迷いながら、ここで育てている|海外で子どもを産むと、行政も教育も全部自分で設計することになる【後編:生活設計編】〜海外・多言語子育ての記録|家族の部屋
前編では、婚姻・ビザ・保険・予防接種という
手続き系の話を書きました。
後編は、もう少し生活に近い話です。
産後のサポートをどうするか。学校はどうするか。引越しが重なった時どうなるか。
どれも、産前に設計しておかないと回りません。
現地出産なら、産後のサポートを誰に頼むか。
海外で産む場合、産後のサポートをどうするかは
早めに考えておく必要があります。
家族が近くにいない。
頼れる人脈も、日本にいる時とは全然違う。
その中で、誰にどこまでお願いするのかを設計しないといけない。
選択肢は大きく2つです。
家族に来てもらうか、ナニーさんを雇うか。
家族が来てくれるなら、その部屋の準備や食事はどうするのか。
言葉ができないご両親ならそのサポートは。
どのくらいの期間、お願いして、どちらの家族にきてもらうのか。
事前に話し合っておかないと、
せっかく来てくれてもお互いがしんどくなることがあります。
うちはどちらもなしで1年頑張りましたが、もう一度やり直すなら、今なら、迷わずどちらかのお母さんにきてもらうと思います。
ナニーさん:住み込みの方が、実は安い。
ナニーさんを雇う場合、
住み込みにするか、毎日通ってもらうかで、
予算も生活も全然変わってきます。
これが意外と知られていないんですが、
ベトナムでは住み込みのナニーさんの方が、
通ってもらうより費用が安くなることが多い。
通いの場合は交通費や移動時間が加算されるので、
住み込みの方がトータルで割安になるケースがあります。
ただ給与だけじゃなく、知っておいてほしいことがあります。
毎年、旧正月前には給与交渉があります。
大幅な引き上げ要求も珍しくない。
地方から来ている方が多いので、
旧正月のお休みの間に帰省するための旅費も一般的に出します。
旧正月の賞与は1ヶ月分が相場です。
そして、こちらの事情で一時帰国などお休みになる場合も、
給与を払い続ける必要があります。
何をお願いして、何はお願いしないのか。育児サポートだけなのか、家事もお願いするのか。家事はどこまでなのか。
食事はどうするのか。休日は。外出は。
これを産後の混乱した状態で面接しながら、交渉しながら決めようとすると、
本当に消耗します。
産前に、できるだけ具体的に設計しておくことをおすすめします。
私がナニーさんを雇わなかった理由。
よく「ナニーさんを安く雇えていいね」と言われます。
でも私はナニーさんを雇いませんでした。
理由は2つあります。
一つは、お金で子どもを面倒みてもらうという関係性への迷いです。
もちろんいい人はたくさんいる。
でも、心から納得した条件じゃなかった時に、本当に大丈夫なのか。
預けるのは”もの”じゃない。
命であり、何より大切な息子なのだから。
息子の人生のスタートに、
金銭を背景にした関係性を置きたくないという、
自分なりの信念がありました。
もう一つは、新生児のべったりしてくれる間なんて、
本当に短くて貴重な時間だということ。
その時間を、できるだけ自分たちで過ごしたかった。
そうすると、夫がどれだけ協力的でも、
生活のあらゆることに調整が必要になる。
後悔はひとつもないけれど、
簡単だったなんて口が裂けても言えません。
里帰り出産の場合:また別の問題が出てくる。
里帰り出産を選んだ場合は、また別の問題が出てきます。
まず、荷物の問題。
ベビーベッド、チャイルドシート、授乳グッズ、ベビーバス。
日本に持って帰るのか、現地と2セット揃えるのか。
費用も、航空機の荷物制限も、どちらも馬鹿にならない。
そして、パートナーとの距離の問題。
パパとママが両方で何ヶ月も日本に一時帰国できるわけじゃない。
パートナーは現地で仕事をしながら、という期間が生まれる。
産後の一番しんどい時期に、遠距離になる。
どちらを選んでも、答えは一つじゃない。
でもどちらを選んでも、産前に設計しておかないと回らない。
それだけは確かです。
学校選び:選択肢が限られているからこそ、早めに動く。
ベトナムでは、国籍や手続き上の壁があり、
外国籍の子どもが現地の公立校に通うことは
実質的な選択肢になりにくい状況です。
選択肢は私立か、インターナショナルスクール。
ホーチミン時代に友人たちが通わせていたフレンチスクールやインターは、
月15万円前後します。
駐在員なら会社が負担してくれるケースが多いですが、
私たちのように会社のサポートがない場合は、
そのためだけに働き方を根本から変える覚悟が必要になってくる。
我が家が選んだのは、現地の海外プログラムつき私立幼稚園。
月3〜4万円で預かってくれます。
基本の対応が現地語なので、
お互い翻訳ツールを使いながらのコミュニケーションになりますが、
日系の園はスタッフが英語や日本語で対応してくれるところも多い。
どの幼稚園を選ぶかは、正直、当たりはずれがある。
我が家が最初に通わせた園については、
別の記事で詳しくまとめています。
▼ 【家族の部屋】ダナンの日系幼稚園に8ヶ月通わせて、わかった本当のこと。 読む
帰省先も2カ国分計画したくなる。
航空券代、休みのタイミング、家族側との日程調整、季節、イベント。
それぞれの国のカレンダーを見ながら動かす必要があります。
生後1年以内に、4カ月間「家なき子生活」をした。
生後1年を迎える前に、ホーチミンからダナンへの引越しを決めました。
家を引き払って、荷物を倉庫に入れて。
日本に1ヶ月ちょっと、フランスに2ヶ月ちょっと、
その間ホーチミンに少し滞在して、そこからダナンへ。
引越しの手続き、家探し、学校探し、
ハイシーズン中の予想外の緊急引っ越し、夫の転職、子どもの急な転校、
私の仕事への復帰、息子の病気や病院探し、保険の手続き。
日常のあらゆるイベントに、
パスポートやビザと同じように手続きが付いてくる。
そして私たちは、どちらも現地語を話せない。
産後うつになるまでギリギリのところまで来てしまったのは、
事前の設計や想定が甘かったからだと思っています。
サーチ、比較、交渉、決断、手続き、見直しが
永遠に押し寄せてくる。
そんな感覚でした。
海外子育ては「育てる」より「設計する」に近い。
日本では、社会が前提として担ってくれるものがたくさんあります。
出生届を出せば住民登録がされて、保険証が発行されて、
予防接種のスケジュールが送られてきて、近くの保育園や幼稚園に申し込める。
海外では、その全部が「親の意思決定」になります。
どの国の国籍を先に取るか。どのビザに紐づけるか。
どの予防接種を受けるか。どの言語で育てるか。
どの学校に入れるか。どこの国で学ばせるか。
子育てというより、家族全体の生活システムを
設計・運営するプロジェクトに近い。
大変だと思うこともあります。
でも同時に、何もかも自分で決められるということでもある。
誰かが決めた「当たり前」の外側で、
自分たちの家族の形を作っていける。
それが、この生活を続けている理由の一つかもしれません。
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お読みいただきありがとうございます。
「何者かにならなくていい。全部の自分のままでいい。」
そう信じながら、等身大のまま書いています。
諦める前に、もう一回だけ試してほしい。
そのための実験を、私自身が続けています。
どこかの誰かのエールになれたら、嬉しいです。
スキやコメント、とても励みになります。
フォローして、続きも一緒に見届けてもらえたら嬉しいです。
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【この記事を書いた人】まなラボ
音楽フェスのステージを降りた瞬間に、フランス人の夫と出会いました。
自転車旅行の途中で家族になって、今はダナンで、3人で暮らしています。
国際結婚も、多文化の子育ても、うまくいく日ばかりじゃない。
産後には、家族がバラバラになりかけた時期もありました。
それでも、ぶつかって、話して、笑って。
何もない日常の中にある、小さな幸せを、ひとつずつ数えながら生きています。
完璧な妻でも、母でもないけれど。
この家族でよかったと、毎日思えるように。
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