危機を読むための4つの問い─判断知シリーズ第1章まとめ
今回のフェーズでは、
危機を「使う・待つ・使わない・組み合わせる」
の判断知を整理しています。
ただし、その前に必要なのは、危機を読むことです。
危機を読めないまま使おうとすると、
危機は行動を生むどころか、
防衛や反発を生むことがあります。
だから第1章では、
「危機を読む」ための4つの問いを扱ってきました。
以下の図は、その全体像です。
私はこれを危機判断サイクルとして捉えています。

1. その危機は、本当に危機なのか?
最初の問いは、危機の有無です。
自分が危機だと感じているものは、本当に危機か。
それとも、自分の焦り、不満、不安を
「危機」という言葉で大きくしているだけなのか。
自分にとっての違和感を軽く扱う必要はありません。
ただ、その感覚がそのまま共有危機とは限らない。
危機を扱う前に、まず危機の存在を見立てる。
これが第1の問いです。
2. その危機は、どの温度にあるのか?
次の問いは、危機の温度です。
危機は、あるかないかだけではなく、
どの温度にあるかで扱い方が変わります。
・まだ冷たい危機は、自分ごと化されていない。
・ぬるい危機は、違和感はあるが、まだ動かない。
・適温の危機は、行動に変えられる。
・熱すぎる危機は、防衛や破壊に繋がることがある。
低すぎる危機は動かず、高すぎる危機は壊れる。
危機を扱うとは、ただ熱を上げることではない。
温める、待つ、冷ます。
その判断が必要です。
3. その危機は、誰にとっての危機なのか?
3つ目は、危機の主体です。
自分にとっての危機が、そのまま相手にとっての危機になるわけではありません。
・自分は「このまま続ける危機」を見ている。
・相手は「今変える危機」を見ている。
・現場は「動かない危機」を見ている。
・意思決定側は「動く危機」を見ている。
危機には、
自分、相手、関係、環境、未来
という複数の主体があります。
自分だけが焦っている危機は、まだ共振しません。
誰の危機なのかを分けて読む必要があります。
4. その危機は、どんな意味づけで立ち上がっているのか?
4つ目は、危機の意味づけです。
危機は、
事実そのものではなく、意味づけで動き出します。
同じ出来事でも、
ある人にはただの出来事で終わる。
別の人には、危機として残る。
それは、その出来事が何を揺らすかが違うからです。
・役割の揺らぎ。
・信頼の揺らぎ。
・関係の揺らぎ。
・構造の揺らぎ。
・選択肢の揺らぎ。
危機を読むとは、
「何が起きたか」だけを見ることではなく、
それが、何を揺らしているのかを見ることです。
5. ここまで読めて、初めて活用に進む
この4つは、ばらばらの問いではありません。
・危機の有無を見る。
・温度を見る。
・主体を見る。
・意味づけを見る。
ここまで読めて、初めて次の判断に進めます。
・危機を使うのか。
・待つのか。
・使わないのか。
・組み合わせるのか。
そして、活用した後はまた現実に戻り、
危機の有無・温度・主体・意味づけを読み直す。
だからこれは、一度きりの判断ではなく、
危機判断サイクルでもあります。
今日の判断知
危機を読むとは、危機を大きく語ることではない。
危機感を煽ることでもありません。
・その危機が本当に危機なのか。
・どの温度にあるのか。
・誰にとっての危機なのか。
・どんな意味づけで立ち上がっているのか。
この4つを見立てることです。
本章「危機を読む」で扱ってきたのは、この土台です。
ここから次は、第2章「危機を使う」へ進みます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
