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迷いながら、ここで育てている|海外で子どもを産むと、行政も教育も全部自分で設計することになる【前編:手続き編】〜海外・多言語子育ての記録|家族の部屋

海外で子どもを産むとわかった時、

最初に思ったのは「手続きが大変そう」でした。

でも実際は、想像の何倍も大変でした。

そしてそれは、子どもが生まれた後も、ずっと続いています。


妊娠中に、3カ国の婚姻手続きをした。

正直に言うと、最初は結婚の手続きなんてどうでもいいと思っていました。

フランス人の夫と私は、

結婚という形式より一緒に生きることの方が大事だと思っていた。

だから妊娠がわかった時も、入籍は後でいいかと思っていた。

でも現実は、そんな悠長なことを言っていられなかった。

ビザ、パスポート、税金、社会保険、保険。

子どもが生まれた瞬間から始まる手続きを一つひとつ調べていくと、

婚姻手続きを先に済ませておかないと、後で全部がこじれるとわかった。

それから妊娠期間中に、

ベトナム・フランス・日本、3カ国の婚姻手続きを同時並行で進めることになりました。

フランスの国際結婚手続きは、海外在住の外国人には特にハードルが高い。

フランスから取り寄せる書類に加えて、

フランス領事館でのその結婚が本物かを確認するためのインタビューもある。

日本から取り寄せた書類をフランス語に公証翻訳したものと、

ベトナム政府向けに公証翻訳したものも必要で、

それぞれ違う手続きで別々の政府に提出する。

唯一簡単だったのは日本の手続きでした。

夫本人がいなくても、私が彼の書類を持ち込めば、婚姻届が完結する。

夫も友人も、その簡単さに驚いていた。

でも簡単な分、グローバルのシステムとは全く連携していない。

あの時、簡単だからといって一人で日本に帰国して

日本式で婚姻届を提出していたら、

フランス側が夫の渡航記録がないことがわかった時点で

否認されてしまうところだった。

出産の直前、ぎりぎりで3カ国の婚姻手続きが完了して、

そのまま出産になりました。


苗字の問題:6ヶ月以内に動かないと、家庭裁判所行きになる。

そして反対に、ベトナムで先に手続きをしたから、

息子のパスポートは2冊とも苗字と名前がバラバラになってしまった。

日本にはミドルネームという仕組みがないので、

フランス側の名前をそのまま反映できなかったのです。

日本人が外国人配偶者の苗字を名乗るには、

婚姻成立から6ヶ月以内であれば

市役所への届け出だけで変更できます。

でもその期限を過ぎると、家庭裁判所の手続きが必要になる。

海外在住者にとって、これはなかなかハードルが高い。

国際結婚をしたら、苗字の手続きだけは

6ヶ月以内に動くことを強くおすすめします。


ビザと国籍:どちらのパスポートに紐づけるか、で全部変わる。

子どもが生まれた瞬間から、次の問いが待っています。

「この子のビザを、どちらの親のパスポートに紐づけるか。」

これ一つで、用意する書類も、翻訳の量も、提出先も、全部変わります。

ベトナムでビザを取るためには、

パスポートだけでなく、日本でいう住民登録に相当する滞在登録も必要です。

私たちのように労働許可証(ワークパーミット)でビザを取っている場合は、

雇用主との調整も必要になってきます。

労働許可証は会社がサポートしてくれているケースが多いので、

出産前から会社側と段取りを話し合っておかないと、

産後にいきなり「書類が足りない」という事態になる。

産後3〜5日で退院。

そこから怒涛の手続きが始まりました。

フランスの出生届は生まれてから1ヶ月以内。日本のは3ヶ月以内。

我が家はフランスのパスポートに、

そして私のワークパーミットに子どものビザを紐づける方針にしたので、

まず夫が1人でフランス領事館に出向いて出生届の手続きをした。

私が退院して2週間後に、今度は子どもを連れてパスポートを受け取りに行った。

赤ちゃんでも受け取りには本人確認が必要だから、

生後2週間の息子を連れて領事館まで行くことになりました。

さっさとビザを取得しないと、子どもが不法滞在になってしまう。

ビザはビザでまた写真を撮って、

ベトナム政府向けの書類を別途準備して、

翻訳をして、公証をして、エージェントや会社とやり取りして。

その手続きをしながら、子どもの海外医療保険の手続きも並行して進める。

産後という状況が重なると、

想像以上に計画性を持っていないとやられます。


保険:約款を産前に読み込んでおかないと、後悔する。

保険の話は、後回しにしがちです。

でもこれが一番、産前にしっかり準備しておくべきだったと今では思っています。

ベトナムでワークパーミットを持つ外国人は、

会社を通じてベトナムの社会保険に加入することになっています。

ただ社会保険は基本的に公立病院向けで、

言語の壁もあり、外国人が実際に使うにはハードルが高い。

だから海外出産を考えているなら、

別途、民間の海外医療保険に加入することがほぼ前提になってきます。

問題は、この民間保険の条件が、会社や商品によってまったく違うことです。

カバーされる範囲、適用される病院、

加入から保険が使えるまでの待機期間、

新生児を扶養に追加できる条件、

両親が同じ保険に入っていないといけないかどうか。

全部、約款に書いてある。

でも約款って、読むのが面倒で後回しにしがちです。

友人の話をひとつ、させてください。

妊娠中に病気になり、予定より早くお子さんを出産した友人がいます。

お子さんはすぐに医療的なケアが必要な状態でICUに入ることになりました。

ベトナムとはいえ、私立病院のICUの費用は高額です。

問題は、彼女が加入していた保険が、

その状況には適用されないタイプだったこと。

緊急出産して、ご自身の回復もままならない中で、

お子さんがどうなるかもわからないまま、

数百万円の医療費を現金で支払うことになりました。

ベトナムの病院は、基本的に医療費の支払いが先です。

我が家も緊急帝王切開になって、

子どもの心拍が危ないからと緊急で帝王切開に変わったのに、

最初に求められたのはクレジットカードの提出と決済でした。

保険があっても適用外なら、まず現金で払うことになります。

「保険には入っていた」では足りない。

どんな時に、何が、いくらまで、どの病院で使えるのか。

約款を産前にちゃんと読み込んでおくこと。

これだけは、強くおすすめします。


予防接種:国によって、スケジュールも回数も全然違う。

予防接種のスケジュールは、国によって打つタイミングも回数も違います。

そして、予防接種は全部実費。

途上国とはいえ、予防接種だけでも初年度15万円以上はかかったと思います。

我が家はフランス・ベトナム・日本のスケジュールを見比べながら、

どれは接種してどれはしないのかをこまめに話し合ってきました。

どの国のスケジュールを基準にするかは、

将来どこで育てるか、どこで学校に入れるかによっても変わってくる。

「とりあえず全部打っておけばいい」というわけにもいかない。

ワクチンによっては、国によって承認されているものが違ったり、

接種間隔のルールが違ったりもする。

小児科の先生に相談しながら、国ごとのスケジュールを

一つひとつ照らし合わせていく作業が必要でした。


母子手帳の記録は、3回やる。

そして母子手帳が3冊あります。

将来学校や国が変わる時、

記録はそれぞれの国のものに反映しておかないといけない。

予防接種や定期検診のたびに、

3回同じことを違う言葉で記録する必要がある。

予防接種に関しては、病院・医師のハンコやサインが必要だから、

事前にその準備も必要で。

日本に帰国した時に1歳の予防接種を日本の病院で受けようとした時、

ベトナムの記録を見せたら、

「何が書いてあるかわからないから過去の記録が確認できない」

と断られたことがありました。

発達の状況の基準もヨーロッパとアジアで違う。勧められる食材も違う。

それを見比べながら、

「ベトナムで何が実現できるのか」「これでいいのかな」と不安になる。

新米の親だからこそ、いつも不安でいっぱいでした。

そして、周りに同じ年次で同じ国の組み合わせのカップルなんているはずもない。


産む前に、設計しておかないと回らない。

ここまで読んでいただいてわかると思うのですが、

婚姻手続き、苗字の問題、ビザ、保険、予防接種。

どれも、産んでから考えていたら間に合わない。

産後の体の回復をしながら、新生児の世話をしながら、

手続きと向き合うのは、想像以上に消耗します。

「産んでから考えよう」では、本当に回りません。

できることは全部、産前に設計しておく。

それが海外出産を乗り越えるための、一番大事なことだったと思っています。

後編では、里帰りかナニーか・学校・引越しという

生活設計の話を書きます。


📚 後編はこちら

▼ 【家族の部屋・後編】海外で子どもを産むと、行政も教育も全部自分で設計することになる。
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お読みいただきありがとうございます。

「何者かにならなくていい。全部の自分のままでいい。」

そう信じながら、等身大のまま書いています。

諦める前に、もう一回だけ試してほしい。

そのための実験を、私自身が続けています。

どこかの誰かのエールになれたら、嬉しいです。

スキやコメント、とても励みになります。

フォローして、続きも一緒に見届けてもらえたら嬉しいです。

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【この記事を書いた人】まなラボ

音楽フェスのステージを降りた瞬間に、フランス人の夫と出会いました。

自転車旅行の途中で家族になって、今はダナンで、3人で暮らしています。

国際結婚も、多文化の子育ても、うまくいく日ばかりじゃない。

産後には、家族がバラバラになりかけた時期もありました。

それでも、ぶつかって、話して、笑って。

何もない日常の中にある、小さな幸せを、ひとつずつ数えながら生きています。

完璧な妻でも、母でもないけれど。

この家族でよかったと、毎日思えるように。

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