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記憶の針を落とす[音楽の背景編]扉


音楽の向こう側で、何が動いていたのか


音楽の背景には、土地、時代、社会、技術、人の仕事があります。

なぜ、その土地からその音が生まれたのか。
なぜ、その時代にその歌が必要とされたのか。
なぜ、同じ音楽が国や人種を越え、別の姿へ変わっていったのか。

音楽は、一人の才能だけで生まれるものではありません。歌う人、演奏する人、言葉を書く人、音を整える人、作品を世に送り出す人が関わり、その周囲には社会や産業、技術の変化があります。

ブルースやジャズが生まれた土地には、人種差別や貧困の歴史がありました。ロックンロールが広がった背景には、白人と黒人の音楽が交わっていった歴史があります。レコード、ラジオ、ステレオ、ウォークマン、iPod、ストリーミングへと再生環境が変わるたび、音楽を聴く場所や、人と音楽との距離も変わってきました。

歌詞の中に置かれた一つの言葉にも、作詞家の意図や時代の価値観が表れます。演奏や編曲のわずかな違いが、曲の意味を変えることもあります。

これまで、こうした記事は「番外編」としてまとめてきました。けれど、音楽を生んだ社会や時代、技術、人の仕事をたどることは、決して寄り道ではありません。

そこで今回、「番外編」から「音楽の背景編」へと名前を改めました。音楽を聴き、その背景を読み、時代をたどることも、「記憶の針を落とす」の大切な柱だからです。

[音楽の背景編]では、音楽を生んだ社会や時代、聴き方を変えた技術、そして作詞、作曲、編曲、歌唱、演奏など、音楽を形づくる人の仕事も扱います。

最初から順番に読む必要はありません。気になった時代、言葉、音楽の仕組みから、針を落としてみてください。


音楽が生まれ、形を変え、広がっていくまで


Vol.3|ブルースへの旅(ルーツ篇)

ロックやソウルの奥に流れている音をたどると、アメリカ南部の黒人たちが歌ったブルースへ行き着きます。
音の源流へさかのぼる、記憶と原点への旅。
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Vol.10|ステレオからウォークマン、そしてiPodへ

音楽は、家の中で向き合って聴くものから、街へ持ち出し、一人で持ち歩くものへ変わりました。
音を聴く場所が変わるたび、人生の風景も変わった。
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Vol.19|音楽がティーンエイジャーの文化になった。

かつて音楽は、大人がつくり、大人が楽しむものでした。若者が自分たちの音楽を手にしたとき、新しい市場と文化が生まれました。
若者が音楽を選び始めたとき、時代が動いた。
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Vol.22|KGBが恐れたビートルズ

西側の若者文化を象徴するビートルズの音楽は、鉄のカーテンを越え、ソ連の若者たちにも届いていました。
「Back in the U.S.S.R.」が、モスクワで鳴った日。
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Vol.28|人種の壁は、音で壊れた

白人の音楽と黒人の音楽は、別々に存在していたわけではありません。互いの音が混ざり合った場所から、ロックンロールが立ち上がりました。
ロックンロールは、「混ざった瞬間」だった。
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Vol.29|針を落とす前に、街が鳴っていた

ジャズは、譜面の上だけで生まれた音楽ではありません。港、歓楽街、教会、葬列など、ニューオーリンズの街そのものが音を育てました。
ジャズは、場所から生まれた音だった。
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Vol.30|音楽は、人から離れた

ディスコの広がりは、音楽の中心を演奏者からリズムとダンスフロアへ移しました。ロックの王者たちも、その波を無視できませんでした。
人が音を鳴らす時代から、音が人を動かす時代へ。
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Vol.31|ビートルズは、なぜアメリカの音楽をアメリカから奪えたのか

アメリカのロックンロールに憧れたイギリスの若者たちは、その音を自分たちなりに受け取り、やがて本国へ送り返しました。
文化は、いちばん確信のある場所から鳴る。
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Vol.34|作詞家の魂は2番に宿るらしい

多くの歌で、1番は物語を始め、2番で書き手の本音が顔を出します。何気なく聴いていた歌詞の構造を、作詞家の言葉から考えました。
歌の本音は、2番で静かに姿を現す。
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Vol.37|ビートルズからクラプトン、そして「ホテル・カリフォルニア」へ

ジャマイカで生まれたリズムは、レゲエという名前が広く知られる前から、ロックの中へ少しずつ入り込んでいました。
ジャマイカのリズムは、ロックの中へ静かに流れ込んだ。
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Vol.38|パティ・ボイドという存在が生んだ名曲たち

ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトン。二人の間にいた一人の女性をめぐり、男たちの感情は何曲もの歌になりました。
一人の女性をめぐって、男たちが世界へ吐露した感情の記録。
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音楽の外側にあるもの


音楽は、作品だけで聴くこともできます。
けれど、その音が生まれた土地や時代、社会の仕組みを知ると、曲の聴こえ方が変わることがあります。何気なく使われた楽器、歌詞の一行、レコードの売り方、音楽を聴くための機械にも、その時代の価値観が刻まれています。

人種の壁があったから生まれた音があります。

技術が変わったから広がった音楽があります。

一人の作詞家や編曲家の仕事によって、意味を変えた歌もあります。

音楽の背景を知ることは、曲を理屈で理解することではありません。むしろ、これまで聞き逃していた声やリズムに気づき、もう一度新しい耳で聴き直すことだと思います。

これからも、音楽の向こう側にある社会や歴史、技術、人の仕事について書き加えていきます。


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「記憶の針を落とす[洋楽編]」はこちら


もし、筆者に興味があれば、こちらをご覧ください。


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浅川幸三 | クリエイティブプロデューサー 共感でも、違和感でも。 何かが残ったなら、それで本望です。 サポートは次の一行のために。