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超高齢化社会をチャンスに変える日本再生術

90歳の父が4月7日に背骨の骨折と前立腺がんで入院し、23日に退院しました。
以前の常用薬は高血圧の薬くらいでしたが、現在はがん治療薬、複数の痛み止め、便秘薬、そしてカルシウム剤と、服用数が一気に増えてしまいました。

父には認知症があるため、自分自身で薬を管理することはできません。
そのため、私が朝昼晩と間違いのないよう薬を出し、ちゃんと飲んでいるかを見届けています。

観察していて気がついたのは、父がPTPシート(錠剤やカプセルをプラスチックとアルミで個別に包装したシート)から薬を取り出すのに非常に苦労しているという現実です。

かつて手先の器用だった父ですが、高齢になると身体機能の低下に加え、認知症の影響もあり、缶のプルトップを開けるような些細ささいな作業すら困難になっています。
これは父に限った話ではありません。握力が低下すれば、ペットボトルのキャップを開けること一つとっても難関になります。

若い頃には難なくできていたことが、高齢になると「高難度の作業」へと変貌してしまいます。多くの既存製品は、高齢者にとってあまりに不親切です。

指先を震わせながら薬の取り出しに四苦八苦している父を放っておくわけにもいかず、結局、私がすべての薬をシートから出し、手渡してやることにしました。
私自身がやってみても、小さな錠剤を硬いシートから押し出す作業は面倒で、骨が折れます。
父には私がいますが、一人暮らしの高齢者がどれほど大変な思いで薬を扱っているかと思うと、胸が締め付けられます。

日本は世界でもトップレベルの超高齢化社会です。現在、65歳以上の割合は約3割を占めており、2070年には4割に達すると予測されています。
にもかかわらず、社会の至るところで高齢者への配慮が欠けています。

商品だけではありません。例えば、高齢者が通う総合病院のシステムです。
検査、診察、会計、さらには院外の薬局へと、広大な院内を縦横じゅうおうに移動させられ、しかもその度に、その待ち時間は恐ろしく長い。体力が低下し、体に不自由を抱える高齢者にとって、この移動と待機は大きな苦痛です。
高齢者こそが主要な利用客であるはずの医療機関ですら、高齢者の実情を置き去りにしたシステムで動いているのが現実です。

しかし、視点を変えれば、これは大きなチャンスでもあります。
高齢者の立場に立ったサービスや設計が進めば、日本の仕組みはそのまま世界で戦える競争力を手に入れるはずです。
世界人口における高齢者の割合は、2050年には約16%に達すると予測されており、他国もまた日本を追いかける形で超高齢社会を迎えるからです。

高齢化を単なる『社会のコスト』とみなす考え方は、もうやめませんか。
商品、インフラ、都市設計を、「高齢者」だけでなく、今の課題である「環境」にも、「お財布」にも優しいものへと刷新していく。
その視点に立つと、この国は、そうした社会実験を先駆けて試せる恵まれたフィールドにあることが見えてきます。

若い世代の中には、「高齢者ばかり優遇されて不公平だ」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、いずれ誰しもが高齢者になります。
その立場に立ったとき、今の社会がいかに生きづらいものかを身をもって知ることになるはずです。

高齢者を「厄介者」扱いし、弱者いじめにも見える負担を増し続ける改革を行う社会にするのか。
それとも、高齢者も安心して暮らせる優しさが行き届いた社会にするために知恵を出し合い、理想的な超高齢化社会を創造する先進国の道を切り拓くのか。

人口減少が進む日本を救う道は、後者にあるはずです。
高齢者を「差別」するのではなく、「差別化戦略」のために学ばせてもらう対象にする。
今こそ立ち止まり、問い直してみる必要があるのではないでしょうか。


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