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DSA (アメリカ民主社会主義者) の次に来るもの ―なぜGen-Z Socialismは広がるのか?―


私は以前、

TempleでDSAを学んだが、オバマ デモクラットのままな理由

というテーマについて投稿した。

私の恩師である、Joseph Schwartz教授は長年 DSA (Democratic Socialists of America) に深く関わってきた人物であり、私自身もフィラデルフィアで政治学を学ぶ中で、その思想に触れてきた。

正直に言えば、当時(2010年前後)のDSAはインディーバンドのような存在だった。

知る人ぞ知る。大学の教室や活動家コミュニティでは知られている。しかし、アメリカ政治の中心にはいなかった。

ところが今、その状況は大きく変わりつつある。

The Economistは最新記事で、このトレンドを「Gen-Z Socialism (Z世代社会主義)」と呼んでいる。これは私が大学時代に見ていた、2010年代前半のDSAとも少し違う、新しい左派の形だ。

https://economist.com/leaders/2026/06/04/how-to-fight-back-against-gen-z-socialism

■ミレニアル社会主義からGen-Z社会主義へ

The Economistによれば、2008年の金融危機後に台頭した「ミレニアル社会主義」は「労働者を企業経営に参加させる、協同組合を増やす、そしてグリーン産業へ投資する」などといった「資本主義をより公平にする」という発想だった。実際、これは私がSchwartz教授から教わった思想に近い。アメリカの民主党のBernie Sandersやイギリスの労働党のJeremy Corbynは、その象徴だった。しかし、両国の有権者は彼らを選ばなかった。Corbynはイギリス労働党史上最悪レベルの敗北を喫し、Sandersも民主党の大統領候補者にはなれなかった。

■新しい左派はもっとシンプルだ

ところが、Gen-Z Socialismはミレニアム社会主義とは違うのだ。Gen Zはイデオロギーを語らない。「社会主義とは何か?」もあまり語らない。代わりに彼らが訴えるのは、「家賃を下げろ、保育を無料にしろ、バスを無料にしろ、AIから仕事を守れ」などである。これは個人的にかなり興味深い。

DSAや旧来の左派が「社会をどう変えるか?」と抽象的に語っていたのに対し、Gen-Z Socialismは「私の生活を今すぐ楽にしてくれ!」と内容もかなり具体的に語るのだ。

■AOCとマムダニ

私がTempleにいた2010年代前半、DSAはインディーバンドだった。しかし今は違う。DSA所属の人気の政治家である2人、Alexandria Ocasio-Cortez (AOC) は民主党の全国レベルの有力政治家となり、Zohran Mamdaniはニューヨーク市長として全米的な注目を集めている。

The Economistは、AOCが2028年の民主党の大統領候補になる可能性すら論じている。これは驚くべき変化だ。私が大学時代に見ていたDSAの人々は、「社会の周辺から問いを投げる人たち」だった。しかし今や、「実際にアメリカという超大国を統治しようとする人たち」になりつつあるのだ。

■なぜ広がるのか?

The Economistが指摘する最も重要な点は、人々がもはやイデオロギーに興味を失っていることだ。若者の間では、資本主義への支持も、社会主義への支持も、両方とも低下している。つまり、Gen Zは「私は社会主義者だ」と言いたいわけではない。ただ、「家賃が高い、昼食が高い、将来が不安、AIが怖い」とそう感じているだけだ。

■私が興味深いと思ったこと

私はこの記事を読みながら、DSAとオバマの政治哲学的な違いよりも、むしろ「オバマ時代のアメリカと現在のGen-Zのアメリカの違い」を感じた。オバマ大統領が語っていたのは希望だった。彼が訴えていたのは「”Hope"や"Change"といったシンプルな前向きなメッセージと、アメリカという国への信頼」だった。

一方で、Gen-Z Socialismが語るのは、「不満・不安・生活コスト」である。パンデミック、終わらないヨーロッパや中東での戦争、インフレ、住宅危機、そしてAIの台頭などの「恐怖」を経験した世代らしい政治哲学だと思う。

■結論

私自身は今でもオバマ デモクラット (Obama Democrat / オバマ時代からの民主党支持者) だ。自由市場経済を完全に否定するつもりはない。経営者として、利益がなければ組織は続かないことも身をもって知っている。しかし同時に、なぜGen-Z Socialismが広がるのかも理解はできる。それは彼らが社会主義だからではない。むしろ、「今の社会のシステムが自分たちのために機能していない」と感じているからだ。

私がTempleで見ていたDSAはインディーバンドだった。しかし今、その音楽はメインストリームになりつつある。問題は、その音楽が本当にアメリカ社会、そして超大国アメリカを運営できるのかどうかである。


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