桜が灰色に見える、介護うつの恐怖。90歳の父を支える僕が実践する、心を壊さないコツ
今月7日、大きな病が原因で背骨を骨折した父が退院し、今日で一週間が経ちました。
父は90歳、認知症も患っています。歩いてトイレに行くことはできますが、転倒のリスクを考えると、移動の際は片時も目が離せません。
母が昨年他界したため、一人息子である私がすべてのサポートを担っています。
いま最も苦労しているのは夜間です。
退院直後は1時間おきにトイレに起きていました。現在は3~4回にまで落ち着きましたが、父の隣で眠る私は、気配を感じるたびに一緒に起き上がり、暗闇で躓かないよう照明をつけ、トイレに付き添う日々が続いています。
当然、慢性的な睡眠不足となり、疲労は蓄積していくばかりです。
それでも父が、自分の足でトイレへ向かい、朝の髭剃りや歯磨きも自力でこなしてくれることに、心から感謝しています。
骨折を知らされたときは「このまま寝たきりになるのでは」という悪夢が頭をよぎりました。その不安が現実にならなかっただけでも、今の状況はありがたいことなのだと言い聞かせています。
介護の苦労を知ると、エッセイストでタレントの安藤和津さんが、かつて13年間にわたり実母の介護を続けた凄絶な日々に、敬意を抱かずにはいられません。
家事をこなしながら、2時間おきに痰の吸引を行い、さらには体位交換、おむつ替えに明け暮れる日々。睡眠不足とストレスが重なって、安藤さんが深刻な「介護うつ」を患ったのは、当然の結果だったと言えるでしょう。
介護が心身に与えたダメージの深さは、彼女が母を見送った後も長く「燃え尽き症候群」に苦しんでいたという事実が物語っています。
心が病み、色の認識さえ危うくなった彼女は、満開の桜を見ても「こんな薄汚れた花を、なぜみんな喜んでいるのか」と感じたそうです。
私にも似た経験があります。
大学生の頃、重度の睡眠不足に陥った際、通学途中の青々とした木々が灰色がかって見えてしまったのです。「人生が灰色になる」とは、比喩ではなく実際にあるのだと実感したことは、今も強く記憶に刻まれています。
父を支えるためには、自分自身の心と体の健康を保つ必要があります。
そのコツとして、安藤さんは「休み」の重要性を説いていますが、その通りだと思います。今は、5分程度、近所を散歩する余裕しかありませんが、それでもいい気分転換になっています。
この他、先のことを憂いすぎないようにし、意識的に自分の気分を引き上げていく努力もしています。
なぜか、極限まで追い詰められると、「無理にでも明るく振る舞わなければ、本当に壊れてしまう」という本能的な危機感が芽生えてきます。
すると不思議なもので、「明るくなろう」と心に呼びかけるだけで、心の底から明るい気分が湧いてくるようになりました。
もちろん、疲労が重なれば、深い溜息が漏れてしまうこともあります。
なので、執筆活動や読書に没頭する時間をもつことで、悩みを忘れる工夫もしています。
暗闇に沈みがちな介護生活を少しでも明るくするために、今日も様々な知恵を働かせていきます。
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