転がる石のように弘中アナの株が下落していくのを誰か止めたげて
『伊沢みなみかわのクイズに出ない世界』という番組が好きだ。
ゴールデン帯でやってるクイズ番組では出ないようなテーマがVTRで紹介され、そこからクイズが出題される。今まで扱われたテーマは『整形』『官能小説』『デコトラ』『トップオタク』『ライバー』『SM』など。ゴールデンでは扱われない縛りなので、自然とニッチでダーティでアングラなものになる。『退職代行』がテーマの時もあったが、その時に取材されていたのは最近摘発を受けたモームリだった。
出演者はクイズ王の伊沢拓司と芸人のみなみかわ、アナウンサーの弘中綾香の3人。どんなクイズでも絶対に自分が勝つという揺るぎない自信を持つ伊沢に対し、みなみかわと弘中アナが悔しがりながら必死で勝とうとするのがこの番組の基本構造だ。仮に劣勢になっても自分がトップ以外になるなんてあり得ないとクイズ王としてのプライドが揺るがない伊沢と、全く別の意味で自分が一番だと思っている弘中アナ、そんな二人に対して冷静にくさしたりツッコんだりボロ負けして悔しがったりするみなみかわ。この組み合わせが実にちょうど良い。回せるし怒れるし負け犬にもなれるみなみかわの有能っぷりが堪能できる。
2回しかやらなかったが、同じくくり(元ヤンキー・元ギャルなど)で集まってトークしてる人たちの中から本物とニセモノを見分けるクイズも個人的には面白かった。この企画で呼ばれるニセモノの人は、つまりはそれっぽい演技が得意な俳優ということだが、ホンモノの人たちと並べることによって、それっぽくは見えるけどホンモノではない人と、有り得なさすぎて嘘っぽいけど結局はホンモノの人の違いを感じられて面白かった。
例えば元ヤンキーの人たちの回。この中で何人ホンモノでニセモノかはみなみかわたちには知らされてない状態で、元ヤンキーという人が三人出てきた。会社経営をしているなど立派な大人としての今の経歴が紹介されて、過去の元ヤンエピソード・元ヤンあるあるなどを話していく。一人目は今も昔もギラギラしてるヤンチャ系で、二人目は無口で硬派な昔気質タイプ、三人目は分類不明・元ヤンっていうより何か変な人。過去の喧嘩の武勇伝を語る時に、1人目と2人目は一人で大勢に囲まれたのを返り討ちなど、凄くわかりやすい話をするのだが、3人目は電車の中で大勢と戦って全員隣の車両に押し込んでやったなど、不思議な話をする。また話すだけじゃなく、昔を思い出してお互いに喧嘩を売る時の様子を再現してみるコーナーがあったが、1人目と2人目が声を荒げたり睨みを利かせたりするのに対し3人目はのらりくらりとしていて怖いのかどうかもよくわからない。
ここでクイズに立ち戻って考えてみると、ニセモノとして俳優が演じている場合、そこには演技プランが見えてくる。一人目は王道のヤンキーである。あまりに典型的なヤンキーなので作ったキャラとしたら面白くない。それを堂々と出してくる辺り、ホンモノっぽい。二人目はあまり喋らずに威圧感を出している。昔は悪かったし今も怒れば怖い可能性がある、と見る者に想像させる。演じる点で考えると雰囲気だけ出せば良いのだから、一番やりやすいプランである。3人目は正直よくわからない。エピソードや雰囲気はヤバい奴というより変な人という感じである。その感じが逆にホンモノっぽい。というかこのプランで作り込んできたら俳優として面白すぎるし、それにOKを出すスタッフも豪胆すぎる。なのでホンモノである。という風に予想したら、正解だった。一人目と三人目がホンモノで、二人目はニセモノ、悪役専門の俳優だった。
元ヤンの人を演じる点で考えた場合、一人目と二人目は真似て演じることは可能だと思う。しかし三人目を演じた場合、何ふざけてんだバカヤロウと怒られる可能性がある。ただ実際はこんなモノなのだ。でも芝居の仕事で求められるのは二人目の感じだったりする。芝居で求められるリアルの線引きって難しいよなと改めて思った。
そんな風にゴールデンの番組ではあまり得られない気づきも与えてくれるので、この番組のことは大変楽しみにしていた。
そんな折、非常に気になるのが弘中アナの存在だ。率直に言って弘中アナの株が私の中で下がり続けている。
最初に違和感を覚えたのは平成えもえもクイズ「平成カラオケ歌詞抜き出しクイズ」の時である。このクイズは、平成に流行ってカラオケでよく歌われていた曲の歌詞の一部分から、その曲を当てるというものだ。すごく有名な曲であってもメロディなしに歌詞だけ提示されると意外とわからなくて、絶対に知っているはずなのに出てこないと物凄い悔しい。その分、普通にクイズとして楽しい企画だった。
で、このクイズもクイズ王の伊沢が強い。どの問題も次々とすごいスピードで答えていく伊沢。全然当てられなくて悔しがるみなみかわと弘中アナ。ここまでは良い。何問めかで、またも伊沢がいち早くボタンを押して答えようとした。それを弘中アナが大きな声を出して邪魔したのである。え何?と伊沢が聞くと、悔しかったから…と答える弘中アナ。スタジオがものすごく変な空気になった。私もテレビの前で何だコイツ、と思った。その後、伊沢は普通に答えて正解していた。
私が弘中アナに対して何だコイツ、と決定的に思ったのは「探偵弘中クイズ」という企画である。この企画は、ロケに行ったことがない弘中アナがロケに初挑戦・その中で起きたことをクイズにしていく、という内容だった。これが本当に、本当に、面白くなかった。普段はテレビを観ていて面白くなくても自分の趣味に合わなかっただけで気にも留めないが、もう腹立つレベルで面白くなかった。弘中アナの起こすアクションが、毎回こちらの期待値を大きく下回ってくるのである。
ロケが始まって商店街を歩いていくのだが、えどうしよう、どうやって話しかけたら良いの?とホントに誰にも話しかけない。10年以上バラエティに出続けてきて何をやっているのか。おじさんとか怖くて話しかけられない、とか言ってる。『あざとくて何が悪いの?』で男を引っ掛けるテクニックを散々喋っていたのではないのか。ようやく飲んでる大学生の男の子グループに話しかけ、全員彼女がいないというトピックを聞き出す。それに対して、その辺にいる女の子たちをナンパしてきたら?と物凄い雑なアドバイスをする。何だコイツは。本当に面白くない。
人に話しかけるのが難しいことは理解できるが、出会った目の前の人を喜ばせよう楽しませよう、またはスタジオの伊沢・みなみかわにネタを提供しよう、番組を盛り上げよう、動機は幾らでもあるのに、その心意気が欠片も伝わってこない。他人への興味が見えない。商店街を歩いていても何かに対して興味を持って聞きにいくということをしない。だから何も起こらない。何も起きてないことに焦るそぶりすらしない。負け顔も出来ない。何なら少し不機嫌になってくる。開き直って偉そうにする。たまたま食べられる虫の缶詰が売っている自動販売機を見つけるも食べたくないしと言って買わない。ナイフショップに入り、みなみかわに何かお土産を買ってはどうか、とスタッフに提案される。でも、仲良くもないし自分のお金なら尚更良いです、と言って何も買わない。マジで何も買わなかったのである。何しにきたのか。何だコイツは。何だコイツは!
このタイミングでお土産を絶対に買うべきなのは素人の私でもわかる。別に何を買っても良い。みなみかわを喜ばすためでも、嫌がらせをするためでもどっちでも良い。そのために何をチョイスするのか、その値段は幾らしたのか。そこに弘中アナの人間性・センス・個性が表れる。それが面白みだ。そして、それに対してみなみかわ・伊沢がリアクションすることで番組が盛り上がる。マジで何でも良い。何か買うべきタイミングである。でも、みなみかわのために「考えて・センスを発揮して・お金を使うこと」を弘中アナは放棄した。みなみかわにも失礼だし、番組スタッフにも失礼だし、取材させてもらったお店にも失礼だし、この選択では何も生まれないのである。弘中アナにサービス精神が皆無なことだけが伝わってくる。
最悪、出たての10代アイドルとかならわかる。周りはチヤホヤする人しかいないだろうし、そういう人たちを喜ばせてさえいれば何とかなるのだから。言動の端々から弘中アナも学生時代に散々チヤホヤされてきた印象は感じる。でも大人なのだ。社会人なのだ。バラエティしか出ないアナウンサーとして10年以上やってきているはずだ。なのにこの体たらくは何なのだ。バラエティとして面白くないとか以前に、人として面白くない。
別に弘中アナを追いかけ続けている訳でもないので、大したイメージも抱いてなかったのだが、もっと面白い人物なのだと思っていた。『激レアさんを連れてきた』の時はフリップを全部手書きでやる程の熱意があったみたいだし進行もそつなくやっていた。全てのバラエティにそれぐらいの熱量を持って臨んでいるのだと思っていた。
『あざとくて何が悪いの?』では、チヤホヤされてきた者として男の引っ掛け方を紹介したり視聴者投稿の恋愛行動を評価していたのではなかったのか。まあ、この番組に関しては観てないのでイメージでしかないのだけど。だって、あざといのがバレてる時点であざとくもないのに、それを開き直って開陳するって意味がわからないから。でも私が観てなくても番組は何年も続いているのだから、仮にあざとさが伝わってしまっていても人を惹きつけることができる、戦略や深みを持った“あざとさ”を持っているものだと、てっきりそう思っていた。
しかし「探偵弘中クイズ」で伝わってきたのは“あざとさ”どころか、弘中アナの人としての“浅はかさ”であった。これでチヤホヤされていたのだとしたら、むしろ周りが悪い気がする。実も何もない人間をチヤホヤするなし。そしてそんなチヤホヤで図に乗るなし。あざとくて何が悪いの?じゃないし。聞いてくんなし。近づいてくんなし。お互いのチヤホヤで完結する輪の中から出てくんなし。
数年前にロンドンハーツの女性芸能人スポーツテストの、ラストにやるリレーで国生さゆりが思いっきり転けて泣いてたのを思い出した。
この企画では毎回ラストに全員参加のリレーがあって、国生さゆりとmisonoが脚の速い者同士、ライバルとしてエース対決をするのが恒例になっていた。そして、そのリレーに向けて国生さゆりはわざわざトレーニングを重ねたりしていた。正直、この企画はスポーツ大会というより、ゆる〜い運動会という雰囲気なので、そこまで賭けてやる必要はない。でも、だからこそ必死にやる、というのは逆に面白い。無駄なことに全力を注ぐのは面白い。だからそこまでは良かった。
だが、実際にリレーが始まって、いよいよ国生さゆりとmisonoのエース対決までバトンが渡った、というタイミングで国生さゆりは思いっきり転けてしまったのである。misonoがそのまま走り切って勝負は終わった。そしたら国生さゆりは泣き出してしまったのである。まあ、悔しいとか恥ずかしさとか、気持ち的にわかるところもあるけれど、はっきり言って見てられなかった。言うなれば、子供の運動会で大人が参加するリレーの部で出場したお父さんが思いっきり転けて泣き出したようなものだ。国生さゆりは勝手に張り切って勝手に転けただけだ。それなのに、そんな泣かれても、という感じである。あまりに本気で泣くので、イジられることもツッコまれることもなく、かといって芯から同情するようなトピックでもないので深く触れられることもなく、その回はしめやかに終わっていった。バラエティの運動会をしめやかに終わらせるなよ。
何となくだが、弘中アナはこの時の国生さゆりのような存在になっていってしまうのではないか、そんな気持ちがよぎった。
出役として人前に出るのであれば、観る者を楽しませる意識が最優先だ。自分の感情はもちろん大事だが、己の喜怒哀楽の表明が最優先かつ、それしか考えてないのはいかがなものか。感情を出すだけが仕事であとは周りが構ってくれるのは幼児期だけで、本来は10代アイドルですら恥ずかしいものである。やっぱりチヤホヤが諸悪の根源なのか。
まあ、テレビなんてつまらなかったら観なきゃ良いだけで、どうでもいいといえばどうでもいいのだけど。
とにかく「探偵弘中クイズ」は一貫して弘中アナが自分のことにしか興味がないことが露呈しただけで全然面白くなかった。弘中アナの株が信じられないぐらい下がっていくので心配になるぐらいだった。スタッフの怒りもあるのではないかと勘繰ってしまうほどだ。
そんな感じで『伊沢みなみかわのクイズに出ない世界』、番組としては好きだけど、ゴールデンでは扱われないテーマでクイズをやる趣旨からも離れつつあるし、どうなんだろうと思っていたら、今年の3月で番組は終わってしまうらしい。うーむ。
せめて最後に弘中アナは伊沢・みなみかわの2人に何かプレゼントをあげて欲しいものだ。
宣伝1
インコさん主催、高円寺アート&コメディフェスティバルのスタンダップコメディライブに出ます。


詳細
予約
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舞台『俺節』に出ます。
東京公演 2026年6月10日(水)〜30日(火)@東京建物Brillia HALL
福岡公演 2026年7月8日(水)〜12日(日)@キャナルシティ劇場
大阪公演 2026年7月19日(日)〜8月2日(日)@SkyシアターMBS




