裕次郎さん、首に巻いてみた。
裕次郎さん、首に巻いてみた。
~300円のスカーフが教えてくれたこと~
蔦屋のあと、少しだけ古着を見に行った。
赤いアロハを着て、ドジャースのキャップをかぶって、介護ロボットに「めんこいねぇ」と話しかけたあとである。
もう十分、今日の私は情報量が多かった。
それなのに、まだ何かを探していた。
白Tにカーキのパンツ。
メンズっぽいアイテムが好きなおばさん。
でも、このままだと少しぼける。
そんな時に見つけたのが、300円の絹のスカーフだった。
紺色の生地に、ロープのような柄。
チェーンのような柄。
舵のような柄。
最初は、バッグに巻くのにいいかなと思った。
でも、試しに首に巻いてみた。
……あれ。
妙に貫禄が出る。
可愛いスカーフではない。
華やかなスカーフでもない。
むしろ、どこか昭和で、港町で、少し男っぽい。
タグを見ても、何のスカーフなのかよく分からなかった。
あとから調べてみたら、どうやら石原裕次郎記念館のスカーフらしい。
裕次郎さんだったのか。
そりゃあ、妙に貫禄があるわけだ。
私はその日、
少しだけ裕次郎さんを首に巻いていた。
……結局、そのスカーフは買わなかったのだけれど。
でも、あの300円のスカーフは、今の自分を少しだけ教えてくれた気がする。
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思えば最近、服の見方が変わってきた。
若い頃は、可愛い服が着たかった。
似合う服を探していた。
太って見えない服を探していた。
でも今は、それだけでは足りない。
子育て。
仕事。
病気。
労働争議。
家族のこと。
支援につながるまでの迷い。
そして、これから自分の居場所を作ろうとしていること。
そういうものが、顔にも、体型にも、服の着方にも少しずつ出るようになった。
だから、中途半端な服だとぼける。
思いきり派手にする日。
思いきりシンプルにする日。
最近は、そのどちらかに寄ってきた気がする。
あのスカーフは、シンプル側の服に少しだけ情報量を足してくれるものだった。
白Tを、ただの白Tで終わらせない。
カーキのパンツを、ただの作業着っぽさで終わらせない。
メンズっぽい格好に、少しだけ大人の貫禄を足してくれる。
しかも300円。
裕次郎さん、ありがたい。
⸻
服は、ただ着るものではなくなってきた。
その日の自分を説明してくれるもの。
話しかけられるきっかけになるもの。
自分の背景を、少しだけ外に出してくれるもの。

今日の私は、赤いアロハで介護ロボットに話しかけ、
天然石のブレスを買い、

イビザのペンケースを作り、

そして300円のスカーフを首に巻いてみた。
どこへ向かっているのかは、正直よく分からない。
でも、たぶん悪くない。
30代は、捨てることで自分を探していた。
40代は、古着を着ながら自分を回収している。

そしてあの日。
買わなかった300円のスカーフが、
「今のあなた、こういう感じも似合うよ」
と、少しだけ教えてくれた気がした。
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構造を言語化し、現場と制度をつなぐ
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