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「時間がたつと、正しかった人まで変わって見える」

「もう少し早めに相談してほしかった」

そう口にしたあと、

自分の声が、

昔の誰かに少し似て聞こえました。

同じことを言われた時、

私はひどく腹を立てていました。

こちらにも事情があるのに。

今さら言われても困るのに。

そんなふうに思っていた言葉を、

何年かたった自分が、

ほとんど同じ形で使っていました。

相手の顔を見ながら、

昔の自分が、

少し離れたところに立っているように感じました。


空気説明


あの頃は、

言われた内容より、

言い方の厳しさが先に残りました。

こちらの事情を聞かずに、

正しいことだけを言われたように感じました。

「分かりました」

と返しながら、

本当は何も納得していませんでした。

しばらくは、

その人を見るたびに、

同じ言葉を思い出していました。

けれど、

今の自分は、

誰かの遅れを待つ側にいます。

予定が一つ動くと、

別の人の仕事も止まる。

早く知っていれば、

選べた方法もあった。

昔は見えていなかったものが、

今いる場所からは見えることがあります。

温度差観測


言われた側だった自分には、

目の前の事情がすべてでした。

間に合わなかった理由。

相談できなかった迷い。

それでも何とかしようとしていた時間。

相手の言葉は、

そこへあとから正しさだけを置くように聞こえました。

一方で、

言う側には、

別の景色があったのかもしれません。

予定を調整した時間。

誰かへ事情を説明したこと。

まだ間に合ううちに伝えようとした言葉。

当時の相手が、

どこまで考えていたのかは分かりません。

今の自分と同じ気持ちだったとも限りません。

ただ、

自分が似た立場に立った時、

あの言葉の後ろにも、

こちらからは見えなかった時間があった可能性が見えてきます。

それでも、

昔の言葉が急に優しくなるわけではありません。

言われて苦しかったことも、

その時には受け取れなかったことも変わりません。

変わったのは、

相手が正しかったかどうかではなく、

一つの言葉の向こうに、

別の景色もあったと考えられるようになったことでした。

時間がたつと、

昔の相手が別人になるのではありません。

当時は見えなかった部分が、

自分の経験の中へ少しずつ現れることがあります。

ここまで読んで、
少し思い当たることはありましたか。
ここで少し整理してみます。

ちょっとあるある


・昔言われて嫌だった言葉を、自分も使っている。

・口にした直後、誰かの顔を思い出す。

・言われた時の嫌さは、今も覚えている。

・同じ立場になって、見えなかった事情に気づく。

・相手を許したというより、見える範囲が増えた気がする。

空気診断

今の自分に近いものがあれば、
一つだけ心に置いてみてください。

【タイプA】

昔の相手の言葉を、

今でも厳しかったと思っています。

【タイプB】

同じ立場になって、

言いたかったことは少し分かるようになりました。

【タイプC】

今の理解で、

当時の自分を間違いにしたくはありません。

【タイプD】

相手が正しかったと決めたいのではなく、

見えていなかった事情があったと感じています。

【タイプE】

変わって見えたのは相手ではなく、

その人を見る自分の立ち位置だったのかもしれません。

こんな返し方もあります

正解ではありません。
今の距離感に近いものがあれば、一つだけ持ち帰ってください。

① やわらかめ

「あの頃は分からなかったけど、今なら少し分かる気がします」

昔の自分を否定せず、

今見えていることだけを伝えられます。

② 少し自然に

「最近、あの時の言葉をよく思い出します」

謝罪や結論を急がず、

昔の話へ自然に触れられる言い方です。

③ 仲が良い相手向け

「昔は何それって思ってたけど、今はちょっと分かる😂」

親しく話せる相手なら、

当時との違いも重くせず伝えられます。

④ 空気をやわらげる

「自分も似たことを言う立場になって、少し見え方が変わりました」

相手を正しかった人にせず、

自分側の変化として話せます。

⑤ 少し違う見方

「あの時は受け取れなかったけど、今になって聞こえてきた部分があります」

過去を塗り替えず、

時間差だけを静かに伝える言葉です。

こんな返しは少し気をつけたい

同じ言葉でも、
相手によって受け止め方は少し変わります。

① 強く聞こえやすい

「あなたが正しかったです」

敬意を伝える言葉でも、

昔の出来事を勝ち負けで決めるように聞こえることがあります。

② 誤解されやすい

「あの時は自分が間違っていました」

素直な言葉ですが、

当時感じていた苦しさまで否定する形になる場合があります。

③ 相手を急がせやすい

「今なら分かるので、もう一度話しませんか?」

相手が昔の出来事へ戻る準備をしていないこともあります。

④ 理由を求め過ぎやすい

「あの時、本当は何を考えていたんですか?」

何年も前の気持ちは、

本人にもはっきり残っていない場合があります。

⑤ 距離感によって変わりやすい

「やっとあなたの正しさに追いつきました😂」

親しい相手なら笑える言葉です。

関係によっては、相手を高い場所へ置くように響きます。

最後に、少しだけ


あの時の言葉は、

今も少し厳しいまま残っています。

ただ、

その後ろに何もなかったとは、

もう思わなくなりました。

昔の自分には見えなかったものが、

今の自分には少し見える。

二つの見え方が、

同じ記憶の中に並ぶことがあります。

この話が少し気になった方へ。
やわらか返信室では、
現在は主に4つの企画を書いています。


📮少し昔の相談員が現代の悩みに答える話


📰編集部がどうでもいいことを真面目に考える雑誌


🌙生活の途中で思い出す、景色や気持ちの話


📖人間関係の小さい温度差を観察する話


もし今回の記事が少し気になったら、

他の企画や自己紹介ものぞいてみてください。

どこかで、自分だけだと思っていたことに出会えるかもしれません。

最後にひとつだけ


変わって見えたのは、その人ではなく、

あの人の側から見える景色でした。


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