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パスポート一枚、19歳。日本に居場所がなかった私が海外に出た理由|仕事の部屋

19歳、英語とフランス語の違いも知らなかった

カナダの空港で、電子辞書を引いた。

でも、言葉が全然出てこない。

モントリオールがフランス語圏だと、現地に着いてから知った。


19歳まで、私はパスポートを持っていなかった。

家族の中に、海外に行ったことがある人も一人もいませんでした。

大学を出ている人も、一人もいなかった。

お父さんは大阪で町工場をやっていて、お母さんは専業主婦。

住んでいたのは大阪の住宅街で、

近くにあるのはチェーンの回転寿司とファミレスとコンビニくらい。

そんな環境で育った私は、英語の授業が始まった時、

本気でこう思っていました。

「海外から来る人が日本語を話せばいい。

自分は一生、海外になんて行かない。」

そんな私が、パスポート一枚で海外に飛び出すことになった。


父が突然、亡くなった。

私が19歳になる直前のことでした。

その前後、家でいろんなことがありました。

当時通っていた音楽大学を、一回生のうちに中退するような形になりました。

大阪の住宅街で、学位もなく、経験もなく、

ネットワークも、知見も、何もない状態で立っていました。

周りを見回して、10年後・20年後の自分を想像してみた。

ものすごく絶望的な未来しか思い浮かびませんでした。

だから、海外に出ることにしました。

バリバリ挑戦してやるぞ、という気持ちではありませんでした。

日本に居場所がなくて、どうしようもなくて、

「海外での経験と言語があれば、日本に戻った時に

今とは違う切符を持って何かに挑戦できるかもしれない」

という、かすかな希望だけを持って。


「女がキャリアにこだわるものじゃない」という家庭で育った。

うちはとても古風な家庭でした。

「女性の幸せはいい男性と結婚して、幸せに暮らすこと」

父も母も、そう信じていました。

女がキャリアや学業にこだわるものじゃない、

という空気の中で育ちました。

家で宿題をしたことも、勉強しようと思ったことも、ほとんどなかった。

学ぶということに、当時の私はまるで関心がありませんでした。

母は私が大学に行くことにも反対でした。

海外に出ると伝えた時は、なおさらでした。

それでも行くことにしたのは、

このまま日本にいる未来の方が、ずっと怖かったから。


英語の電子辞書を持って、フランス語圏に降り立った。

当時はインターネットもほとんど普及していませんでした。

準備らしい準備といえば、電子辞書を一台買ったことくらいです。

行き先はカナダ。英語圏だと思っていたので、

英語の電子辞書を持って飛行機に乗りました。

空港に着いて、アナウンスを聞いた瞬間に気づきました。

聞いたことのない言語が流れている。

電子辞書を引いても、全く言葉が出てこない。

モントリオールがフランス語圏だということを、

現地に到着してから初めて知りました。


あの時動いたから、今がある。

今の私がいるのは、

あの時パスポートを作って、もう一回だけ頑張ってみようと思えたから。

それだけです。

海外に出て、外国語を3つ習得して、慶應を出て、MBAを取って、

資産運用も仕事の選択も、子育ての場所も、自分で選べるようになった。

あの19歳の私が聞いたら、信じないと思います。

だから、声を大にして言いたいことがあります。

「このまま日本にいる未来の方が、ずっと怖い」

そう感じている人に、そのまま諦めてほしくない。

追い詰められた場所から動いた先に、必ず景色は変わります。


日本という武器を持って、海外へ。

誰もが挑戦し続けられる社会であってほしい。

子どもを持ちたいと思える社会であってほしい。

もし今の日本が息苦しいなら、

日本という国と先祖が与えてくれた武器を持って、

海外で挑戦してみてほしい。

ものづくりのDNA、誠実さ、丁寧さ。

それは海外では今、本物のブランドです。

海外には、まだまだたくさんの可能性があります。

人も、会社も、生き方も。


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【この記事を書いた人】まなラボの紹介

ベトナム在住10年・ダナン在住。4言語(日英仏西)、5カ国居住、約40カ国経験。

音大中退後、学位も貯金もゼロからパスポート一枚で海外へ。

物流・金融・コンサルとキャリアを積み、2016年にベトナムでコンサル会社を立ち上げ・売却。

ジェトロや中小企業基盤機構、公的機関の現地アドバイザーや、日系企業2,000社超の相談・支援に関与。

証券外務員/米国MBA保有。

ベトナムで息子を出産したことをきっかけに、日本経済の将来を人任せにするのをやめようと決めた。

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