都市型水害で怖いのは。。。
都市型水害の危険は,幾つかあります。ただ,命に係わる危険という意味では,そのパターンはある程度限られているように思います。今回は,その幾つかを紹介します。
注)さらに,自動車・アンダーパスの危険性ですね。
2026.8.16追記
参照)水害とアンダーパス
(1)マンホール
まず,マンホールが吹っ飛ぶ危険性です。
現在の都市空間は,浸透性の乏しいアスファルトで覆われています。そのため,雨水が地中にしみこまず,その全てが流出します(あるいは滞水・冠水します)。流出先は下水道です。
流出先の下水道ですが,多くの自治体が時間雨量50mm/hを基準に工事を行っています(あくまで「標準」であり,地域ごとに整備水準は異なります)。そうすると,時間雨量50mm/hを超えると,下水道の容量はパンクします。もちろん計画が未了ではそれよりも小さな雨量でパンクします。
下水道の容量を超えたら,どうなるか。下水道管のなかで水圧等が高まり,最後はマンホールの蓋を押しのけて水が噴き出してきます。その時の吹き出し。かなり強烈なものになります。マンホールが吹っ飛ぶ危険性があります。
ちょうど,今回そうした事例がありました。大阪です。昨日,豪雨のピークは時間雨量50mm/hまたはそれを上回る雨量となっていました。そうしたなかで,マンホールが吹き飛んでいます。

気象庁「最新の気象データ」より,転載
(2)地下空間
次に危険なのは,地下空間でしょうか。当たり前の話ですが,水は高いところから低いところに流れます。そういう「三次元的な流れ」をする水が,地下空間に流れ込む場合があります。
地下空間で怖いのは,地上と地下では浸水の規模が大きく異なることがあるということです。例えば地上で10cm程度の浸水であっても,水が集まる地下ではもっと大きな浸水になる場合があります。地上の様子がわかりにくい地下空間で,適切な判断をするのは難しい場合があります。
地下空間の危険のなかで最大のものは,「脱出困難」でしょうか。地上とは階段等でつながっていると思いますが,その階段を滝のように水が流れてきます。そのほか,滞水した水の水圧によって,扉などが開かなくなる場合もあります。いずれにせよ,地下からの脱出が困難になる場合があります。実際,地下空間で死亡事例は幾つか散見されます。
例)1999年新宿,1999年博多
なお,この動画も参考になります。
(なぜか,埋め込みできません)
(3)急激な水位上昇
それから,都市部を流れる小河川の急激な水位上昇でしょうか。地下浸透を失った都市空間では,全ての雨水が都市河川に流れ込みますが,小河川であるため,さほど引き受ける容量がありません。そうした小河川で集中豪雨(一例がゲリラ豪雨)が発生した場合,「逃げ遅れるような水位上昇」に見舞われることがあります。
最も有名な事例が,神戸市灘区を流れる都賀川(とががわ)です。この都賀川で,2008年7月,児童3名を含む5名が亡くなるという事例がありました。水害というか,水難事故というか形容は難しい事例ですが,いずれにせよ,痛ましい事故です。この時,10分間で水位は134cm上昇しています。当時のライブカメラをご覧ください。
【参考】都賀川
撮影2025.8.28 あちこちに警告があります。


(4)熱中症
最後に熱中症でしょうか。イメージして欲しいのは,台風一過の暑さです。豪雨・洪水時に,マンション等の電源施設が浸水被害を受ける可能性があります。電源施設は,通常,地震による被害を考え,(半地下を含めた)地盤が低いところに置きます。その施設が河川の氾濫(=外水氾濫),氾濫なき滞水(=内水氾濫)を引き起こした場合,電源が止まる可能性があります。
そうなった時に…。
台風一過で,晴れ割った青空。一気の気温上昇というなかで,クーラーが動かないことは,最悪生命に関わります。事例としては,2019年9月の台風15号や同年の台風19号で,停電が発生しています。特に後者が深刻でした。武蔵小杉(川崎市中原区)のタワマンでは,大規模停電が発生しています。
注)台風19号をうけて,国は「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を立ち上げました。その概要が動画にまとめられています。

2020年6月19日公表
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001349326.pdf
【追記】2026.7.3
6/26の大阪の様子につき,Noteの記事を見付けました。
