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ご注意:
本作にはオトナな恋愛描写が多々あります。直接的な表現は一切ございませんがご承知おきくださいませ。

また、作中の特定の発言、国名などに関する描写は、あくまでフィクションとしての演出であり、特定の差別を助長する意図は一切ございません。

私は「騎士道精神」の体現者です。



スペインがメキシコを征服したように。
グリンゴがメキシコを奪ったように。

俺も彼女を。

オトナのオンナを

コンカーして陥落させて

「やる」

いつまでも
ーー贄のままで
いるものかーー

数年前、春。

東京の、表参道っぽいフレサ*ーー意識高い系ーーなロケーションを、僕はひとり、ふらついていた。

(*fresa:西語で「苺」だがメキシコでは上記の意も持つ。)

進学を機に、上京したて。
同時に地元の恋人は過去のものとなり。
孤独と不安で、あてもなく。

別世界を見てやろうと。

青い顔で。

人恋しさに…

道中、変なアンケートに答えちまった。
たまたま入ったデパートで、カードも作っちまった。

視界に入った何らかの展覧会を冷やかして。

朝から数時間。

よく眠れてないので、ベンチに座り込んだ。

「ねえ~~君、だいじょおぶゥ~?」

けだるげで甘ったるい声が頭上に降った。
俺に言ってるのかな。
酔っ払いだろうか。

カツン

これ以上高くはできない印象のハイヒールが視界に入る。

無言で顔をあげると、女性と目が合う。
いや、サングラスかけてるから、
…合ってないかも。

「…あんた、死にそおな顔してるよォ~」
全然興味なさげ。
一ミリも心配してなさそうな調子で言う。

酔っぱらってはいないようだが。

横にストンと座る。
「コレ飲みなよ」

スタバのカップを渡される。
このストローから飲んでいいものか迷っていると、

「いいから飲みなよ。買ったばっか!」

ストローは赤くなってない。
恐る恐る飲み始める。

あ・甘ェ~~。

スタバって「フレサ」で嫌いなんだよね。
俺はダベるんなら断然「ジョナサン」派だよ。
『ジョジョ』のジョナサン!

「何をするだァ~~~ッ!」
伝説的な田舎風誤植を思い出し顔がにやける。

…気分は恢復していく。

「ねえ~~前に会ったよね?どこで会ったっけ?」
彼女はサングラスを取る。

「ふっ」

古典的なナンパ文句に鼻で笑う。

「会った記憶はございません」

彼女は、高そうなブランドのバッグを肩にかけ、長い茶髪に猫っぽいメイク、素顔はそんなに美形ではないのだろう、

だが、妖艶で…

男なら…
いや、女性でも、だろうか…
目のやり場に困るような体形と挑発的な服装をしていた。

第一印象:「でっけえな」

「有難うございました。おいくらですか」

「いいよ。この後時間あるゥ?ランチしない?おごるからさ」
「あたし、ここの個展に絵を出してんだよ~」
「ランチの後、見てってよ」

パンフを渡され、興味が湧く。
さっき冷やかした展覧会だ。
もっとも、目に入っただけで、観てはいなかったが。
(I saw it but I didn’t really watch it.)

立ち上がると彼女はかなりの小柄だ。
靴を引けば150cm前後かな。僕は174くらい。

「ねェ~~羽生クンに似てなァい?そう言われない?」

「はにゅう…?」

「あー。『あうあう』の羽入?『ひぐらし』の?彼女のキャラデザ、角がいいですよね。あ・いや。Hornyっていうんじゃないですよ。アハ」

「…はァァ~?羽生結弦だよ?」

「…あ・フィギュアのね。いいえ初めて言われた。体形は似ているかな」

「顔は全然違うよねェ~~君の方がイケメンだよォ~」

「どうも…。羽生結弦よか『氷上の哲学者』町田樹さんの方が好きです。彼をアイスリンクがある沿線の駅構内でお見掛けしました、つい先日」

「マジ?!」

実話ネタ!」
(la neta:メキシコ西語で「真実」「マジ」の意)

ランチはイタリアンのコース。
料理を待つ間、彼女は一方的に話しながら、サングラスの弦の先を咥える

きたねえな…
さそってんのか?

…そして、鼻の穴にも入れる。

OMG~!
変な女!
信じらんない笑

彼女は28歳(サバ読んでて本当は30越えてたんではと今は思う)。
どこかのビル内で事務をしているらしい。

おごってもらって、展覧会へ向かうその道中。

「タバコい~い?」
喫煙所を指す。

頷く。

「ていうかァ、吸う?」

「吸いません。僕は18歳です」

僕はタバコの火にトラウマがある。
法律に触れるし、もちろん吸ったことなぞ、ない。今後吸う気だってない。僕が中学生の頃、ママはイラつくと隠れて、自車内で吸っていたっけ。副流煙の害を考えていたのは、偉いよな?
でも、バレバレだったよ…
気づかないふり、していたけれど…

(…母のストレスに心を痛めていた…)


彼女の絵は、至極シュール。「色の大協騒」て感じ。
なんか(作者すらも)分からんが、くらえッ!」て感じ。

それと、デッサンの画像を幾つか見せてくれた。
フツーに上手いと思った。

「あたしはね、いつかアメリカに行って成功するの」
「地味な事務仕事なんて早く辞めたい」
「パトロンを見つけて…」

「素敵な夢ですね」

(…パトロン…)

「フリーダ・カーロみたいですね」
「僕も、行きたい…かも…」

「いこォォ~いこォ~」
「君は専属モデルになってよォ~!」

彼女の車にホイホイと乗り、駅の近くで下ろしてもらった。


一週間後の土曜。

ラインで呼び出されたオテルにて。
初めての、そういう意味での、オテルにて。

僕は、彼女を、征服した。

ーーつもりだった。
(At least so I believed.)

ーー圧倒的・万能感!
大学の授業もカルイもんだぜ。
おもしれェ~と楽しむ余裕すらある!
俺は!
大人の恋を知っているし!
生活の全てが上手くいってる!
青春目下・爆走中


僕は彼女と何度もクラウド・6、いや、ナインに到達した。

否、今・思えば「僕だけ」。

いってたの…

失恋と上京と新生活の不安でクサクサしていた。
それを晴らすよに。
そこには愛なんぞ、恐らくは、なかった。

「この気取りオンナの領土を侵略して」

やる

今までの皆、モトカノX含めて
自分から俺に近づいてきたくせ。
俺の表面と心を奪ってから
暫くすると「君は時々変だよね」
そんなこと言って去ってった。

なんで、わざわざ、変とかいうの?
僕は、貴方を傷つけてはいない。
ーーよね?
何がいけなかったんですか…
ストーカーだってしていないよ。
ラインだって。
貴方が黙ればこっちも黙った。
貴方が僕を
名前で呼ぶのが
好きだった

…け…
ん…
…と…


「ケントく~~~ん」

ぺチン、とホオを叩かれる。
天国へ行ったまま寝落ちしてしまってた。

¡Uy!
何時間、キング・クリムゾン時飛ばしされたの?

僕の隣で寝てるはずのーー少なくともそう期待したーー彼女を再び抱こうとするが、むなしくスカる。

「ケント君、良く寝てたねェ。あたし、もう行くからね。まだ寝てていいけど、XX時までに出てね。お金はここにおいとくから」

お化粧直しバッチリ済ませた彼女が覗き込んで言う。

「り、リンさん、何言ってんの?もうちょっ、一緒に…」
「もう、いっ…」
「ロ・シエントちゃんね笑?じゃっ、またラインするわ~」


ーーばたん。

SILENCEしーーん


はあああああああああああ?
What the fuuucccXXXXXXXkkkkk?
なんなんすか、コレェ~~?
こんな状況、薄い本で見たっすよォおォオ~

ただし、残されるのは、女の子の方だった…

意味不明!意味不明!意味不明!

そのままラインに、
"What's wrong with ya?なんのつもりだ
と送りつけたくなるのをこらえ。

…僕は一人立ち去りました。



「アフォかよ~苦しいわ~www」
「てーか、可哀そうすぎるだろ~!」
ばァかァああ~!草すぎるwww」
「何やってんの、アズちゃん~!」

「俺が代わってやるよ。うらやましい…」
「似ているって言われるし、気づかないかもよ?」

コウ君(弟)がそれこそ、ROFLーー笑い転げて床掃除Rolling on the floor laughingーーした後に言う。

「オマエ未成年だろ、犯罪だよ。Para naaaada, hell, NOOOOOOしんでもダメ!」

「面白そうな人だけどさ。合いそうだけど、アズちゃんに。」
「でも、付き合ってないんだろ?遊ばれてんだろう?」

わかんない。でも毎週末逢うよ。家は行ったことないけど」

「…お兄さん」
ハニトラじゃなかったのは、ラッキーだったよ」
「これに懲りたら手近な子にしなよ?」
「いいか。そういうの「セフレ」って言うんだよ」

「ちがう・ちがう、断じて違うッ!彼女は俺にメロりんきゅ~だ!」
「今度、彼女の誕生会があるから、プレゼント渡す!」
「そこで聞くよ。僕は彼氏だよね?真剣だよね?って」

「メロ…¿Meroマジキュウ?… Qué?」
「知らない。何か聞いたことあるだけ」

「…プレゼント…一緒に選ぼうか?」

「No gracias」
~結構でございます~


会場のレストランに着いた。迷って5分遅れた。
個室に案内されると、薄暗い照明の長テーブルに15人くらい座っている。
男も、数人いる

リンさんが言う。
「このは『辻  ケネト安曇』君だよ!お気に入りなの!」
「かわいいでしょおおお、メキシコのハーフでね…」

ヒュウヒュウ、可愛い・可愛い~!
え、嘘でしょ、リン、こんな若い子を?
いやだ、犯罪じゃないの?
18歳?いいのか。
18歳で成人になったんだっけ。
てゆーか、もう食べちゃったの?
お姉さんの横においで!
いや、あたしの横だよッ!

(お気に入り?「子」?「カワイイ」?)
(…¿¿¿食べちゃった???…)

え~~~~と。

「オラ~!ケント・デリカットですッ!」

*爆笑*
(デリカットが何なのかは知らん)

「ケネス安曇・デ・ラ・クルス十字架のです。デラクルスって知ってますよね?『リメンバー・ミー』の。だかr…」
「やだああ~キャワユイ、信じられない~!」

「でしょ?しゃべらせると面白いんだよォ~シャイだけどね
オタッキーなのォ~」

おたっきー?て何…?)
スティッキー・フィンガーズみたいな?)
(ていうか、リンさんていったい何歳なん…?)
(ていうか、彼氏です、っていってくれたっけ…)

「お気に入り」の「可愛い」
¿…「」…?

僕は、あんまり、しゃべらなかった。

『私は貝になりたい』

ジュースだし。飲めないし。酔えないし。

ねえ、あと男共が超絶、気になるんスけど…。
かれらは、アミーゴ、なんでスよね?

その後は、どこをどう行ったか知らんが、
地下のどっかのクラブに連れていかれました。

「本当にシャイな子だねェ~」
日本が出ちゃったんだね」
「お姉さんたちと踊ろォね」

すみのチイカワな丸テーブルを占拠して。
すみっコぐらしの「ほこり」と化し
踊る君を見つめていた…

鏡に映る僕は冴えない、カッコ悪い。
コウ君、たすけて…
コウ君に代わってもらえば、良かった。
寝なきゃいいんだもん。

リンさんその他に誘われたけど、気分が悪いと断った。

オレンジジュースの氷は解けて、水っぽくマズい。
重低音が耳を聾す。
別の隅で蠢く怪しげな幽霊達。
「〇ク」と「〇ッ〇ス」の匂いがする。
こういうとこが危ないんだ。
俺のいるところではない。

おれは、堕ちない。

海外は、より、危険だが。
メキシコも然り。
だが
日本でもこういうところは危ないのだ。

もう、これきりにしよう。

これっきり、これっきり、もお~
これっきりィ~~🎵

ですが、何か。

か~えろかえろ、おうちへかえろ
かえるがなk..

カラ…

かえるが…

って

あああああああああ

あんんんん…のアミーゴ・男
アノ・ダンス・ハ・ナンナンデスカ!
彼女の後ろから腰に手を回して、その腰の!
「まんだら」な動き!

完全に「アレ」じゃ~~ないすか!

ーーいや

冗談じゃァああああああ~ないぞッ!

もおお、ドテッタマにきたッ!

「何をするだ・・・ァあああああ~~~ッ!」


俺はすっくと立ちあがり、
彼女の元まで歩いていくと、男を睨みつけて引き離した。
困惑した彼女に、ウェンズデーばりの踊りを仕掛ける。

そうだ、彼女の車では、いつも「レディ・ガガ」がかかっていた。

(Lady Gagaの公式で映像が合っているものはありませんでした↑)

彼女に囁く。

「ねェ、もう二人でシケようよ。家に泊まらせてよ」

彼女は今まで見せたことない風に醜悪に顔を歪ませた。
「何なの?白けるじゃん。そんな目つきして」

「荷物持ってきて」

店の外に引っ張り出された。

つばを飲んで耳を通す。

「ケント君さ。あんたにはガッカリだよ」
「全然喋んなくなるしムッツリして」
「お子様は帰りな」

「いや、扱いが酷いよ」
「彼氏だろ?俺は」
「そうだろ?」
「これプレゼントだよ」
「今夜は行かせてもらうからね」

彼女はひったくるように包みを受け取り、乱暴に開けて、中のネックレスを見た。
えっと、1万円くらいの…。

ふっ!
鼻で笑って。
「後の彼女に取っときな」
「じゃあね」

「待って!」
僕のメキシコ、僕のフリーダ・カーロ!
「一緒にアメリカ行くって約束したじゃん」
「僕はあなたの絵が好きだよ」
「大学出たら…」

「なんだって?」

「僕のメキシコ」

ブフウ~~~!
盛大に吹き出した。

「馬鹿か?しつこくするんなら踏むよ?ヒールで

「デラクルス君」


…どう帰ったか覚えていません…

8月
夏休み
炎暑


家で、コウ君にテルして泣きついた。
そんな、気はする…

僕のメキシコ、って言うのはね。分かるだろ!『花咲ける青少年』で言えば!頭巾を、一生を誓う女性の前で取る、頭を見せる!それと同列な言葉なんだよ!彼女は破天荒だった、僕以上に変な人だった。大人だし!僕は、ホントに好きになってったんだよ…多分」




彼女からのラインは途絶えた。
表示からは消していたがブロックはしなかった。

だが、1年後。

ラインが来た。

「ケント君、元気ィ~?」
「あの時はごめんねェ。彼女できた?」
「これ見て!(先生と呼ばれる職業)の彼氏だけど」
「結婚することになったんだァ~~」

プリクラ風に加工された二人の宇宙人。
男、40くらいか、と、彼女。

「二次会くる?彼女できた?」

ーーブロックしましたよ、ええ。

「誰?」
僕の今の彼女の真砂ちゃんが言う。

「知らん人」

真砂ちゃんはね、その後付き合い始めた同じ大学の子だけど。
今も付き合っています。
結婚を考えている。
サバサバしてて、強いけど、僕の天然ダメダメっぷりに辟易しながらも、何度も、喧嘩しながらも。
そういうとこも愛してくれている。
気が、する。
あんまり、闇鍋は語れないけど。
言い始めると
「そんなことまで聞いてないよ」
「そういう話じゃないんだよ」
そういうからさ。
でもいいの。
一緒にいれて、落ち着くの。
等身大でいられるの。

前、喧嘩したとき。

約10年前の火傷による、右腕のケロイドを見せた。

今は直径1㎝も満たないが。

征服された屈辱の印

「そんなん…昔の」
「…ことだよ…」
「気づかなかったよ。気胸の手術跡の方が大きいじゃん」
「そんなんに屈しちゃ損だよ」
「幸せになるのが復讐だよ」

運命の人ーオレンジの片割れmi media naranja


そして現在。
ごく最近のこと。

コウ君がスマホを見せて言った。
「コレ、あの人じゃね?インスタ。フォロワー数すげェな」
「NYで活躍している…成功しているみたいだね」
「作品の写真ばっかだな。子供はいないみたい」
「旦那さんもNYかな」
「…いや、まだXXXXXXに勤めてるわ。ダンナ」
「離婚したのかな」

「離婚していないと思うよ」

「パトロンだろ?」

「そんなことより聞いてよ、練習したんだ」

僕はキーボードのイヤホンジャックを外し、音は控えめにして鍵盤に指を置く。

真砂ちゃんに捧げるの、お誕生日に。

"Grace"


おわり


フィクションなのか、私小説なのかは、ご想像にお任せします。

BY
Kenet梓・真彦・OaZ


❤Special Thanks❤
本作は、以下でご紹介させていただく方々の作品と交流を通じて書こうと昨夜、思いたったものです。
皆さま、いつもありがとうございます!

①恋バナを執筆したい気持ちにさせてくださった:

②昨夜沈んでいる僕に元気をくださった:

③『花咲ける青少年』並に、連載が楽しみです:

④今朝のご投稿を通じ、"In this Rush"を選曲に至りました:

⑤昨夜のご投稿で、この苦い物語を思いd…いや、着想しました:

⑥歴史的な側面を入れてみようと思い立ちました:

↑うおおおおいいい!後で拝読させていただきまする~!


★本作のIFバージョン(陽キャ版)はじまったよおー↓

Kenet梓


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