の達人として安心してその道を進まないのは愚かなばかりでなく誠に残念である」という一文は、キャリアを考えるうえでも深く刺さる言葉だ。

富は社会から得たもの。だから還元する

カーネギーを語るうえで欠かせないのが、彼の寄付哲学だ。ニューヨーク市に68の公共図書館を建て、世界中に2500以上の図書館を寄贈した。その行動の根っこにある考えがこの言葉に凝縮されている。

私は人生の幸福の、私として正当に受くべきもの以上の分け前をいただいて来た。であるから、私は、神になにものをも祈り求めなかった。私たちは宇宙の法則のもとにあるのであるから、黙々として頭をたれ、うちなる良心の裁きにしたがうべきで、なにものをも求めず、なにものをも恐れず、ただ自分の務めを一途につとめ、現在も、また死後にもなんの酬いも求むべきではない。

輪読会では「カーネギー自身が神みたいだ」という声が出るほど、この境地の成熟ぶりに驚かされた。与えることが受けることよりも幸せだ、というのを本当に体現した人だという印象が残った。最近読んだ本でも「かっこいいと思う人はみんな、受けるより与えている」という感想が出てきたが、カーネギーはまさにその体現者だった。

人に対する配慮が、一貫して滲み出ている

自伝を読み進めると、成功の話よりも人への気遣いのエピソードがやたら多いことに気づく。幼少期に炭酸水を振る舞ってくれた人を何十年後も覚えていたり、困っている知人のためにそっと全額出したりと、地位や名声を得てからも人間味が変わらない。

輪読会では「成功すると友人関係が変わってしまう人が多いけれど、カーネギーは最後まで人間味を失わなかった」という意見が出た。ストライキの労働者たちに対しても、金銭的な解決だけでなく「ちゃんとその人たちに会って話そうとする姿勢」があった。マクスウェルが言う「人は尊重され、理解され、感謝されたい」という欲求をカーネギーは本能的に理解していたのかもしれない。


感想

  • 過去に読んだ自伝の中で、一二に入る良本だった。


  • ベンジャミン・フランクリンを思い出したというのが読み始めた時の印象。

    • フランクリンは自分がすごい的な表現がたくさんあったが、カーネギーはそれがなく謙虚な点に好感を持てた。


  • ものすごい堅実という印象。

    • BHAGはどういう解釈になるだろう。

    • カーネギーはどういう対応を取るだろう?


  • 経済が成長し続けるというボーナス期だったのもあって、伸びたのもあるとは思う。


  • アメリカ人の誇りみたいなのがすごく感じ取れる。

    • スコットランド人の誇りみたいなものも。


  • ドイツ帝国皇帝と会った時、ドイツが世界の平和を脅かすことがないと固く信じるというのは皮肉。

    • この時の皇帝は誰?


  • 財を成した後に、それを再分配するというのが非常に素晴らしい。


  • 富は社会から得たものであって、それを還元していくというのが本当に素晴らしいと思った。


  • 哲学を既にたくさん持っているが、原体験は何だろうか?小さい頃の本なのか?

    • 質の良いものを作る方が勝つ

    • 自分を律する

    • みたいな哲学は失敗から学んでいるのか?


  • 色んな本を読んでいたというのはみてとれた。素晴らしい。

    • 色々な国や宗教の哲学に共通するものを見出していた。

    • こういうところから、本質というか自分なりの哲学に辿り着いたのかなとも。


  • ただし、他の本の引用が出てこないのは残念。他の方の自伝とかだと、この本に〜みたいなのがあるので、実際に何を読んでいたのか知りたかった。


  • 会社を売ってしまったのは、ん?と思った。


引用

私は一気に六百二十五万ドルを出して、ニューヨーク市に六十八の公共図書館の分館を建てる約束をした。その後、まもなく、市の一地区をなすブルックリンに二十の分館を建設することにきめた。

私は人生の幸福の、私として正当に受くべきもの以上の分け前をいただいて来た。であるから、私は、神になにものをも祈り求めなかった。私たちは宇宙の法則のもとにあるのであるから、黙々として頭をたれ、うちなる良心の裁きにしたがうべきで、なにものをも求めず、なにものをも恐れず、ただ自分の務めを一途につとめ、現在も、また死後にもなんの酬いも求むべきではない。

若い人たちに私がいいたいことは、終生の仕事ときめた事業に時と注意を全部つぎ込むだけでなく、自分の資本の最後のドルまでつぎ込みなさい、ということである。


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