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退職勧奨でボーナスはもらえる?減額・不支給の条件と交渉方法を解説

退職勧奨を受けても、ボーナスが当然になくなるわけではない。

受け取れるかは、賞与規程、支給日、在籍要件、査定内容、退職合意の条件で変わる。

会社から回答を迫られても、退職日や賞与の扱いが曖昧なまま署名してはいけない。

まずは適用される規程と提示書面を持ち帰り、会社の説明を記録に残してほしい。


1章 退職勧奨を受けたときボーナスはどうなる?

退職勧奨とボーナスの問題では、退職がまだ決まっているのかを最初に確かめることになる。

そのうえで、会社の賞与制度と提示された退職条件を確認することになる。

1-1 退職勧奨は会社からの提案であり即答する必要はない

退職勧奨は、会社が労働者へ退職を提案するものである。

労働者が承諾しなければ、退職勧奨だけで雇用契約は終了しない。

そのため、会社が示した退職日を前提に、ボーナスを諦める必要もない。

面談では「書面を持ち帰って検討する」と答え、退職への同意は保留してほしい。

退職勧奨を断る場合の伝え方や、その後の対応は以下の記事と動画も参考になる。

1-2 ボーナスを受け取れるかは規程と合意内容で決まる

会社には、法律上、すべての労働者へ一律にボーナスを支払う義務があるわけではない。

もっとも、就業規則、賞与規程、雇用契約、労使慣行などから支払義務が生じることがある。

具体的な請求権がいつ発生するかは、算定方法や会社の決定手続によって異なる。

退職勧奨の場面では、既存の受給条件に加え、退職合意書の内容も判断材料となる。

「会社の裁量である」と言われただけで結論を出さず、制度の根拠まで確かめよう。

1-3 最初に確認するのは支給日・在籍要件・算定期間・査定基準

最初に、ボーナスの支給日と、その日に在籍している必要があるかを確認する。

次に、何月から何月までの勤務が評価対象となるのかを見る。

業績、個人目標、懲戒処分、休職などが支給額へ影響する規定も確認する。

過去の賞与明細から、実際にどの基礎額と評価係数が使われていたかも分かる。

規程の文言と過去の運用が食い違う場合は、両方を保存しておくべきである。

2章 退職勧奨でボーナスが不支給になり得るケース3つ

退職勧奨を受けたという理由だけで、不支給が決まるものではない。

一方、制度上の条件を満たさない場合や、合意で清算した場合には請求が難しくなり得る。

2-1 支給日前に退職して支給日在籍要件を満たさない

賞与規程に支給日在籍要件がある場合、支給日前に退職すると受け取れないことがある。

最高裁判所第一小法廷昭和57年10月7日判決の大和銀行事件では、この要件が問題となった。

銀行では支給日に在籍する者だけへ賞与を支払う慣行があり、後に就業規則へ明記されていた。

裁判所は、支給日前に退職した労働者には賞与請求権がないとの結論を維持した。

支給日在籍要件の文言と会社の運用を確認してから、退職日を決めてほしい。

2-2 業績・査定等の規程上の支給条件を満たさない

ボーナスが会社業績や個人評価で変動する制度では、評価結果によって不支給となることがある。

会社業績が一定水準を下回った場合に支給しないという規定も考えられる。

ただし、採用時に最低額を保証していた場合や、計算式で金額が確定する場合は事情が異なる。

会社が、退職勧奨とは別の査定理由を規程に沿って示せるか確認する。

評価結果だけでなく、目標、実績、評価者、決定時期まで確認してほしい。

2-3 退職合意書でボーナスを含む清算に合意した

退職合意書には、会社と労働者の間に債権債務がないとする清算条項が入ることがある。

賞与請求も清算対象に含む文言へ署名すると、後の請求を会社から争われやすい。

口頭で支払うと言われても、合意書に書かれていなければ認識の違いが生じる。

ボーナスを残すなら、対象期間、金額、支給日を清算条項と矛盾しない形で明記する。

清算条項の範囲が分からないまま、退職合意書へ署名してはいけない。

退職条件と解決金を合意書へ反映する際の注意点は、以下の記事と動画で確認できる。

3章 ボーナスの減額・不支給が問題になり得るケース4つ

規程にボーナスの定めがあっても、会社が自由に金額を決められるとは限らない。

減額の理由、決定時期、過去の運用に不自然な点があれば、根拠を確かめる必要がある。

3-1 支給日に在籍するのに退職予定だけで不支給にされた

支給日に在籍し、通常の支給条件も満たすのに、退職予定だけで不支給とされることがある。

退職予定者の将来の貢献を考慮する制度自体が、直ちに無効となるわけではない。

しかし、賞与に過去の勤務への対価が含まれる場合、その部分まで全額なくせるとは限らない。

退職予定者に関する条項がない場合は、会社がどの規定を適用したのかを尋ねるべきである。

退職予定という一つの事情だけで、受給権が消えたと決めつけてはいけない。

3-2 規程や査定根拠がなく大幅に減額された

退職予定者への大幅な減額は、ボーナスの性質によっては無効となることがある。

東京地方裁判所平成8年6月28日判決のベネッセコーポレーション事件が参考になる。

教育サービス会社は、年内退職予定者の冬季賞与を通常額の約17%まで減らす基準を設けていた。

裁判所は約82%の減額を過大とし、約2割を超える部分の返還請求を認めなかった。

約2割はこの事件での判断であり、すべての会社に共通する上限ではない。

3-3 退職勧奨を拒否した後に評価を下げられた

退職勧奨を断った後に、評価や賞与係数が急に下がることがある。

評価低下に業務上の根拠があれば、時期が近いだけで不当とはいえない。

一方、目標や実績が変わらないのに、退職拒否だけを理由とした減額なら問題となり得る。

前回までの評価、今回の評価コメント、面談での発言を時系列で比べよう。

会社へ反論する前に、評価基準と変更理由を書面で求めるべきである。

3-4 特定の退職者を外すため支給日が変更された

会社が賞与の支給日を変更しただけで、直ちに違法となるわけではない。

ただし、特定の退職者を対象から外す目的が疑われる場合は、経緯を確認する必要がある。

変更の決定日、社内周知の時期、変更理由、過去の支給日が判断材料となる。

支給額がすでに確定していたか、退職合意で従来の日を前提としていたかも確認する。

日付だけで判断せず、変更前後の資料と会社の説明を保存しておこう。

4章 退職勧奨の条件としてボーナスを交渉する方法4つ

退職勧奨では、会社が提示した退職日を受け入れる義務はない。

ボーナスを含む条件を具体的に示し、退職へ応じるかを判断することになる。

4-1 満額支給・按分支給・最低保証額を決める

最初に、会社へ求めるボーナスの金額を具体化する。

第一案を満額支給とし、難しい場合の代案として按分額や最低保証額を示す方法がある。

例えば、算定期間6か月のうち5か月を勤務したなら、基準額×5か月÷6か月を交渉案にできる。

もっとも、この計算が法律上当然に採用されるわけではなく、規程や評価方法も考慮する。

「通常の規程どおり」とせず、金額又は計算式まで合意しておきたい。

4-2 退職日を支給日後にしてガーデンリーブを求める

支給日在籍要件がある場合は、退職日を支給日後にする案が考えられる。

最終出社日を早めても、ガーデンリーブとして雇用を続ければ在籍期間を確保できる。

ただし、在籍していても賞与を支給しない条項があれば、退職日の延長だけでは足りない。

給与、社会保険、賞与、転職先への入社制限を一つの条件として確認する必要がある。

雇用終了日と最終出社日を別の日付で合意書へ書くべきである。

ガーデンリーブ中の給与や退職日の考え方は、以下の記事と動画でも詳しく解説している。

4-3 特別退職金・有給・退職理由と合わせて比較する

ボーナスだけを満額にしても、他の条件が不利なら十分な解決とはいえない。

特別退職金、未消化有給、退職日までの給与、離職理由も金額へ影響する。

外資系では、RSU、コミッション、医療保険、再就職支援も確認対象となる。

各条件について、受け取れる金額と失う権利を同じ表に並べると判断しやすい。

会社の提示総額ではなく、もともとの権利と上乗せ分を別に計算しよう。

退職パッケージ全体の確認項目は、以下の記事と動画も参考になる。

4-4 支給額・支給日・税引前額・清算条項を合意書に書く

交渉で合意したボーナス条件は、最終の退職合意書へ明記する必要がある。

書面には、税引前の金額、計算式、支給日、振込先を記載する。

会社業績や在籍要件によって後からゼロになる余地がないかも確認する。

清算条項には、合意した賞与債権が消えないことを分かる形で反映させる。

口頭の説明や別メールだけに頼らず、署名する書面へ全条件を入れるべきである。

5章 退職勧奨を受けた直後にすべきこと4つ

面談直後は、ボーナスの結論を急ぐより、選択肢を失わない対応が先である。

次の交渉に使う資料と記録を確保し、会社の正式な説明を求めよう。

5-1 その場で署名せず退職意思も示さない

退職合意書、退職届、受領確認書という名称でも、内容を読まずに署名してはいけない。

「条件がよければ辞める」と述べるだけでも、会社が退職意思を前提に交渉することがある。

面談では、説明を受け取ったことと、退職へ同意することを混同しないようにする。

回答期限が短い場合は、規程と合意書を確認するための延長を求めればよい。

最初の返答は「弁護士に相談したいので、持ち帰って検討する」にとどめるべきである。

退職勧奨を受けた直後の手順と避ける行動は、以下の記事と動画で確認できる。

5-2 就業規則・賞与規程・過去の賞与明細を保存する

賞与規程だけでなく、雇用契約書、オファーレター、報酬説明資料も確認する。

過去数回の賞与明細があれば、基礎額と評価係数の変化を比べられる。

評価通知、目標設定資料、会社業績の社内通知も必要な範囲で保存する。

ただし、顧客情報、営業秘密、他の社員の個人情報を無断で持ち出してはいけない。

自分に交付された資料や、通常確認できる雇用条件の資料を中心に確保する。

5-3 面談を録音し査定変更の経緯を記録する

自分が参加する退職面談は、後で発言内容を確認できるよう録音を検討する。

録音できない場合も、日時、参加者、発言、提示条件を面談直後にメモする。

退職勧奨の前後で評価が変わったなら、評価日と面談日を時系列で並べる。

録音や資料は交渉や相談のために使い、SNSへ公開しないようにする。

会社の説明が変わる前に、当日の内容を記録として残しておこう。

5-4 減額・不支給の理由と計算根拠を書面で求める

会社から不支給と言われたら、適用した規程と具体的な条項を尋ねる。

減額の場合は、通常額、評価係数、控除項目、最終額の計算を求める。

退職予定や退職拒否が評価へ影響したのかも、曖昧にせず確認する。

最初から違法だと断定するより、会社の立場を文字で固定する方が後の検討に役立つ。

質問はメールで送り、回答と添付資料を一緒に保存しておこう。

6章 ボーナスについて弁護士に相談した方がよいケース4つ

賞与の規程や退職合意書は、短い文言で結論が変わることがある。

特に次の場面では、署名や退職日の確定前に相談した方がよい。

6-1 ボーナスが大幅に減額又は不支給になった

通常の支給額から大きく下がった場合は、会社の裁量だけで説明できるとは限らない。

賞与規程、評価基準、過去の支給実績から、減額の根拠を確認する必要がある。

退職予定者だけ別の基準を適用された場合は、その基準の合理性も検討する。

金額が確定している可能性があるなら、清算条項へ署名する前に見通しを確かめたい。

6-2 退職勧奨を拒否した後に評価や配置が悪化した

退職勧奨の拒否後に評価や配置が変わっても、すべてが不当とは限らない。

しかし、業務上の理由がなく、退職へ応じさせるための不利益なら争点となり得る。

面談記録、評価資料、異動理由を基に、会社の説明が一貫しているかを見る必要がある。

感情的な抗議をする前に、今後の勤務方針と交渉方針を弁護士へ確認した方がよい。

6-3 退職合意書に権利放棄・清算条項がある

退職合意書には、賞与以外の請求権まで広く放棄する条項が入ることがある。

未払残業代、RSU、コミッション、退職金が同じ条項の対象となる場合もある。

受け取る金額だけを見ても、放棄する権利の価値は分からない。

署名前に、条項の対象と例外を確認し、必要な権利を明記して残す。

6-4 回答期限を切られ十分に検討できない

会社が数日以内の回答を求めても、その期限だけで署名義務が生じるわけではない。

一方、期限を無視して連絡を止めると、条件提示を撤回される可能性はある。

検討に必要な資料を示し、合理的な期限延長を文字で求めることが考えられる。

交渉の余地を残すためにも、期限前に弁護士へ相談して対応を決めた方がよい。

7章 ボーナスと退職勧奨についてよくある質問

退職日や合意書の文言によって、似た状況でも結論が変わる。

ここでは、退職勧奨を受けた方から生じやすい疑問へ簡潔に答える。

7-1 退職勧奨を断るとボーナスを減らされますか?

退職勧奨を断っただけで、当然にボーナスを減らせるものではない。

会社が通常の評価制度に基づいて査定した結果、金額が下がることはあり得る。

しかし、拒否への制裁として評価を下げた疑いがあるなら、根拠を求めるべきである。

面談前後の評価資料と会社の説明を比べ、必要に応じて相談してほしい。

7-2 支給日前に退職するとボーナスはもらえませんか?

有効な支給日在籍要件があれば、支給日前の退職で受け取れないことがある。

一方、その要件がなく、金額がすでに確定している場合は請求できる可能性がある。

退職勧奨では、支給日前の退職を受け入れる代わりに同額を補償させる交渉も考えられる。

退職日を回答する前に、規程と提示条件を確認してほしい。

7-3 有給消化中でも支給日在籍要件を満たしますか?

有給休暇の消化中でも、退職日がまだ到来していなければ雇用関係は続いている。

そのため、通常は支給日に在籍するという条件を満たし得る。

ただし、賞与規程に出勤率や休業期間に関する別の条件がある場合は確認が必要である。

有給の最終日と退職日を混同せず、書面で日付を確かめてほしい。

退職時の有給消化と買い取りを比べる際は、以下の記事と動画も参考になる。

7-4 退職合意後にボーナスを追加請求できますか?

追加請求できるかは、退職合意書の賞与条項と清算条項によって変わる。

賞与を別途支払うと明記されていれば、その合意に基づく請求が考えられる。

反対に、賞与を含む一切の請求を清算したと読める場合は、請求が難しくなり得る。

署名後に気付いた場合でも、合意書と交渉記録を持って早めに相談してほしい。

7-5 支給済みボーナスの返還を求められますか?

支給後に退職しただけで、ボーナスを当然に返還する義務が生じるわけではない。

会社が誤って過払いした場合や、返還条件に合意していた場合は返還が問題となる。

ベネッセコーポレーション事件でも、会社の返還請求は合理的な減額部分に限って認められた。

返還を求められたら、支給基準、計算書、会社の主張額を確認してから対応してほしい。

8章 外資系企業や管理職の退職勧奨の相談はリバティ・ベル法律事務所へ

外資系企業や管理職の退職勧奨については、是非、リバティ・ベル法律事務所に相談してほしい。

この分野は専門性が高く、賞与規程だけでなく、退職条件全体を見る必要がある。

法的な見通しを分析したうえで、本人の意向を踏まえて方針を決めることになる。

リバティ・ベル法律事務所では、解雇、退職勧奨、残業代請求事件に力を入れている。

とくに、外資系企業や管理職の労働問題について、知識と交渉ノウハウを蓄積している。

まずは、お問い合わせ – リバティ・ベル法律事務所から相談してほしい。

9章 まとめ

退職勧奨を受けても、ボーナスが自動的に失われるわけではない。

最初に、支給日、在籍要件、算定期間、査定基準、退職合意書を確認することが出発点である。

金額と支給条件が曖昧なまま署名せず、必要であれば回答前に弁護士へ相談してほしい。

最後に、以下の記事も参考になるはずなので、あわせて読んでみてほしい。

外資系の退職金と賞与を含む退職条件の全体像を確認したい場合は、以下の記事が参考になる。

面談直後に出社停止やアクセス停止を告げられた場合の初動は、以下の記事で確認できる。

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