追いかけて追いかけても掴めないものばかりさ
最近panpanyaさんの漫画にハマっている。
以前から気になって自分の中の欲しいものリストには入っていたけど買うまでには至ってなくて、近所の本屋が急に潰れるとのことで今更ながら購買意欲を駆り立てられ何か買う本はないかとその本屋で物色していたところにpanpanyaさんの漫画がドーンと平積みされていた。失礼な言い方だけどもpanpanyaさんの漫画はタイプ的に全国どこの本屋さんにも置いてあるものではないし、増してや新作だけでなく過去作含めてドーンと平積みされているところなんて見たことなかったので凄く目を引き、あコレは買うしかないと一気に買ってしまったのである。
欲しいものリストに入っていたのはネットでたまたま短編を一作読んで面白かったからだが、買うのに二の足を踏んでいたのが短編が一作面白かったからといって他も全部面白いとは限らないと思ったからで、ちゃんとハマるかどうかドキドキしたが、杞憂でした。この人の漫画、全部面白い。というか好き。
作品のアイデアが、日常生活のふとした発見や思いつきからきてるタイプ。ほんとにちょっとした感触や手触り、のようなものから漫画に仕立てているから凄い。そんなところから漫画って生まれるんだ、ていう。面白いので読んでください。どの単行本も短編集なのだけど、10年以上ずっと同じ温度感、同じクオリティで描き続けているので、どこから読んでも等しく楽しめます。
そのpanpanyaさんの漫画の中に「カステラ風蒸しケーキ物語」という作品がある。
これは著者の分身である主人公がコンビニでたまたま見つけた“カステラ風蒸しケーキ”という菓子パンを買って家で食べるところから端を発する。カステラと蒸しケーキ、それぞれ好物だった主人公にとって“カステラ風蒸しケーキ”は双方の良いところを組み合わせた至高の食べ物であり、一気にハマる。それから毎朝食べるために買い置きをするようになるのだが、ヤマザキパンの新製品は時期を過ぎるとコンビニに売っておらず、ならばとスーパーを中心に探して取扱店を発見、一安心かと思いきや次の新商品が発売されると次第に取扱店も減っていき…と主人公は“カステラ風蒸しケーキ”を継続的に補給するために様々な方法を駆使する。お客様相談室に問い合わせて住んでいる近隣地域での取扱店を教えてもらう、などの方法も編み出す。しかし安定した供給方法を手に入れたのも束の間、“カステラ風蒸しケーキ”は敢えなく生産終了してしまう。生産終了前の最終ロットで出された品物を遠方まで買い占めに行ったり、その執念は凄まじい。生産終了後も蒸しパンもカステラも手作り可能であるのだから、“カステラ風蒸しケーキ”も自ら作れるのではないかと思い立つ。しかし、再現することは容易なことではなかった。蒸しパン・カステラ共に原材料はほぼ同じである。その中間である“カステラ風蒸しケーキ”とは何ぞや。試行錯誤の果てに主人公はほぼ忠実な再現に成功する。こうして、商品の生産自体は終了してしまったものの、“カステラ風蒸しケーキ”は作者の心にいつまでも残り、こんなに美味しいパンがあったんだよと後世に伝えることも、味を再現することも出来たのであった。
と物語はまだ終わらず、“カステラ風蒸しケーキ”の再生産のお知らせの報が入る。それは生産終了から8ヶ月後のことであった。それでも久々に食べた“カステラ風蒸しケーキ”の味はひとつも落ちてなくて、むしろ以前よりも味わいが増したように感じられた。それは“カステラ風蒸しケーキ”が何たるかを追い求め続けた結果、解像度が増したからではないかと気づく。近隣から足を伸ばしてわざわざ知らない町に買いに来たところ、既に売り切れていたのを見ても、この町に“カステラ風蒸しケーキ”を食べてる人がいると思うだけで、景色が少し鮮やかに見える。取り巻く景色にすら味わいが波及していたのだ。また本物の“カステラ風蒸しケーキ”と手作りの“カステラ風蒸しケーキ”の食べ比べ、手作りをどうやったら一層本物に近づけられるかといった検証も楽しめた。
ただ、蜜月の時は長く続かず、“カステラ風蒸しケーキ”の再生産の時期も終わりに近づきつつあった。そこで主人公は盲点ともいうべき情報を発見し、簡単に手に入れる方法を編み出す。そうして主人公に“カステラ風蒸しケーキ”を巡る旅の果てに報われる瞬間が訪れるのであった…。
と、基本的にpanpanyaさんの作品は1話で完結しているものがほとんどなのだが、「カステラ風蒸しケーキ物語」に関しては「続・カステラ風蒸しケーキ物語」「続続・カステラ風蒸しケーキ物語」「続続続・カステラ風蒸しケーキ物語」「続続続・カステラ風蒸しケーキ物語補遺」「続続続続・カステラ風蒸しケーキ物語」となんと6話に渡って描かれている。
「カステラ風蒸しケーキ物語」と「続・カステラ風蒸しケーキ物語」以下は別の単行本に別れて掲載されているので、全部読みたい時は注意が必要である。
さて、このように取り扱っている店舗は少ないものの、自分や家族が好きなので、見つける度に買い込んでいた商品は私にもある。いや、かつてあった。ケロッグのハーシーチョコビッツだ。その名の通り、コーンフレークで有名なケロッグとチョコレートで有名なハーシーズのコラボ商品である。
四角形の真ん中がぷくっと膨れた小さな座布団のような形状のクランチの中にミルククリームが入っていて、外のクランチのチョコレートはカリッとした食感、中のミルククリームはトロッとした食感。外も中も味の違う濃い甘さで健康促進の時代に逆行した味の濃さ。かけた牛乳もあっという間にチョコレートミルクになる濃いチョコ味に海外の老舗チョコレート会社の底力を感じる逸品であった。
凄く好きだったので一時期はよく買っていた。こちらも限定商品だったためか、安さが売りの大手スーパーではあまり売ってなくて、近隣では取り扱っている店舗は一つしかなかった。ただそこに行けば買えると安心し切ってはいた。そのため、ある日忽然と姿を消した時は結構ショックだった。それこそ「カステラ風蒸しケーキ物語」のように方々のスーパーや薬局にその姿を探し求めたが、ついぞ見つけることは叶わなかった。元々コラボ商品であるため、契約が切れたものと思われる。漫画のようにお客様相談室に問い合わせまではしてないので事実のほどは分からないが、見なくなって3 4年は経つので生産してないことは確かだろう。
家で再現してみるところまで考えたことはなかったが、たぶん無理だろう。どうやって作るんだアレ。
コーンフレークはコーンクリームと小麦粉を混ぜて焼けば、家で作ることは可能らしい。しかし、ハーシーチョコビッツはコーンフレークよりもクッキーに近い気がする。いわゆるチョコクランチはチョコをまぶしたコーンフレークを粗めに砕いて再び固めたものだが、チョコビッツは中のミルククリームをしっかり包み込んでいたので、粗く砕いたコーンフレークを成形するよち、クッキー生地をしっかり作って形を作る方が正解に思える。また、この生地がミルククリームを包み、そのまま齧った際にはカリッとなる歯応えを持ちつつ、牛乳をかけるとチョコが染み出し柔らかくなって、良い感じにふやけないといけないので、ハードルが高すぎる。無理です。
あとハーシーチョコビッツを探している中で気づいたが、昔は沢山いたケロッグのキャラたちはどこに行ったのだろうか。現役でいるのはトニー・ザ・タイガーとココくんの二匹だけである。トラとサル。昔はゾウのメルビンとかオウムのやつ(当時でも名前は知らんかったけどトゥカン・サムというらしい)とか居たのに、どこに行ったのだ。もう我慢できない!で有名な水色ゴリラのキングコンボは。タカアンドトシのタカがやるモノマネが若い子に通じなくなるじゃないか。メルビンが担当していたチョコワは今でもあるんだから、何もクビにする必要ないじゃないか。最近、ケロッグのCMを見たが、青空の下をトニーとココの二人だけが飛び跳ねてて凄い寂しかった。他のみんなも出してあげてよ!
チョコビッツの再現は到底叶わないが、某喫茶店で売られているヨーグルトのフローズンドリンクを最近は家で再現しようとしている。何を隠そう自分は10年以上その某喫茶店で働いているので店での作り方は知っているのだ。しかし、最近はドリンクの素となる粉に牛乳を混ぜて作るだけなので家では作りようがない。ただ、数年前までは実際のヨーグルトを使って作っていたので、そのレシピを使えば家で再現できることに気がついたのだが、如何せんそのレシピを忘れてしまったのである。ヨーグルト・牛乳・氷を混ぜ合わせていたことは覚えているのだが、家でその組み合わせをやってもちょっとヒンヤリしたヨーグルトと牛乳の中間的食感のナニカが出来るだけで、何とも微妙なのである。
現状は色々試してみた結果、凍ったフルーツ(種類は何でも)・ヨーグルト・牛乳を混ぜてミキサーにかけると、それなりに美味いフローズンヨーグルトっぽいものが出来上がる。分量も毎回探り探りなので、まだ完成している気がしない。ここら辺がpanpanyaさんと比べるとテキトーでいかんなと思う。まあ、実はドリンクとして飲みたいというより、グラノーラにかけて食べたいという欲求からスタートしているので、完全に再現する必要もないのだけど。
それよりも、作り方が変わる前は100回以上作っていたであろうそのレシピがすっかり頭から抜けてしまっていることがショックである。記憶とは何と曖昧なものか。
最近、TOHOシネマズでICEEというフローズンドリンクが発売されているのを見て 懐かしい!という気持ちに駆られて思わず写真に撮ってしまった。

ところが恐ろしいことに、よくよく思い返してみると多分ICEEを飲んだことはなかったのである。
昔からこういうシャーベット状のフローズンドリンクは好きで、幼少期の頃、コンビニでもこういうフローズンドリンクが売っていたのである。自分の記憶ではスリーエフとかだったのではないか…?と思ったが、調べるとセブンイレブンでスラーピーという商品が売っていたようである。しかしスラーピーという単語には耳馴染みがない。カラオケのフリードリンクにも置いてた時期はあったようだが絶妙に自分の学生時代とは被ってない、ように思う。少なくとも自分の記憶の中の青春では存在していなかった。
どうやら記憶の混成が起こっていたようだ。うちには何故かは知らないがこのICEEの白熊のフィギュアが昔からあって日常的によく見ていた。また幼少期に飲んだフローズンドリンクがあまりに美味しかったから印象に残ってる一方で、幼いから一つは丸々飲み切ることが出来ないから遠慮してあまり親にねだらなかった覚えもある。そのために味の印象と思い込みのイメージが強くなってしまって、ICEE=自分の記憶の中で凄い美味しい懐かしいモノ、ということになってしまったのではなかろうか。
まあでも、記憶など曖昧なモノである。
好きな気持ちも執拗になっていくと執着になってしまう。
『メアリー&マックス』という映画が好きだ。以前はAmazonプライムで観れたのだが、気づいたら公開が終了してしまい観られなくなってしまった。マイフェイバリットムービーと言って良いぐらい大好きな映画なのだが、いつでも観られることに慢心していたらこのザマである。しかも、DVDやBlu-rayが以前は普通の値段で買えたのに、今は値段が釣り上がってとんでもないことになっていた。
あまりに高いので諦めていたのだが、先日『メアリー&マックス』のアダム・エリオット監督15年ぶりの新作『かたつむりのメモワール』を観たら、それがあまりにも良かったために『メアリー&マックス』もう一回観たい熱が再燃してしまった。それでDVD・Blu-rayを販売しているサイトを片っ端に探し回ったが、新品販売はどこも在庫切れ、オークションですらほぼ品切れ状態、楽天市場にあるのはどれも2万超えという有様であった。
そんな中、7000円ぐらいで中古のBlu-rayを販売しているサイトを発見した。新品のBlu-rayでも5500円ぐらいなので、それと比べても良心的な価格である。まあもうこの時点でお分かりの通り、後になって考えたらかなり怪しいサイトだったのだが、この時は熱に当てられていたので、かなり逡巡した果てに思い切ってポチってしまった。案の定、お金だけ取られて後は音沙汰なしである。
お金以外の大事な情報は自分からは開示していないのは不幸中の幸いだった。(クリックするだけで情報がいっちゃうタイプのアレだったらどうしようもないけど)
好きを求めて色々探すのは良いけど、良きところで諦めるのも大事ということだ。『メアリー&マックス』のBlu-rayはあぶく銭でも入ったら改めて買おうと思います。
宣伝


