フランス・ロスと息子の旅立ち
フランスロス真っただ中
ここ数年、ヨーロッパ旅行のあとにアメリカの自宅へ戻ると、
「やっぱり便利だし、きれいだし、ラクだな」と思うのがいつものパターンだった。住んでいるのはリゾート地ということもあって、日常生活でもどこかバケーション気分がある。
──でも、今回は違った。
フランスからの帰りの飛行機の中で、まさかの“フランス・ロス”に陥り、
アメリカの空港に着いた瞬間、思わずションボリ。
自分でも驚くほど、帰ってきたことが嬉しくなかったのだ。
こんな気持ちになるなんて、本当に珍しい。
前回のフランス旅行もとても楽しかったけれど、今回はもう、“パリに住みたい。帰りたくない”とまで思ってしまった。
先日の暴動みたいなことは、もちろん嫌だけど…
フランスは「楽しい」とか「素敵」といった言葉を超えて、どこか敬意を払いたくなるような、深い魅力がある。
ローマやベルリン(旧東)も感動はあったけれど、街の至るところにグラフィティ(落書き)があり、視覚的に疲れてしまった。
お店のシャッターや高級住宅の壁、公共物までも、まるで抗議か主張のような文字や絵で覆われている。そこにある“叫び”を感じながらも、やっぱり私は、パリのような静かな品のある美しさに惹かれるのかもしれない。
もちろん、パリの街角にワンコのフンが落ちているのは相変わらずだったけれど、早朝には清掃車が走り、前よりずっと街が清潔に感じられた。ブルゴーニュの田舎ではさらに感動。(※ボルドーはちょっと微妙だったけど…これはまた後で)
そして何より──人が親切だった。どこへ行っても、あたたかくて、心地よかった。イタリアでもドイツでもオランダでも日本でも、そう感じたことはあるけれど、今回のフランスでは、それが一層心に沁みた。
住んでみたら、また違う側面も見えてくるのだろうけれど、パリに自宅を、ブルゴーニュに小さな別荘を──そんなささやかな夢が、ふと心をよぎった。
ヨーロッパには6年住んだことあるし、もういい。とずっと思っていたのに。今回の旅が五感をじんわりと呼び覚ましてくれたことに、心から感謝している。

留守番してた22歳の息子のこと
留守中、息子が我が家で暮らしていた。
その間に、彼は会社を辞めた。
フランス滞在中に電話で話していたので、驚きはなかったし、今さら取り乱すようなこともない。
むしろ私は、どこか前向きな気持ちしか持っていない。
でも──
息子の父親(元夫)と義理の父(今の夫)は、やっぱり困惑していた。
この現実を受け止めるには、少しばかり時間が必要だったみたい。
私たちが帰国してから今日までの1週間、息子は荷造りをしたり、友達に会ったり、別の州での滞在先を探したり。新しい仕事に向けて、バタバタと動いていた。そんな中でも、家族との時間をちゃんと大切にしてくれた。
20代の頃の自分を思い出した。あの頃の私は、日本と海外をふらふらと飛び回っては、親の心配なんておかまいなしで、好きなことをしていた。それに比べて、息子の細やかな気遣いには、本当に驚かされる。。
昨日は久しぶりに2人だけのカフェ時間をつくってくれた。
私の大好きなカフェまで一緒に歩いて行って、心地よいソファに腰かけて、じっくり語り合った――と言いたいところだけど、実は、あまり話は弾まなかった。
なぜなら、息子にはもう悩みがなくなってしまったから。
半年前とはまるで違う。
人生について、恋愛について、仕事や人間関係について悩んでいたあの頃の彼は、もういない。今の彼は、波動が高くなり、思考もクリアで明確になり、まだ現実になっていない未来に、ちゃんと信頼を置いている。そして何より、「いい気分」でいることを自然にキープできている。
でも、これが本来の姿。子供のころから変わらない部分。ときどき曇ってしまうのは仕方ないし、それはみんな一緒のこと。もちろん、これからの人生でまた色々なことがあるだろう。悩みも、葛藤も増えてくるはず。
迷っていたときに出会った、エイブラハムの教えのおかげで、私自身も母親としての迷いがほとんどなくなっていった。もちろん私にも、あのときこうしていれば…と後悔しそうになる場面はいくつもある。
けれど今の関係を見ていると、
“All is well”──すべてうまくいっている
そう信じられる。
もし「そういうスピリチュアル的な話は理解できず苦手だけど内容を知りたい」という人がいたら、エーリッヒ・フロムの『愛するという技術』という哲学書をおすすめしたい。内容は同じだから。
ようするに――母である自分の感情を整えることが、何よりも優先されるということ。そして、自分を愛すること。
そうでなければ、真の意味で子どもを愛することはできない。
もちろん、うまくいかないときもあるし、感情が乱れる日だってある。
でも、それでいい。完璧である必要なんて、どこにもないのだから。
話が盛り上がらなかったのは、悩み相談の部分だった。
でも、結局それほど重要でもない話題になると、笑いながらおしゃべりできた。それは自宅でも同じで、私と夫と息子の3人の、新しい形のファミリーは、ここでいつも爆笑している。
今の夫の娘2人は超エリートなので、それに比べると私の息子は。。。ってなっちゃいそうだけど、そこは愛が埋めてくれる。ジャッジなしの、無条件の愛を、夫はちゃんと思い出した。それこそが、4次元で生きる意識。
旅立ちのカードを書き、中にお金を入れて、夕食後に息子に渡した。息子はそれを開き、2人が涙目になっていた。私だってウルウルした。こんな新しい形の家族関係を、数年前の私は望み、ちゃんと叶えることができた。
三次元を超えて感じた旅の余韻
近くに住む息子の父親は、息子への心配もかなり大きい。
相変わらず、仕事や人間関係での悩みと向き合っている。以前はそんな人ではなかったのだけど。
そういう愚痴を聞きながら、それらが損得ベースの三次元の悩みであることを息子もすでに理解している。さらに、「自分はもう、そこにはいない」と、はっきりと自覚している。でも、父との関係を大切にしてるし、そのことで元夫も救われている部分は大きいのだ。その部分も感謝してる。そしてつくづく思うのだけど、子供は親を超えるのだから、魂の成長を止めてはいけない。
今回は少し遠くへ行くけれど──心のどこかで、母としてときめいている自分がいる。自分の若いころもそうだったしね。。。と、軽やかに送り出せている。もちろん、意識的にそうしている。
他の人と比べれば、私は“子離れ”があまり上手な方ではないという自覚がある。だからこそ、喜んで見送ることができている今の自分に、ちょっとだけ驚いて、そして感謝した。
きっとどこかのパラレルワールドでは、寂しくて孤独に泣き崩れている私もいるかもしれない。でも私は「こっちの現実」を選べている。今の夫のおかげでもある。
あの美しいフランスの街並みが恋しくて、ふと胸がきゅっとなる。
けれど、同じくらい愛しいのは、目の前の人生が静かに変化していくこの瞬間。旅が終わっても、心がときめく風景は、自分の内側にちゃんと残っている。
フランス・ロスも、子どもの旅立ちも、
すべては私の中の「愛」と「感謝」を育ててくれる、大切なギフト。
いまは、そう思えるのです。
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