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今、海外進出をやるかどうかじゃない。やらないとどうなるかの話だ。|仕事の部屋

「日本の市場が縮んできているから、海外も検討した方がいいですかね」

長年、中小企業の海外進出支援をしていると、こういう相談をよく受けます。

毎回、少し違和感を覚えます。


「選択肢」じゃなくて、「タイムリミット」の話。

やるかどうかを選択肢として考えているうちは、

たぶんまだ危機感が足りないのかなと思っていて。

20年前に海外進出した企業は、

賃金が安くて土地も安い東南アジアに工場を作って、

生産コストを下げるために動いていました。

10年前は、東南アジアの消費市場が育ってきて、

ユニクロ・無印・マツモトキヨシ・丸亀うどんのような小売が

現地に店舗を出し始めた。

では今、2026年の中小企業が海外進出を検討する理由は何か。

ほとんどの場合、「日本の市場が縮小しているから」です。

日本が儲かっているからお金を使って海外で稼ごう、

という相談はほぼ来ません。

冷静に考えてほしいのですが、

日本の消費が減っているということは、

同時に作れる人たちの人口も減っているということです。

10年後、20年後は「海外で売上を作るかどうか」じゃなくて、

「日本でどうやって生き延びるか」の話になっている可能性が高い。

5年後にやる体力があるなら5年後でもいい。

でも5年後にはさらに厳しい状況になっていると思うなら、

何を迷っているんだろうと思います。



インバウンドへの過信が怖い。

「今はインバウンドが好調だから」という声もよく聞きます。

でも、インバウンドで流行り廃れで消えていった事業を、

私はたくさん見てきました。

流行ればすぐコピーが出る。

差別化できないまま価格競争に入る。

補助金が切れた瞬間に立ち行かなくなる。

フランスは観光を国家事業として位置づけていて、

国がGDPの一部としてしっかり予算を置いています。

だから安定した収入源になっている。

でも日本の地方の中小企業に、そこまでのケアがあるかというと、

現実には難しい。

補助金も助成金も、多くが輸出向けにしか使えないし、

何より助成金を頼りにしていて、コロナ禍や震災で、

助成金の方向性が一気にかわり、

全てが頓挫するのを目の当たりにしてきた。

インバウンドがうまくいっているような雰囲気に乗せられているだけで、

それを事業として確立できている企業はほとんどないのが現状だと

思っています。


日本の経済が豊かになるには、外貨を稼ぐしかない。

少し大きな話をすると、

国内でいくら頑張ってお金を回しても、

家族内でお父さんとお母さんがお小遣いを交換しているようなもので、

家族全体の収入は増えない。

お父さんが外に働きに出て稼いできて初めて、家の収入が増える。

日本経済も同じで、

日本人や日本企業が外貨を稼ぎに行く仕組みを作ることが、

本当の意味での経済活性化につながると思っています。

円安の今は、いいものを持っている日本企業にとってチャンスです。

今この条件が揃っているうちに動けるかどうかが、

10年後を分けると思っています。



海外で売れないのは、売り方を考えていないだけ。

「海外に出たけど売れなかった」という話をよく聞きます。

展示会にお金をかけて出展して、引き合いがあったからやってみたけど、

やり方がわからない。

見積もりを出したきり連絡が来ない。

1回オーダーが入って終わった。

そんな話ばかりです。

本当に売れないのか。私はそう思っていません。

売れない理由を「海外だから」に押しつけているだけで、

その市場でどうやったら売れるかを真剣に考えた企業が、

残念ながらとても少ない。

「海外」というフィルターが入るだけで思考停止して、

わからないで止まってしまう。

でも冷静に考えると、日本の何十倍もの人口が世界にいる。

いろんな年収の、いろんな宗教の、いろんな文化の人たちがいる。

品質が高くて、細部まで考えられた日本のものが、

海外で売れないわけがない。

歴史をかけて作ってきた製品やサービス、会社のDNAを

差別化要素として根幹に残しながら、

その市場ではどんな相手にどうすれば売れるのかを考える。

それは日本の営業と全く同じことです。

海外進出になると人任せになる。

そこに大きな問題があると思っています。


味の素とエースコックが教えてくれること。

ベトナムでは、味の素は「ローカルの調味料」として

家庭にも業務用にも完全に定着しています。

昔、カンボジアのド田舎で、日本人だと言ったら

「味の素!」と叫ばれたことがあって、笑ってしまったことがあります。

ドラえもんでも、こんにちはでも、ありがとうでもなく、味の素。

エースコックのハオハオという即席麺は、

ベトナムでは「即席麺といえばこれ」という国民食になっています。

それは日本の味をそのまま持ち込んだんじゃなくて、

日本企業が持っている技術やブランド力・開発力という強みを軸に置きながら、

ローカルの人たちの味を研究しまくって、

味の開発・製品の開発・パッケージの開発・流通の開発を

積み重ねてきた結果だと思っています。

インバウンド・海外輸出・国内事業を、

それぞれ点として扱うんじゃなくて、

一体の事業として道筋を立てて進んでいく。

それをやっていかないと、どこに向かっているのかわからないまま、

エネルギーと投資を消耗し続けるだけになってしまいます。


できるかできないかじゃなくて、やるかどうかだ。

海外進出も、転職も、事業拡大も、全部同じだと思っています。

やりたいことを決めて、どうやるかを考えて、

ロードマップを作って、一歩ずつ進んでいく。

早い遅いはあっても、ゴールに向かって進んでいれば、いつかたどり着く。

「海外、やった方がいいですか?」という質問への私の答えは、

「5年後にやる体力があるなら待ってもいい。

でもそうじゃないなら、何を迷っているんですか?」です。

大きくからじゃなくていい。

まず小さくできることからやればいいんです。


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【この記事を書いた人】まなラボの紹介

ベトナム在住10年・ダナン在住。4言語(日英仏西)、5カ国居住、約40カ国経験。

音大中退後、学位も貯金もゼロからパスポート一枚で海外へ。

物流・金融・コンサルとキャリアを積み、2016年にベトナムでコンサル会社を立ち上げ・売却。

ジェトロや中小企業基盤機構、公的機関の現地アドバイザーや、日系企業2,000社超の相談・支援に関与。

証券外務員/米国MBA保有。

ベトナムで息子を出産したことをきっかけに、日本経済の将来を人任せにするのをやめようと決めた。

次の世代に「まだ挑戦できる」という背中を見せるために、

今、外貨を稼げる人と会社を増やすことを、自分のテーマにしています。

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