『ズートピア2』を観て。 次の敵はワンニャン王国だ!!
『ズートピア2』を観た。
前作も好きだったので今回も楽しみにして観たが、期待に違わず面白かった。動物が擬人化してカワイイ♡映画に終わらず、動物を擬人化することで世界の複雑さを表すことが出来る『ズートピア』の特性を活かして、現実世界のシリアスなテーマにも踏み込んだ内容となっていた。とても良かった。
話としては前回の事件の直後からスタートしていて。主人公ジュディとニックは共に警察官となって、バディとして仕事をするようになる。しかし、管轄外の任務に無断で乗り出し、街で騒ぎを引き起こした結果、<パートナー・セラピー>の参加を命じられる。
(<パートナー・セラピー>のシーンでネズミの警官が出てきたけど、前作ではウサギの警察官はいない、との話だったのでこれもジュディ効果と言えるのでは?と思ったけど、時系列的に関係ないのかな)
成果を上げることに必死なジュディに対して、ニックは都度落ち着くように促すがジュディはその言葉を聞こうとしない。前作の時と違い、ベルウェザーの事件も解決して、ボゴ署長を含めて世間からはある程度認められたのだから、そこまで焦る必要はないのではないかと思うが、ジュディは先走って浅はかな行動をすることが結構ある。前作の時も記者会見で肉食動物の本能の危険性を軽はずみに言ってしまって社会に混乱をもたらして、ニックを傷つけていた。今回も絶対に息が持たない水路に飛び込んでギリギリのところで助けたニックの静止を振り切って、それでも付いて来てくれるニックと口論になった挙句、2人の思い出のニンジン型のペンを壊してしまう。
最終的に過ちを認めてジュディとニックの仲は深まるし、2人の関係性を描くストーリーだから、揉める展開は必須、何よりドタバタなストーリーを転がしていく為には無鉄砲に突っ込んでいくタイプの主人公である必要はわかるんだけど、ジュディの性格あんまり好きじゃないな。頼むからもう少しニックの話を聞け。
今回は爬虫類や、水棲生物の住む街が出て来たりして、『ズートピア』の世界観がグッと広がったのも良かった。
水棲生物の人(?)館は都心で暮らしてる人達とはまた違った異人のように描かれていて、その描写にビースターズとも重なる部分があって興味深かった。大いなる海と共に暮らしている神秘的な人々って感じ。
また今作の大きなネタバレとなるが、人々から恐れられてる爬虫類の人たちは、実は迫害されて国外に追われ、故郷を奪われた人たちだったという設定はなかなかに秀逸だった。差別で不当な扱いを受ける人々の話は歴史上たくさんあるし、パレスチナやウクライナでは現在進行形で起こっていることである。こうした人類全体で考えるべきヘビーな問題を、分かりやすくポップな作品に仕立てて子供から観られるエンタメにしてくれたのは、ディズニーだからこそ出来る仕事・ディズニーにこそして欲しい仕事だ。とても素晴らしい。
前作の時も思ったが、物語の主人公はニックとジュディであるけど『ズートピア』は“ズートピア”という街そのものが真の主人公であるように思う。
レプタイル渓谷がツンドラ・タウンの地下に隠されていたり、リトル・ローデンシアを作ったのが実はMr.ビッグであったり、ズートピアの街の成り立ちには各種族の歴史や思惑があってストーリーがある。今作では爬虫類の人たちが迫害されて以降ずっと暮らしていた“海外の地”という概念も出て来た。そもそもズートピアは12のエリアに分かれているとのことだが、今作ではマーシュ・マーケットが新たにお披露目されただけでまだ全貌は明らかになっていない。世界が判明するたびに新たな物語が生まれそうで、早いとこ全部を知りたい気もする一方で、勿体無いから丁寧に作って欲しい気持ちもある。
これも前作の時と同様、食べ物の問題や、異種族間での結婚はどうなるんだろう、というところも気になったが、そこまで考え出すと難しくなりすぎるから、それは期待しない方が良いかな。
ジュディとニックを恋愛関係ではなく、純粋な友情関係として描いているのは、男女が揃ったら何でもかんでも恋愛関係として描いてきたステレオタイプの物語に対するアンチテーゼ、もしくはポリコレに配慮した物語設定と思っていたけど、異種族間で結婚した際の表現が(特にディズニーだと)難しすぎるから、一旦ナシという意味でバディものなのかも、という気もしてきた。そして異種族間恋愛を描かないのか、という不満に対して作られたのが『マイ・エレメント』だったのかも?
マーシュ・マーケットにイルカが出てきたけど、サメやタコ・イカなどの頭足類、カニとかの甲殻類はどうなのかな。虫や魚は食料として食べられているみたいだから、そこら辺は"ズートピア内での動物"枠かな。虫・魚とも意思疎通が出来たら菌類はどうなんだ?とかなってきてややこし過ぎるものな。
肉食動物の食糧事情は気になるところだけど。
ラストシーンからして、次回作は鳥類が出てくることになりそうだけど、鳥が今まで出てこなかったことにも理由があるのかな。
ズートピアに普通のイヌ・ネコが出てこないのは、
・野生動物が人間のように進化した設定の世界観だから品種改良された現代の現実世界にいるイヌやネコはズートピアには存在しない。
・現実世界にいるイヌ・ネコを出すと日常感があり過ぎて作品への没入感が減るから出さない。
といった理由があるからと言われているけど、ズートピアの外側の世界が提示されたから、そっちの方にイヌやネコの国があってもおかしくないなと思った。ズートピアは多種多様な生物の住む異民族国家で色んな種類の動物の理想郷として存在するのに対して、イヌ・ネコだけの単一種族国家が大国として存在していたらどうか。ワンニャン王国が人畜無害な顔してズートピアに入り込んできて、無自覚にマジョリティの数の暴力を振るう、という展開はどうか。せっかく色々な種類の動物の生活様式に適したゾーン分けがされているのに、イヌ・ネコが過ごすには適してないから勝手に自分達の住みやすいように作り変えてしまうとか。マジョリティがマイノリティに対して無自覚にその領域を侵してしまうことはよくある。
個人として接する分には無害なんだけど、多人数で接触した時にそういう風に分断が起きてしまう恐怖とかも描けるんじゃないだろうか。
キツネとして差別を受けまくってるニックがイヌ科仲間としてイヌ国に靡いちゃう展開とかになりそう。活躍と名声でジュディは勝手に調子に乗ってイケるタイプだと思うが、ニックはそういうことで自己肯定感が上がったりはしなさそうだし、差別に対して真っ向に言い返せるジュディと違ってニックはしょげちゃうだろうから、イケイケなジュディと乗り切れないニックで2人の気分がすれ違ってるところに数だけは沢山いるイヌ国からの誘いに乗っちゃうっていう。でも結局そこでも馴染みきれなくてニックはきっと更にダウナーに入っちゃうんだろうけど。
ダメだダメだ、ホントはもっと飄々と皮肉をかましながら華麗に詐欺をキメていくニックが観たいのに、ジュディの突っ走り力が強過ぎて、しょんぼりするニックしか思いつかない。
『シュガー・ラッシュ』といい、ディズニーの男女バディものだと男がトコトン情けなくなってしまって最終的に置いてけぼりになる画しか浮かばないのは何なんだろうな?
宣伝
2月に恵比寿のBARで舞台やります。


宣伝2
KYOHEI YAMAKAWA 3RD SOLO LIVE、配信やります。

配信チケット:1000円
2026年1月23日24:00配信開始。
2026年2月23日24:00配信終了予定。
配信期間中は何度でもご覧いただけます。
